目次
高級セダン 評価ポイント
高級セダンは、荷室の広さや悪路走破性などではSUVに敵わないが、走りの爽快感ではSUVを上回る。
また、全世界的なSUV人気の影響で、セダンの存在感は薄まっている。だが欧州車を中心に高い人気を誇るモデルも多い。
今回はカーボンニュートラルへの対応や近未来的な装備、走りの質感を重視して順位をつけた。
高級セダン おすすめランキング ベスト5
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トヨタ MIRAI(ミライ)
近未来を感じさせるモデル
初代ミライが登場したのは2014年のことだ。当時、世界初の量産FCVとなるミライの発表に世界の自動車が震撼した。その後2020年には2代目ミライが登場した。
初代も2代目も、水素と酸素を使い発電する。排出されるのは水のみという仕組みに変化はない。だが、それ以外のすべてが新しくなったといっても過言ではない。
2代目ミライは優れた環境性能を伸ばしながら、走りの質も重視している。先代のFF(前輪駆動)から、最新のGA-Lプラットフォーム(車台)を使ったFR(後輪駆動)へ変更した。環境性能に優れ、尚且つ走りも楽しめるスポーツセダンとなった。
また、自動運転時代を感じさせる優れた機能も用意されている。一例として高度な先進技術を使ったアドバンストドライブが挙げられる。これは、ナビで目的地を設定後、高速道路ではドライバーの監視下の元でハンズオフの状態で車線を維持して走る。前走車との距離を保ちながら走行し、追い越し時の車線変更や分岐などでも運転を支援する。
パワーユニットや走りの質、最新鋭の運転支援機能など、すべてが近未来を感じさせるモデルとして高く評価し、ランキング1位とした。
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BMW i4 eDrive40
EVでも走りが楽しくてたまらない!
BMW i4は、4シリーズグランクーペをベースとしたEV(電気自動車)だ。グランクーペとは、4ドアクーペなどと呼ばれるモデルで、セダンとクーペのシルエットを融合させている。セダン系ボディのEVはまだ少なく、それだけでも価値がある。
一般的にEVは床下に駆動用バッテリーを置くので、全高が高くなる傾向にある。i4も同様だが、ガソリン車に対してわずか5mm高い1,455mmとなった。最低地上高は125mmで、15mmほどi4が低い。こうした工夫により、i4はEV化しながらも4シリーズグランクーペと同様な低くワイドで美しいシルエットを創り出している。
BMWのこだわりは駆動方式にも表れる。2WD系のEVは、FWD化されたモデルが多い。FWDの方が回生ブレーキの効率が良いぶん、長い距離を走れる。だが、BMWは走りにこだわりRWDを選択した。その結果、i4はEVとしては、たぐいまれな運動性能を得た。
ボンネット下には、エンジンが無い。そのためフロントが軽く、軽快に良く曲がる。床下に駆動用バッテリーを搭載しているため、ガソリン車より低重心化されている。その恩恵で、カーブではピタッと路面に張り付いたような安定した姿勢で抜けていく。アクセルを踏めば、電動車ならではの超絶ハイレスポンスで後輪が動き、意のままの走りが可能になるのだ。
運転が好きな人にとっては、まさに目から鱗である。「もうガソリン車には乗れない!」と思ってしまうほど気持ちよく走る。それでいてEVなので、環境性能は高い。航続距離も604km(WLTCモード)と長い。
もはや、粗を探すのが難しいレベルだ。こうした部分を高く評価し2位とした。 -
BMW 330e
通常走行はエコカー、アクセルを踏み込めばスポーツセダン
BMW 330eは、2.0Lターボエンジンとモーターを組み合わせたPHEVだ。PHEVは、搭載されたバッテリーの電力を使いモーター走行する。電力が無くなればハイブリッド車になり、低燃費走行するエコカーだ。短距離移動であれば、ほぼEV(電気自動車)と同じなので、ハイブリッド車の上をいくエコカーといえる。
330eは、満充電時であれば、56.4kmもの距離をモーター走行できる。通勤や送迎、買い物といった日々の短距離移動であれば、ほぼガソリンを使うことがない。優れた環境性能を誇る。
ハイブリッド燃費は1モーター式なので少々物足りない数値となった。しかし、BMWはこのモーターを上手く使っている。ターボエンジンの悪癖であるターボラグを解消し、モーターのトルクをエンジントルクに上乗せするのだ。そのパワフルさとレスポンスの鋭さは、まさにスポーツセダンである。通常走行ではエコカー、アクセルをグッと踏み込めばスポーツセダンに変身する。一台のクルマでこのギャップが楽しめるので、ランキング3位とした。
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メルセデス・ベンツ C220d
ハイブリッド車並みの低燃費とキレのある走り
メルセデス・ベンツC220dは、2.0Lディーゼルターボエンジンに48Vマイルドハイブリッドシステムを搭載したモデルだ。
元々低燃費のディーゼルに48Vマイルドハイブリッドシステムを加えたことで、低燃費性能が大幅に向上した。なんと、このクラスのガソリン車としては、世界トップレベルのハイブリッド車であるレクサスIS300hを上回る燃費値を出している。
軽油はハイオクガソリンより30円/円前後も安価なので、環境性能だけでなく経済性にも優れている。メルセデス・ベンツは、3代目Cクラスからアジリティ(俊敏性)という言葉を使い始めた。従来穏やかだったハンドリングは、BMW並みのスポーティさを求めてきた。
メルセデス・ベンツ Cクラスの
5代目となる現行Cクラスもキレ味鋭いハンドリングが売りだ。ステアリング操作に対して、俊敏に反応し旋回する。
そこに、強大なトルクをもつディーゼルターボエンジンと48Vマイルドハイブリッドが加わった。モーターがアクセル操作のレスポンスを向上させ、気持ちよくグイグイと豪快に加速する。C220dのユニークポイントだ。
優れた走行性能と低燃費を高く評価して4位とした。
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レクサスIS 300h
熟成し続けるFRスポーツコンパクトセダン
現行のレクサスISのデビューは、2013年だ。すでに、かなりのロングセラーモデルとなっている。
現在までの間、何度も改良を重ねている。特に2020年に行われた2度目のマイナーチェンジでは、フルモデルチェンジに近い内容の改良が行われた。外観デザインは刷新され、走りの質感は大幅に向上した。IS300hをランキング5位とした理由の一つは、レクサス独自の2.5Lハイブリッドシステムの、超低燃費性能だ。このクラスでは世界トップレベルであり、他の追随を許さないほど高い環境性能を誇る。
二つ目の理由は、熟成された走りの質感だ。
操舵時の反応はシャープである。セオリー通り、前輪にしっかりと過重移動しながらステアリングを切ると、クルリと軽快に向きを変える。カーブの立ち上がりでグッとアクセルを踏むと、後輪が路面をつかみ加速する。リヤサスペンションのスタビリティも高く、後輪は容易に滑るようなこともなく安心してアクセルを踏める。
全長4,710mmと比較的コンパクトなFRセダンなので、人とクルマの一体感もあり気持ちよく走れるモデルだ。このボディサイズのFRセダンは、世界的にも数少なくなっている。国産車では、もはやISだけだ。それだけでも価値がある。
レクサスISの口コミ・評価を見る
高級セダン おすすめランキング の
5台を5項目で比較
新車、高級セダンのおすすめ5台を価格、燃費、走行性能、乗り心地、デザインの5項目で評価した。機能が充実している高級セダン。「価格にあった燃費、走行性能なのか」といった視点で比較したので参考にして欲しい。
価格比較
トヨタ MIRAI(ミライ)
最新鋭のクルマを補助金でコスパ良く買える
トヨタ ミライの価格は以下の通りだ。
車種 | エントリーグレード | ハイエンドグレード |
---|---|---|
ミライ | 7,100,000円 (G FR) |
8,050,000円 (Zエグゼクティブパッケージアドバンストドライブパッケージ FR) |
トヨタ ミライには、直接的なライバル車が存在しないので比較ができない。これだけの最先端技術で、価格710万円からとは破格ともいえる。
さらに、令和4年度予算「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」が1,453,000円支給されるのだから、セダンの中では積極的に選ぶべきモデルだ。コストパフォーマンスは、非常に高い。
燃料である水素を充填できるスタンドは、東京都市部中心に増えてきているので、水素切れによる不安も少なくなってきている。ただ、東京郊外や高速道路上などには、まだ水素スタンドがほとんど無い。地方で水素を充填することがなかなかできない部分が、購入時のマイナス要素だ。
優れたFCVのミライだが、中古車価格は安価だ。補助金分がマイナスされたような中古車相場になっていて、450~560万円くらいで購入できる。約800万円したZ系グレードも500万円前後で選べ、激安だ。これだけ安ければ、中古車という選択もありだ。
BMW i4 eDrive40
戦略的な価格? ガソリン車と同等レベルの価格
BMW i4 eDrive40の価格は以下の通りだ。
車種 | エントリーグレード | ハイエンドグレード |
---|---|---|
i4 eDrive40 | 7,500,000円 (スタンダード) |
7,910,000円 (Mスポーツ) |
BMW i4 eDrive40には直接のライバル車がいないので価格比較はできない。
しかし、価格は高価ではあるもののBMW内で価格を比較してみるとi4は買い得感がある。
i4の出力である340ps&430Nmと同等レベルの4シリーズグランクーペが、M440i xDriveグランクーペだ。出力は387ps&500Nmで、価格は10,060,000円である。i4は200万円以上安価なのだ。
また、420d xDriveグランクーペスタンダードは140ps&400Nmの出力を持ち、価格はi4に比べてやや安価な6,790,000円だ。ガソリン車とEVの価格設定をみると、i4は意外とお買い得に感じる。
さらに、i4には2022年10月現在65万円の補助金が出るメリットもある。
BMW 330e
EVのi4との価格差が小さく、高価に見える
BMW 330e i4とEVであるieDrive40 Mスポーツの価格・出力は以下の通りだ。
BMW車種 | 価格 | 出力 |
---|---|---|
330e | 7,100,000円 (Mスポーツ FR) |
292ps&420Nm |
i4 eDrive40 | 7,910,000円 (Mスポーツ EV) |
340ps&430Nm |
330eの価格は少々微妙である。出力はi4が上回ることを踏まえると、約80万円の価格差なら、最先端EVであるi4の方がよいと考える人も多いだろう。
「EVの充電環境が心配」「ガソリンエンジンのフィーリングが捨てがたい」といった人には、330eがお勧めだ。
メルセデス・ベンツ C220d
やや割高感ある価格
メルセデス・ベンツC220d の価格は6,960,000円(アバンギャルド FR)だ。
C220dの価格は、レクサスIS300h(Fスポーツ)と比べると100万円位高い。BMW320d(Mスポーツ)と比較すると20万円以上高価だ。PHEVのBMW330eとそれほど変わらない価格である。全体的に見ると、やや高価なモデルといえる。
330eと同様、予算に少し余裕があれば最新EVのi4が買えてしまう。
C220dは、一度に1,000km近いロングドライブをするような人にお勧めだ。燃料満タンでWLTCモードの18.5km/Lという燃費で走った場合、C220dは1,200kmオーバーの距離を走ることができる。
レクサス IS300h
レクサス車からレクサス車への乗り換えでコスパが上がる
レクサスIS300hの価格は以下の通りだ。
車種 | エントリーグレード | ハイエンドグレード |
---|---|---|
i4 eDrive40 | 7,500,000円 (スタンダード) |
7,910,000円 (Mスポーツ) |
IS300hを国産車としてみると、やや割高な印象がある。だが輸入車と比較すると少し安価、という絶妙な価格帯といえる。
国産車としては少し高価なIS300hだが、レクサスブランドのリセールバリューはとても高い。レクサス車からレクサス車へ乗り換えると、買取専門店もお手上げ状態になるくらい高い下取り価格が付き、コストパフォーマンスも少し上昇する。
燃費比較
トヨタ MIRAI(ミライ)
十分な航続距離と電費
トヨタ ミライの航続距離、電費(WLTCモード)は以下の通りだ。
ミライのグレード | 航続距離 | 電費 |
---|---|---|
G系グレード | 約850km | 135km/kg |
Z系グレード | 約750km | 135km/kg |
航続距離や電費も直接比較対象になるモデルが無いため、なかなか評価が難しい。
航続距離は約750~850kmもあれば十分と言える。例えば、同じGA-Lプラットフォームを使うレクサスLSのガソリン車は、燃費が10.2km/Lで燃料タンクが82Lなので約840kmの航続距離になる。ミライとほぼ同等だ。
電費は、FCシステムの改良などで、先代モデルより約10%も改善している。
BMW i4 eDrive40
高速道路で真価を発揮するEV
BMW i4 eDrive40の航続距離、電費(WLTCモード)は以下の通りだ。
車種 | 航続距離 | 電費 |
---|---|---|
i4 | 604km | 7.2km/kWh |
BMW i4 eDrive40電費は、なかなか優秀だ。より小さく軽量な日産リーフ60kW車の電費が7.5km/kWhで、その差はわずかだからだ。
航続距離も604kmと十分だ。高速道路メインで走行テストした際、往復500kmを無充電で楽々走破した。実電費も良好で約7.0km/kWhだった。
I4の特徴は、高速道路での燃費の良さにある。多くのEVはアクセルを戻すと、エンジンブレーキと同等の弱い回生ブレーキがかかり減速する。
しかし、i4はコースティングしていく。コースティングとは、ミッションをニュートラルにしたようなものだ。エンジンブレーキや回生ブレーキのような減速はなく、滑るように走るため速度の低下はかなり緩やかだ。最近では、輸入車を中心にガソリン車にも使われている。こうしたコースティングを積極的に使うことで、高速道路で電費を稼ぐことが出来る。
BMW 330e
ハイブリッド燃費を期待してはダメ
BMW 330eの航続距離、燃費(WLTCモード)は以下の通りだ。
車種 | EV航続距離 | 燃費 |
---|---|---|
330e | 56.4km | 13.4km/L |
BMW 330eのEV航続距離は十分なレベルに達している。これだけの航続距離があれば、通勤や送迎、買い物などの日常利用であれば、ほぼガソリン使わない生活ができる。電気代はガソリン代の約半分程度となるケースが多く経済的だ。CO2を排出しないことや、ガソリンスタンドに行く回数が激減するので、時間の節約にもなる点もメリットだ。
燃費に関しては、かなり割り切った印象だ。純ガソリン車で2.0Lターボを搭載する320iの燃費が13.0km/L。その差は、わずか0.4km/Lだ。330eは、燃費を期待してはいけないPHEVといえる。
メルセデス・ベンツ C220d
ハイブリッド車も超えた低燃費性能
メルセデス・ベンツC220dの燃費(WLTCモード)は18.5km/Lと驚愕の数値だ。
ディーゼルエンジンは、もともと低燃費がウリでもあった。先代モデルでも17.0km/Lと低燃費だった。最新モデルに48Vマイルドハイブリッドシステムが加わったことで、さらに約10%も燃費が向上している。
レクサスIS300hの燃費が18.0km/Lであることも踏まえると、C220dはこのクラスで世界トップレベルの燃費値となっている。
ちなみに、IS300hはレギュラーガソリンを使用し、C220dは軽油を使う。軽油のほうがレギュラーガソリンよりも約20円安価だ。
レギュラーガソリン165円/L、軽油145円/Lで1,000km走行した場合の燃料費は、IS300hが約9,200円、C220dは約7,800円。なんと1,400円もの差が付いた。
レクサス IS300h
ガソリン車、クラス世界トップレベルの超低燃費性能
レクサスIS300hの燃費(WLTCモード)は18.0km/L(FR)だ。
IS300hの燃費は、ガソリン車としては世界トップレベルである。他の追随を許さないほどだ。
ディーゼル車も含めて考えると、この燃費値を上回るモデルはメルセデス・ベンツC220dだ。
走行性能比較
トヨタ MIRAI(ミライ)
まぎれもなくスポーツセダン
トヨタ ミライは、スポーツセダンだ。駆動用モーターの出力は、182ps&300Nm。全長5m弱の大型セダンとしては、少しアンダーパワーに感じるかもしれない。そのスペック通り、アクセルを全開にしてもそれほど速いとは思わないだろう。
それでも「スポーツ」セダンと呼べるのは、走りの質感からだろう。前後の重量配分は50:50だ。重量物を低い位置に設置したことにより、車体は低重心化されている。ステアリング操作に対して忠実にクルマが動く。カーブでは低重心化により、フラットで安定した姿勢をピタッと保ち、気持ちよく曲がる。
モーター駆動車なので、アクセル操作に対するレスポンスはガソリン車とは比べ物にならないくらい抜群だ。パワーというよりは、クルマとの一体感でスポーツセダンだと実感できた。
BMW i4 eDrive40
スポーツカー並みの走行性能
BMW i4 eDrive40は、とにかく意のままに走れて気持ちよい。その大きな理由は2つ。ボンネット下にエンジンが無いこと、そしてRWDであることだ。
大きく重いエンジンとミッションがボンネット下に無いので、フロントがとても軽い。しっかりとフロントに過重移動させて、ステアリングを切ると間髪入れずフロントノーズがクルリと向きを変えていく。下り坂では、尚更、その印象が強く残った。
大きく重い駆動用バッテリーは床下に搭載された。重心高も下がっているので、カーブではガソリン車以上にフラットで安定した姿勢で走り抜けていく。
EVなのでアクセルレスポンスはとても早い。アクセルを踏んだ瞬間にリヤタイヤが駆動するのが分かる。内燃機関とは、まったく異なる部分であり、内燃機関では絶対に敵わないEVならではの持ち味だ。リヤタイヤに駆動が加わると、強烈な加速力を見せつける。0-100km/hの加速力は5.7秒だ。ポルシェのEVであるタイカンのベースグレードが5.3秒と言われているので、それに匹敵する加速力をもつ。まさに、スポーツカーだ。
BMW 330e
爽快な加速感とハイレスポンスが魅力
BMW 330eの走行性能はEVのi4と比べると、少々物足りなく感じる。だが、他のガソリン車と比べると抜群に楽しい。
システムトータル出力は、292ps&420Nmだ。最大トルクは、自然吸気ガソリン車4.2L相当になり、とても力強い。
330eはパワーやトルクの良さに加え、走行時のエンジンフィーリングが抜群だ。
ターボエンジンには、どうしてもターボラグという悪癖がある。エンジン単体では、ターボラグから逃れる術がない。しかし、330eはこのターボラグをモーターで上手く消している。
モーターには、瞬時に最大トルクを出す特性がある。アクセルを踏み込んだ瞬間のターボラグを、最大トルクを瞬時に出すモーターがアシストするのだ。その結果、アクセルを踏むと瞬時にモーターが車体を押し出し、わずかに遅れてエンジンのトルクが加わり怒涛の加速が始まる。このレスポンスの良さは、ガソリン車では味わえない。
こうしたシステムの結果、330eの0-100km/hの加速タイムは5.8秒。スポーツカー並みで、EVのi4と同等レベルにある。
ガソリン車にはない、ハイレスポンスのクルマに乗ると、より爽快な加速感とクルマとの一体感が存分に味わえる。
メルセデス・ベンツ C220d
上質感溢れる加速感と敏捷性を併せ持つ
メルセデス・ベンツC220dの出力は、230ps&440Nmだ。このエンジンに20ps&208Nmのモーターが加わる。この組み合わせは、なかなか強力である。ターボエンジンなので、ターボラグは生じるのだが、モーターがそれを帳消しにする。アクセルを踏むと瞬時にモーターが、アクセルレスポンスの悪い部分をアシスト。ストレス無しにグイグイと速度を上げていく。エンジンの回転フィールも滑らかだ。9速ATは、ショックなど感じさせずに淡々と変速していく。とにかく、すべてがスムースだ。静粛性も非常に高い。
かなり上質感あふれる加速感ながら、敏捷性も併せ持つ。
ステアリング操作に対して、クイックで反応も早く、グリグリ曲がっていく。カーブの立ち上がりでグイっとアクセルを踏むと、440Nmもの大トルクであっという間に速度を上げていく。終始スムースだが、とても速い。ジェントルなスポーツセダンだ。
レクサス IS300h
パワフルではないが、素直なハンドリング
レクサスIS300hのシステム出力は220psだ。それほどパワフルではないが、IS300hのボディサイズであれば、十分な出力だ。ハイブリッドシステムも改良され、アクセル操作に対してよりリニアなフィーリングになった。
2度目のマイナーチェンジでは以下を施し、ボディ剛性を高めている。
- サイドラジエーターサポートの補強
- フロントサイドメンバーのスポット打点追加
- Cピラーからルーフサイドにかけての構造最適化
強固なボディを得たことで、ステアリング操作に対するレスポンスなど運動性能が向上している。ステアリング操作に忠実で軽快なハンドリング性能を得た。
乗り心地比較
トヨタ MIRAI(ミライ)
フラットライドで快適な乗り心地
常にフラットライドな乗り心地なのが、ミライだ。乗り心地そのものは、ややしっかり系に分類される。
フラッグシップであるレクサスLSにも使われているGA-Lプラットフォームが採用されており、大きな凹凸を通過してもボディとサスペンションで衝撃を吸収する。そのため、ドライバーには不快な振動や衝撃が伝わってこないのだ。
クルマの揺れもしっかりと制御されており、ドライバーの目線がぶれないので運転していて安心感がある。こうした部分は、まさに高級セダンだ。また、エンジンが存在しないので静粛性も極めて高い。
BMW i4 eDrive40
硬いが乗り心地はよい
18インチタイヤを履くMスポーツを試乗した。
スポーツ仕様のMスポーツの乗り心地は、硬めの仕様だ。路面の凹凸が連続するような道だと、少々ゴトゴトした乗り心地になる。だが、硬いといっても尖ったような衝撃や振動ではないので、意外と快適である。スタンダードでは、タイヤが17インチになるので、乗り心地はよりマイルドになる。
Mスポーツのタイヤサイズは、フロントが245/45R18、リヤが255/45R18と前後ワイドな異サイズを履く。しかし、タイヤの静粛性も高く、EVの静粛性を損なっていない。静粛性も高く、快適な空間を生み出している。
BMW 330e
ガソリン車よりも快適な乗り心地
ガソリン車であるMスポーツ系の乗り心地は、硬めだ。
BMW 330eは駆動用バッテリーやモーターが搭載されているため、ガソリン車より車重が少し重い。そのためか、330eはMスポーツにも関わらず、なかなかしなやかな乗り心地を実現している。街中や高速道路を問わず、後席含めて快適な移動ができる。
330eはPHEVなので、BMWこだわりの前後重量配分50:50となっていない。そのためか、ハンドリングはガソリン車ほどのキレはない。とはいえ、BMW車なので走る楽しさは十分にある。
メルセデス・ベンツ C220d
どこまでも走っていけそうな快適な乗り心地
ガソリン車のCクラスでは、低速域で乗り心地が硬いと感じたが、C220dはまるで別のクルマのように低速域からしなやかで快適な乗り心地だった。速度が上がっていくほど、より洗練され、ロングツーリングでも快適に過ごせる。どこまでも走っていけそうなくらいだ。
C220d はディーゼルだが、静粛性も高い。停車時に耳を澄ますとわずかにガラガラというディーゼルエンジンの音が聞こえるくらいだ。
他のガソリン車とは大きく異なるのが、アイドリングストップからの再始動時だ。マイルドハイブリッド機能の恩恵で、セルモーターが回るキュルキュルという音と、エンジンの始動時のブオーンという音と振動がほとんどない。特に市街地では、なんどもアイドリングストップを繰り返すので、恩恵は大きい。
レクサス IS300h
低速でもゴツゴツ感のなり乗り心地
レクサスIS300hの乗り心地は快適だ。柔らかいというより、芯のあるシットリとした乗り味である。
その快適な乗り心地を支えているのが、「スウィングバルブショックアブソーバー」だ。アブソーバーのストローク速度が極めて低い場合でも減衰力を発揮することできるので、応答性が良く上質な乗り心地が可能となった。
同様に、ボディ剛性をアップしたことで、ノイズや振動を徹底的に排除でき、更なる乗り心地の向上を実現している。
内外装・デザイン比較
トヨタ MIRAI(ミライ)
先進性があまり感じさせない内外装
トヨタ ミライのシルエットは優雅だ。
長いホイールベースにロングノーズ、クーペ調の流麗なルーフライン、そして大径タイヤが特徴的である。
しかし、やや腰高なフェイスデザインに見える。切れ長のヘッドライトを上部に設置し、トヨタエンブレムが付く最先端部分から絞り込むようなバンパーデザインの影響で、視覚的重心が上部になったからだ。リヤビューもバンパー下部のボリュームが足らないようで、こちらも腰高感がある。
個性が少々強いデザインなので、好き嫌いが明確に分かれそうだ。デザイン面では、先進的な印象は欠ける。
インテリアは、「集中」と「開放」をテーマとした。12.3インチの大型センターディスプレイは視認性に優れるが、ダッシュボードの位置が高く、少し野暮ったい造形に見える。全体的に、多くの線と面が組み合わされておりコッテリ系インパネとなった。インテリアもあまり先進性を感じない。
最新EVなどでは、メーターも含めた湾曲させた大型ディスプレイが流行りで先進感がある。
BMW i4 eDrive40
微妙に異なる外観。先進的なインパネ
BMW i4 eDriveの外観デザインは、基本的にガソリン車の4シリーズグランクーペと共通だ。バンパーなどが異なるデザインとなった。
縦型のキドニーグリルは、穴が開いていないクローズドタイプとなっている。ガソリン車のようなエンジンが無いからだ。
Mスポーツは、よりスポーティなデザインのバンパー類が装着される。
外観デザインは4シリーズグランクーペとの共通点が多いが、インテリアはガラッと雰囲気が変わる。
ガソリン車は、10.25インチのモニターをもつ、いつものBMWインパネだ。しかし、i4では12.3インチのメーター系パネルと14.9インチのコントロールディスプレイをひとつのユニットにまとめらえている。iXなどにも採用されているものだ。
湾曲させたカーブドディスプレイを採用することで、ドライバーの視認性が高まっている。ディスプレイタイプのメーターやコントロールパネルを使うモデルは多いが、湾曲させたディスプレイは珍しい。先進性の高いコックピットとなっている。
BMW 330e
カーブドディスプレイ装備で、最も先進的なセダンに
BMW3シリーズは、2022年9月のマイナーチェンジで、インテリアが大幅に変更された。EVのi4と同じ12.3インチのメーターパネルと14.9インチのコントロールディスプレイを一体化させた、最新のBMWカーブドディスプレイを装備した。この装備により、330eも非常に先進的なインテリアになった。このクラスのモデルの中では、最も先進的なインテリアだ。
また、外観デザインもバンパー形状の変更などによりスポーティで洗練さを増している。低く睨みつけるようなフェイスデザインには、精悍さがある。
メルセデス・ベンツ C220d
流麗系デザインになった5代目Cクラス
先代メルセデス・ベンツCクラスは、彫の深いデザインで押し出し感ある迫力系フェイスだった。
しかし5代目現行Cクラスは、滑らかなラインで構成され、流麗感があり綺麗なスタイルになった。迫力を重視したデザインが好きな人には、少々物足りなく見えるかもしれない。
インテリアに液晶パネルを使っているため、先進性がある。メーターは12.3インチ、ナビなどの操作系は縦型の11.9インチディスプレイになっている。
11.9インチの縦型ディスプレイはセンターコンソール上にあり、停止時は使いやすい。だが走行時は視点移動が大きくなり、安全性面で少々心配が残る。できる限りもう少し高い位置に設置してほしいところだ。
こうした部分を除けば、全体的な質感も高く十分に満足できる。
最小回転半径は5.2mと、狭い駐車場が多い日本でも扱いやすい数値になっている。
レクサス IS300h
力強く張り出したフェンダーこそがスポーツセダンの証
レクサスISは2度目のマイナーチェンジを経て外観デザインを刷新した。
全長と全高が、それぞれ30mm大きくなっている。ボディサイズの変更により、ワイド&ローなシルエットが強調され、とてもスポーティに見える。
張り出した前後のフェンダーは面の張りも力強く、スポーツセダンであることを強調している。
特徴的なのがLシェイプ一文字シグネチャーランプだ。ひと目でISであることが分かり、独特の存在感がある。
インテリアデザインも変更されている。落ち着いたデザインだ。ナビなどの操作をするリモートタッチは、操作感がないため使いにくさを感じてしまうかもしれない。