トヨタC-HR vs 三菱エクリプスクロス徹底比較

今や、SUVは大人気カテゴリーだ。ほとんどの車種が高いリセールバリューを誇り、乗り換え時のメリットも大きい。その中でも、世界的に高い人気を得ているのがコンパクトSUVクラスだ。ボディサイズがコンパクトなので、狭い日本の道でも扱いやすい。
今回ピックアップしたモデルは、CセグメントのコンパクトSUVであるトヨタC-HRと三菱エクリプスクロス。両車を8項目に渡って比較し、長所・短所を洗い出した。どちらのクルマが優れているか、目的別に結論を出している。自分に合ったクルマを見つけるための、参考にしてほしい。

この記事の目次 CONTENTS
C-HRとエクリプスクロスの特徴
1. 燃費比較
2. 価格の比較
3. 内装デザイン比較
4. 室内空間と使い勝手
5. 外装デザイン
6. 安全装備の比較
7. 走行性能比較
8. リセールバリュー
9. 今のクルマを高く売る方法
10. まとめ・総合評価

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

C-HRとエクリプスクロスの特徴

トヨタC-HRの特徴はデザインと走りの性能

C-HRは、コンパクトSUVセグメントに参入していなかったトヨタが、満を持して投入した気合の入ったモデルだ。
得意のハイブリッドだけではなく、1.2Lターボも用意されている。

C-HRは、とにかくデザインとオンロードでの走りにこだわったSUVだ。
デザインは非常に個性的で、テーマは「セクシーダイヤモンド」。
セクシーかどうかは人によるところだが、ひと目を引くデザインであることは確実だ。

しかも、SUVでありながら1,550㎜という低い全高になっている。このように低い全高のSUVは数少ない。
理由としては、SUVもミニバンと同様、迫力あるデザインが好まれる傾向が強いためだ。
全高を高くし、大きく見せることを重要視することが多いのだが、C-HRはそうではない。

このように低い全高にしたのは、日本国内での使い勝手が考えられているためだ。
全幅も1,795㎜と、1,800以下となっている。
日本の狭い道だけでなく、都市部に多い立体駐車場での使い勝手が良い。

C-HRは、プリウスと同じプラットフォームが使用されている。
そのため、1.8Lのハイブリッドシステムが搭載されており、コンパクトSUVセグメントでは、世界トップレベルの低燃費性能をもつクルマだ。
こうしたこともあり、C-HRは2017年度の新車販売台数で、日本一売れたSUVとなった。

三菱エクリプスクロスの特徴は4WD機能と走りの楽しさ

エクリプスクロスは、4年振りに国内に投入された新型車だ。
世界的に需要のあるCセグメントSUVに挑戦することで、三菱復活を狙う1台でもある。

エクリプスクロスは、アウトランダーのプラットフォームがベースに設定されたコンパクトSUVだ。
アウトランダーは、エクリプスクロスより1クラス上のクルマである。

エクリプスクロスは、他のSUVと同様に、スタイリッシュさを感じるデザインが採用されている。
クーペ調のルーフラインをもつが、全高は1,685㎜と高い。
高さがあるため、室内のスペースやラゲッジスペースに余裕が生まれている。

元々、三菱は4WD機能にこだわるメーカーだ。
そのため、エクリプスクロスの強みは、S-AWD(SUPER ALL WHEEL CONTROL=車両運動統合制御システム)だ。
S-AWDが搭載されていることによって、どんな路面状況であっても、エクリプスクロスは常に4輪を制御することが可能だ。
「意のままの操縦性」と「卓越した安定性」を実現している。

エクリプスクロスは、走って楽しいクルマに仕上げられているということだ。
こうした4WD機能を好む顧客がエクリプスクロスを購入し、全体の約7割が4WD車を選択しているという。

1. 燃費比較

C-HRの燃費は、1.8Lハイブリッド(前輪駆動)が30.2㎞/L。
1.2L(4輪駆動)が15.4㎞/Lとなっている。
対するエクリプスクロスは、1.5Lターボのみで、FF(前輪駆動)が15.0㎞/L。
4WD(4輪駆動)が14.0㎞/Lだ。

C-HRは、ハイブリット車ということもあり、圧倒的に優れた燃費値を誇る。
しかし、C-HRのハイブリッド車以外の1.2Lターボと、エクリプスクロスの1.5Lターボの燃費を比べると、目を見張るほどの違いはない。

つまり、燃費性能による減税メリットや燃料経済性が秀でているのは、C-HRのハイブリッド車のみとなる。
C-HRにも1.2Lターボ車の設定があるが、7~8割もの顧客がハイブリッド車選んでいる状況だ。

エクリプスクロスも、デビュー直後の販売状況は好調だ。
しかし、さすがにこの燃費値のエンジンだけでは、今後長い期間好調な販売を続けることは難しいだろう。
欧州で販売されている2.2Lディーゼルや、三菱が得意とするPHEVの早期投入に期待したいところだ。

C-HRの燃費評価

4.5点

エクリプスクロスの燃費評価

3.0点

2. 価格の比較

両車のオススメグレードの価格は、以下の通りだ。

トヨタC-HR G LED Edition(FF) 2,929,200円
三菱エクリプスクロスG Plus Package(4WD) 3,095,280円

エクリプスクロスの価格がやや高額に感じる理由は、4WDを選択しているからだ。
FF(前輪駆動)と比べると、約22万円高価になる。
エクリプスクロスの魅力は4WD車に凝縮されているため、購入するなら4WDを選択したいところだ。

一方、C-HRのハイブリッド車には、4WDの設定がない。
4WDを希望するなら、1.2Lターボ車になる。

装備関連を比較すると、ほぼ互角といった印象で、大きく差が付く部分はほとんどない。
こうなると、ただのガソリン車であるエクリプスクロスは、4WDと比べて高く感じる。

しかし、ナビの選択次第で同等レベルになる場合がある。
エクリプスクロスG Plus Packageには、スマートフォン連携ディスプレイオーディオ「SDA」が標準装備されている。
SDAとは、AndroidスマートフォンやiPhoneをUSBポートにつなぐだけで、Android AutoやApple CarPlayといったアプリが使用できる機能だ。
音声操作にも対応している。
この機能を使用すると、スマートフォンのナビ機能が、車両側のモニターに表示されるのだ。

C-HRには、ナビ機能が無い。
オプションの7インチ中級ナビを装着すると、約17万円プラスとなってしまう。

さらに、エクリプスクロスに標準装備されている「リヤクロストラフィックアラート」が、C-HRにはついていない。
この機能は、バックカメラのオプション設定となっており、つけると約4万円のプラスとなる。
「リヤクロストラフィックアラート」のためにバックカメラを装着すると、映像を表示させるためのモニターが必要になる。
このモニターに、ナビ機能をつけることになる。

あくまでも、エクリプスクロスのナビ機能をSDAでまかなうことが条件となるが、C-HRにナビ機能をオプションでつけた場合、両車の価格はほぼ同等レベルとなる。

しかし、エクリプスクロスはガソリン車、C-HRはハイブリッド車だ。
燃費による燃料費差は大きい。
また、FFのC-HRは深い雪道やオフロードは苦手、4WDのエクリプスクロスは得意分野と分かれる。

こういった差にどう優先順位をつけるかは、悩ましいところだ。

購入時に大きな値引き額を引き出すテクニックとは?

エクリプスクロスは、2018年3月に発売されたばかりのクルマだ。
一方、C-HRは2017年度のSUV販売台数ナンバー1だ。
値引きを引き出すには、両車とも非常に厳しい状況といえる。

しかし、まずは競合させることが重要なファーストステップとなる。
C-HR、エクリプスクロス、スバルXVなどが同じクラスのSUVとなるため、これらを競合させよう。
場合によっては、1クラス下のマツダCX-3ディーゼル車、ホンダ ヴェゼル ハイブリッドを加え、総支払額の競合というのも効果的。

C-HRは2016年12月に登場したモデルだが、人気が高く値引きのガードが堅い。
しかし、デビューから約1年半が経とうとしているのも事実だ。
そのため、デビュー直後のような勢いは、そろそろなくなってきている。
「C-HRが本命」という態度で商談に望めば、値引きを引き出すことは難しい。
ライバル車と競合させることで、営業マンのもう一声を引き出せる可能性が高くなる。

こうした人気モデルは、商談期間に1ヶ月以上取るなどして、ジックリと値引き交渉を行おう。
営業マンから「いつ買ってくれるのですか?」という声が聞こえてきたらチャンス。
「値引き次第」と返答しよう。
ノルマに困った営業マンなら「これで決めてください」と、平均よりやや大きな値引き額を提示してくるだろう。
ここまで来たらしめたもので、「もう10万円」などと言い、買うことを前提に駆け引きするといいだろう。

C-HRの価格評価

4.5点

エクリプスクロスの価格評価

3.0点

3. 内装デザイン比較

C-HRは内装デザインにも強いこだわり

C-HRのインパネデザインは、外観同様かなりこだわったものになっている。

一般的に、SUVカテゴリーのデザインは、センターコンソールを太くするなどして、たくましさをアピールしている。
しかし、C-HRのインテリアデザインには、SUVを意識したデザイン手法がほとんど採用されていない。
インテリアデザインのテーマは「センシュアル テック」だ。大人の色気と遊び心を感じさせる、洗練された質感を目指している。

全体的にドライバー中心のレイアウトとなっており、中央のナビモニターもドライバー側にやや傾けられ、視認性が向上している。
各操作系も同様に、ドライバー中心のレイアウトで使いやすい。

ただし、メーターの素材感はややチープさを感じる。

 

エクリプスクロスの内装デザインはスポーティーに統一

C-HRとは対照的なのが、エクリプスクロスのインテリアだ。

水平基調でワイドさが強調されている。
センターコンソールのデザインは、SUVの定番的手法である太くたくましいデザインが施されている。

また、シルバーの加飾が多用されており、ブラックの内装とのコントラストがスポーティさを演出している。
インテリアは、全体的にオーソドックスで、カッチリとまとめられている。

C-HRと比べると面白みには欠けるが、安心感がある。

 

C-HRの内装デザイン評価

4.0点

エクリプスクロスの内装デザイン評価

3.5点

4. 室内空間と使い勝手

室内空間の広さという点では、エクリプスクロスが勝つ。
クラスが上の、アウトランダー用プラットフォームを使用しているためだ。

とくに、後席スペースの差は歴然となっている。
C-HRは、とにかくデザインを重視したことで、後席の足元はやや狭く、頭上のスペースもない。
不快ではないものの、やや圧迫感がある。

エクリプスクロスは、このクラスでは珍しいリヤシートのスライド機能と、9段階のリクライニング機構を装備している。
これによって、後席の空間を十分に確保している。

同様に、ラゲッジスペースの広さもエクリプスクロスが勝る。
C-HRのラゲッジスペース容量は318Lだ。
これに対して、エクリプスクロスのラゲッジスペース容量は、448Lとなっており、この差も大きく開いている。
アウトドアレジャーで荷物を多く積めるSUVという条件であれば、エクリプスクロスという選択になる。

コンパクトSUVは、狭いところでの扱いやすさも重要だ。
狭い道の交差点や駐車場で重要となる最小回転半径は、C-HRが勝つ。
C-HRの最小回転は5.2m、エクリプスクロスは5.4mであるためだ。

両車ともに物足りないのが、後方視界だ。
C-HRもエクリプスクロスも、デザインにこだわったモデルだ。
その結果、後席の視界がいまひとつとなっている。

C-HRはリヤガラスが急傾斜しており、スペースそのものが小さい。
一方、エクリプスクロスは、上下に2分割されている。
バックモニターが付いたモデルならば、後退時の問題もそれほどないが、通常走行時には死角が多く走りにくい。
日産の一部に用意されている、「インテリジェント ルームミラー」の装備に期待したいところだ。
これは、車外カメラの映像をルームミラーに映し、障害物の無いクリアな視界を生み出すことができる機能となっている。

C-HRの室内空間と使い勝手評価

2.5点

エクリプスクロスの室内空間と使い勝手評価

4.0点

5. 外装デザイン

C-HRのデザインテーマは、「セクシーダイヤモンド」

ダイヤモンドをモチーフに、強く絞り込んだボディと、大きく張り出したホイールフレアが美しく対比している。
これによって、圧倒的なスタンスの良さを表現した。

このデザインテーマ通り、かなり複雑な造形を持っている。
そのため、街中では際立つ存在感がある。今までのトヨタには無かったデザインだ。
とくに、ルーフラインはまるでクーペのように流麗だ。

しかし、その結果、後席の頭上スペースは無く、後方視界も良くない。
C-HRは、こうしたリスクを覚悟したうえで、徹底的にデザインにこだわったモデルだ。

エクリプスクロスの外観は「SUVらしい押し出しの強さ」

エクリプスクロスには、三菱車のデザインアイデンティティである、新世代「ダイナミックシールド」が採用されている。

SUVデザインのトレンドど真ん中ともいえる、押し出し感あるフロントフェイスが採用されている。
細めで睨みの効いたヘッドライトは、精悍だ。
また、クーペ風のルーフラインを採用しつつ、実用性を犠牲にしていない。

リヤデザインは、かなり個性的だ。
リヤウインドウを2分割するデザインが採用されているためだ。
2分割部分はチューブ式LEDテールランプとなり、発光すると光のラインが一直線に連続する。
夜間でも、ひと目でエクリプスクロスと分かる特徴だ。しかし、リヤウインドウの影響があり、エクリプスクロスの後方視界も少々物足りない。

C-HRの外装デザイン評価

4.0点

エクリプスクロスの外装デザイン評価

4.0点

6. 安全装備の比較

C-HRの安全装備は高レベル。グレードによる違いに注意

C-HRには、高いレベルの安全装備が標準装備化されている。
歩行者検知式自動ブレーキを含む先進予防安全装備である「トヨタセーフティセンスP」や、サイド&カーテンエアバッグが標準装備となっている。
これによって、どのグレードも一定の安全性能を誇っている。

しかし、後側方車両接近警報である「ブラインドスポットモニター」は、Sグレード系にはオプションでも装備ができない。
一方、Gグレード系には標準装備されている。

 

エクリプスクロスはMグレードに注意

エクリプスクロスもC-HRと同じ傾向にある。

歩行者検知式自動ブレーキやサイド&カーテンエアバッグは標準装備されている。
しかし、後側方車両接近警報や前走車追従式クルーズコントロールは、Mグレードではオプションで選択することもできない。

両車とも上級グレードになると、300万円越えのモデルになる。
これくらいの装備は、標準装備化してほしいものだ。

C-HRの安全装備評価

3.0点

エクリプスクロスの安全装備評価

3.0点

7. 走行性能比較

C-HRの走りはまるでスポーツカーのよう

C-HRは、プリウスと同じプラットフォームを使用しているが、徹底的に走りを極める開発が行われた。
その結果、「我が意の走り」を実現している。

ガソリン車の1.2Lターボは、排気量が少ないため、街中では非力さを感じる。
街中走行では、ターボの過給があまりかからない。
そのため、アクセルのオン・オフを繰り返すような瞬間に非力さを感じてしまうのだ。
ただし、一旦、エンジンの回転が上がってしまえば、加速感はまずまずだ。

1.8Lハイブリッド車は、プリウスよりレスポンス重視のギヤ比に変更されている。
そのため、アクセル操作に対しての反応がよい。気持ちの良い加速が味わえるだろう。

C-HRのハンドリング性能は、素晴らしいものがある。
C-HRは、SUVの特徴としてやや背が高い。
しかし、SUVの中では低い部類になるため、重心高が低い。
そのため、カーブでの安定感が非常に高い。

ステアリング操作に対する、レスポンスも良好だ。
「これがSUVなのか?」と思うくらい、ステアリング操作ごとに、クルマのノーズの向きがスッと変わる。
思わず、「スポーツカーなのか?」と思うほど、気持ちが良い。

一般的に、レスポンスが良いハンドリング性能を求めると、サスペンションは硬めのセッティングになり、乗り心地が犠牲になることがある。
ところが、C-HRにはザックスのダンパーが採用されるなど、細部に渡りプリウスとは異なるサスペンションとなっている。
これによって、気持ちの良い走りと乗り心地を両立しているのだ。

これが、C-HRの魅力だ。

エクリプスクロスは「S-AWC」によって走りの幅が広がる

エクリプスクロスはC-HRとは異なり、いかにも「SUVっぽい」。
C-HRのドライビングポジションは低いが、エクリプスクロスは高く見晴らしがいい。

エクリプスクロスの1.5Lターボは、なかなか刺激的だ。
エンジンの回転が2,000を超えた付近から、パワフルな加速が始まる。
CVTのフィーリングもダイレクトさがあり、まずまずといったところだ。

エクリプスクロスは背の高いSUVで、しかも4WDなので、悪路走破性を重視したモデルのように感じる。
しかし、その走りはオンロードでも走る楽しさに満ちている。

エクリプスクロスは、かなり懐の深いクルマで、ドライバーの技量以上のパフォーマンスを発揮してくれる。
それこそ、適当にステアリング操作しただけで、4WDの制御技術「S-AWC」によって、クルマはクルっと向きを変える。
運転操作が雑な人こそ、どんな路面でも運転しやすいクルマだと感じるだろう。
なおかつ、クルマを自らの意思で積極的にコントロールしたいドライバーにも、しっかりと応えてくれる。

S-AWCには、ノーマル・グラベル・スノーと、制御モードが3タイプある。
ノーマルとスノーは、基本的に安定性重視の制御だ。
グラベルを選択すると、後輪への駆動力を最大限に高められる。
さらに、横滑り防止装置であるASCをオフにすると、後輪を滑らせて曲がるようなドリフト走行も可能になる。

こうした走りは、C-HRでは難しい。
エクリプスクロスは、このような楽しい走りができる上に、乗り心地も快適で静粛性も高いのだ。

C-HRの走行性能評価

4.0点

エクリプスクロスの走行性能評価

4.5点

8. リセールバリュー

SUVは人気カテゴリーであるため、ほとんどの車種が高いリセールバリューを誇る。

C-HRはお得に乗り換えられるSUV

とくに、C-HRは燃費のよいハイブリッド車ということで、SUVの中でも非常にリセールバリューが高い。
下取り価格や買取価格が高くなるため、C-HRのハイブリッド車なら、お得に乗り換えることができるだろう。

エクリプスクロスは乗り潰す前提でなら”買い”

C-HRと比べると、エクリプスクロスは少々微妙だ。

三菱車は、燃費偽装問題があり、イメージが悪い。
そのため、クルマのパフォーマンスが高くても、リセールバリューが悪いのだ。
SUV人気が影響して、リセールバリューは多少良い方向に推移するものの、他メーカーと比べると、やはり状況は厳しい。

また、ガソリン車だけというのもマイナス評価につながる。
新車同様、中古車マーケットでも、ハイブリット車やディーゼル車の人気が高いからだ。

リセールバリューが悪いということは、中古車価格も安くなるということを意味する。
つまり、乗り潰すことが前提であれば、高年式モデルを中古車で買うならアリだ。
エクリプスクロスはクルマが持つ能力が高いため、価格に対する価値という面ではパフォーマンスが非常に良い。

C-HRのリセールバリュー評価

4.5点

エクリプスクロスのリセールバリュー評価

3.0点

9. 今のクルマを高く売る方法

大きな値引き額を引き出すために、ライバル車同士を競合させる人は多いが、意外と気にされていないのが下取り車の処理だ。
ついついディーラーでの下取りに出してしまうことが多のではないだろうか。
これでは、損する可能性が高くなる。

買取り店が多く存在しているのには訳がある。
それは、ディーラー下取りより、高価に買取れるためだ。
つまり、買取り店に査定を出さないと、ディーラーに安く買い叩かれてしまうことがあるということだ。
もちろん、ディーラーでも自社のクルマであれば高く買い取れることもあるが、総じて買取り店の方が高価だ。

また、どの買取り店でも買取り価格は同じということはない。
買取り店では、「下取りいくらでしたか?」「他の買取り店行かれましたか?」「他の買取り店ではいくらでしたか?」と、探りを入れてくるだろう。
これに対する返答次第で、買取り価格が安くなるか高くなるか決まると言っていい。
対策として、買取り店同士を競合させることだ。同業者に競わせることで、買取り価格はアップする。
ディーラーでの下取り価格が分かったあと、買取り店で前述の探りを入れられたら、下取り価格より少し高めの金額を言うといい。
買取り店側は、下取り価格以上の値を付けないと、顧客をみすみす逃がすことになる。
少し高めの下取り価格を伝えることで、買取り価格が高くなりやすい。

時間と手間をかけられる人は、個人間売買という方法で売ることもできる。
しかし、ネットオークションでの売買は、非常にリスクが高い。
見ず知らずの人とのお金のやり取りや、名義変更でトラブルになりやすいのだ。

最近では、こうしたリスクを避けることができるサイトもある。
例えば、中古車大手のガリバーが開設している、クルマの個人間売買専門サイト「ガリバーフリマ」。
代金の回収、名義変更といった手続きをガリバーが代行してくれる。
手数料は取られるものの、リスクを回避できるというのであれば、安い投資といえる。

10. まとめ・総合評価

トヨタC-HRと三菱エクリプスクロスは、2台とも楽しい走りができるクルマで、完成度も高い。
しかし、なにかもうひとつ物足りない感じもする。

例えば、C-HRのハイブリッド車には、4WDが無い。
プリウスにある4WDシステムの流用も可能なのだが、このシステムでは本格的4WDとはいいにくい。
その上、エクリプスクロスのS-AWCにはかなわない。
C-HRには、走破性に優れた4WDかつ、ハイブリッドという組み合わせが無い。

逆に、エクリプスクロスは、優れた4WDシステムをもつものの、燃費に優れたパワーユニットが無い。
今時、ガソリン車だけという設定には、時代遅れが否めない。

多くを求めようとすると、2台ともこのような評価になる。
ただし、割り切れば両車とも素晴らしいクルマだ。

C-HRのハイブリッド車は、あくまでオンロード中心だ。
雪深い場所やオフロードは走らないという条件なら、軽快感があり燃費もよく、乗り心地も快適、スポーティで申し分ない。

エクリプスクロスも、燃費さえ割り切れば、非常によいクルマだ。
パワフルで悪路や雪深い道でも苦なく走り切れる性能は、クラストップレベルとなっている。
しかも、後輪を豪快に振り出して走ることも可能だ。
それでいて、オンロードでは乗り心地もよく静粛性も高い。

「C-HRか?エクリプスクロスか?」という選択は、「燃費なのか?4WD性能なのか?」のどちらを取るかという選択によって、評価が大きく変わる。

  トヨタC-HR 三菱エクリプスクロス
燃費 4.5 3.0
価格 4.5 3.0
内装デザイン 4.0 3.5
室内空間と使い勝手 2.5 4.0
外装デザイン 4.0 4.0
安全装備 3.0 3.0
走行性能 4.0 4.5
リセールバリュー 4.5 3.0
合計ポイント 31点 28点