5月22日から、新たな価格引き下げ策が実施されることになったガソリン価格※。ここでは、今後のガソリン価格の推移予測について分かりやすく解説します。
※この記事における「ガソリン価格」は、レギュラーガソリン価格を指します。
2025年5月以降のガソリン価格の見通し
2025年4月23日現在、全国平均ガソリン価格は約185.1円/Lです。
今後のガソリン価格は、大幅な値下がりまでは期待しにくい一方、原油価格の下落や円高、政府の補助金により170~175円/L程度になる可能性があります。
ガソリン価格のこれまでの推移と現状
※画像出典:経済産業省資源エネルギー庁「燃料油価格激変緩和補助金」(2025年4月23日時点)
※上の線が補助金適用前のガソリン価格、下の塗りつぶしの線が適用後のガソリン価格
政府は2022年1月に「ガソリン補助金」を導入。過去3年間の全国平均ガソリン価格は以下のように推移してきました。
- 2022年1月~2023年5月頃:170円/L前後
- 2023年5月~2023年8月頃:最大186円/L程度まで上昇
- 2023年9月頃:175円/L前後まで下落
- 2023年10月~2024年12月頃:175円/L前後
- 2024年12月~2025年2月:185円/L前後まで上昇
- 2025年2月~現在:185円/L前後
長期の補助金支給による財政圧迫や外交面への配慮から、2024年12月には補助金の縮小が決定。2025年4月末現在は、全国平均ガソリン価格が185円を超える場合に超過分への補助が行われています。
そもそもガソリン補助金とは
ガソリン補助金とは、全国平均ガソリン価格が基準値を上回ると石油元売会社に補助金が支給される措置です。これにより、消費者が給油する際のガソリン価格が引き下げられています。
もとは2022年1月に3ヶ月の期限で導入されましたが、ロシアのウクライナ侵攻や中東情勢の悪化などにより原油価格が下がらず、今日まで延長されています。
5月22日から新たな引き下げ策を実施
4月22日、政府は1ヶ月後の5月22日より新たなガソリン価格引き下げ策を実施することを発表しました。
ガソリン価格を10円/L引き下げに
5月22日以降は、ガソリン価格が段階的に「1Lあたり10円」引き下げられます。これまでのガソリン補助金と同様、石油元売会社に補助金を支給して価格を引き下げる形式です。
今回の補助金については、発動の基準額が設けられません。そのため、来月22日の時点で全国平均ガソリン価格が185円/Lを下回る状況でも、価格が引き下げられます。
「段階的な引き下げ」である点に注意
今回は、補助額について「1Lあたり10円」という数字が明示されました。ただし、引き下げは段階的に行われるため、5月22日から10円/Lの引き下げがある訳ではありません。
4月22日の政府の説明では、ガソリン相場が現在と同じ水準(185円/L程度)で推移した場合、「7月初旬に1Lあたりの引き下げ幅が10円になる」よう引き下げを行っていくようです。
実施期間は「未定」
石破総理大臣は、4月22日の政策発表時点で「(終了時期については)今の段階で申し上げることはいたしません。申し上げる状況にもありません」と説明。そのため、この政策がいつまで実施されるかは未定です。
今後の価格推移の予測
世界経済の混乱などにより、今後のガソリン価格がどう推移するかは不明瞭です。
しかしながら、現時点では原油価格の下落や若干の円高が進行しており、これに加えて10円/Lの引き下げが実現すれば、ガソリン価格が170~175円/L程度になる可能性があります。
ポイントは原油価格と為替レート
ガソリン価格に影響する要素としては、原油価格や為替レートといった要素があります。
原油価格が下がれば、当然ながらガソリン価格は下がります。また、現状として日本は原油の殆どを輸入に頼っている状態。円高に転じれば、その効果によりガソリン価格が少し落ち着く可能性があります。
原油価格下落&円高進行で安くなるか
2025年が明けた段階では、原油価格も為替レートも「不透明」といわれていました。この状況は、今も大きくは変わりません。
しかし、アメリカの相互関税導入の発表から原油価格は大きく下落。各専門機関も「今後数年にわたり下落」との見方を示しており、原油価格は今後も下がる可能性があります。
また、トランプ政権の金融政策に対する不安から、米ドルの売却が加速。現在は、一時と比べて円高になっています。
こうした点から、今後は若干ながらガソリン価格が下がる可能性があります。
暫定税率の廃止は期間を要するか
暫定税率は、道路整備の財源確保のため1974年に適用された税率です。もとのガソリン税は28.7円/Lですが、ここに暫定税率として25.1円/Lが上乗せされています。
10円/Lの引き下げより、暫定税率廃止のほうがガソリン価格の引き下げ効果は明らかに大きいです。また、2024年12月に与党は国民民主党との協議で暫定税率の廃止に合意しています。
しかし、廃止すれば大幅な税収減となるため、政府は暫定税率の廃止に慎重です。廃止は「早くて来年4月」との話題も出ています。
今後ますます注目の低燃費車
今後ガソリン価格が下がっても、過去のように「130円/L」といった数値になる可能性は極めて低いです。また、ガソリン価格以外の部分でも物価高は顕著になっています。
以下の記事では車の燃費ランキングをご紹介しています。「今後少しでも車の費用を抑えたい」という方はぜひ参考にしてください。
ガソリン価格のよくある質問
Q. ガソリン補助金は全廃されるの?
4月22日に新たなガソリン価格引き下げ措置として10円/Lの補助が発表されましたが、その終了時期について石破総理大臣は「今の段階で申し上げることはしない」と述べています。
いずれ補助金が全廃される可能性はありますが、内閣の支持率や世界経済の動きによってそのタイミングが変わると考えられます。
Q. ガソリンの暫定税率って何?
ガソリンの暫定税率とは、道路整備の財源確保のため1974年に適用された税率です。ガソリン税はもともと28.7円でしたが、ここに暫定税率として25.1円が上乗せされ、現在まで廃止されずにいます。
Q. ガソリンのトリガー条項って何?
ガソリンのトリガー条項とは、ガソリン価格が一定期間にわたって基準値を超えた場合に暫定税率(25.1円分)を免除する仕組みです。
この条項は2010年の税制改正で導入されましたが、翌2011年3月に東日本大震災が発生。復興財源確保のために特例法で条項が凍結され、現在も解除されていません。
Q. トリガー条項の凍結解除の可能性は?
トリガー条項が発動すれば暫定税率が免除となり、補助金適用以上のガソリン価格下落が見込めます。
これに対して、政府は凍結解除に慎重です。解除には震災特例法の改正が必要で、法改正には時間がかかります。さらに、暫定税率がなくなれば大幅な税収減が見込まれるからです。
Q. ガソリンは二重課税って本当?
現在のガソリン価格には、ガソリン価格にガソリン税や暫定税率などが加わり、その金額に消費税(10%)がかけられています。このガソリン税等に消費税をかけている状態が「二重課税である」と指摘されています。
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