ホンダは、2017年9月下旬にマイナーチェンジ予定のステップワゴン関連の情報をホンダのホームページで先行公開した。

ステップワゴンは、2015年4月にフルモデルチェンジしている、2017年9月下旬というのは、やや早めのタイミングでのマイナーチェンジとなる。

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フルモデルチェンジ直後から売れなかったステップワゴン


この早めのマイナーチェンジには、大きな意味がある。ステップワゴンは、デビュー直後から、販売不振に悩まされ続けているのだ。

ステップワゴンは、発売直後の繁忙期である6月は7,572台を売った。しかし、フルモデルチェンジ直後なのに、9,052台を売ったヴォクシーに勝てないどころか大差をつけられた。さらに、7月も同様に6,677台を売りながら、やはり8,611台を売ったヴォクシーに負けた。

ライバルに負け続ける不振ぶり

デビューイヤーとなる2015年度販売数は、63,645台。ヴォクシー(92,509台)に大きな差を付けられてしまった。しかも、モデル末期であったセレナ(60,056台)と同等の販売台数となる不振ぶり。

その不振ぶりは加速する。翌年の2016年度の販売台数は、48,110台となり前年比75.6%。5ナンバーミニバンで、5台中4位という残念な結果になった。新型車としては、まさに危機的といえる販売状況だ。

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売れない理由はデザインとハイブリッド車がないこと


この販売不振の理由のひとつが、デザインだと言われている。先代と同じく、ステップワゴンは標準車の他に迫力系重視系のスパーダが用意されている。このスパーダと標準車が代わり映えしていないことと、標準車もミニバンらしい力強さがない。このデザインの手法が、マーケットのニーズと合っていないようだ。

顧客の求めるフェイスデザインとは

売れるミニバンのデザインは、大きく見えること。そして、威圧感のある大きな顔で押し出し感があることだ。こうしたデザインを積極的に採用しているトヨタのミニバンは、大型ミニバンのアルファード&ヴェルファイアを代表に、ヴォクシーも大ヒット中。これで成功パターンを実感したトヨタは、ヴォクシー、ノア、エスクァイアをマイナーチェンジで、より強面迫力系のフェイスにデザイン変更した。ファミリー向けのイメージが強いノアでさえも今では、イケイケ顔に大変身している。

独創性を重視し、トヨタと同じテイストにしたくないと考えるホンダの気持ちもわからなくもないが、完全に顧客のニーズを読み間違えてしまったようだ。

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ハイブリッドの登場を待ち望むホンダ ファン

そして、もうひとつの不振理由が1.5ダウンサイジングターボを採用したことだ。ミニバン系ユーザーの多くが、実は1.5Lダウンサイジングターボが採用されている本当の意味をあまり理解していない。排気量が大きいことが、上級というイメージが強い。かなり古い概念だが、それが現実で「1.5Lなのに高い」「1.5Lじゃぁ・・・。」というネガティブな反応を示した。

さらに、ホンダファンの心理がわかっておらず、高価になりすぎるという判断からハイブリッド車が見送られたことだ。同じ理由から、オデッセイにもハイブリッド車の搭載がしばらく見送られていた。その間、オデッセイも販売不振。ハイブリッド車が投入された直後、一気に息を吹き返した。多くのホンダ ファンがステップワゴンのハイブリッドが登場することを待っているのだ。

ミニバン販売台数ナンバー1の座を狙うマイナーチェンジのポイント


今回、公表された内容は、まず、ハイブリッド車が投入される。ハイブリッドシステムは、力強い走行性能と優れた環境性能を両立する2モーターハイブリッドシステム「SPORT HYBRID(スポーツ ハイブリッド) i-MMD」。これは、オデッセイのものと同じで、2.0Lのハイブリッドと予想できる。このハイブリッドシステムが搭載されれば、なかなか力強いミニバンになることは確実だろう。

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大幅に変更されたフェイスデザイン

そして、画像から読み取れるのが、大幅に変更されたフェイスデザインだ。やはり、売るためにはステップワゴン スパーダも、嫌でも強面迫力系デザインを採用するしかない。公開されたフロントフェイスの画像を見ても、かなり押し出し感があり売れるミニバンデザイントレンドを採用していることがよくわかる。また、ボンネットのフードも高くなっているようで、顔を大きく見せる工夫もされている。そこに、大きく力強いグリルを装備し、個性的なLEDヘッドライトで夜の存在感もアピールしているようだ。

この画像1点でも、マイナーチェンジ後の、ステップワゴン スパーダは、今より売れそうな気がしてくる。

「ホンダセンシング」機能追加で安全装備はトヨタに勝てるか?

また、従来も用意されていた歩行者検知式自動ブレーキを含む先進予防安全装備「ホンダセンシング」も機能追加されるという。これは、従来できなかった渋滞時の追従機能と予想できる。

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トヨタ系のミニバンは、こうした先進予防安全装備の性能が低く、歩行者が検知できない上に、渋滞時の追従もできない。しかし、もう一方の日産セレナには「プロパイロット」機能があり、渋滞時の追従や車線維持が可能だ。渋滞時の追従機能は、非常に疲労軽減になり便利な機能。この機能がプラスされるのは、トヨタ勢に対して大きな武器になる。

また、重要なのは価格。どれだけ競争力のある価格で登場するのかにも注目だ。

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執筆者プロフィール
クルマ評論家 CORISM代表
大岡 智彦 氏

CORISM(http://www.corism.com/)編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員。


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