この記事の目次 CONTENTS
スタイリッシュさが魅力のコンパクトカー
クラストップレベルの安全性能!
深紅のシート・ノーブルクリムゾン登場!
マツダ デミオ価格

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

スタイリッシュさが魅力のコンパクトカー

マツダは、Bセグメントのコンパクトカーであるデミオを一部改良。同時に、特別仕様車ノーブルクリムゾンを設定し発売を開始した。

現行マツダ デミオは、2014年に登場した4代目。4代目デミオには、このクラス唯一となる1.5Lのクリーンディーゼルエンジンが採用された。このエンジンの出力は、105ps&250Nm(AT車)。注目は最大トルク。コンパクトカーなのに、2.5L自然吸気エンジンと同等の大トルクをアウトプットする。それでいて、燃費は26.4㎞/Lと低燃費。ディーゼルエンジンは、レギュラーガソリンより20円/L程度価格が安い。そのため、燃費値こそハイブリッド車に及ばないが、燃料費という視点で見ると、ハイブリッド車と同等レベルになる。

デザイン面でも刷新され、マツダの新デザインテーマである「魂動(こどう)」が採用された。内装を含め、クラスを超えたスタイリッシュさが魅力のコンパクトカーになった。

にもかかわらず苦戦してきた理由は?

魅力的に仕上がったデミオだったが、販売面では苦戦を強いられている。非常に魅力的なコンパクトカーとなった4代目マツダ デミオだが、販売台数面ではデビュー当時から苦戦し続けている。2015年度の販売台数は66,187台。2016年度は53,321台となった。ライバル車であるトヨタアクアは、2016年度には155,566台、日産ノートは123,938台を売った。デミオは、アクアに対して、約3分の1しか売れていない状況だ。

苦戦の理由は、色々あるのだが、まず価格。デミオの標準装備は充実していて、若干、価格が高く見える。やや価格が高く見えるデミオに対して、営業力が乏しい営業マンに値引きゼロ戦略をさせているという状況だ。これでは、なかなか思うように売れない。決して、デミオがアクアに対して商品力で劣っているわけではないのだ。

プロダクトの優秀さは、2014-2015日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞していることからも明確だ。

クラストップレベルの安全性能!

魅力的なモデルであるデミオだが、やはり完璧ではなかった。

先進予防安全装備である自動ブレーキ機能が、歩行者を検知できない簡易タイプのままだった。すでに、ホンダはN-BOXに歩行者検知式自動ブレーキを含む先進予防安全装備を標準装備化している。ライバルのコンパクトカーも、トヨタ系を除き歩行者検知式自動ブレーキは完全標準装備化までとはいかないまでも用意さている。さすがに、歩行者を検知できない自動ブレーキのままでは、マツダの安全思想に疑問をもたれてしまう。

ただ、簡易式自動ブレーキとはいえ、斜め後方の車両を知らせる「ブラインド・スポット・モニタリング(BSM)」やサイド&カーテンエアバッグなどは標準装備化されている。そのため、総合的な安全性能という面では、まずまずのレベルにはあった。

今回の改良では、歩行者も検知可能な先進予防安全技術「アドバンスト・スマート・シティ・ブレーキ・サポート(アドバンストSCBS)」に加え、「車線逸脱警報システム(LDWS)」、「ハイビーム・コントロール・システム(HBC)」を全機種で標準装備。

既に標準化されている「AT誤発進抑制制御[前進時]」との組み合せで、経済産業省や国土交通省などが普及啓発を推進する「安全運転サポート車」の「サポカーS・ワイド」に該当する。

※自動運転の機能を過信せず、責任を持って安全運転を心がけましょう。

全車標準装備化という英断

上記の安全装備に加えて、「スマート・シティ・ブレーキ・サポート[後退時](SCBS R)」や「リアパーキングセンサー(センター/コーナー)」も全機種で標準装備。駐車場や幅の狭い道路などを低速で運転する際に、車両周囲の状況をモニターで確認できる「360°ビュー・モニター」と「フロントパーキングセンサー(センター/コーナー)」を新たにメーカーオプション設定した。

今回の改良で注目したい点は、全車標準装備化だ。多くの自動車メーカーでは、こうした先進予防安全装備をエントリーグレードなどに装備せず、多くのグレードにオプション設定するケースが目立つ。これは、メーカーの営業サイドが、ライバル車より価格が高く見えることを嫌うためだ。

しかし、こうした考え方は大きな間違えだ。クルマは、扱い方を誤ると人を殺すことがある道具だ。こうした危険をもつ道具を販売するメーカーは、技術で人を殺すリスクを軽減できるのであれば、積極的に標準装備化する必要がある。それが、人を殺す道具を売るメーカーの責任でもある。ましてや、ほとんどのメーカーが「交通死亡事故ゼロを目指す」とアピールする。これだけ大きな目標を掲げながら、先進予防安全装備を標準装備化せず顧客任せにする姿勢は、安全に対する自らの責任を放棄しているのと同じだ。

今回の安全装備の向上は、マツダの安全に対する姿勢を高く評価できるものとなった。デミオは、どのグレードでも安心して乗れるクルマになった。安全性能面では、国内で販売されているBセグメントのコンパクトカーの中で、トップレベルといえる。

また、今回の改良ではまた、ボディカラー「ソウルレッドクリスタルメタリック」を新設定した。

深紅のシート・ノーブルクリムゾン登場!

デミオは、一部改良と同時に特別仕様車「Noble Crimson(ノーブルクリムゾン)」を新設定。艶やかな深紅色のシートが白い空間に映える専用インテリアや、専用ボディカラー「セラミックメタリック」を採用した。

マツダ デミオは、デビュー当時から多くの特別仕様車をリリースしてきた。その特別仕様の多くは、色にこだわったものが多いのも特徴。より自分の好みの仕様が選べるというのも特別仕様車の狙いのひとつでもある。

インテリアは、「大人なデミオ」というコンセプトのもと、上質さと大人の遊び心を表現。インパネデコレーションパネル(助手席)とシート生地に日本の伝統的な柄である「千鳥格子」柄を採用。シート生地の「千鳥格子」のパターンは、織り方の角度によって様々に表情を変える。デミオのドアを開ける度に、新鮮なデミオのインテリアを感じるかもしれない。

デミオの標準車は、ブラック&ホワイトというハイコントラストなインテリア。これに、レッドのシートが加わったことで、カラフル感のあるインテリアになった。より、オリジナリティが高いインテリアにこだわりたい顧客にピッタリな仕様といえるだろう。

その他の特別装備として、 エアコンルーバーレッドメタリック、 CD/DVDプレイヤー+地上デジタルTVチューナー(フルセグ)、高輝度塗装アルミホイール(ガソリンエンジン車:15インチ、ディーゼルエンジン車:16インチ)が用意された。

この特別仕様車マツダ デミオ「Noble Crimson(ノーブルクリムゾン)」の価格は、1.3Lガソリン車が1,776,600円。

マツダ デミオ価格

・13C 6AT 2WD 1,393,200円/4WD 1,598,400円
・13S 5MT 2WD 1,490,400円 6AT 2WD 1,490,400円/4WD 1,695,600円
・13S Touring 5MT 2WD 1,717,200円 6AT 2WD 1,717,200円/4WD 1,922,400円
・13S Touring L Package 5MT 2WD 1,776,600円 6AT 2WD 1,776,600円/4WD 1,981,800円
・13S Tailored Brown 6AT 2WD 1,755,000円/4WD 1,960,200円
・13S Noble Crimson 6AT 2WD 1,776,600円/4WD 1,981,800円
・13S回転シート 6AT 2WD 1,668,600円/4WD 1,873,800円
・XD 6MT 2WD 1,814,400円 6AT 2WD 1,814,400円/4WD 2,019,600円
・XD Touring 6MT 2WD 1,998,000円 6AT 2WD 1,998,000円/4WD 2,203,200円
・XD Touring L Package 6MT 2WD 2,057,400円 6AT 2WD 2,057,400円/4WD 2,262,600円
・XD Tailored Brown 6AT 2WD 2,035,800円/4WD 2,241,000円
・XD Noble Crimson 6AT 2WD 2,057,400円/4WD 2,262,600円
・XD回転シート 6AT 2WD 2,003,400円/4WD 2,208,600円
・15MB 6MT 2WD 1,560,600円