N-ONEVSデイズ

ハイト系ワゴンの軽自動車は、燃費や使い勝手、価格などの総合力が問われるクラスだ。
実用性に加え、独自の個性を持つのがN-ONEとデイズである。N-ONEはデザインにこだわり続け、デイズは軽自動車の枠を超えた装備や質感が話題だ。
今回は個性派ハイト系ワゴンの2車種を徹底比較・評価した。

この記事の目次 CONTENTS
ホンダN-ONEの特徴
日産デイズの特徴
1.燃費比較 
2.価格比較
3.購入時の値引き術
4.デザイン比較
5.室内空間と使い勝手
6.安全装備の比較
7.走行性能の比較
8.リセールバリュー比較
9.まとめ・総合評価

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

ホンダN-ONEの特徴

ホンダN-ONE ホンダN-ONE

2代目ホンダN-ONEは、2020年11月に約8年振りのフルモデルチェンジを果たした。

多くの人を驚愕させたのが、こだわりのデザインだ。プラットフォーム(車台)は刷新されたが、外観デザインはほとんど変更されていない。初代N-ONEと比べても違いが分からないほどだ。
2代目N-ONEの外板パネルは、初代N-ONEとまったく同じものを使用した。外観はほとんど初代N-ONEと同じなのに、中身は最新技術を採用するという、前代未聞のフルモデルチェンジが敢行されたのだ。
こうした過去に例のないフルモデルチェンジが行われたのは、初代N-ONEデザインへのリスペクトが理由だ。「フルモデルチェンジすればデザインを変えるもの」という従来の考え方ではなく、初代N-ONEのデザインを守り抜くというホンダの決意でもある。

先代モデルからデザインが代わり映えしないと、顧客が乗り換えてくれなくなり営業面ではマイナスになるケースが多い。販売台数が多い車種ではないので、それほど大きな影響が出ないという見方もある。だがリスクを恐れずこだわりのデザインを守るという前例のないチャレンジは、ホンダらしさを感じさせる。

日産デイズの特徴

日産デイズ 日産デイズ

日産デイズは、日産と三菱の軽自動車に係わる合弁会社であるNMKVから生まれたモデルだ。そのため、三菱eKワゴンやeKクロスと姉妹車関係にある。初代デイズは、日産の企画で開発・生産は三菱だったが、2代目デイズは、日産が企画・開発、三菱が生産を担っている。
軽自動車は生活の足で安価、セカンドカーというイメージが強い。しかし、マーケットは大きく変化しており、ハイト系やスーパーハイト系の多くはファーストカーの価値が求められてきている。
2代目デイズでは、ファーストカーとしての価値を追求した。クラスを超えた質感や装備、安全性能や走行性能を重視している。価格は初代デイズに比べ高くなっているが、クラストップレベルの総合力をもつモデルに仕上がっている。
軽自動車には初装備となったSOSコールは、一部の高級車にしか用意されていなかった安全装備だ。SOSコールは、エアバッグなどが展開するような大きな衝突時が起きると、自動で専門のオペレーターに通報してくれる。オペレーターが警察への連絡や救急車の手配などを代行してくれるシステムだ。

1.燃費比較 

N-ONEの評価は 3.5
デイズの評価は 3.0

マイルドハイブリッドなのに、燃費で負けたデイズ

N-ONEとデイズの燃費は以下の通りだ。(すべてFF、WLTCモード)

自然呼気車 ターボ車
N-ONE 23.0km/L 21.8km/L
デイズ 21.2km/L 19.2km/L

燃費はN-ONEがデイズを上回った。
マイルドハイブリッドシステムを搭載したデイズが、コンベンショナルなエンジンのN-ONEに燃費で負けるという結果には、少々驚きを感じる。

デイズの全高はN-ONEよりも約10センチ高いため、空気抵抗が大きい。しかし燃費に大きな影響を与える車重はほとんど差がない。
こうなると、N-ONEのエンジンの方がより高効率といえるだろう。しかも、自然吸気エンジンでは、N-ONEの方が少しパワフルだ。

ちなみに、デイズは基準車と言われるベーシックグレードにはマイルドハイブリッドシステムは非搭載で、ハイウェイスターと呼ばれる上級グレードには搭載されている。
ただ、燃費はどちらも同じだ。

2.価格比較

N-ONEの評価は 2.5
デイズの評価は 3.0

指名買いユーザーがターゲットとはいえ、高価すぎるN-ONE

N-ONEとデイズの価格は以下の通りだ。

エントリーグレード 売れ筋グレード 最上級グレード
N-ONE 1,599,400円(オリジナル) 1,779,800円(プレミアム) 2,022,900円(プレミアムツアラー/4WD)
デイズ 1,327,700円(S) 1,666,500円(ハイウェイスターX プロパイロットエディション) 1,915,100円(ハイウェイスターGターボ アーバンクロム プロパイロットエディション4WD)

価格帯だけで見れば、N-ONEはかなり高価だ。
デイズはマイルドハイブリッドシステムやSOSコールを標準搭載している。
予防安全装備は、両車ほぼ同等レベルである。
しかし売れ筋のN-ONEプレミアムでは、標準装備のシートヒーターなどがデイズでは装備されていないなど、少し装備差がある。

グレードにより微妙な装備差はあるものの、全般的にデイズの方が安価な傾向にある。
デイズも、このクラスでは高価なモデルだ。
むしろN-ONEが指名買いユーザーがターゲットとはいえ、装備や質感などを含めてもかなり高価であるといえる。

3.購入時の値引き術

N-ONEの評価は 3.0
デイズの評価は 4.0

値引きの難しい個性派モデルも、競合させると値引き額UP?

ホンダN-ONEは、2020年11月に登場した新しいモデルだ。しかも、個性派モデルであるため指名買いが多く、一般的にはなかなか値引きが引き出しにくい。
しかし2021年6月現在、新車販売は過去に例を見ないほど混乱している。コロナ禍や半導体不足が要因だ。N-ONEも値引きを要求する顧客を無下にできない。

何もしなければ値引きは望めない。必ずライバル車と競合させることが重要だ。
N-ONEの場合、デイズと競合させることは必須である。価格に重点を置くなら、ルークスやタントといったスーパーハイト系と競合させるのもよい。
必ず、先に競合車の見積りを先に取ってから、N-ONEと競合させることが重要である。N-ONEが本命だと見抜かれにくくなるからだ。

その上で、商談時は「私はN-ONEがいい」と思っているのだが、家族は「タントやルークスがいい」と言っているなどと伝えてみよう。その上で、条件が良ければ家族を説得しやすいなど、暗に値引きを要求するといい。商談期間も長めに取るのもよい。営業マンが「いつご購入なさいますか?」と、焦ってくればチャンスだ。「もう少し支払い総額が抑えられれば・・・」などと、更なる値引きを交渉するとよい。
こうした手法で、一定の値引きが引き出せる。しかしN-ONEの場合、値引きが期待できないグレードがある。それは、スポーツグレードRSのMT車だ。MT車というだけで、かなりマニアックな顧客と判断される上に、軽自動車のMT車でスポーツグレードというのはほぼN-ONEだけである。こうなると、指名買い確実なので値引きはかなり厳しくなる。

対する日産デイズは、値引きが期待できるモデルである。日産は経営危機中なので、値引き気にして顧客を逃がすより、値引きしてでも1台でも多く売りたい状況だからだ。
競合させる車種は、N-ONEはもちろん、N-WGNやワゴンR、ムーヴなどがおすすめ。これらの車種は、販売台数が重視されるため、各社値引き額が大きくなる傾向にある。後は、N-ONEと同じように商談すれば、大きな値引き額を引き出しやすくなる。

4.デザイン比較

N-ONEの評価は 4.0
デイズの評価は 4.0

長く使っていても古さを感じさせないN-ONE。インテリアの質感が高いデイズ

N-ONEの外観 N-ONEの外観

ホンダN-ONEは、ホンダ初の量販軽自動車であるN360のデザインをモチーフとした。「丸・四角・台形」を基本のかたちと定め、走る楽しさと安全性を感じられるデザインを追求している。N-ONEの全体的なシルエットは台形。ボディ下部に向かってボリュームが増え、安定感あるスタイルになっている。このスタンスの良さは、力強さもあり、N-ONEらしさを表現している。

N-ONEのフロントフェイス N-ONEのフロントフェイス
N-ONEのリヤエンド N-ONEのリヤエンド

ホンダは、このデザインをタイムレスデザインと呼ぶ。次世代へ受け継がれる普遍性を目指した。そのこだわりは強く、なんと外板パネルは初代N-ONEと同じタイムレスデザインを貫いた。初代N-ONEと比べると、まるで間違い探しのようで、ヘッドライトやバンパー、リヤコンビネーションランプの形状が若干違う程度だ。

ボディパネルを一切変更しないといった手法は、フルモデルチェンジでは異例中の異例である。営業面では、初代N-ONEユーザーが乗り換えてくれない、代わり映えしないので注目されないなど、大きなマイナス面が目立つ。そうしたマイナス面よりも、N-ONEのデザインを守り、N-ONEを愛するユーザーの満足度を上げ、N-ONEブランドをより強固なものにしたいというホンダの想いを感じさせる。

N-ONEのインパネ N-ONEのインパネ

N-ONEのインテリアデザインは、先代のインパネをイメージさせつつ、「心地よい開放感」を高めるためミニマルな室内空間を追求した。全体的にスッキリとして、居心地のよい空間となっている。

N-ONEのメーター N-ONEのメーター

ただ、メーターの質感は、ややチープで物足りない。車両価格が高いため、液晶メーターを採用するなどの高級感が欲しかった。

デイズの外観 デイズの外観

日産デイズのデザインは、エントリーグレードの基準車と、売れ筋のスポーティで迫力あるハイウェイスターの2タイプが用意されている。どちらも、初代デイズのイメージをまったく感じさせないものとなった。

デイズのフロントフェイス デイズのフロントフェイス
デイズのリヤエンド デイズのリヤエンド

フロントフェイスには、日産のデザインアイコンであるVモーショングリルを装備した。やや太めのフレームで、押し出し感あるフェイスに仕上がっている。
シャープなヘッドライトは、マルチレフタイプLEDを2段配列している。ボディサイドのキャラクターラインもシャープで、全体的にスポーティにまとめられている。

デイズのインパネ デイズのインパネ
デイズのメーター デイズのメーター

デイズのインテリアも、オーソドックスながらスッキリとまとめられていて好感度の高いデザインとなっている。9インチのモニターも大きく見やすい。しかし、タッチ式のエアコン操作部は、見映えはよいものの、運転中などブラインドタッチで操作するのが難しい。

ハイウェイスターでオプションのプレミアムコンビネーションインテリアのシート表皮は、なかなかオシャレなブラック&ブラウンでまとめられていて質感も高い。しかし、ハイウェイスターの標準シート生地は、チェッカー柄で少々煩く感じさせる。

N-ONEの外観デザインは、長く使っていても古さを感じさせない。これは、デイズと比べると大きなメリットだ。ただ、室内の質感などは、価格の安いデイズが上回っている。

5.室内空間と使い勝手

N-ONEの評価は 4.0
デイズの評価は 4.0

室内の広さは互角。荷室の使い勝手は、使い方次第

N-ONEとデイズのボディサイズとホイールベースは以下の通りだ。

全長×全幅×全高 ホイールベース
N-ONE 3,395mm×1,475mm×1,545mm 2,520mm
デイズ 3,395mm×1,475mm×1,640mm 2,495mm

両車、全長と全幅は軽自動車枠ギリギリのサイズで同じだ。だが全高は95mmも違う。
N-ONEの全高は、都市部に多い立体駐車場の全高制限である1,550mm以下に設定されている。こうした制限のある立体駐車場でも使えるのが、N-ONEの利点だ。
しかし頭上のスペースが小さくなるため、乗員の開放感や大きな荷物を搭載する際には、デイズが有利になる。

N-ONEの運転席 N-ONEの運転席
N-ONEの後席 N-ONEの後席
デイズの運転席 デイズの運転席
デイズの後席 デイズの後席

室内スペースは、大きな差はない。両車共に、後席スペースも広大だ。後席2名で乗車すると、さすがに横方向のスペースはタイトさを感じるものの、足元のスペースは十分だ。

N-ONEの荷室 N-ONEの荷室

積載性は、N-ONEはリヤシートのダイブダウン、チップアップ機能が装備されている。ダイブダウンは、前方に後席がスライドし、後席と荷室がフルフラットになる。チップアップは、後席座面が情報に跳ね上がり固定できる。背の高い荷物を立てた状態で積むことが可能だ。
この積載性はホンダ独自のセンタータンクレイアウトによって実現した。これはデイズにはないものだ。

デイズの荷室 デイズの荷室

こうした機能がある一方で、N-ONEはリヤシートの分割スライドができない。デイズは、左右分割でスライドが可能だ。リヤシートを前方にスライドさせれば、荷室の容量も自在に変えることができ便利である。
荷室関連の使い勝手は、一長一短である。使い方により、どちらが便利か、評価が変わる。

6.安全装備の比較

N-ONEの評価は 3.5
デイズの評価は 4.0

軽自動車 初装備のSOSコールを用意したデイズがわずかにリード?

重要な予防安全装備である歩行者検知式自動ブレーキは、両車共に標準装備化されているが、若干性能差がある。
ホンダN-ONEの自動ブレーキは、昼夜の歩行者と自転車に対応している。対する日産デイズは、夜間の歩行者と自転車には非対応だ。

運転支援機能である全車速前走車追従式クルーズコントロールは、N-ONEには全車標準装備されている。しかし、日産の同様な機能をもつプロパイロットは、プロパイロットエディションと呼ばれるグレードのみに標準装備しており、その他のグレードでは装備ができない。
この機能は、高速道路などで渋滞した場合、簡単な操作でストップ&ゴーが可能になる。渋滞時の疲労軽減ができるのだ。結果的に安全にも繋がる、利便性の高い機能だ。

逆に、N-ONEには無くデイズには用意されている機能もある。N-ONEとデイズ共に誤発進抑制制御を装備しているが、N-ONEには後退時の誤発進抑制制御はない。デイズには、後退時の低速衝突軽減ブレーキ機能が装備されている。

デイズには、インテリジェントアラウンドビューモニターが用意されている。車両の各部に取り付けられたカメラ映像を加工して、車両を俯瞰でみた映像にしてモニターに表示してくれる。クルマの死角を減らし、うっかり接触を回避するのだ。近付いてくる移動物も検知してくれるので、なかなか便利で安全な機能である。一部車種ではオプションだ。

大きな差になるのが、デイズに装備されたSOSコールだ。N-ONEに装備されていない。
軽自動車では初搭載のSOSコールは、エアバッグが開くような大きな事故が起きると衝撃を検知し、その情報を自動でコールセンターに送信してくれる。専門のオペレーターがその情報を元に、事故の状況に応じで救急車や警察などの手配を代行するのだ。事故によりドライバーが意識を失い連絡が取れない場合も、送られた車両データを元に現在地などを特定し救急車などの手配を代行してくれる。
もしもの時には、とても頼りになるシステムといえる。
デイズのSOSコールは、一部車種でオプションになるが、ハイウェイスター系には全車標準装備となっている。

7.走行性能の比較

N-ONEの評価は 4.0
デイズの評価は 4.5

両車、クラストップレベルの走行性能。しかし、静粛性に差が!

N-ONEとデイズのエンジン出力は以下の通りだ。

自然吸気エンジン ターボエンジン
N-ONE 58ps&65Nm 64ps&104Nm
デイズ 52ps&60Nm 64ps&100Nm
N-ONEのエンジンルーム N-ONEのエンジンルーム

エンジンスペック比較では、N-ONEが上回っている。
実際に試乗すると、絶対的な速さという面ではN-ONEかもしれないが、街中ではデイズの方が力強く走りやすく感じる。これは、エンジンの個性によるものだ。
街中の使いやすさでは、低・中速域のトルクが重要になる。N-ONEの最大トルクは、4,800回転で発生するのに対し、デイズは3,600回転で最大トルクを発生する。最大トルク発生回転数が1,200回転も違う。
デイズの方がエンジンの回転数をあまり上げなくても力強く走るので、街中では扱いやすく感じるのだ。デイズのマイルドハイブリッド車は、モーターのアシストが加わることも好印象につながっている。

乗り心地に関しては、両車共に、このクラストップレベルの実力を誇る快適さだ。ただ、若干味付けが異なる。N-ONEの場合、スポーツグレードのRSを除くと、全体にサスペンションが良く動き、路面の凹凸をいなすシットリ系フラットライドな乗り心地になっている。全体的に少しソフトで穏やかな乗り味だ。

デイズのエンジンルーム デイズのエンジンルーム

対するデイズは操縦安定性重視のカッチリした乗り味といえる。やや硬めの乗り味ながら、路面の凹凸はしっかりと吸収しているので、不快さはない。ステアリング操作に対しても、リニアで接地感がある。カーブでステアリングを切り増していくような状況でも、クルマはしっかりと反応し、グイグイと良く曲がる。車高はN-ONEに対して、95mmも高いが、重心の高さを感じさせないのも美点だ。

乗り味は、N-ONE(RSを除く)は街中をスイスイ走る快適派だ。デイズは、カーブなどでもキビキビ走れるスポーティ派な感じがした。どちらが良いか、というよりもどちらの乗り味が好きか? と、いう選択肢になる。しっかりと試乗して決めるといいだろう。

大きく差がついたのが静粛性だ。
通常時の静粛性に大差はなく、両車共に非常に優れており、クラストップレベルにある。差がついたのは、ストップ&ゴー時に起きるアイドリングストップからのエンジン再始動時だ。N-ONEは、一般的なセルモーターを使い再始動するため、停止する度に「キュルキュル、ブオォーン」という音と振動がする。
たまになら気にならないのだが、渋滞中や流れの悪い道では、短時間にこれを何回も繰り返されるので、なかなか不快な気分になってしまう。
デイズハイウェイスター系は、マイルドハイブリッド機能の効果でアイドリングストップからの再始動時に「キュルキュル」というセルモーターの音や振動がほとんどない。マイルドハイブリッドのモーターを使ってエンジンを始動するので、イメージ的には「シュルルン」といった音が僅かにするだけだ。振動もほとんどない。この差は、大きい。

8.リセールバリュー比較

N-ONEの評価は 4.0
デイズの評価は 3.5

中古車流通量の少ないN-ONEが、より高リセールバリューの期待大

ホンダN-ONEや日産デイズが属するハイト系ワゴンの軽自動車は、人気も高く、中古車価格も高値を維持している。中古車価格に比例して、リセールバリューも高めになる。

ただ、N-ONEとデイズでは、若干、差が出そうだ。
N-ONEは、販売台数が少なく、コアなファンに支えられている。そのため、初代N-ONEの中古車価格は高値維持傾向だ。
対して、デイズは高級志向とはいえ、一般的な軽自動車としての側面もある。販売台数も多く、新車値引きも大きめ、しかも未使用車も多く流通している。
未使用車とは、メーカーやディーラーの都合で届出(登録)しただけの車両のことだ。一度届出すると中古車扱いになるため、中古車店で安価に販売される。ほとんど新車コンディションなのに価格が安いため、未使用車が多く流通すると、高年式車両を中心に中古車価格が下がってしまうのだ。
中古車価格が下がるということは、リセールバリューも同調するように下がる。こうした傾向が見られるのが、デイズだ。そのためN-ONEと比べると、リセールバリューはやや低めになるだろう。

N-ONEでより高いリセールバリューとなりそうなのが、RSのMT車だ。中古車流通台数も少なく、一部のMTファンに人気が出そうである。ただ、中古車では人気が無く、逆にリセールバリューが低くなる可能性もある。

デイズでリセールバリューが高くなると予想できるのは、やはり人気の高いハイウェイスターだろう。最上級グレードとなるハイウェイスターXプロパイロットエディションが、最もリセールバリューが高くなると予想できる。
また、両車共に異なるルーフカラーとボディカラーとなる2トーンカラーの人気が高い。2トーンカラーもリセールバリューがアップする要素となるだろう。

9.まとめ・総合評価

デザインが決め手? 両車、優劣付け難い超実力車

ホンダN-ONEと日産デイズを比べると、多くの項目でほぼ同等レベルとなっていて大きな差がない。しかも、このクラスの軽自動車としては、どの項目においてもクラストップレベルの実力を誇る。
こうなると、自身の使い方や考え方をより具体的にイメージして、優先順位を付けて選択するとよいだろう。
例えば、SOSコールや静かなアイドリングストップからの再始動、価格のバランス、スポーティな走行性能が重要なのであればデイズという選択になる。
逆に、何よりもユニークなデザインであること、高いリセールバリュー、ゆったりした乗り味、夜間の歩行者と自転車検知の自動ブレーキなどが大切ならばN-ONEになる。

それでも、その差は甲乙つけがたい。実際にタップリと試乗して、より自分のフィーリングに合ったクルマを選ぶとよいだろう。

N-ONE デイズ
総合得点(40点満点) 28.5点 30.0点
1.燃費 3.5点 3.0点
2.価格 2.5点 3.0点
3.購入時の値引きしやすさ 3.0点 4.0点
4.デザイン 4.0点 4.0点
5.室内空間と使い勝手 4.0点 4.0点
6.安全装備 3.5点 4.0点
7.走行性能 4.0点 4.5点
8.リセールバリュー 4.0点 3.5点