日産エクストレイル日産は主力のSUVであるエクストレイルをフルモデルチェンジし発売を開始。エクストレイルは、このモデルで3代目となる。




  1. 目次
  2. ■ 開発・生産効率をアップするCMFを採用した第一弾モデル

  3. ■ タフな印象からクリーンでモダンなスタイルに変貌

  4. ■ 大きく進化した安全装備だが、ほとんどがオプション

  5. ■ 燃費はクラスナンバー1の16.4㎞/L に!

  6. ■ エクストレイルの選び方

  7. ■ エクストレイルの価格


開発・生産効率をアップするCMFを採用した第一弾モデル


新型となったエクストレイルには、コモン・モジュール・ファミリー(CMF)のプラットフォームを初採用。この技術により、開発・生産効率・コストなど、多方面に多くのメリットがあるという。このCMFを使うことで、エクストレイルは、より一層グローバルモデルとしての方向性を強く打ち出している。このエクストレイルは、北米でローグとして発売され、このモデルをベースにしたモデルが、グローバルに約190ヶ国で販売される予定だという。

グローバルという言葉は、日産では頻繁に使われる。聞こえのいい言葉なのだが、ある意味、最大公約数的なクルマということにもなる。販売台数という指標でみると、クルマの場合、北米と中国中心のクルマ造りになる傾向だ。

ボディはひと回り大きくなり、最小回転半数も大きくなった

そういった流れを受けてか、ボディサイズは拡大した。先代エクストレイルのボディサイズは、全長4635×全幅1790×全高1700mm、最小回転半径は5.5m。これに対して新型は全長4640×全幅1820×全高1715mm、最小回転半径は5.6mとなり、ボディサイズはひと回り大きくなり、小回り性能を表す最小回転も大きくなった。
ライバルとなるマツダCX-5の全幅は1840mm。やはり、グローバルモデルということを考えると、ボディの肥大化は避けられないのかもしれない。ただし、スバル フォレスターは全幅1795mm、最小回転半径は5.3mとなっていて、国内での使いやすさを考慮したスペックになっている。北米や中国を中心に考えると、国内ではドンドンと使いにくいクルマになる傾向をどう判断するかもエクストレイルを選ぶ上でのポイントとなる。

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タフな印象からクリーンでモダンなスタイルに変貌


スタイリングも大きく変貌を遂げた。これもグローバルで、都会派SUVが好まれることを判断してのことなのだろうか、従来の無骨でタフな印象のスタイルからクリーンでモダンなSUVとなった。旧型エクストレイル顧客からの代替えが進むのか、営業面ではリスクはあるものの、新たな顧客開拓としては、確かにこちらが本流だろう。

先代エクストレイルのDNAは一切残されていない仕上がり

新型エクストレイルのデザインも、なかなか魅力的だ。グリルからエンジンフードへつながる「V-モーションシェイプ」や、「ブーメランシェイプ」など、スタイリッシュな印象を高める手法がく用いられる。樹脂製のフェンダーアーチモールやフロントリヤのアンダーガードも控えめで、オフローダーの臭いも少ない。

日産エクストレイルインテリアもエクステリア同様に、オフローダー的タフネスさはない。どちらかというと、セダン系のインパネまわりといった印象が強い。シートには、前席に中折れ(スパイナル)形状の背もたれパッドが採用され背骨の負担を軽減し、長時間移動の疲労も軽減するスパイナルサポート機能付シートが装備された。

こういった傾向を踏まえると、先代エクストレイルのDNAは一切残されていないのかとも感じる。ところが、色濃く先代エクストレイルから受け継いだものもある。それは、汚れたり濡れたりしても簡単にきれいにできる防水仕様のシート・フロアや、最大550Lのクラストップレベルの大容量防水ラゲッジ、荷室の間仕切りが自由自在に行える防水ラゲッジボードなどだ。クルマを道具としてガンガンと使えるタフネスさは継承された。

7人乗り仕様にシートを追加

また、新型エクストレイルから、5人乗りだけでなく、後席2名分のシートをプラスした7人乗り仕様が追加された。ミニバンだと、ファミリー感があって苦手だが、5人以上乗せる機会もあるという顧客にはピッタリの仕様だろう。

大きく進化した安全装備


安全装備面では、大きく進歩した。大きなところでは、日産初となるエマージェンシーブレーキが一部グレードに装備される。この安全装備は、フロントカメラにより、前方の車両や歩行者と衝突する危険を察知した場合、ディスプレイ表示とブザーでドライバーに回避操作を促す。もし、ドライバーが減速しない場合、緊急ブレーキを作動させ、衝突を回避、または被害軽減するものだ。カメラを使っているので、人間を認識するのがポイントだ。また、アクセルペダルをブレーキペダルと間違えて踏み込んでしまったときに、ディスプレイ表示とブザーで警告する踏み間違い防止アシストも用意。エンジン出力やブレーキを制御することで、障害物への衝突防止する。壁だけでなく、コンビニなどのガラスも認識し、前進時にも後退時にも衝突回避をアシストしれくれるシステムだ。その他に、LDW(車線逸脱警報)なども用意されている。
これらの安全装備は、エマージェンシーブレーキ パッケージ車に搭載される。20Xグレードで約8万円以下で装備できる。こういった自動ブレーキ系の安全装備は、あるのと無いのとでは大きく違うので、エクストレイルの購入を考える場合、エマージェンシーブレーキ パッケージ車をベースに選ぶことをおすすめしたい。

安全装備のほとんどがオプション

日産エクストレイル日産の場合、安全装備はほとんどがオプションとなる。これらを選べば、全体的に高いレベルのクルマになる。ただし、サイドエアバックやカーテンエアバックなども未だオプションだ。最近では、ホンダNワゴンのように、わずかな価格アップでサイドエアバックやカーテンエアバックが装備できる軽自動車まである。なんでもかんでも安全装備は、オプションとするのではなく、これくらいの車格のクルマなら、一定水準以上の安全装備は標準装備にしてほしい。基本的に、安全装備は標準装備化。豪華装備などで、グレード差をつけてほしい。

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燃費はクラスナンバー1の16.4㎞/L に!


そして、燃費だがエクストレイルは、クラスナンバー1の16.4㎞/Lとなった。エンジンは、セレナなどでも高い燃費性能を誇るMR20DD型エンジン。108kw&207Nmという出力とトルクをもち、先代エクストレイルと比べると、36%もの燃費改善されている。この低燃費を支えているのが、新エクストロニックCVTがだ。旧型エクストレイルに対し、CVTギヤ比のレンジ拡大し、摩擦抵抗損失の低減などにより、約10%の燃費改善を実現した。

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エクストレイルの選び方


エクストレイルの選び方は、2WDか4WDの選択から。4WD機能が必要ないとなると、予算もずいぶん違ってくる。予算重視でなら、FFの20Xエマージェンシーブレーキ パッケージがおすすめだ。価格も約233万円となっていて、お買い得感もある。降雪地域の人や、レジャーで雪道に行くという人などは、やはり4WD機能が必要だろう。そうなると、4WDの20Xエマージェンシーブレーキ パッケージを基本にして選ぶといい。このグレードは、約253万円となっている。これに、好みのオプションを選んだり、3列シートなどを選ぶことになる。また、エクストレイルの満足度をアップさせるオプションとして、LEDヘッドランプがあり、これはおすすめだ。73,500円と安くはないが、夜間などより個性的なフェイスになる。また、安全装備をより充実させたいのなら、サイドエアバック+カーテンエアバッグのオプション(73,500円)を装備したい。これで、ようやくグローバルレベルの安全性ということになる。

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エクストレイル価格


日産 エクストレイルの価格は以下の通り。

2WD(FF)

20X 2列 2,249,100円 3列 2,319,450円
20X"エマージェンシーブレーキ パッケージ" 2列 2,326,800円 3列 2,397,150円

4WD

20S 2列 2,259,600円
20X 2列 2,449,650円 3列 2,520,000円
20Xエマージェンシーブレーキ パッケージ 2列 2,527,350円 3列 2,597,700円
20X エクストリーマーX 2列 2,649,150円 3列 2,719,500円
20X エクストリーマーX エマージェンシーブレーキ パッケージ2列 2,726,850円 3列 2,797,200円

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◇執筆者プロフィール◇
クルマ評論家 CORISM代表
大岡 智彦 氏

CORISM(http://www.corism.com/)編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員。

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