メルセデス・ベンツSクラス<約33㎞EVとして走行でき、最高速度はなんと140㎞/h! Sクラスが圧倒的な環境性能を手に入れた!>

メルセデス・ベンツSクラスメルセデス・ベンツSクラスは、2013年8月にフルモデルチェンジを行ったばかり。そんなSクラスに、早くもプラグイン・ハイブリッドである「S 550 PLUG-IN HYBRID long」を設定し発売を開始した。

メルセデス・ベンツSクラスは、メルセデス・ベンツのフラッグシップモデル。新型Sクラスの特徴は、部分自動運転とも言われる「インテリジェントドライブ=知能を備えた革新的テクノロジー」だ。さらに、デビュー当時から、日本国内はハイブリッド車が主流になると予想し、S400ハイブリッドが用意された。エントリグレードとなるS400ハイブリッドの価格は10,900,000円からと、先代モデルなどと比べるとコストパフォーマンスも優れていた。また、燃費は15.4㎞/Lという優れた燃費性能を誇る。

ただし、メルセデス・ベンツSクラスを好む顧客の多くは、未だ排気量が大きいほど高級車という考えがあり、S400以上の動力性能を求める傾向もある。そうした顧客さえも十分に満足させるモデルがS 550 PLUG-IN HYBRID longなのだ。車名からも分かる通り、外部からの充電でEV走行できるPHVだ。

このモデルに搭載されるエンジンは、S400に搭載されているV6 3.5Lエンジンではなく、さらにパワフルな最高出力333PS(245kW)、最大トルク480Nmの3.0L V6 BlueDIRECTツインターボエンジン。V8 5.0L車並みの最大トルクを発揮する。このパワーユニットに、最高出力115PS(85kW)、最大トルク350Nmを発生する電気モーターがプラスされ、システム出力442PS(325kW)/650Nmと、V8 6.5Lエンジンレベルの大トルクをアウトプットする。ハイパワーなエンジンを搭載したこともあり、燃費はS400ハイブリッドよりも下がり13.4㎞/Lとなったが、650Nmという大トルクを誇るクルマということを考えれば非常に高い燃費性能といえる。単純比較できないが、このクラスでハイブリッドの先駆けともえいるレクサスLS600hの燃費は11.6㎞/Lだ。

PHVの電力源であるリチウムイオンバッテリーの充電時間は、フル充電まで約4時間(AC200V電源使用時)。フル充電で、約33kmのEV走行が可能。短い距離の通勤や、日常のちょっとした移動では、ほぼEVで走行できる走行可能距離となっている。そして、さすがドイツ車というべきなのか、EVでの最高速度も140㎞/hとなっており、日本では追い越し車線を楽々EV走行できるパフォーマンスをもっている。

このPHVシステムは、いくつかのモードが選択できる。基本は「HYBRID」で、このモードは自動で最適なモードを選択して走行する。そして、できるだけモーターのみで走行する「E-MODE」、バッテリーの充電レベルを維持する「E-SAVE」、回生ブレーキなどにより充電を最大化する「CHARGE」の計4つの走行モードが用意されている。シチュエーションによって、ドライバーが状況により選択できるようになっている。

大型のリチウムイオン電池を収納しているため、トランク容量は輸入車PHVでは最高水準としながらも、やや少なめの365L。対して、S400ハイブリッドは510Lと十分な容量を確保している。

PHV化により、エコカー減税において自動車重量税、自動車取得税が100%免税となり、さらにクリーンエネルギー自動車等導入促進対策費補助金を最大85万円受けることができる。メルセデス・ベンツS 550 PLUG-IN HYBRID longの価格は15,900,000円と限られた人しか乗れないクルマだ。たくさん売れるクルマではない上に、これほどの価格のクルマにエコカー減税や補助金を出す仕組みは、理解に苦しむものの、購入者には税制上のメリットも十分に受けられる。

メルセデス・ベンツSクラスまた、PHVならではの技術も投入されている。クルマの周囲の状況に合わせて回生の強さや作動時間を調整することでゼロエミッション走行の距離を極限まで伸ばす「インテリジェントプラグインハイブリッド」だ。この技術である「インテリジェントアクセルペダル」には、2つの機能がある。「プレッシャポイント機能」は、EV走行モードの際、これ以上アクセルを踏むとエンジンも使用しなければならないというモーター走行の限界点でアクセルペダルの抵抗を増してドライバーに知らせることにより、無駄なエネルギーの消費を抑える。「ダブルパルス機能」は、レーダーで先行車両との車間距離と速度差を計測し、ドライバーが不要な加速操作を行っている場合、アクセルペダルに2回のノックパルスを発生させて不要なアクセルワークを防ぐ。こうした新技術は、おせっかいな感じもあるものの、クルマの言うとおりにしていれば実用燃費もより高くなるように工夫されているだ。

さらに、PHVという新しいクルマを導入することもあり、サービス面で新たな試みにもチャレンジしている。顧客の不安や負担を解消するために、保証内容もグレードアップされた。通常、新車購入から3年間走行距離無制限の一般保証・メンテナンス保証と24時間ツーリングサポートを無償提供する総合保証プログラム「メルセデス・ケア」が適用される。そこに、リチウムイオンバッテリーをはじめとするすべての部品に、4年間の特別保証を適用し合計7年間保証するというものだ。顧客にとって、高価なリチウムイオン電池が、保証の切れた4年目で使い物にならないというのでは、負担が大き過ぎる。7年間保証が付くことで、安心して乗れるというのであれば、メルセデス・ベンツS 550 PLUG-IN HYBRID longを積極的に試してみたくなる。こうした試みは、非常に評価できる。

価格は、ガソリンのS550 longとS 550 PLUG-IN HYBRID longは、なんと同じ。一般的にPHVになっているので、価格は大幅に高くなる。さらに、保証期間も長い。コストは当然、PHVの方が高いのでお買い得感は非常に高い。これは、かなり戦略的な価格とみてよいだろう。メルセデス・ベンツ・ジャパンは、S 550 PLUG-IN HYBRID longを積極的に売りたいということだ。もはや、メルセデス・ベンツも、これからの日本ではただのガソリン車では売れないとみているのだろう。ハイエンドのメルセデス・ベンツS 550 PLUG-IN HYBRID longと、エントリグレードのS400ハイブリッドと、メルセデス・ベンツのフラッグシップSクラスもハイブリッド技術が当たり前の時代になって来た。

■メルセデス・ベンツS 550 PLUG-IN HYBRID long価格:15.900,00円