この記事の目次 CONTENTS
50年以上の歴史に幕を閉じるマークX
古くなり過ぎてしまったことが敗因か?
ブラック&レッドのスポーティな内装となった特別仕様車
なかなかお買い得なのだが、購入には覚悟が必要
トヨタ マークX特別仕様車250S“Final Edition”価格

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

50年以上の歴史に幕を閉じるマークX

トヨタは、中型のセダンであるマークXを2019年12月をもって生産終了すると発表した。
生産終了にともなって、マークXに特別仕様車 250S“Final Edition”ならびに250S Four“Final Edition”を設定し発売を開始した。

トヨタ マークXは、1968年に登場したマークⅡの後継モデル。
50年以上もの長い期間、トヨタの中型セダンとしての役割を担ってきた。
1980年代には、バブル期のハイソカーブームを牽引する人気モデルとなる。

2004年には、車名をマークXに改名。
クラウンに次ぐ上級セダンとしての魅力を発信し続けたものの、セダンモデル離れは加速度的に進み、マークXの販売台数は伸び悩んでいった。

2009年にフルモデルチェンジし2代目マークXが誕生。
販売台数は低迷したままだが、モデル後期になるとG'sやGRMNといったスポーツモデルが投入された。
こうしたカスタマイズ車両は非常に人気が高く、FR(後輪駆動)スポーツセダンを熱望する多くの潜在ファンがいたことを明確にした。

古くなり過ぎてしまったことが敗因か?

そして2019年12月に、マークⅡから長年受け継がれてきた歴史に幕を閉じることになった。
この選択になった理由は多岐にわたる。

まず、セダンマーケット縮小により、販売が低迷した。
さらに、ハイブリッド技術を含め最新のテクノロジーをマークXに投入しなかった(できなかった)こともある。
基本設計が古すぎて、トヨタの中でも最新のFF(前輪駆動)ハイブリッド車との性能差が大きくなり過ぎた点が上げられる。

仮に、マークXにハイブリッドシステムを投入したとしても、クラウンやカムリといった自社内のセダンと共食いとなる可能性が高い。
SUVの人気もあり、セダンモデルのマーケットは縮小傾向のままだ。
いまさらマークXにハイブリッド車を投入しても、大きな販売台数増は見込めないのだろう。

また、トヨタは販売チャネルの統合を進めている。
それに合わせて、今後、車種ライアップを減らし、より効率的な方向に向かうことから、今回のマークXはその一例ともいえる。

ブラック&レッドのスポーティな内装となった特別仕様車

ファンへの感謝を込めて設定された特別仕様車250S“Final Edition”と250S Four“Final Edition”は、人気グレードの250Sをベースとした。

エクステリア(外装)関係で用意された特別装備は、スパッタリング塗装の18インチアルミホイール(2WD)、ダークメッキのフロントバンパーモールを採用。高級感ある仕様としている。

外板色には、ホワイトパールクリスタルシャイン、シルバーメタリック、プレシャスブラックパールの全3色を設定。

インテリア(内装)は、ブラック&レッドのスポーティでゴージャスな仕様となった。
アルカンターラ+合成皮革シート表皮と、レッドを配色したソフトレザードアトリム表皮を採用。
さらに、本革巻き4本スポークステアリングホイール、シフトブーツ、インサイドドアグリップ、フロントコンソールボックスなどには、随所にレッドステッチをプラスした。
ブラック&レッドのスポーティなスタイルに統一している。

機能面では安全装備を強化し、駐車時の接触や衝突の回避に貢献する「クリアランスソナー&バックソナー」を標準装備した。

なかなかお買い得なのだが、購入には覚悟が必要

トヨタ マークX特別仕様車250S“Final Edition”の価格は、3,331,800円となっている。
ベースの250Sの価格が3,207,600円なので、約12万円高となった。

この約12万円高分で、18インチホイールやブラック&レッドのアルカンターラシート、クリアランスソナー&バックソナーなどが装備されたことになる。

ベース車両の250Sは16インチホイールなので、18インチホイールのオプションを選択しただけで、プラス約16万円となる。
ホイールだけでも十分にお買い得感がある設定。

さらに、クリアランスソナー&バックソナーが約3万円。
アルカンターラシート分やその他の加飾分が追加される。

プラスされた特別装備分を加味すると、プラス約12万円高という価格設定はなかなかお買い得感のある仕様といえる。

しかし、手放しでおすすめかと言えば少々微妙だ。
よほどマークXが好きというのであれば問題ないが、かなり古いV6 2.5Lエンジンで11.8㎞/L(JC08)という燃費性能の良くないクルマを買うにはそれなりの覚悟が必要だ。

すでにマークXのリセールバリューは並みのクルマといったレベルで、トヨタ車の上級モデルとしては今ひとつといった状況になっている。
燃費がイマイチなモデルは、今後よほど個性のあるモデル以外、リセールバリューが高値+維持することは難しいだろう。

トヨタ マークX特別仕様車250S“Final Edition”価格

・マークX 特別仕様車250S“Final Edition”:3,331,800円
・マークX 特別仕様車250S Four“Final Edition”:3,489,480円