2代目デイズは、高級車並みの装備を得た新世代の軽自動車として誕生した。
軽自動車が生活の足やセカンドカーという使い方から、ファーストカーとして使われるようになってきたこともあり、今回は走行性能や質感など従来の軽自動車を超えるクオリティを追求した。

この記事の目次 CONTENTS
日産デイズの歴史・概要
1.コンセプト&エクステリア(外装)デザイン
2.インテリア(内装)&装備
3.走り、メカニズム
おすすめは新型デイズ?それとも旧型?
新車値引き交渉のポイント
日産デイズ価格とスペック

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

日産デイズの歴史・概要

日産 デイズは、ハイト系ワゴンに属する軽自動車だ。
このクラスは激戦で、ワゴンRやムーヴといった看板車種がある。

初代デイズ

初代日産デイズは、日産と三菱のアライアンスから生まれた初のモデルで、両車の軽自動車に関する合弁会社NMKVから生まれている。
そのため、三菱のeKワゴンとは姉妹車関係にあたる。
初代デイズは主に日産が企画、三菱が開発・生産を行ったが、2代目デイズでは日産が企画・開発を行い、三菱が生産を担当している。

デイズ 外観

初代デイズが登場した2013年は、燃費ナンバー1争いが激化していたころで、「燃費ナンバー1を取れば売れる」という認識が各社強かった。
そのため、やや後出しになった初代デイズは、デビュー時から燃費でライバルに負けることを許されなかった。

かなり燃費にこだわった開発が進められ、デビュー直後に燃費クラスナンバー1を獲得。
しかし、数か月後にワゴンRにその座を奪われてしまう。
その後も燃費性能にこだわって開発を続けていたが、なんと2016年に三菱による燃費不正が発覚し、一時期販売を停止するなどの事件が起きた。

2代目デイズ

2代目デイズは2019年にデビュー。
軽自動車が生活の足やセカンドカーという使い方から、ファーストカーとして使われるようになってきた。
今回のフルモデルチェンジでは素行性能や質感など従来の軽自動車を超えるクオリティを追求した。

デイズ 外観

日産の運転支援システムである同一車線内を維持、先行車に追従し停止から発進まで簡単な操作で走行できる「プロパイロット」機能を軽自動車に初採用した。
また、事故時にドライバーの意識がない場合、車載通信機で以上を察知した専門のオペレーターが救急車などを手配してくれるSOSコールも用意した。
こうした高級車並みの装備を得た新世代の軽自動車として、2代目デイズは誕生している。

1.コンセプト&エクステリア(外装)デザイン

新型のデザインは大きく変更された。
基準車のシャープさと可愛らしさを絶妙に融合した点などは高く評価できる。
また、ギラギラ迫力系で、ミニエルグランド感を出したハイウェイスターも存在感がある。

ただ、意外なほど旧型のデザインが古臭く見えない。そういう点では、旧型のデザインは秀逸といえるだろう。

基準車は迫力のあるデザイン

デイズ 外観 旧型デイズ基準車の外装

新型のデザインは、旧型と同様に基準車と他社のカスタム系に相当するハイウェイスターの2タイプが用意されている。
旧型は女性ユーザーを意識して、丸めのやや優しい顔にまとめられていた。

デイズ 外観 新型デイズ基準車の外装

しかし新型の基準車は、ツリ目でシャープなヘッドライトと、太めのVモーショングリルを装備しており、なかなか迫力のあるフェイスに仕上げている。

ハイウェイスターはスッキリとした印象

旧型のハイウェイスターは、日産の最上級ミニバンであるエルグランドをイメージしたギラギラ&迫力系フェイスをもつ。
いわゆる迫力&威圧系デザインで、売れる顔をしていた。

新型のハイウェイスターは、Vモーショングリルを基準車より大型化しているものの、シャープながらコンパクトなヘッドライトということもあり、意外なほどアッサリとしたフェイスに仕上げている。
迫力系というより、スポーティな印象が強くスタイリッシュに見える。
また、日産のデザインアイデンティティでもあるVモーショングリルのVの字がいたる所に使われており、少々V字デザインがうるさい感じがある。

2.インテリア(内装)&装備

新型の質感や先進装備はクラスを超えた実力を誇る。
後席は、ホイールベースが伸びたことにより、このクラスではトップレベルの広さを誇る。日産の高級車セダンであるフーガ並みだ。
初代デイズも、それなりの質感をもっていたものの、やはり2代目デイズと比べられると分が悪い。もちろん、装備面が充実した分だけ2代目デイズは高価になった。

一クラス上の高級感

2代目デイズは、ファーストカーとしての価値をアップするために、内装の質感などを大きく向上している。

デイズ 内装 新型デイズの内装(1)
デイズ 内装 新型デイズの内装(2)

シート生地のデザインや素材感もアップした。
ハイウェイスターにはレザー調のプレミアムコンビネーションインテリアや、インパネも用意したことで、一クラス上の質感を手に入れている。

デイズ 内装 旧型デイズの内装(1)
デイズ 内装 旧型デイズの内装(2)

レベルの高い安全装備

2代目デイズは、日産の先進技術を搭載することがコンセプトとされていたことから、とても充実した装備となった。
とくに安全装備の標準装備化レベルが高い。

歩行者検知式自動ブレーキに、踏み間違え防止アシスト、サイド&カーテンエアバッグなどが標準装備化されている。
さらに、事故時にドライバーが意識を失っていても、衝突を検知し自動で専門のオペレーターにつなぎ、救急車の手配などをしてくれるSOSコールもオプションで用意された。

また、運転支援装備にプロパイロットが用意されている。
プロパイロットは、高速道路などで車線を認識し維持しながら前走車に追従する。
渋滞時の停止から発進も簡単な操作で繰り返し使うことができ、ドライバーの疲労軽減に役立つ運転支援機能だ。

デイズ 内装 新型デイズ
デイズ 内装 旧型デイズ

こうした装備は、さすがに設計の古い初代デイズでは勝負にならない。
2代目デイズは軽自動車の中でもトップレベルの装備を誇る。

3.走り、メカニズム

旧型の乗り心地は、少々フワフワしたものだった。乗り心地がよいという評価にはつながりにくく、カーブでは大きく傾き少々安定感に欠けるものだった。
しかし新型では、しっかりとした安定感と乗り心地を両立している。
大きな凹凸でもしっかりとショックを吸収した。
乗り心地面では、このクラスのなかで高いレベルにある。

デイズ 外観 新型デイズ

ただ、乗り心地を重視してしまったからか、カーブでは大きくクルマが傾く。
高速道路を走るとなると、もう少し傾きを抑えたサスペンションセッティングが望ましい。
パワフルなハイウェイスターのターボでも、サスペンションの基本セッティングは自然吸気エンジンと同じだ。コストを抑えることも重要だが、パワーに見合った足回りのセッティングにしてほしい。

走りやすいエンジン、疲れにくい運転

旧型のエンジンは、三菱の開発で最終モデルが49ps&56Nm、燃費は25.8㎞/Lだった。
ターボモデルは64ps&98Nm、燃費は23.2㎞/Lだ。

新型は、日産の開発で52ps&60Nmで、燃費は29.8㎞/Lとなった。
ターボモデルは、64ps&100Nmで燃費は25.2㎞/Lになり、よりパワフルで燃費も向上していることがよく分かる。
新型のエンジンはルノーエンジンをベースとし、日産が軽自動車用に開発したため、中身はほぼ別物になっている。

デイズ エンジン 新型デイズのエンジン
デイズ エンジン 旧型デイズのエンジン

とくに、大きな差を感じるのは自然吸気エンジンだ。
旧型は低速域のトルクが細く、街中でやや力不足な印象があった。旧型に乗るなら力強いターボがおすすめだ。
新型は低速トルクが太くなり、なかなか走りやすくなっている。街中中心なら、ターボは必要ないだろう。

ターボ車の出力そのものに、新型と旧型で大きな差はないが、ターボ車も低回転からトルクを出せるため街中でキビキビ走る。

また新型のホイールベースが伸びたことにより、高速道路での直進安定性が大幅に向上した。
ターボ車はとくにパワーがあるので、直進安定性が良くなったことで、ロングドライブでもより疲れにくいクルマに仕上がった。
旧型はホイールベースが短いこともあり、速度が上がるほど直進性が悪くなりやすかった。とくに路面のうねりがあるような場所では顕著だった。

おすすめは新型デイズ?それとも旧型?

予算が十分にあり最新の安全装備と走行性能、運転支援装備を重視したいということなら、間違いなく新型を選ぶべきだろう。
もはや軽自動車の枠を超えた装備で、十分な満足度を得られる。
安全装備を重視するのであれば、エントリーグレードでも十分だ。

予算は少ないが上級な装備などがついたモデルが欲しいというのであれば、旧型のハイウェイスターなどが向く。ターボ車を選択すれば、動力性能的にも十分だ。

新型は高性能と考えるとお買い得か?

当然、設計の新しい新型は、走行性能や装備などほとんどの面で初代デイズを大きく上回る。
とくに、高速道路などで同一車線を維持し先行車に追従走行する「プロパイロット」や、事故時など自動でコールセンターに通報してくれる先進装備などに興味があるのなら、やはり新型がよい。

デイズ 外観 新型デイズ

また安全装備においても、歩行者検知式自動ブレーキや踏み間違え防止アシスト、サイド&カーテンエアバッグなどが標準装備されており、旧型を大幅に上回る。
旧型は、2018年に改良されたモデルからようやく歩行者検知式自動ブレーキを装備した程度だ。

安全装備や運転支援装備だけでなく、静粛性や乗り心地、走行性能も新型が大きく上回る。

旧型と新型では価格帯が大きく異なる

では、初代デイズに価値が無いかというとそうでもない。車両価格が大きく違う。

これだけ充実した装備になると、新型の価格はかなり高価になる。
ハイウェイスターGターボ プロパイロットエディションの価格は1,778,760円で、ナビなどのオプションをさらに選択すると200万円コースだ。
1.3Lクラスのコンパクトカーで、上級グレードが買えるレベルになっているのだ。

これに対して、初代デイズ ハイウェイスターGターボの2016年式という高年式でも90万円以上の予算があれば、程度の良い中古車が購入できる。
新型の新車価格の半額程度になり、予算面でこれだけ違うと悩みどころだ。

デイズ 外観 旧型デイズ

また、旧型のデザインはなかなか秀逸で、2013年に登場したモデルとは思えないくらい古臭さを感じない。

新車値引き交渉のポイント

新型日産デイズは2019年3月に登場したばかりの新型車だ。
当然、そう簡単に値引きには応じてくれない。
しかし、日産のディーラーは、他に新型車が無く苦しい状態が続いている。
新型デイズと、ワゴンRや姉妹車のeKワゴンなどを競合させれば、一定の値引きを引き出せるかもしれない。

消費税増税後がチャンス?

増税前の駆け込み需要が発生すると値引きは厳しくなるが、増税後は反動で大幅に販売台数減となると予想できる。
販売台数が減れば、値引きしてでも売るという考え方が強くなるので、より多くの値引きを期待できる。

デイズ 荷室 新型デイズのトランク(荷室)
デイズ 荷室 旧型デイズのトランク(荷室)

日産デイズ価格とスペック

2WD グレード 価格
S 1,273,320円
X 1,325,160円
ハイウェイスターX 1,469,880円
ハイウェイスターX プロパイロットエディション 1,567,080円
ハイウェイスターGターボ 1,549,800円
ハイウェイスターGターボ プロパイロットエディション 1,647,000円
ボレロ 1,411,560円
4WD グレード 価格
S 1,405,080円
X 1,456,920円
ハイウェイスターX 1,601,640円
ハイウェイスターX プロパイロットエディション 1,698,840円
ハイウェイスターGターボ 1,681,560円
ハイウェイスターGターボ プロパイロットエディション 1,778,760円
ボレロ 1,543,320円

代表グレードはハイウェイスターX プロパイロットエディション(FF)。

ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 3,395×1,475×1,640mm
ホイールベース[mm] 2,495mm
車両重量[kg] 860kg
総排気量[cc] 659cc
エンジン最高出力[ps(kw)/rpm] 52〔38〕/6,400rpm
エンジン最大トルク[N・m(kg-m)/rpm] 60〔6.1〕/3,600rpm
ミッション CVT
燃費 JC08モード 28.6km/L
燃費 WLTCモード 21.2㎞/L