この記事の目次 CONTENTS
マツダCX-5の概要&お勧めポイント
CX-5の性能(燃費、ボディサイズなど)
CX-5の値引き、中古車とどっちがいいのか?
まだ高値傾向だが、前期のモデルなら中古車購入もあり!
マツダCX-5の競合車は?

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

マツダCX-5は、マツダを支える基幹車種だ。2021年度の国内販売台数では、CX-5は数あるマツダ車の中で最も売れたモデルとなった。グローバルでの販売台数でも約3分の1をCX-5が占めるほど、高い人気を誇る。今回は、マツダを支えるCX-5の魅力や走行性能、値引き、ライバル車などをレポートする。

マツダCX-5の概要&お勧めポイント

明確な3つの個性をもったSUVにキャラ変

初代マツダCX-5は、2012年2月に登場した。マツダ独自のデザインテーマ「魂動デザイン」を初採用している。全体的に、ユニークでカジュアルなデザインとなった。また、新開発2.2Lクリーンディーゼルエンジンが話題となる。パワフルで低燃費なエンジンとして、CX-5の主力エンジンとなり大ヒットした。

現行モデルは、2017年にフルモデルチェンジし2代目だ。プラットフォーム(車台)は、初代CX-5の改良版となっている。
2代目の内外装デザインは、大幅に変更された。初代CX-5はカジュアル系だったが、2代目CX-5は都会派ラグジュアリー系へ舵を切った。質感は大幅に向上し、高級感に溢れる。静粛性も高く、リラックスできる室内空間を生み出した。
マツダ車らしく、キビキビと走る走行性能と快適な乗り心地を両立し、国内屈指のラグジュアリーSUVへと成長した。

モデル末期の2021年11月には、顧客ニーズの多様化に合わせ3タイプの仕様を追加した。

  1. エクスクルーシブモード…従来のCX-5らしさを向上し、ラグジュアリーSUVを追求した豪華仕様
  2. スポーツアピアランス…スポーティな走行性能と内外装デザイン
  3. フィールドジャーニー…従来の都会派ラグジュアリーSUVとは真逆のテイストである、オフローダー的要素を前面に出した

嗜好に合わせた3タイプの出現により、顧客の選択肢は幅広くなった。

CX-5の性能(燃費、ボディサイズなど)

力強くて低燃費なディーゼル車がお勧め

マツダCX-5のボディサイズは、全長4,575mm×全幅1,845mm×全高1,690mmだ。ミディアムサイズのSUVだが、少々全長が短く全高が高めなのが特徴だ。
乗員は5人だ。3列目シートをもち6/7人乗りは、1クラス上のCX-8になる。

最小回転半径は、19インチホイール装着車でも5.5mだ。全幅はややワイドなものの、全長がやや短いということもあり、狭い駐車場などでの扱いやすさはまずまずといったところ。

CX-5は、オフローダーを前面に出した仕様のフィールドジャーニーを除き、都会派SUVをアピールしているモデルだ。オフロードでの走行性能はあまり意識していないようでありながら、最低地上高は210mmも確保している。最低地上高は、悪路走破性に直結する数値なので、数値が高いほど悪路走破性は良くなる。

4WD車には、全車にオフロードトラクションアシストを搭載した。悪路での駆動力を最大限まで高める制御だ。フィールドジャーニーにはオフロードモードも設定され、悪路走破性をさらに高めている。都会派SUVながら、意外なほど悪路走破性が高いのもCX-5の魅力のひとつだ。

CX-5に搭載されたパワーユニットの出力と燃費は以下の通りだ。(すべてFF、WLTCモード)。

CX-5のパワーユニット 出力 燃費
直4 2.0L ガソリン 156ps&199Nm 14.6㎞/L
直4 2.5L ガソリン 190ps&252Nm(FF) 13.8㎞/L
ディーゼルターボ 200ps&450Nm 17.4㎞/L

2.0Lガソリンエンジンと4WDの組み合わせは、街乗り用といった印象。高速道路などでは、ややアンダーパワー傾向にある。
2.5Lガソリンは、余裕には欠けるものの、必要十分なパワーとなっている。
しかし、両エンジン共に、燃費や出力、フィーリングで個性に欠ける。積極的に選びたくなるかと問われると、疑問を感じてしまう。

没個性的とも言えるガソリンエンジンに対し、CX-5の魅力を最大限発揮してくれるのが2.2Lディーゼルターボエンジンだろう。450Nmという大トルクは、ガソリンエンジンに換算すると4.5L並みだ。これだけのトルクがあると、どんなシーンでも余裕がある。
特筆したいのは、高速道路でのクルージングだ。高速道路では燃費も良くなるため、長距離走行での燃料費はガソリン車もアドバンテージが大きい。ディーゼルエンジンの燃料はレギュラーガソリンより20円/L前後も安価な軽油だ。燃料費がハイブリッド車に近いレベルになるのもガソリン価格高騰時代にはうれしいメリットだ。

しかし車両価格は、2.0Lガソリン車と比べると30万円以上も高価になる。ディーゼル車の安価な燃料費でこの価格差を取り返すには、かなりの走行距離が必要だ。だが、走りの良さとリセールバリューを含めても、十分なメリットがあるのではないか。

トランスミッションでは、多くのグレードにMTが設定されているのもCX-5の特徴だ。マイノリティにも配慮している点はマツダの心意気だろう。そこが、マツダファンを増やしている理由でもある。

CX-5の走りは、何度も改良が加えられたため、スポーティで乗りやすい。クラストップレベルといえよう。しっかりと腰回りをサポートしてくれるシートは最適なドライビングポジションが取れ、ロングドライブでも疲れない。アクセルやブレーキペダルの配置も最適化された。踏み間違え防止効果もあり、より安全だ。

ドライバーに乗りやすさと車両の安定性を提供しているのは、Gベクタリングコントロールプラスと呼ばれる制御だ。エンジン出力や、ブレーキを制御し、車両姿勢を最適化する。繊細なコントロールは、ドライバーも気が付かないほどだ。カーブでは曲がりやすくなり、車両が安定する方向に導いてくれる。同乗者の姿勢変化も少なくなるので、快適性がアップする。

乗り心地は改良を重ね、快適性も円熟度が増している。しっかりとした乗り味と、路面の凹凸を吸収するしなやかな動きのサスペンションが、不快な衝撃をドライバーにほとんど伝えない。

CX-5には、グレードにより17インチタイヤと19インチタイヤの設定がある。乗り心地面では、17インチタイヤがベストだ。

 

CX-5の値引き、中古車とどっちがいいのか?

値引きは拡大傾向だが、大幅値引きは期待薄

マツダは、値引きを抑制する営業戦略を推進させている。大幅値引きはあまり期待できないが、レクサスのように値引きゼロというほどではない。タイミングと簡単なテクニックさえあれば、15万位までの値引きなら引き出せそうだ。
タイミングとは、売り手側がノルマ達成などの理由から、値引きしてでも売りたい状況であることだ。国産メーカーの場合、買い手有利のタイミングは以下の通りだ。

  • 6~7月のボーナスセール
  • 2~3月の決算セール
  • 9月末の半期決算セール

こうしたタイミングをうまく利用することで、値引きアップが期待できる。

もちろん、タイミングが合っていても無策であれば、値引きなどしてくれない。必ずライバル車種の見積りを先に取り、その後にCX-5の商談をするとよい。マツダの営業マンに、「本命はライバル車」と勘違いさせることが重要だ。
また商談時には「ライバル車が気に入っているが、支払金額次第だがCX-5も検討したい」と伝えることも大切である。ライバル車に傾かないように熱く営業してくるようであれば、値引き額アップの期待も大きくなる。
「ライバル車は頑張って値引きしてくれた」というようなトークを入れながら「CX-5も値引きしてくれるよね?」というプレッシャーをかけるのも欠かせない。

ライバル車に挙げられるのは、日産エクストレイルやスバル フォレスター、トヨタRAV4などだろう。すぐに登録できる、高年式でCX-5と同等程度の中古車を入れてみるのもよい。
現在、新車はコロナ禍による部品不足で納期が長期化している。「CX-5は納期が長い。すぐ乗れる中古車も検討している」と伝えてみるといいだろう。長期間待つ分、値引きを頑張ってもらう作戦だ。
よほどタイミングが合わなければ、30万円を超えるような値引きを引き出すのは難しいだろう。値引き金額が上がらなくなった場合、ディーラーオプションをサービスしてもらうなどに変更するのも一つの手だ。

まだ高値傾向だが、前期のモデルなら中古車購入もあり!

マツダCX-5は、2017年にフルモデルチェンジし、すでに5年が経過している。前期の中古車流通量も増えており、やや価格も下がってきている。とはいえ、人気のSUVらしく中古車全体でみると高値を維持している。

2017年式の中古車相場は、2022年5月現在でおおよそ190~250万円だ。新車価格が250~350万円位だったので、中古車価格は新車価格の約71~76%程度にまで下がっている。中古車としては、買い得感に欠けるとはいえ、ギリギリ買っても損は無いといえる価格帯だ。

190~200万円台で人気の2.2Lディーゼルエンジンを搭載したXD系だと、装備の充実した中間グレードであるプロアクティブが中心だ。走行距離は、5万㎞オーバーの車両になる。
稀に、レザーシートを装備した最上級グレードであるLパッケージで5万㎞以下という車両が見つかる。こうした車両なら買い得感もあるので、積極的に狙ってみるのもよい。
プロアクティブであれば、200万円くらいまでの車両が中古車購入でメリットがあるラインだと考えられる。

220万円以上になってくると、走行距離が3万㎞以下、最上級グレードであるXD Lパッケージ車が多くなってくる。この価格帯のLパッケージ車であれば、新車価格より100万円以上安価になっているので買い得感もある。これ以上高い価格帯の中古車であれば、あまり買い得感が無いので新車を選ぶほうがよい。

マツダCX-5の競合車は?

予算次第だが、ハイブリッド車やPHEVも選択可能

マツダCX-5のライバル車には以下が挙げられる。

  • トヨタ RAV4
  • 日産 エクストレイル
  • スバル フォレスター
  • 三菱 エクリプスクロス
  • ホンダ CR-V

搭載するパワーユニットなどで価格帯が異なるため、商談で競合させるときは、なるべく近い価格帯のグレード同士を選ぶのがコツだ。

CX-5のユニークな点は、パワーユニットにディーゼルの設定があることだ。ライバル車には、ガソリンもしくはハイブリッド車という設定だ。
価格は、ガソリン車はほぼ各車同等程度の価格帯になるが、RAV4ハイブリッド車はCX-5のディーゼルよりやや高値の設定になる。また、RAV4ハイブリッド車より少し高価になる車種ではエクリプスクロスのPHEVが選択できるようになる。

非常に良いクルマが多いクラスなのだが、総じてガソリン車が没個性的なのが惜しい。電動化が進む中、燃費や走りの質などで先進感に欠ける。クルマの電動化が進む現在、あえてこれから新車を選ぶというのであれば、純ガソリン車は選びにくい。それでもガソリン車を選択するならば、より安価な中古車の方が経済的でもある。

300万円位の価格であれば、CX-5のディーゼル車がベストな選択になってくる。コストパフォーマンスも高い。

エクストレイルは、2022年度内にフルモデルチェンジ予定という噂がある。今あえて新車で購入せず、新型が出てくるのを待つべきだ。

フォレスターは2.0Lハイブリッド車であるe-BOXERを搭載しているものの、ごく限られた環境下でないとEV走行できず、やや物足りない。燃費もあまりよくないので、本格的なハイブリッドが登場するまで待つべきだろう。

RAV4とCR-Vに関しては、本格的なハイブリッドで超低燃費と電動車らしい先進感あふれる走りが楽しめるが、予算は400万円オーバーとなってしまう。

ハイブリッド車では物足りないなら、RAV4やCR-Vに近い予算でありながら、最も先進的なパワーユニットを搭載したエクリプスクロスPHEVを体験してみるのもよいだろう。コストパフォーマンスを求めるならば、一考に値するのではないだろうか。