• マツダCX-5 REVIEW 新旧比較レビュー

新型CX-5は2012年にデビューし、わずか5年でフルモデルチェンジした。基本的なプラットフォーム(車台)部分はキャリーオーバーとしながらも、細部にわたり変更が加えられ、走行性能はさらに進化。乗り比べると、まるで違うクルマのように感じるほど。そんな初代CX-5と2代目CX-5を新旧比較した。

比較レビューのまとめ

  1. より高級感がでた新型のデザインだが、旧型も未だ古臭く見えない
  2. 安全装備や質感は新型が圧倒!
  3. 乗り心地や静粛性は新型がワンランクアップ
  4. 新旧ともにリセールバリューが高く、乗り換え時に有利

CX-5の歴史

初代マツダCX-5は、経営が危機的状況下にあった2012年に登場。マツダの命運をかけた新世代商品群の第1弾モデルとなった。また、新デザインテーマ「魂動(こどう)」 を初めて全面的に採用している。機能面では、国産メーカーでは珍しい2.2Lクリーンディーゼル車を用意。NOx後処理装置なしで、ポスト新長期規制に適合。420Nmという大トルクを発揮しながら、デビュー当時18.6km/L(デビュー時)という低燃費を実現した。

CX-5新旧比較

CX-5新旧比較

新型CX-5の概要

新型CX-5は、先代のプラットフォーム(車台)を使っているが、多くの部分で走行性能は高められている。とくに、乗り心地や静粛性は大幅に向上。売れ筋グレードに搭載される2.2Lクリーンディーゼルも、すでに1.5Lのクリーンディーゼルに導入された新技術である「DE精密過給制御」、「ナチュラル・サウンド・スムーザー」、「ナチュラル・サウンド周波数コントロール」を採用し、クリーディーゼルエンジンの静粛性を大幅に向上した。また、全グレードに歩行者検知式自動ブレーキであるi-ACTIVSENSEが標準装備化され、安全性能も大幅に向上している。
先代CX-5と比べると、ほぼすべての点で進化しており、ラグジュアリー感あふれるSUVとなった。


コンセプト&エクステリア比較

質感、安全性とも大幅に向上した新型。旧型の初期モデルは、ナビや安全性にやや物足りなさがある

新型CX-5

魂動(こどう)デザイン」でヒットした先代CX-5。それだけに、新型CX-5のデザイン変更は大きなチャレンジとなる。新型CX-5は「REFINED TOUGHNESS=洗練された力強さ」をキーワードに掲げ、新たなデザインにチャレンジしている。リヤデザインは、あまり代わり映えしないが、フロントフェイスは、より大型のグリルが装備され迫力が増した。フロントグリルは、とにかく大きい。ヘッドランプへつながるメッキ調のアンダーグリルが、なかなか特徴的。ただし、あまりに大きいため生産するのが難しいらしく、グリルのボトムで2分割されている。この2分割されたつなぎ目がやや目立つ点が残念な部分だ。最近のSUVは、ミニバン同様大きなグリルで迫力あるデザインが人気。ただ、迫力はあるものの品を感じさせないモデルも多い。新型CX-5は、大きなグリルを装備しながらも迫力だけに頼らない品格を感じさせるデザインは高く評価できる。

インテリア装備

安全装備

新型CX-5

歩行者検知式自動ブレーキを含む先進予防安全装備である「i-ACTIVSENSE」が全車標準装備された。全車標準装備化されたので、どのグレードを買っても安心して走れ、交通事故のリスクも減る。

旧型CX-5

旧型はこうした装備がやや物足りない。2015年の大幅改良モデルでやや安全装備が向上されたが、それでも歩行者検知式自動ブレーキはない。安全性を重視するのなら、後期モデルのPROACTIVEグレード以上を選びたい。

CX-5新旧比較

CX-5新旧比較

カーナビ

新型CX-5

新型のモニターも小さいので視認性は今ひとつ。ただ、フロントガラスに情報を表示するアクティブ・ドライビング・ディスプレイが新採用されており、視線移動量を減らし、安全性を高めている。

旧型CX-5

初期のモデルは、ナビがマツダコネクトになっていないため、やや古さを感じる。インテリアの質感は、圧倒的に新型が上回る。旧型と比べると、もはや1クラス上のモデルといった印象だ。

CX-5新旧比較

走行性能&乗り心地比較

まるで異なる乗り心地&静粛性。新型CX-5は、まるで別のクルマ!

走行性能は、当然のことながら新型CX-5が圧倒する。旧型はややゴツゴツした感覚を感じるスポーティな乗り味だったが、新型はサスペンションが改良されており、シットリとした高級感ある乗り心地になっている。また、静粛性も高い。先代モデル比で約20km/h低い車速騒音レベルに低減された。特に、クリーンディーゼル車はエンジンにも改良が施されたこともあり、かなり静か。一般的にディーゼル車は、ガラガラという独特のエンジン音と振動を伴うが、新型は車内にいる限りディーゼル車であることさえもわからないほどだ。新型CX-5の静粛性や乗り心地は、もはや1クラス以上、上のモデル並みといえる。旧型もこのクラスのSUVの中では、乗り心地や静粛性はやや高いレベルにあるので、十分に満足が行くレベルにある。旧型は何度か改良が加えられ、走りの質感はアップしているので、最終モデルが最も完成度が高い。

燃費比較

そして、新旧CX-5でおすすめとなるのは、クリーンディーゼル車だ。新型が18.0㎞/L、旧型後期は18.4km/Lという低燃費を誇る。新型の方が燃費が悪いのは、車重が重くなっていることや実燃費重視の制御になっているからだ。さらに、クリーンディーゼルに使う軽油は、レギュラーガソリンより20円/L前後安いため燃料費が安くランニングコストは安くなる。低燃費でありながら、さらに420Nm大トルクを誇り、とても力強く走る。
旧型の前期モデルには、2.0Lガソリン車にAWD(4WD)の設定があったが、このグレードはやや非力感を感じるグレード。新旧ともに、クルマが大きく重いので、ガソリン車なら2.5Lがおすすめだ。

買うなら新型?旧型?

全ての面で新型が圧倒的に優れているCX-5

新型CX-5は、旧型と比べると大幅に進化している。そのため、旧型が新型を上回っているところは、ほとんどないだろう。旧型のデザインが好きというのであれば別だが、多少無理してでも新型を購入したほうが満足度は高い。それほど、安全装備や静粛性、乗り心地、質感が違う。

旧型がほしいなら中古車相場が下がるまでしばらく待つこと

新型をすすめる一番の理由は、旧型CX-5のリセールバリューが高いこともあり、中古車価格が高止まりしているからだ。高年式だと、新車価格とそれほど差が無く、中古車らしい買い得感はない。まだ新型が出たばかりで中古車マーケットに流通していないので、旧型も高値維持しているが、1~2年ほど経過し新型の中古車が多く流通してくると旧型の価格も下がってくる可能性があるので、旧型を買うのであればしばらく待った方がいいだろう。

旧型CX-5を買うなら2012年式がおすすめ!

どうしても旧型というのであれば、デビュー時の2012年式がおすすめだ。ようやく200万円を切ったモデルが増えてきたので、この年式を狙ってみるといいだろう。当然、クリーンディーゼル車がおすすめだ。

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値引き術

値引き「ゼロ」戦略のマツダは、長期戦覚悟でエクストレイルとフォレスター競合が絶対条件
以前は、「値引きのマツダ」として有名だったが、現在は一気に方向転換。新世代商品群から値引き「ゼロ」戦略を打ち出して今も続けている。こうしたこともあり、国内の販売台数は伸び悩みをみせているが、リセールバリューも高くなっている。とはいえ、ライバル車となる日産 エクストレイルやスバル フォレスターは、一定の値引きをしながらも高いリセールバリューを保っている。

値引きゼロを回避するためのポイント

値引き金額が少ないことは仕方ないとはいえ、何もしなければゼロに近くなる。そのためには、ライバル車とシッカリと競合させる必要がある。


POINT1:ライバル車の見積もりを先にとっておくこと

重要なのは、CX-5が本命だと思われないこと。本命だと営業マンにバレた瞬間に値引きが少なくなるからだ。そのためには、先にエクストレイルとフォレスターの見積りをもらっておくことが重要だ。これらの見積書をもってCX-5の商談をしたい。あくまで、CX-5はついでに見に来た程度、という態度が重要だ。これらの見積書をもってCX-5の商談をしたい。あくまで、CX-5はついでに見に来た程度、という態度が重要だ。

POINT2:徐々にCX-5に興味を示す

営業マンがCX-5の魅力をアピールしたら、その度に大げさに驚いてみるといい。「CX-5って、いいクルマなんだねぇ。あなた(営業マン)のおかけで、興味が出てきた」などと言い残し次の商談につなげよう。営業マンは、自分の営業トークでライバルの商談をひっくり返すことに対して、異常なほどに幸せを感じる人種だからだ。営業マンがノリノリになってきたら「他メーカーの営業マンに、CX-5も十分値引きしてくれたからという理由が欲しい。もちろん、私もより安くしてくれた方がうれしいし、あなたから買いたい」と伝えるといいだろう。ディーラーの都合でノルマが厳しいとき、在庫車などがありすぐに登録できるなど、条件がそろえば、さすがのマツダもある程度の値引きには応じてくれるだろう。

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POINT3:下取り車は必ず買取専門店で査定をすること

ただ、これで満足してはならない。重要なのは下取り車の処理だ。ここで損をしてしまっては、新車を値引きしてもらった分が無駄になる。とくにマツダの場合、中古車の再販能力があまり高くない。他メーカー車などは、よりその傾向が強い。そのため、下取り価格はあまり期待できない。
まず一旦、下取り車の価格を出してもらったらそのまま買取店に行き、査定してもらうといいだろう。時間があれば、複数店で査定してもらうと、下取り車の正しい価格が分かる。買取店は、中古車マーケットの状況に敏感なので、すぐに売れる人気車はかなり高い価格を付けることが多い。新車値引きも重要だが、下取り車の処理で失敗すると、手間暇かけた新車値引き分が泡と消えるので、シッカリと買取店で査定することをおすすめする。最終的に最も高値を付けたところに売ればいいだけだ。

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新旧CX-5 比較ギャラリー

クルマ評論家 CORISM代表 大岡 智彦 氏
クルマ評論家 CORISM代表
大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。
日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員