マツダは、中型のSUVであるCX-5を一部改良。また、特別仕様車「Exclusive Mode(エクスクルーシブ・モード)」新設定して発売を開始した。

この記事の目次 CONTENTS
2.5Lターボエンジン追加とGVCプラスを新採用
420Nmという大トルクを発揮する2.5Lターボエンジン
キャラが被るディーゼルと2.5Lターボエンジン。経済性ではディーゼルが勝る!
絶妙な制御をするGVCプラスが登場
ラグジュアリーSUVを極めた特別仕様車「Exclusive Mode」
マツダCX-5価格

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

2.5Lターボエンジン追加とGVCプラスを新採用

マツダCX-5の主な改良点は、2.5Lターボの新エンジンを搭載。車両安定制御技術であるGVCを進化させた「GVCプラス(G-ベクタリング コントロール プラス)」を新採用した。

2代目の大幅改良で基本性能が大幅に向上

マツダCX-5は、2017年2月にフルモデルチェンジし発売が開始され2代目となった。プラットフォーム(車台)は、初代CX-5のものを使用。基本的に同じプラットフォームなのだが、2代目CX-5では大幅な改良が施された。これにより、ボディ剛性などの基本性能は大幅に向上された。初代CX-5と比べると、特に静粛性や乗り心地が一段と良くなっている。

ラグジュアリーなSUVへと進化し続ける2代目CX-5

インテリアデザインは、初代CX-5のスポーティなものから一転し、ラグジュアリーな方向性へ舵が切られた。各パーツ類の質感も高められている。乗り心地や静粛性の向上と相まって、1クラス上の高級SUV感が強くなった。
また、2018年始めの改良では、2.5Lの気筒休止機能を加えた新エンジンを搭載。2.5Lエンジンをより低燃費化させている。

420Nmという大トルクを発揮する2.5Lターボエンジン

今回施されたマツダCX-5の改良では、新型のエンジンが搭載された。搭載されたのは、直4の2.5Lターボエンジンだ。PY-VPTS型と呼ばれる2.5Lターボの最大出力は、230ps/4,250rpm。最大トルクは、420Nm/2,000rpmとなっている。このエンジン、すでに北米マーケット用に投入されているCX-9と基本的に同じものだ。

大きく重いSUVを街中で扱いやすく

この2.5Lエンジンの特徴は、スペックからすぐに分かる通り、低・中速域でのパワーやトルクを重視した仕様になっている。大きく重いSUVを街中で扱いやすく、余裕ある走りを実現するためだ。低・中速域のトルク重視というセッティングは、いかにもアメリカで好まれる仕様といえる。

ただ、ターボエンジンは、ターボラグという悪癖がある。ターボによる過給が始まり、パワーやトルクがアップするまでの僅かなタイムラグが発生する。アクセルを踏み込んでも、僅かな時間だがエンジンの反応が悪くなるのだ。

高出力と幅広い低燃費領域を実現

こうした悪癖を解消すべく、2.5Lターボエンジンには、ダイナミック・プレッシャー・ターボと呼ばれる技術が採用された。この技術は、低速領域での過給能力や吸気工程での掃気効率を向上させ、加速レスポンスや低速トルクをより向上させている。

また、クールドEGR技術も採用した。この技術により、燃焼室の温度を低減。ノッキングを抑制し、排気ガス温度を低減することに成功。高出力と幅広い低燃費領域を実現できた。

キャラが被るディーゼルと2.5Lターボエンジン。経済性ではディーゼルが勝る!

新設定された2.5Lエンジンだが、ディーゼルエンジンと特性が似ている。どちらも低・中速域の大トルクで余裕ある力強い走りが重視されているからだ。使用燃料がガソリンとディーゼルとい大きな違いがあるものの、走行フィーリングはかなり似ているのだ。

2.5Lターボを選択する理由なし

似たエンジンが2つ。そうなると、かなり2.5Lターボは不利だ。どうしてもガソリン車でなければダメ! と、いう人にとってみれば、選択肢が増えたことはよいことだ。
ただ、最近のようにガソリン価格が高騰。しかも、追い打ちをかけるように2019年10月には消費税がアップされる。経済性ということを考えると、ディーゼルと比べて燃料費が高く燃費が悪い2.5Lターボを選択する理由が見つからないのだ。

経済性ではディーゼルが圧倒的

まず、軽油を使うディーゼルが20円/L前後も安く経済的。しかも、燃費はFF(前輪駆動)車で、2.5Lターボが12.6㎞/Lに対して、ディーゼル車は17.4㎞/Lと燃費で圧倒している。燃料費という経済性を考えると、ディーゼルが圧倒する。クルマを毎日のように使う人にとっては、大きな差になるだろう。

ただ、ディーゼルエンジンは、コストが高く車両価格が高価になる。そのため、ガソリン車との価格差を燃費による燃料費で元を取ることは困難だった。しかし、2.5Lターボもかなり高コストなエンジンで、ディーゼル車との車両価格差は微少となった。ガソリン車は、エコカー減税の対象になっておらず、エコカー減税対象のディーゼル車が減税分された金額を含めると、ディーゼルの方が安くなる。こうなると、ますます燃料経済性で優れるディーゼル車が優位になる。
また、ディーゼル車には今回より、国産クラス唯一の6MTが設定された。

絶妙な制御をするGVCプラスが登場

エンジン以外の改良点では、従来から設定されてる車両安定制御技術「GVC(G-ベクタリング コントロール)」に、新機能を加えた「GVCプラス(G-ベクタリング コントロール プラス)」が装備された。このGVCプラスは、ハンドルを戻す際の制御が新たに加わり、車両をより安定感あるものとしている。

運転が上手くなった? と、勘違いしてしまうほどの安定感

このGVCプラスは、旋回中のハンドル戻し操作に応じて外輪をわずかにブレーキをかける制御を行う。このブレーキ制御により、車両を直進状態へ戻すための復元モーメントを与えることができ、その結果、車両が安定するのだ。とくに、雪道などの滑りやすい路面なら、よりGVCプラスの制御が実感しやすいだろう。

また、このGVCプラスは、ドライバーが自分の運転が上手くなったと勘違いしてしまうことにある。それほど、自然な制御になっているのが特徴だ。

ラグジュアリーSUVを極めた特別仕様車「Exclusive Mode」

新設定された特別仕様車「Exclusive Mode」は、CX-5のトップグレードとして位置付けられている。そのため、ワンランク上の質感を感じさせる室内空間とした。ナッパレザーのシートや本杢加飾など、素材にもこだわった。上質な空間に仕上げ、オーナーに「所有する歓び」を提供することが狙いだ。

価格アップは意外と少なく買い得感がある

「Exclusive Mode」には、専用高輝度ダーク塗装を特別採用した19インチアルミホイールを用意。快適性を向上させるため、前席シート両側に、不快な熱気を吸い出す「シートベンチレーション」を搭載した。CX-5「Exclusive Mode(エクスクルーシブ・モード)」の価格は3,326,400円からと、ベース車に対して価格アップも意外と少なく買い得感がある。

マツダCX-5価格

マツダCX-5の価格は以下の通り。

ガソリン車

グレード 駆動方式 シフト 価格
20S 2WD AT 2,570,400円
20S PROACTIVE 2WD AT 2,802,600円
25S 4WD AT 2,797,200円
25S PROACTIVE 4WD AT 3,029,400円
25S L Package 2WD AT 3,018,600円
4WD AT 3,245,400円
25T L Package 2WD AT 3,326,400円
4WD AT 3,553,200円
25T Exclusive Mode 2WD AT 3,650,400円
4WD AT 3,877,200円

ディーゼル車

グレード 駆動方式 シフト 価格
XD 2WD AT・6MT 2,883,600円
4WD AT・6MT 3,110,400円
XD PROACTIVE 2WD AT・6MT 3,115,800円
4WD AT・6MT 3,342,600円
XD L Package 2WD AT・6MT 3,331,800円
4WD AT・6MT 3,558,600円
XD Exclusive Mode 2WD AT・6MT 3,655,800円
4WD AT・6MT 3,882,600円