LS REVIEW 新旧比較レビュー

LS REVIEW 新旧比較レビュー

国内では2代目となるレクサスLSは、約11年振りにフルモデルチェンジし2017年10月に登場した。初代LSに対して、パワーユニットは大幅なダウンサイジングが行われた。

V8 5.0Lだったハイブリッド車LS600hは、V6 3.5LになりLS500hとなった。ガソリン車は、V8 4.6LがV6 3.5Lターボへと変更され両パワーユニット共に、ダウンサイジングにより環境性能を大幅にアップしながら、走行性能も向上させているのが特徴。

また、プラットフォーム(車台)は、新世代のGA-Lプラットフォームを採用。低重心で優れた運動性能と、スタイリッシュなデザインを可能とした。

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レクサス LSの歴史・概要

新型LSは国内では2代目となるが、北米中心としたレクサスとしては5代目となる。これは、日本にレクサスブランドが導入された時期が異なるからだ。北米では1989年、日本では2005年に導入されている。

セルシオからレクサスへと進化

2005年のレクサスブランドが日本に導入されるまでの間、北米のレクサスLSは日本でセルシオとして販売されていた。北米で初代LSとなったセルシオは、圧倒的な静粛性と乗り心地で世界の自動車メーカーがトヨタに注目。セルシオに採用されていたエアサスペンションは、この後他メーカーの高級車に続々と採用されるなどのムーブメントを起こした。

国内では初代となるレクサスLSは、2006年に登場。デビュー当時は、V8 4.6Lエンジン車のみ。世界初となる8速ATや、歩行者検知と操舵回避支援を行う自動ブレーキなどが用意されていた。2007年には、V8 5.0Lエンジンを使ったハイブリッド車LS600hを投入。同時に、ボディを120㎜延長し、より広大な後席スペースとしたロングモデルも登場した。

LS600hは4WDのみの設定で、V8 5.0Lという大排気量をもちながら11.6㎞/Lという低燃費を実現。同時に、エンジンとモーターによる圧倒的な加速力も話題となった。その後、2012年のマイナーチェンジでは、レクサスデザインのアイコンともいえるスピンドルグリルが採用された。

国内2代目となるLSが登場

国内2代目となるLSは、2017年10月に登場。約11年振りのフルモデルチェンジだ。新世代のGA-Lプラットフォームを採用し、優れた運動性能を得た。パワーユニットは、ダウンサイジングし環境性能を向上しながら走行性能も同時に向上させた。

デザインは、より個性を主張するクーペ風のルーフラインとなりラグジュアリー感を強調。インテリアには、切子の職人と共同開発したドアトリムオーナメントの切子調カットガラスなどを採用。日本車らしい和のテイストも積極的に導入され、居心地のいい空間に仕上げられている。

コンセプト&エクステリア

新型レクサスLSは「初代セルシオの衝撃を超える車」がテーマ

2代目となる新型レクサスLSは、「初代LS(国内初代セルシオ)の衝撃を超えるクルマを」というメッセージを社長の豊田章男氏から投げかけられ開発がスタートした。クルマの基本性能を決めるプラットフォーム(車台)も新開発され、より低重心化された。これにより、新型LSのクーペシルエットは、よりワイド&ローなフォルムが強調されスタイリッシュになった。

また全高は先代LSに対して15㎜ダウン、全幅は25㎜ワイドに。フロントフェイスは、よりスピンドルグリルの存在感を増し押し出し感もアップ。鋭い眼光のLEDヘッドライトが装備されている。

オリジナリティあふれるスタイルに進化

新型LSは、かなり複雑な造形をもったモデルで、ようやくレクサスらしいオリジナリティが表現できたモデルといえる。また、こうした複雑な造形を製品化した生産技術もかなりのレベルに達している。

先代LSは、乗る人の心に響くクルマづくりを念頭に開発された。デザインは、レクサスのデザインフィロソフィ「L-finesse(エル・フィネス)」の具現化により、品格のある“存在感”と“美しさ”を融合し、アートの領域への昇華を目指した。しかし、前期モデルは全般的に保守的なセダンといった印象が強い。2012年のマイナーチェンジで、現在のスピンドルグリルが採用され、ようやくオリジナリティあるスタイリングになってきた。

インテリア・装備

先進機能を新型LSは全車に標準装備

先代LSには、当時世界初となった前方の歩行者検知と操舵回避支援を可能とした自動ブレーキを含む先進予防安全装備が用意されていた。この装備はオプション設定で100万円を超える金額だったため、装着率は極端に低い結果となる。この結果もあり、トヨタの自動ブレーキを含む先進予防安全装備の開発は大きく遅れた。

新型LSでは、先代LSの安全装備をさらに進化。11年という期間を考えると少々物足りないいが、歩行者検知式自動ブレーキなどは進化。衝突が避けられない場合、自動操舵で歩行者との衝突を回避するシステムなった。こうした先進機能は、先代LSではオプションだったが、新型LSではエントリーグレードを除き、全車に標準装備された。

新型LSは個性的なラグジュアリーなインテリアに

先代LSのインテリアは、質感の高さはあるものの、デザインは保守的でトヨタ車っぽさがあった。2012年のマイナーチェンジでは、インテリアデザインも一新。ようやく、現在のレクサスらしい雰囲気になってきた。

新型LSのインテリアは、なかなか個性的だ。アメリカ人が好みそうなラグジュアリーな雰囲気を持たせながら、各部のディテールに和のテイストもプラス。ドアトリムには、オプションで切子ガラス風の仕様も用意されている。高級感は、先代を大幅に超えたものとなった。ナビ操作などに使うリモートタッチは、節度感が無く相変わらず使いにくい。

走り・メカニズム

新旧に共通なのは、走って楽しいと感じること

新世代のGA-Lプラットフォームが採用されたことにより、新型LSの重心は下がり、前後の重量バランスも最適化された。また、ボディのねじり剛性もクラストップレベル。鍛え上げられたボディには、2タイプのパワーユニットが搭載された。

422ps&600Nmを誇る3.5LのV6エンジンと、システム出力359psを誇る3.5L V6ハイブリッド。両方のパワーユニットに共通なのは、走って楽しいと感じることだ。

運転するとクルマが二回りくらい小さく感じるほど、クルマとの一体感がある。ステアリング操作に対して、大きなクルマなのに機敏に反応する。先代LSがややショーファーカー的で、自ら運転して楽しむクルマではなかったので、この部分は大きく異なる部分だ。

ただし、新型LSの乗り心地は少々微妙。

ランフラットタイヤが採用されていて、どうもタイヤのゴツゴツ感が伝わってくる。運転しているときは良いが、後席に乗っているときは少々気になるかもしれない。逆に先代LSの乗り心地は、11年前のクルマとは思えないくらい洗練されている。

燃費性能は大幅に向上

ガソリン車は4.6L V8から3.5L V6ターボに。ハイブリッド車は5.0L V8から3.5L V6にそれぞれダウンサイジングされている。新型LSは、ダウンサイジングし環境性能を向上させながら、走行性能も向上させている。

とくにハイブリッド車は大きく排気量をダウンしたことから、燃費優先かと思われたが、有段ギヤをもつ最新のマルチステージハイブリッド機能が加わったことで、加速力が大幅に向上。3.5Lハイブリッドながら、5.0Lハイブリッドを上回る加速力を誇る。燃費性能は、先代LSの11.6㎞/Lから14.4㎞/Lへ大幅に向上した。

非常に気持ちいいエンジンフィール

V6 3.5Lターボのガソリン車は、高回転まで非常に気持ちいいエンジンフィールをもつ。エンジン音をわざと室内に入れ、走る楽しさを演出。ただ、ちょっとやり過ぎと感じる人も多いだろう。

先代LSの4.6L V8エンジンは、今となってはややモッサリとした回転フィールに感じてしまう。パワー感も含め、やや古臭く感じるのは否めないが、静粛性は未だトップレベルだ。また5.0L V8ハイブリッドは、今でもパワフルに感じる。5.0Lエンジンを使い4WDで、燃費は11.6㎞/L。これは、今でもトップレベルの燃費性能といえる。

お勧めは新型LS? それとも先代LS?

先代LSは中古車市場ではお買い得感が高い

11年振りのモデルチェンジということあり、先代LSが新型LSを超える部分は、皆無といった状況だ。それは仕方がない。ただ、先代LSにはコストパフォーマンスという武器がある。

先代レクサスLSは、今後、新型LSの下取りに入り中古車マーケットに流通することから、中古車価格は徐々に下がってくる。とはいえ、レクサスのフラッグシップモデルなので中古車価格は非常に高い。2012年式で300万円以上からで、程度の良いものを狙うと400万円くらいの予算が必要だ。

それでも新車価格の40%以下くらいになっているので、意外と買い得感がある。新車価格で1,000万円クラスのクルマが、これだけ安く買えるというのは中古車選びの醍醐味でもある。

ただ先代LSを中古車で選ぶのなら、ハイブリッドの600hを中心に選びたい。モーターと5.0Lエンジンの組み合わせは、なかなかパワフル。さらに、超スムースで静粛性が高い。まさに、高級車といった印象だ。ガソリン車の価格は、ハイブリッド車に比べると安めだが燃費も悪い。

10年落ちならかなりお手頃

2007年式くらいになると、ハイブリッド車でも200万円を切ったモデルが出てくる。ただ、10年落ちで10万キロオーバーという車両が中心だ。先代LSは、レクサスのフラッグシップモデルで、法人用としても使われる。そのため10万キロオーバーでも十分に耐えられる設計がされているので、それほど気にしなくてもいいだろう。

とはいえ10年10万キロなので、ちゃんと整備されているクルマであることが選択するときの前提となる。整備記録簿があり、ちゃんと整備されてきている履歴があることが重要だ。

また購入時は、例え10年10万キロオーバーのクルマであっても、最低でも1年保証くらいが付いてくるお店で買いたい。高級車なので、もし故障すれば修理代が高額になるからだ。

多少リスクも高い買い物になるが、先代LSはレクサスのフラッグシップモデル。今でもトップレベルの走行性能をもつ。高級車のもつ世界観は十分に堪能できる。

新車値引き交渉のポイント

レクサスは値引きゼロ戦略が基本

基本的にレクサスは、値引きゼロ戦略を取っているので値引きは期待できない。だが、ターゲットを変えて、メルセデス・ベンツSクラスやBMW7シリーズ、アウディA8などを本命ならば、レクサスLSは競合車としてピッタリだ。新型LSの見積もりを持ってメルセデス・ベンツやBMWなどの店舗に行けば、一定の値引き額が提示されるだろう。

輸入車は値引きしないと思われがちだが、輸入車の方が大幅値引きすることがよくあるのだ。とくに12月末や3月末、9月末が狙い目。半期末や年度末などにより、営業が1台でも多く販売台数を積み上げたい時期だからだ。

こうした時期を狙うと、輸入車の場合、想像を超えた値引き金額が提示されることがある。また、フルモデルチェンジ直前直後には、在庫車一掃セールが行われ100万円以上の値引きが提示されることも珍しくない。

買取り店での相談がポイント!

レクサスの場合、値引きが期待できないので、下取り車の処理がより重要となる。さすがのレクサスとはいえ、他社車種の下取り車は厳しい状況になる。レクサス車やトヨタ車の下取りなら、自社の中古車店で売ればいいので、比較的高値で下取りできるが、他社車種は結局買取り店と同様にオークションに出さなくてはならない。こうなると、買取り店が有利になる。

買取り店の中でも、自社で中古車販売をし、全国展開しているお店はさすがに強い。全国のオークション会場の傾向に合わせ、最も高値で売れるオークション会場で売却できる。さらに、下取り車を自社の中古車店で販売。

とくに、すぐに売れるような人気車は、より高値で買取ってくれる。なんにせよ、下取りより高値で買取ってくれるからこそ、買取店が多く営業しているのだ。まずは、買取店で査定しておくことが、下取り車の処理で損をしないための鉄則だ。

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中古車情報
中古車買取相場
レクサス LS

705.9万円

※過去約6ヶ月間の弊社査定実績の中での最高額。
平成27年式 レクサスLS LS600hL エグゼクティブパッケージ 4人乗り(パール 走行距離2万km走行) 2017年11月査定。

新車値引き術
カタログ情報

新型LS

カタログ情報
■新車時価格(税込):
980.0万円〜1,680.0万円
■中古車相場:
- 〜 -
■1000km走行時ガソリン代:
約9,285円

旧型LS

カタログ情報
■新車時価格(税込):
770万円〜1,595.4万円
■中古車相場:
110万円〜559万円
■1000km走行時ガソリン代:
約11,818円
※ 燃費は国土交通省発表平成26年3月発表自動車燃費一覧よりJC08モードの数値から掲載しています。
※ ガソリン価格は一律130円で算出しています。