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両側スライドドアをもつハイト系は隙間商売だ。両側スライドドアを持ち、高い全高で広大なスペースをアピールするスーパーハイト系と、燃費や価格、スペースなどバランス重視のハイト系のちょうど間になる。ワゴンRスマイルとワゴンRは名前が似てても内装・外装デザインをはじめ異なる点がある。今回はハイト系であるスズキ ワゴンRスマイルと、ヒンジドアのワゴンRを比較・評価した。フルモデルチェンジを踏まえた値引き想定も考察したのでぜひ購入の検討材料にして欲しい。
- この記事の目次 CONTENTS
- スズキ ワゴンRスマイルの特徴
- スズキ ワゴンRの特徴
- 1.燃費比較
- 2.価格比較
- 3.購入時の値引き術
- 4.デザイン比較
- 5.室内空間と使い勝手
- 6.安全装備・運転支援機能の比較
- 7.走行性能の比較
- 8.リセールバリュー比較
- 9.まとめ・総合評価
- スズキ ワゴンRスマイル
- スズキ ワゴンR
スズキ ワゴンRスマイルの特徴
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スズキ ワゴンRスマイルは、2021年9月に登場した新型車だ。スマイルの最大の特徴は、ハイト系カテゴリーでは希少な「両側スライドドアをもつモデル」であることである。
スマイルは、現行ワゴンRをベースに開発された。プラットフォーム(車台)は基本的に共通している。全高1,695mm(ワゴンRに+45mm)は、スーパーハイト系のスペーシアと比べると90mm低いが、かなり大きく見える。
その上で、両側スライドドアを装備し、利便性を向上させた。デザインは大きな丸型ヘッドライトなど、愛着が湧く様相だ。
エンジンは、66ccのマイルドハイブリッドシステムと、自然吸気ガソリンエンジンを搭載している。ターボエンジンの設定はない。
スズキ ワゴンRの特徴
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スズキ ワゴンRは、デザインの選択肢が豊富だ。現行ワゴンRはグレード別に3タイプのデザインを用意した。選択肢を増やし、より細かい顧客ニーズに対応している。
また、スズキは燃費へのこだわりが強い。ワゴンRには、マイルドハイブリッドシステムが搭載したグレードをメインに据え、クラストップとなる燃費性能を誇る。
一般的なマイルドハイブリッドシステムでは、モーターの出力が小さいため、モーターのみで走行するEV(電気自動車)走行はなかなか出来ない。しかし、スズキはマイルドハイブリッドシステムであることを分かりやすく顧客に伝えるため、モーター出力をアップした。結果マイルドハイブリッドシステムでも、クリープのみだがEV走行できるようにした。他のハイト系軽自動車とは明確に異なる、ワゴンRの特徴だ。
1.燃費比較
ワゴンRスマイルの評価は 4.5
ワゴンRの評価は 4.5
燃費差は微小。優秀な燃費値となったスマイル
スズキ ワゴンRスマイルと、ワゴンRの燃費は以下の通りだ。(すべてFF、WLTCモード)
スズキ ワゴンRスマイル | 23.9~25.1km/L |
スズキ ワゴンR(スティングレー含む) | 23.4~25.2km/L |
スズキ ワゴンRスマイルとワゴンRの燃費は、ほぼ互角だ。ワゴンRの燃費が低く見えるのは、スティングレーターボ車だ。ターボ車を除くと、24.4km/Lになる。
スマイルとワゴンRの燃費はわずかな差だが、ワゴンRが勝っている。スマイルの燃費は、わずかにワゴンRに負けているものの、むしろ優秀な数値と言える。スマイルの車重が重いからだ。
スマイルの車重は、840~870kgなのに対して、ワゴンRは730~790kgだ。スマイルは80~110kgも重いのに、ほぼ同等の燃費値を出している。
燃費上位グレードは、どちらもマイルドハイブリッドシステムを搭載したモデルだ。優れた熱効率をもつ660ccのR06D型エンジンに、2.6ps&40Nmの小さなモーターを組み合わせたマイルドハイブリッドを搭載している。
2.価格比較
ワゴンRスマイルの評価は 4.5
ワゴンR評価は 3.5
コストパフォーマンスはスマイルが上回る
スズキ ワゴンRスマイルと、ワゴンRの価格帯は以下の通りだ。(双方FF車)
スズキ ワゴンRスマイル | 1,296,900~1,592,800円 |
スズキ ワゴンR | 1,163,800~1,421,200円 |
ワゴンRは、自動ブレーキなどの機能を省いたスズキセイフティーサポート非装着車があるが、標準装備化が義務化されているので、価格帯から除外した。
装備抜きで価格を比較すると、両側スライドドアを装備したスマイルの方が約14~17万円高価だ。両側スライドドアの利便さを考えると、納得できる価格アップといえる。
しかも、スマイルにはワゴンRに装備されていないサイド&カーテンエアバッグが全車標準装備されている。これだけでも、7万円位の価値がある。その他、グレードにより装備差は若干差があるが、やはりスマイルのコストパフォーマンスは高い。これは、なかなか意外な結果となった。
3.購入時の値引き術
ワゴンRスマイルの評価は 3.0
ワゴンRの評価は 4.0
フルモデルチェンジが近いワゴンRは大幅値引きの期待大
スズキ ワゴンRスマイルは、2021年9月に登場したばかりの新型車だ。通常の状態であれば、値引きはゼロベースである。ところがコロナ禍の影響で、世界的な半導体不足や部品不足が続き、スズキも工場の操業を一時停止しなくてはならない状態に陥っている。未だこうした状況は不透明で、解消の目途が立っていない。
こうなると、通常の生産状態に戻ったときにライバル車に出遅れないために、とにかく受注を増やしておくしかない。しかも、スマイルはキャンバスの対抗車として登場しているので、キャンバスと競合されれば、値引きしてでも受注したいところだ。キャンバスはモデル末期なので、大幅な値引き額をチラつかせ、さらなる値引きを引き出したい。一定の値引きに達したら、ディーラーオプションなのでの用品サービスなども要求するのもよい。
ワゴンRはすでにモデル末期で、いつフルモデルチェンジしてもおかしくない。そのため、大幅値引きが引き出しやすい状態にある。ただし、何もしなければ数万円程度になってしまう。ライバル車であるムーヴやデイズ、N-WGNなどの見積りも取り競合させることが重要だ。とくに、1~3月は新卒需要などがあり、軽自動車の販売に最も力を入れる時期である。ディーラーは利益よりも台数を追うケースもあるので、こうしたタイミングに合わせて購入するとよい。3月末は決算なので、通常期より大幅値引きが期待できる。
4.デザイン比較
ワゴンRスマイルの評価は 3.5
ワゴンRの評価は 3.0
どちらも、やや新鮮さに欠けるが手堅いデザイン
5.室内空間と使い勝手
ワゴンRスマイルの評価は 4.5
ワゴンRの評価は 4.0
スライドドア分、圧倒的な使い勝手の良さを誇るスマイル
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スズキ ワゴンRスマイルは、ワゴンRベースなので、全長と全幅、ホイールベースは同じだ。全高は1,695mmと、ワゴンRより45mm大きくなっている。乗車している状態の室内スペースは、ほぼ同じだ。スマイルは全高が高くなっていることで、若干高さのある荷物が使いやすい。
そして、大きな差はスライドドアによる使い勝手だ。全高が高くなった分、少し頭上スペースに余裕があり、乗り降りは圧倒的にしやすい。また、狭い駐車場などでの乗降もスライドドアの大きなメリットだ。
スマイルの前席ヒップポイントは、ワゴンR比で+70mmと高く設定されている。この高さはちょっとしたミニバン並で、前方やボディサイドなどを上から見下ろす視界になる。そのため、ボディサイズをつかみやすく運転がしやすいのもポイントである。
スマイルのナビモニターは大型の9インチ、ワゴンRは8インチだ。
6.安全装備・運転支援機能の比較
ワゴンRスマイルの評価は 3.5
ワゴンRの評価は 2.5
旧式で、しかも自動ブレーキ全車標準装備ではないワゴンR
スズキ ワゴンRスマイルの予防安全装備は、「スズキ セーフティ サポート」と呼ばれ、自動ブレーキや誤発進抑制機能などがセットになっている。ただ、同じ「スズキ セーフティ サポート」でも、世代によって性能が異なる。
スマイルには最新世代の「スズキ セーフティ サポート」が装備されている。自動ブレーキは車両と歩行者検知に加え、衝突事故の多い夜間の歩行者も検知できるようになったことで、より安全なクルマになったといえる。
予防安全装備の進化は日進月歩だ。ワゴンRは夜間歩行者に対応していない。また、法規制前のモデルなので、サイド&カーテンエアバッグも装備されていない。スマイルは標準装備だ。
スマイルの全方位モニター用カメラ装着車では、「すれ違い支援機能」をスズキで初採用している。車速が約5km/h以下で狭い道でのすれ違い時に、自動でナビゲーション画面左側及び前方の映像を表示して死角を減らし、接触防止をサポートしてくれる。
その他、スマイルでは一定レベルの予防安全装備が全車標準装備になっている。
- 誤発進抑制機能
- 後退時ブレーキサポート
- 後方誤発進抑制機能
- 車線逸脱警報機能
対するワゴンRは、自動ブレーキが義務付けられる前のモデルなので、旧世代の「スズキ セーフティ サポート」でさえ標準装備ではない。安全装備を外した安価なグレードが設定されている。新型車はすでに自動ブレーキなどが義務化されているので「スズキ セーフティ サポート」非装着車は避けるべきだ。
ただし、スマイルも完璧と呼べるほどではない。足踏み式パーキングブレーキなので、信号で停止時にブレーキを踏み続ける必要がないオートブレーキホールド機能が装備できない。
さらに、SOSコールも用意されていない。衝突時にエアバッグが展開するような事故が起きた場合、自動で専門オペレーターへ通報してくれる機能だ。さらにドライバーの意識が無い場合、専門オペレーターが救急車の要請や警察への通報も代行する。
日産デイズやルークスには、こうした装備の設定があるだけに残念だ。
7.走行性能の比較
ワゴンRスマイルの評価は 3.5
ワゴンRの評価は 4.0
何を優先するかで評価が変わる乗り味
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スズキ ワゴンRスマイルは、街乗り用として割り切っているように感じる。低・中速域では、ソフトな乗り心地に優れた静粛性などメリットが多い。80km/h以下で走る場合はおすすめだ。
ところが、高速道路など80km/hを超えると、評価は大きく変わる。スマイルとワゴンRのマイルドハイブリッドには、49ps&58Nmを発生するR06D型エンジンに2.6ps&40Nmの小さなモーターが組み合わされている。両側スライドドアを装備し全高をアップしたスマイルは、ワゴンRに対して約100kgも重い。車重の影響で、高速道路の合流ではなかなか速度が上がらない。
上り坂の高速道路では、少し気を抜くと徐々に速度が低下していく。常にアクセルを踏み続ける状態になり、少々疲れる。また、こうしたシーンではエンジンの回転が高いまま維持される。街中で静かなスマイルだったが、上り坂の高速道路では、車内は随分賑やかになる。残念ながら、スマイルにターボ車の設定はない。
しかも、高速道路の大きなカーブでは曲がりにくい。ステアリング操作をしても、反応も鈍くカーブでは外に膨らみがちだ。過敏な反応を嫌った結果のハンドリング性能だが、逆に高速道路などではストレスになる。
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ワゴンRは車重が軽い分、高速道路でもパワーの不満はそれほどない。乗り心地は、やや硬めだ。スマイルと比べると、プラットフォーム(車台)などが同じクルマなのか? と、思うほど異なる。街中ではやや硬めの乗り心地だが、高速道路では安心感がある。スマイルは、高速道路ではフワフワしてサスペンションの揺れが収まらないが、ワゴンRはピシッと走る印象が強い。
ワゴンRはカーブでの安定感もある。ステアリング操作に対しての反応もよく自然に曲がっていく。硬めのサスペンション特有のキビキビ感を味わえる。
静粛性では、やはりスマイルには敵わない。ロードノイズやエンジン音がそれなりに入ってくる。
ざっとまとめると、スマイルがワゴンRより優れているのは、街中での乗り心地と静粛性だ。逆に、ワゴンRがスマイルより勝っているのは、操縦安定性や動力性能となる。何を重視するのかで、人により評価は変わるだろう。
また、両車マイルドハイブリッド搭載車は、アイドリングストップからの再始動時に、キュルキュル、ブォーンというセルモーターとエンジン音がほとんど無い。他社のガソリン車と比べると雲泥の差になる。何度も繰り返されるアイドリングストップからの再始動だけに、静粛性や快適性という面でもマイルドハイブリッド車は優れている。
8.リセールバリュー比較
ワゴンRスマイルの評価は 4.0
ワゴンRの評価は 3.5
高値維持の期待が高まるスマイル
軽自動車は、全体的にリセールバリューが高い。その中で最も高いリセールバリューとなっているのが、スペーシアなどのスーパーハイト系だ。その次に、ワゴンRなどのハイト系と続く。スズキ ワゴンRスマイルはその中間にあり、利便性の高い両側スライドドアを装備していることから、スーパーハイト系とハイト系の中間程度の高いリセールバリューになりそうだ。
ワゴンRはすでにモデル末期でいつフルモデルチェンジしてもおかしくない状態なので、残念ながらスマイルほどのリセールバリューにはならないと予想できる。
スマイルでリセールバリューが高くなりそうなのは、マイルドハイブリッド車で最上級グレードのハイブリッドXだ。このグレードに、人気の2トーンルーフや全方位モニター付メモリーナビゲーションを装着しているとプラス査定になると予想できる。
ワゴンRは、スポーティなスティングレーに高値が付く傾向にある。とくにターボ車は、非常に中高車流通量が少ないので、高値になる可能性が高い。
基準車では、上級グレードのハイブリッドFZ系がおすすめだ。迫力のあるデザインなので、高い人気を維持している。ワゴンRもスマイルと同様、全方位モニター付メモリーナビゲーション装着車はプラス査定になるだろう。
9.まとめ・総合評価
街乗り前提なら、スマイル。走行性能ならワゴンRだが・・・
「高速道路はほとんど走らない。運動性能も気にならない。」というのであれば、スズキ ワゴンRスマイルがおすすめだ。乗り心地と静粛性は高く、両側スライドドアの利便性にも優れていて、街乗りでは最高の移動ツールになる。ワゴンRに対して、コストパフォーマンスも高い。多くの人に無難で便利な1台となる。
ただ、高速道路でのパワフルさや運動性能という部分を重視するのであれば、ワゴンRになる。
しかし2021年12月現在、ワゴンRはあまりおすすめできない。モデル末期でいつフルモデルチェンジしてもおかしくない状況だからだ。買ってすぐに旧型になるのは、なかなか悲しい。当然のことながら、フルモデルチェンジすれば、ほぼすべての面で現行モデルを上回る性能となるだろう。そうなれば、スマイル優位だった乗り心地と静粛性といった差も縮まるか、逆転する可能性もあるからだ。ワゴンRを選択したいと考えているのなら、しばらく待つのが得策と言える。どうしても待てないのなら、中古車のワゴンRを購入して、しばらく待つのがよいだろう。
ワゴンRスマイル | ワゴンR | |
---|---|---|
総合得点(40点満点) | 31.0点 | 29.0点 |
1.燃費 | 4.5点 | 4.5点 |
2.価格 | 4.5点 | 3.5点 |
3.購入時の値引きしやすさ | 3.0点 | 4.0点 |
4.デザイン | 3.5点 | 3.0点 |
5.室内空間と使い勝手 | 4.5点 | 4.0点 |
6.安全装備 | 3.5点 | 2.5点 |
7.走行性能 | 3.5点 | 4.0点 |
8.リセールバリュー | 4.0点 | 3.5点 |
スズキ ワゴンRスマイル
スズキ ワゴンRスマイル 価格(全車CVT)
2WD | 4WD | |
---|---|---|
G | 1,296,900円 | 1,420,100円 |
HYBRID S | 1,472,900円 | 1,596,100円 |
HYBRID X | 1,592,800円 | 1,716,000円 |
スズキ ワゴンRスマイル スペック
代表グレード | ワゴンRスマイル HYBRID X |
---|---|
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 3,395mm×1,475mm×1,695mm |
ホイールベース | 2,460mm |
車両重量 | 870kg |
総排気量 | 657cc |
エンジン最高出力 | 49ps(36kw)/6,800rpm |
エンジン最大トルク | 58N・m(5.9kg-m)/5,200rpm |
モーター型式 | WA04C |
モーター最高出力 | 2.6ps(1.9kw)/1,500rpm |
モーター最大トルク | 40N・m(4.1kg-m)/100rpm |
WLTCモード燃費 | 25.1km/L |
ミッション | CVT |
タイヤサイズ | 155/65R14 |
定員 | 4人 |
スズキ ワゴンR
スズキ ワゴンR 価格(全車CVT)
2WD | 4WD | |
---|---|---|
FA | 1,163,800円 | 1,289,200円 |
HYBRID FX | 1,280,400円 | 1,403,600円 |
HYBRID FZ | 1,421,200円 | 1,544,400円 |
スズキ ワゴンR スペック
代表グレード | ワゴンR HYBRID FZ |
---|---|
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 3,395mm×1,475mm×1,650mm |
ホイールベース | 2,460mm |
車両重量 | 790kg |
総排気量 | 657cc |
エンジン最高出力 | 49ps(36kw)/6,800rpm |
エンジン最大トルク | 58N・m(5.9kg-m)/5,200rpm |
モーター型式 | WA04C |
モーター最高出力 | 2.6ps(1.9kw)/1,500rpm |
モーター最大トルク | 40N・m(4.1kg-m)/100rpm |
WLTCモード燃費 | 25.2km/L |
ミッション | CVT |
タイヤサイズ | 155/65R14 |
定員 | 4人 |
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ワゴンRスマイルのカタログ情報
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- 現行モデル
- 令和3年9月(2021年9月)〜現在
- 新車時価格
- 129.7万円〜177.1万円
ワゴンRスマイルの在庫が現在33件あります
以下車両の保証内容詳細は画像をクリックした遷移先をご確認ください。