この記事の目次 CONTENTS
BMW7シリーズとベンツSクラス
洗練された7シリーズ、迫力のあるSクラス
インテリアが華やかで快適なのはSクラス
最上級クラスにはV12エンジンが用意される
運転を楽しむならBMW7シリーズ
安全機能はどちらも充実
中古も含めて選択肢が多いタイミング

ライター紹介

CAR-TOPICS編集長

村田 創 氏

大学卒業後新車ディーラーにて5年勤務。その後、中古車のガリバーへ入社。車一筋20年以上のベテランが新車から中古車まで幅広く解説します。

BMW7シリーズとベンツSクラス

メルセデス・ベンツとBMWという、ドイツを代表する歴史的ブランド。その2つのブランドの「顔」ともいえるフラッグシップモデルが、Sクラスと7シリーズである。ブランドの威信をかけた最上級モデルだが、現行モデルの出来栄えでいうと、どちらに軍配が上がるのだろうか。

BMW孤高の存在!7シリーズ

BMW7シリーズ 外観

7シリーズは1977年に登場した大型セダンで、1968年に誕生したE3から数えると50年近くの歴史をもつことになる。現行モデルは2015年から発売されている第6世代で、BMWを代表するラグジュアリーセダンである。特にアメリカの西海岸では、その存在感が大きい。

ボディタイプはセダンのみだが、スタンダードボディとロングボディの2種類が用意される。パワートレインはガソリン、ディーゼル、ハイブリッドの3種類。

メルセデス・ベンツの立役者!Sクラス

メルセデスベンツ 外観

7シリーズ同様Fセグメントに属するSクラス。日本では高級車の代名詞として、クルマに詳しくない人でもその名を知られている大型セダンだ。タイプ220のころから数えると65年以上続くモデルで、現行モデルは2013年から発売されている6代目。2017年にはマイナーチェンジが行われた。

ボディタイプはセダンのほかにクーペ、カブリオレ、セダンにはスタンダードとロングボディがある。パワートレインはガソリンのみ、グレードはスポーティ仕様のAMGライン、豪華装備のファーストクラスパッケージがラインナップ。

洗練された7シリーズ、迫力のあるSクラス

フラッグシップモデルはブランドの「顔」だが、フロントマスクも時々のブランドの顔つきを象徴するデザインになることが多い。7シリーズもその例にもれず、BMWのシンボルであるキドニーグリルが王者といわんばかりに強調され、最先端のフロントライトがそれに繋がっている。ただし同じような顔つきでもその存在感は5シリーズや3シリーズとは桁違いで、スポーティながらもエレガントなシルエットが光る。

存在感という点では、Sクラスも負けていない。高級車の代名詞であるクルマながら、昔の高級車の絵でよく描かれるような、高級だがどこか重たそうな雰囲気は皆無。クーペのような流麗なスタイルは、大きなボディを生かした躍動感は、むしろ新しい高級車の在り方を示しているようでもある。フロントマスクには、ベンツであることを強調する押し出しの強いグリルを配し、LEDヘッドライトでその顔を仕上げている。

インテリアが華やかで快適なのはSクラス

ベンツの十八番といえば、ラグジュアリー感があって且つ快適なインテリア設計。その強みは、このフラッグシップモデルにおいて特に生かされている。上質なマテリアルを使うのはもちろん、素材や色の組み合わせで華やかな印象を演出。インパネには液晶を採用するなど、高級な雰囲気の中にも目新しく先進的なテイストを加えている。

また目新しいところでいうと、エナジャイジングコンフォートコントロールという機能もある。乗員の疲労をやわらげる機能で、エアコン、専用芳香剤、マッサージ、シートヒーター、オーディオらを駆使して、ドライバーの疲れをとってくれる。こうした「運転に直接は関係のないこと」も含めて快適さを重んじるのは、ベンツらしい。

それに比べると、7シリーズはあくまでドライバー中心のデザイン・設計。フラッグシップモデルらしい高級な素材を用いており、質感のある空間を作っているものの、その本質は機能美。操作性に優れたコックピット、体が揺らぐことのないようなホールド感のドライバーズシートはその象徴だ。

BMW 内装

最上級クラスにはV12エンジンが用意される

最近ではすっかり当たり前となりつつダウンサイジング。その波はフラッグシップモデルであるSクラスや7シリーズにもやってきている。他方で、最近ではお目に掛かる機会が少なくなった6リッター越えのエンジンも用意しているのはこのクラスならでは。

7クラス
・2.0リッター直列4気筒DOHCターボ
・3.0リッター直列6気筒DOHCターボ
・4.4リッターV型8気筒DOHCツインターボ
・6.6リッターV型12気筒DOHCツインターボ

Sクラス
・3.0リッターV型6気筒DOHCツインターボ
・4.0リッターV型8気筒DOHCツインターボ
・6.0リッターV型12気筒SOHCツインターボ

Sクラスのエンジンラインナップは3種類。マイナーチェンジされる前はディーゼルハイブリッドやプラグインハイブリッドがラインナップしていたが、マイナーチェンジ以降はガソリンモデルのみとなった。

このクラスになると、どのエンジンを選んでも満足できることは間違いない。本物の高級車を味わいたいという人は、思い切ってV12エンジンを選んでみてはどうだろうか。高級車でしか味わえない圧倒的なパワーや獣が唸るようなエキゾーストノートは、ドライバーを奮い立たせてくれるだろう。

大きな違いとしては、BMWの7シリーズがハイブリッドやディーゼルモデルも用意しているのに対し、Sクラスはガソリンモデルのみという点。マイナーチェンジ前はプラグインハイブリッドやディーゼルモデルも用意していたので、そちらが気になる人はマイナーチェンジ前の中古車もチェックしてみてほしい。

燃費性能はBMW7シリーズが上

BMW 外観

このエンジンを燃費という観点で見ると、BMWに軍配が上がりそうだ。

ディーゼルやハイブリッドを用意しているうえ、ガソリンモデルの燃費もBMWの方が上。7シリーズのリッター7.6~12.2kmに対し、Sクラスは、燃費が公表されていないS600を除いてリッター9.0~10.5kmとされている。

運転を楽しむならBMW7シリーズ

燃費性能に優れる7シリーズだが、その背景には先代モデルから130キロもの軽量化に成功したことが大きい。またそれにより、大柄なボディとは思えないほどの軽やかな走りを実現している。ステアリングも素直で、路面の凹凸があまり伝わらないような乗り味が高速域でも続く。軽快なエンジン音が運転席へほどよく伝わり、乗っていて楽しいのは流石はBMW。

一方のSクラスは対照的で、力強いパワフルな走りでありながら加速は滑らか。S600では0-100km加速が4.6秒と、押されるようなパワーと加速を楽しむことができる。それでいて柔らかくラグジュアリーな乗り心地は先代モデルから引き継がれていて、室内は静かである。こちらは気筒休止機能や環境に配慮された、新開発V8ツインターボエンジンによるところが大きいのだろう。

BMW 外観

安全機能はどちらも充実

近年のベンツの評価といえば、高級感のあるインテリアと高い安全技術がその2本柱。歩行者検知機能つきのアクティブブレーキアシストなど、レーダーとカメラを駆使した事故回避機能がしっかりと搭載されている。

ただ、少し前まではベンツが一歩先をいっていた安全装備だが、最近では他社のキャッチアップが著しい。7シリーズも歩行者検知式のブレーキアシストを搭載しており、また自動で駐車できるような半自動操縦技術も備えている。

中古も含めて選択肢が多いタイミング

Sクラスと7シリーズの明確な違いは、Sクラスはオーナーが後部座席に乗るショーファードリブンカーの性格が強く、7シリーズはオーナーが自ら運転するオーナードリブンカーとしての色合いが濃い。

どちらも新車だと1000万円を超えるクルマだが、中古車も視野に入れると上級グレードも含めて充分に手が届く。2017年にマイナーチェンジしたSクラスは、それによってマイナーチェンジ前の中古車相場が少し下がっているし、2015年にモデルチェンジした7シリーズはそろそろ現行モデルが中古車市場に増えるころ。どちらもお買い得になるタイミングなので、まずは価格や在庫をチェックしてみるのもいいだろう。