この記事の目次 CONTENTS
BMW3シリーズとレクサスIS
運転を楽しむことを考えたインテリアの3シリーズ
相対的にみてパワフルなのは3シリーズのエンジン
新車のスタート価格が手頃なのは3シリーズ
快適装備はレクサスISがやや優勢
現行モデルの在庫も増えているので中古も視野に入れて

ライター紹介

CAR-TOPICS編集長

村田 創 氏

大学卒業後新車ディーラーにて5年勤務。その後、中古車のガリバーへ入社。車一筋20年以上のベテランが新車から中古車まで幅広く解説します。

BMW3シリーズとレクサスIS

強豪揃いといわれるDセグメント市場。日本では一定の需要があり、多くの車種がしのぎを削っている。中でも、スポーツ志向という共通点をもつ、BMW3 シリーズとレクサスIS。どちらを購入するか迷っている方も多いのはないだろうか。

今回は、欧州と日本のプレミアムブランドを代表するモデル、3シリーズとレクサスISをご紹介する。

Dセグメントに君臨する古参、BMW3シリーズ

3シリーズ

BMWの看板モデルである3シリーズ。1975年に初代が発売されて以来、実に40年以上の歴史をほこる。販売台数では、アメリカのコンパクトセダン分野におけるベストセラーモデルで、日本でも常に上位をキープしている。

現行モデルは2012年から発売されている6代目で、2015年にマイナーチェンジ。ボディタイプにはセダンとワゴン、パワートレインにはガソリン、クリーンディーゼル、ハイブリッドが要されている。

Dセグメントに革命を起こした革命児、レクサスIS

レクサスの主力モデルIS。アルテッツァ時代を含めると初代モデルは1999年のデビューだが、日本向けは2005年から。かつて日本でDセグメントセダンといえばドイツ車だけを指したがISの登場以降、その牙城は崩れたといっても過言ではない。

現行モデルは2013年から発売されている3代目で、2016年にマイナーチェンジをむかえた。ボディタイプはセダンのみで、パワートレインにはガソリン、ハイブリッドをラインナップ。

運転を楽しむことを考えたインテリアの3シリーズ

3シリーズに乗り込むと、シンプルなのに全体的に統一感を覚えた。引き締まった印象のあるスタイリングは、それだけでスポーティな走りを期待させてくれる。スピードメーター、スイッチ類、カーナビなどをみても、スポーツセダンであるという実感。シートは硬めであり、レクサスISと比べると座り心地の面では劣るが、その分長時間座っていても疲れない。

一方のレクサスISの車内は、全体的に上質感があり立体的な印象。ポップなデザインでしっかりとしたハンドル、やや煩雑なスイッチ類、アナログ時計など、スポーティというよりはラグジュアリー寄りの趣向といえる。シートは日本人好みの少し柔らかめ。座り心地は良い反面、長距離運転すると疲れやすいかもしれない。

洗練されたエクステリアの3シリーズ、力強さを感じるレクサスIS

クルマの外に目を向けると、3シリーズの方は全体的にダイナミックかつスタイリッシュな印象を。ロングノーズ・ショートデッキという伝統的なFRスタイリング、キドニーグリルやシルエットは「いかにもBMW」といった風格。また、50:50の重量配分へのこだわりも継承している。

対するレクサスIS全体的にはスポーティな雰囲気が漂っていて、まずレクサス車共通で採用されている「スピンドルグリル」が目を惹く。こちらもFRスポーツの特徴である、ロングノーズ・ショートデッキが守られており、最近のレクサスで多く見られる力強いデザインに仕上がっている。

相対的にみてパワフルなのは3シリーズのエンジン

スポーティセダンだけに気になるのが、クルマの心臓とも呼ばれるエンジン。

BMWの3シリーズには、新開発のツインパワー・ターボ・テクノロジーが採用されている。最高出力190psの2.0L直列4気筒DOHCターボディーゼル、184psの2.0L直列4気筒DOHCガソリンターボ、326psの3.0L直列6気筒DOHCガソリンターボがラインナップ。

一方のレクサスISには245psの2.0L直列4気筒DOHCガソリンターボ、178psの2.5L直列4気筒DOHC、318psを生み出す3.5LのV型6気筒DOHCがラインナップ。

3シリーズの320iにはxDrive、レクサスのIS250、IS300hにはAWDと、どちらもフルタイム4輪駆動システムを組み合わせることができるという点は共通している。

ただしパワーという点では、3シリーズに軍配。例えば、同じ最高位グレードである3シリーズの340i(3.0L)と、レクサスISのIS350(3.5L)を比較すると、340iの出力が8ps大きい。大きな差ではないが、排気量の差を考えてもBMWをたたえるべきだろう。

燃費ではレクサスISだが3シリーズはディーゼルモデルも

最近のエンジンを見るうえで、欠かせない観点の一つである燃費。

3シリーズの燃費は、JC08モードで13.5~21.4km/L。3.0Lガソリンモデル「340i」の13.5km/Lが最低値で、ディーゼルモデル「320d」の21.4km/Lが最高値である。

一方のレクサスISの燃費はというと、同じくJC08モードで10.0~23.2km/L。3.5Lガソリンモデル「IS350」の10.0km/Lが最低値、ハイブリッドモデル「IS300h」の23.2km/Lが最高値。

最高値だけ見るとレクサスISに軍配を上げたくなるが、ランニングコスト重視で選びたいという人には、3シリーズという選択肢も検討してほしい。日本ではまだそれほど主流ではないが、特に欧州ではエコカーの代名詞にもなっているディーゼルモデル。3シリーズにはディーゼルモデルが用意されており、これだと1リッター当たり20~25円ほど安い軽油で走ることができるため、結果として燃料代が安く済む可能性が高い。

新車のスタート価格が手頃なのは3シリーズ

BMWの3シリーズ、レクサスのISとも、高級車の中では「手が届かない存在」ではないものの、国産車のように気軽に買える価格帯ではない。それだけに気になるのがコストパフォーマンスだ。

BMWの3シリーズの価格帯は419万円~832万円、対するレクサスISの価格帯は470万円~638.5万円。最低価格のグレードで比較すると、「318i SE」が419万円で「IS200t」が470万円なので、3シリーズの方が50万円ほど安い。

最低価格のグレードは装備などもかなり簡略化されているが、BMWというブランドが持つ走りとそのネームバリューを考えると、3シリーズの方がレクサスよりお得感は高い。

ハイブリッドモデルはレクサスISの方が安い

ただハイブリッドモデルに絞ると、話は少し違ってくる。

3シリーズは596万円~636万円で、ISは515万円~638.5万円。最低価格のグレードで比較した場合、「330e iパフォーマンス」が596万円なのに対し、「300h」は515万円。つまり、ISのハイブリッドモデルの方が80万円ほど安い。

ハイブリッドモデルに限定すると、やはりハイブリッドの開発から力を入れてきたレクサス(トヨタ)に強みがある。

快適装備はレクサスISがやや優勢

高級車になると、充実してくるのが快適装備。

BMWの3シリーズには、「コンフォート・アクセス」を搭載。両手が荷物でいっぱいの状態でも、足をリヤバンパーの下で左右に動かすことでロックが解除、センサーの働きによってテールゲートを開けることができる。また飲み物や小物の収納、荷物の固定、12V電源ソケットなどが装備されている。

一方のレクサスISには、水に包まれた電気を帯びたイオンの「ナノイー」、圧倒的な臨場感をもつプレミアムサラウンドサウンドシステム「マークレビンソン」、金属製のスイッチを指先でスライドするだけで温度を設定できる「静電式温度調整スイッチ」などを採用。

使いやすさという点では3シリーズに軍配が上がる。ただ日常で使うことの多いエアコン・オーディオ・ナビの機能が充実しているなど、車内での「エンターテイメント性」ではレクサスISだろう。

安全装備はほぼ互角か

BMW 外装

最後に、最近では欠かすことができなくなってきた、安全装備についてもご紹介したい。この分野の技術は発展が目覚ましく、モデルチェンジのたびに目新しい機能が追加されている。

現行モデルの3シリーズは、車線逸脱警告システム、自動ブレーキ、前車接近警告機能を標準装備。乗員だけではなく歩行者の保護まで考えられた、最新のセーフティ・デバイス「パッシブ・セーフティ」にも対応している。

一方のレクサスIS。2013年のフルモデルチェンジ時には、その安全装備はやや物足りない印象だったが、2016年にマイナーチェンジ。安全装備を重視するトレンドに背中を押される形で、かなり充実した機能になった。これを機に、歩行者検知機能付衝突回避支援システム、車線逸脱警告システム、オートマチックハイビーム、ブレーキ制御付レーダークルーズコントロールなどが標準装備された。

どちらも、最近の高級車では標準装備となりつつある歩行者検知式の衝突回避機能が標準装備として付いており、安全装備に関しては、ほとんど差はないといえるだろう。

BMW 3シリーズ_外観

現行モデルの在庫も増えているので中古も視野に入れて

スポーティな上級セダンで、どちらも新車だと400万円台からのBMW3シリーズとレクサスIS。走りを楽しむために上級グレードを選ぼうとすると、税金や手数料など含めて600万円は必要になってくるため、ちょっとハードルが高いという人も多いだろう。

そんな人には、中古車も視野に入れた検討をおすすめしたい。どちらもモデルチェンジをして現行モデルになったのは数年以上前なので、現行モデルの中古車在庫もかなり増えてきている。在庫が多いので「できるだけ走行距離が短いクルマを」「歩行者検知式の自動ブレーキが付いているものを」など条件に合ったものを見つけやすい。

登録済みの未使用車などの掘り出し物もあるため、「人が使ったクルマはちょっと…」という人も在庫の問い合わせだけでもしてみることをおすすめしたい。