トヨタは、新型コンパクトカーであるカローラスポーツの発売を開始した。新型カローラスポーツは、Cセグメントに属する5ドアハッチバックで、国内ではオーリスの後継となる。
新型トヨタ カローラスポーツの価格は、2,419,200円からだ。コネクティッドカーとしての若年層にアピールしている。

この記事の目次 CONTENTS
若者向けのイメージチェンジを狙うカローラスポーツ
フォルクスワーゲン ゴルフよりも全長がやや長い
洗練さが増したキーンルックと、新開発スポーツシートでスポーティさをアピール
1.8Lハイブリッドと1.2Lターボを用意。なんと、MT車も新設定
駐車は楽々?! 小回り性能は、クラストップレベル
夜間の歩行者と昼間の自転車を検知可能に! 実社会でより高い安全性能をもった自動ブレーキ
話題のコネクティッドサービスは、3年間無料!
おすすめは1.8Lハイブリッド車
新型トヨタ カローラスポーツ価格、燃費、スペックなど

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

若者向けのイメージチェンジを狙うカローラスポーツ

トヨタは、新型カローラスポーツを20歳台や30歳台の若年層に向けたモデルだとアピールする。中高年にとっては、カローラというブランドは、コンパクトカーの代表ともいえる歴史あるモデルであると同時に、セダンのアクシオに代表されるように「おじいちゃんのクルマ」というイメージが強い。実際、アクシオのユーザーは、平均70歳台に突入していると言われている。

ところが、若年層にとってのカローラブランドは、認知さえもされていないという状況。それほど、日本においてカローラブランドは存在感が無くなっているのだ。

TVCMには人気若手俳優を起用

ただ、逆に知られていないなら、カローラのリブランディングも可能だ。若々しいスポーティモデルとして、その役割を担っているのがカローラスポーツだ。CMでも若手人気俳優である菅田将暉と中条あやみが起用されいる。

プリウスやC-HRと同じプラットフォームを採用

そんな大きな役割をもつ新型カローラスポーツのプラットフォーム(車台)は、基本的にプリウスやC-HRと同じものを採用。載せるエンジンも、C-HRと同じ1.2Lターボと1.8Lハイブリッドとなった。また、スポーツという名が付いていることから、走行性能にもこだわった。

フォルクスワーゲン ゴルフよりも全長がやや長い

新型カローラスポーツは、カローラブランドのアクシオやフィールダーとは、まったく異なるモデルだ。アクシオなどは、アクアなどと同じBセグメントのプラットフォームにを使う。対して、カローラスポーツのプラットフォームは、ひとクラス上となるプリウスやC-HRなどと同じCセグメントのプラットフォームが使われている。

カローラスポーツのサイズ

全長こそアクシオなどと同等なのだが、大きく異なるのは全幅。新型カローラスポーツは、全幅1,790㎜で3ナンバーサイズになる。アクシオは1,695㎜と5ナンバーサイズに収まっている。

トヨタ カローラスポーツ フォルクスワーゲン ゴルフ
全長 4,375mm 4,485mm
全幅 1,790mm 1,800mm
全高 1,460mm 1,440mm
ホイールベース 2,640mm 2,645mm

また、同じCセグメントに属するフォルクスワーゲン ゴルフと比べると、新型カローラスポーツは、全長で+110㎜、全幅+10㎜、全高-20㎜、ホイールベース+5㎜となった。新型カローラスポーツは、ゴルフに比べ全長がやや長い

洗練さが増したキーンルックと、新開発スポーツシートでスポーティさをアピール

新型カローラスポーツのフロントフェイスには、トヨタ独自のキーンルックが採用された。キーンルックは、先鋭的なデザインでやや好き嫌いが明確に出る傾向が強かった。しかし、色々な車種に展開されていくたびに洗練さを増してきている。新型カローラスポーツでは、柔らかな面とシャープな線を上手く融合させて、スタイリッシなスタイルとしている。

インテリアは広々とした空間

インテリアは、コンパクトカーの定番ともいえる水平基調のデザインを採用。広々とした空間を表現している。センターコンソール上部には、7インチのTFTマルチインフォメーションディスプレイが設置されている。

タッチパネルの操作性はイマイチ

比較的高い位置に設置されているので、多少見やすいが、できればさらに高く、そして奥に設置してくれれば、より視線移動が少なく見やすくなる。タッチパネルが採用されていて、操作性はイマイチ。揺れる車内で操作するのは難しいし、指先を注視しなくてはならないので、安全面でもよいとはいえない。

新開発のシートを採用したカローラスポーツ

新型カローラスポーツのシートは、スポーツシートとスポーティシートの2タイプが用意された。

スポーツシートは、ホールド性能を徹底的に追求した新開発となっている。肩部の張り出し形状を最適化するなどし、コーナリング時の高い横Gがかかっても、しっかり身体をサポートする。スポーツシートとはいえ、意外と窮屈な感じがしないのがポイントだ。

1.8Lハイブリッドと1.2Lターボを用意。なんと、MT車も新設定

新型カローラスポーツに搭載されたパワーユニットは、1.8Lハイブリッドと1.2Lターボの2タイプとなった。メインとなるのは、プリウスやC-HRにも搭載されているものと基本的に同じ1.8Lのハイブリッドだ。システム出力は122psで、燃費は34.2㎞/Lと優れた燃費値を誇る。この1.8Lハイブリッドは、応答レスポンスを高め、ハイブリッドの弱点ともいえるラバーバンドフィールを改善。しかし、システム的にも限界があり、一般的なATなどと比べるとダイレクト感がない。慣れてしまえば、それほど気にならないが、一般的なATなどと比べるとスポーツドライビングを楽しめるというフィーリングではない。

やや非力感のあるターボ

1.2Lターボの出力は、116ps&185Nm。燃費は19.6㎞/Lだ。パワーや燃費などは、一般的なダウンサイジングターボの平均点といったところ。ただ、C-HRと同様に1.2Lターボは、絶対的な排気量が少ないことがウイークポイントになっている。とくに、市街地などでのストップ&ゴーが多い道では、ターボの過給待ちによるレスポンスの悪さや、非力感を感じることがある。ターボの過給がかかっていれば、非力感は感じない。そのため、このエンジンでスポーツドライビングが楽しめるのか? というと、少々微妙だ。

1.2Lターボもと組み合わされるミッションはCVT。10速スポーツシーケンシャルシフトマチックを採用。こちらも、CVT特有のラバーバンドフィールは完全に払拭できていない。このラバーバンドフィールも慣れてしまえば問題ない。

国内トヨタブランド初のiMT採用!

さらに、1.2Lターボには、国内トヨタブランドとしては初となるiMT(インテリジェントマニュアルトランスミッション)が用意された。ドライブモードセレクトで、SPORTモードを選択すると、iMTがスタンバイ状態になる。コンピューター制御により、エンジン回転数をクルマが自動的に合わせて、スムーズな変速をアシストする。素早いクラッチ操作でもショックが少ないのが特徴で、ちょっと運転が上手くなった気がする機能だ。

また、エンストするリスク軽減機能もプラスされている。発進時にクラッチ操作を検出すると、エンジン出力を最適に調整(トルクアップ)。クラッチのみでの発進操作をよりスムーズに行えるようになった。

駐車は楽々?! 小回り性能は、クラストップレベル

新型カローラスポーツのサスペンション形式は、プリウスなどと同じ。フロントは、マクファーソンストラット式、リヤはダブルウィッシュボーン式と共通。しかし、細部は異なり新型カローラスポーツ用に開発されている。新型カローラスポーツ用のに新開発したダンパーは、オイルや構成部品などの組み合わせ約600パターンに及ぶ走行試験を行い、上質な乗り心地と操舵応答性を両立した。

また、最上級グレードにオプションとなるダンパーの減衰力が可変式となるリニアソレノイド式AVSは、トヨタブランドFF車として国内初採用となる。このAVS装着車は、ECO、COMFORT、NORMAL、SPORT S、SPORT S +と呼ばれるモードが設定された。

最小回転半径はゴルフよりも小さく取り回ししやすい

新型カローラスポーツは、3ナンバーサイズだが、狭い道が多い日本でも優れた使い勝手の良さを誇る。駐車時などに使い勝手の評価指標になる最小回転半径は、なんと5.1m。Cセグメントのハッチバックの中で、トップクラスの数値となった。これは、VWゴルフをよりも小さい数値だ。扱いやすいクルマに仕上がった。

夜間の歩行者と昼間の自転車を検知可能に! 実社会でより高い安全性能をもった自動ブレーキ

新型カローラスポーツの安全装備は、大幅に進化した。第2世代型の予防安全パッケージ「トヨタセーフティセンス」が全車に標準装備された。この第2世代トヨタセーフティセンスの自動ブレーキは、夜間の歩行者検知や昼間の自転車検知も可能になっている。歩行者との衝突事故は、夜間に多い。それだけに、夜間の歩行者を検知機能は重要。より、実際の事故状況にマッチした安全装備といえる。

エアバッグ類も標準装備化

また、トヨタ車のコンパクトカーとしては珍しくサイド&カーテンエアバッグやニーエアバッグも全車に標準装備化。どのグレードを選んでも一定以上の安全性能を誇るので安心だ。

オプション設定となる安全装備も

ただ、相変わらずトヨタの安全装備の設定は詰めが甘い。後方や後側方から接近する車両を検知し警報、もしくはブレーキ制御で衝突を回避するブラインドスポットモニターやリヤクロストラフィックオートブレーキなどは、オプション設定なのだ。日々使うような安全装備で、運転が苦手な人や、視界が狭くなっているお年寄りには非常に頼りになる機能。

もはや、似た装備をコンパクトカーのマツダ デミオは標準装備化している時代だ。こうした装備は、もう安価に設定できるようになってきているので、早急な標準装備化が求められる。自動車は、扱いを間違えると人を殺める。そうしたリスクを軽減できる技術が安価に提供できるようになったのであれば、自動車メーカーは積極的に標準装備を進めるべきだ。自動車メーカーは、より安全なクルマを社会に送り出す責任がある。

話題のコネクティッドサービスは、3年間無料!

新型カローラスポーツは、若年層に売りたいということもあり、話題のコネクティッドサービスに積極的だ。このコネクティッドサービスは、車載通信機DCMを全車に標準搭載し、T-Connectサービスを3年間無料で提供する。4年目からは有料となる。

コネクティッドサービスには、車両データーをディーラーと共有。故障時や点検時などスムースな入庫か可能となる。安心できるサービスが、ヘルプネット。もしもの事故が発生した時など、専門オペレーターによる通報や救急車の手配などが可能。頼りになるサービスだ。

おすすめは1.8Lハイブリッド車

新型トヨタ カローラスポーツの選び方は、まずパワーユニットの選択から。お勧めは、やはり1.8Lハイブリッド車だ。トヨタ車は、比較的ハイブリッド車の価格設定を高めに設定する傾向がある。高額にしても売れるからだ。だが、新型カローラスポーツの1.2Lターボとハイブリッド車との価格差は27万円円と、他のモデルと比べると差が小さいのだ。こうした設定は、若年層に買いやすさを与えるためだろう。

エコカー減税でさらにお得に!

これくらいの価格差だと、エコカー減税などの減税メリットが加わると、車両価格差はかなり少なる。また、燃費差も大きいので燃料費差も加われば、価格差はさらに縮まる。さらに、ハイブリッド車は、当然リセールバリューが高くなる傾向にある。こうなると、元を取るのも容易になっている。こうなると、購入時の価格と4WDという面以外では、1.2Lターボを選ぶ理由が見当たらない。

おすすめグレードはGZ

新型カローラスポーツは3グレード設定。GXはやや装備が貧弱なので、GZとGという選択になる。大きな装備差は、オプティトロンメーターや18インチホイール、Bi-Beam LEDヘッドランプ類などで、価格差は16万円程度だ。価格差もそれほど大きくないので、満足度を考えると積極的にGZを選ぶといいだろう。オプションでは、5段階のドライブモードのAVSがGZにのみ設定されていて、お勧めオプションとなる。

新型トヨタ カローラスポーツ価格、燃費、スペックなど

カローラスポーツ HYBRID G“Z”のスペック

ボディサイズ 全長4,375×全幅1,790×全高1,460㎜
ホイールベース 2,640㎜
車両重量 1,400㎏
JC08モード燃費 30.0㎞/L

トヨタ カローラスポーツ価格

カローラスポーツHYBRID G 2,527,200円
カローラスポーツHYBRID G “Z” 2,689,200円
カローラスポーツHYBRID G“X” 2,419,200円
カローラスポーツ G“Z” 2,419,200円
カローラスポーツ G 2,257,200円
カローラスポーツ G “X” 2,138,400円

4WD

カローラスポーツ G“Z” 2,613,600円
カローラスポーツ G 2,451,600円
カローラスポーツ G“X” 2,332,800円