ライター紹介

CAR-TOPICS編集長

村田 創 氏

大学卒業後新車ディーラーにて5年勤務。その後、中古車のガリバーへ入社。車一筋20年以上のベテランが新車から中古車まで幅広く解説します。

BMW X3とレクサスNX

今では世界中のメーカーが揃えるようになった鉄板ジャンルと言えば、それまでの泥臭いイメージを払拭した、クロスオーバーSUVだろう。いわゆるシティ派SUVであるBMW X3とレクサスNXは、日本における人気SUVの代表各。今回の記事では、そんな両者についてじっくり比較してみたいと思う。

プレミアムSUVの先駆者であるX3

BMW X3_外観

初代(E83型)が2004年に発売され、プレミアムカーブランドらしい上質な質感と、日本でも取り回しやすいサイズ感が好評を博した結果、X3はプレミアムミドルクラスSUVのパイオニアとして確固たる地位を築き、現代のBMWを代表モデルとなった。2017年10月には3代目となる「G01」型が発表され多くの注目を集めている。

純国産のプレミアムSUV、レクサスNX

レクサスNX_外観

レクサスブランド初のミドルSUVとして2014年に販売を開始したレクサスNX。プラットフォームやエンジンなどの基幹パーツは、トヨタハリアーと多くの共通点があるのも特徴。しかし、国産プレミアムカーブランドであるレクサスらしく、高級感とスポーティさを併せ持ち、ハリアーよりも1ランク上の仕上がりになっていると言って良い。

豪華さではレクサスNX優勢

貫してシンプル且つ機能的なX3に対して、車種ごとに個性を持たせたNXの方が、どちらかと言えば豪華な印象を受ける。シンプルで高級感のあるアナログ時計や、レクサスの「L」を模ったL字パターンが刻まれた操作ダイヤルなど、日本メーカーらしい細やかさである。

どちらが良いかは個人の好みで違うかもしれないが、どちらのインテリアもメーカーの個性が現れているとも言えるだろう。

保守的な美しさのX3

BMW X3_外観_後ろ

NXのスタイリングは、レクサスのアイデンティティであるスピンドルグリルや、L字を模したLEDランプなど、未来的で革新的なエクステリア。対してX3は、先代から確実にアップデートされてはいるものの、コンサバティブで、BMWの強いこだわりを感じるデザインになっている。

インテリア同様、個人の好みで評価が分かれるかもしれないが、X3には、大筋のデザインは変えず、ある意味完成された美しさが備わっていると感じることができる。

燃費ではディーゼルのX3有利

発売直後のためエンジンラインナップが、2.0リッターのガソリンとディーゼルの2種類しかないX3だが、単純な燃料費という点ではディーゼルエンジンの魅力は大きい。JC08燃費17.0km/Lという性能ももちろんだが、燃料単価がハイオクより30円以上安い軽油であるため、燃料コストで見ればかなりのお得感がある。

また、1,750rpmという低回転から発生される40.8kgmというトルクのお陰で、街中ではほとんどアクセルを踏み込まなくとも十分流れに乗ることが可能だ。

世界に誇るハイブリッドシステム

レクサスNX_外観

X3がディーゼルならば、NXには世界に誇るハイブリッドシステムがある。プリウスに代表されるトヨタのハイブリッドシステムを採用しながらも、2WDのJC08燃費は21.0km/Lとし、燃費ばかりでなく、気持ちの良い走りを実現させるためのチューニングが施される。

これは、レクサスが燃費ばかりの大衆車とは違い、プレミアムカーブランドであるというこだわりを主張している内容とも言えるだろう。

セダン譲りのハンドリングが魅力のX3

エンジンを縦向きレイアウトした後輪駆動を採用するX3は、同じBMWの3シリーズや5シリーズのセダンがそうであるように、前後の重量配分を限りなく50:50にしている点が大きな特徴。SUVでありながら、ハンドルや体に伝わる挙動は、BMWらしく素直でシャープな動きを見せる。この体で感じる身のこなしの良さが、BMWの魅力そのものと言えるのではないだろうか。

BMW X3_インパネデザイン

取り回し性ではNXリード

NX(スタンダード/Ipackage)の最小回転半径は5.3mで、このクラスのSUVとしてはかなり優秀。また、全幅が1,890mmあるX3に対して、NXの全幅は1,845mmに抑えている。そのため、国土が狭く、道幅も狭い日本では、NXの方が気を使わずに運転できるのではないだろうか。このあたりのサイズ感は、国産メーカーならではと言ってもいいだろう。

安全装備の充実度ではX3に軍配

どちらも最新の安全装備を備えているが、標準装備している種類の多さで言えば、X3に軍配が上がる。車線変更時などに、見えにくい斜め後方を監視し、ドライバーに注意を促すシステムや、車両に搭載したカメラで、車両を上からみたような映像で駐車をしやすくする機能など、X3が標準装備なのに対して、NXではメーカーオプションになっている。

ナビと連動したサスペンション

BMW X3_インパネデザイン

NXの上級グレードである「F SPORT」は、ナビゲーションデータを活用した最新の電子制御サスペンション「NAVI・AI-AVS」を装備。進路の先にあるコーナーの情報を解析し、最適な減衰力に自動調整してくれる。初めての道であってもドライバーや同乗の疲労軽減に大きく貢献することだろう。

同じ2.0リッターのガソリンエンジンを搭載した最安値モデルで比較すると、新車価格は、NX440万円からなのに対し、X3は639万円から。同クラスのSUVと捉えた場合は、圧倒的にNXのコストパフォーマンスの高さが際立つ。もちろんX3がただ割高というだけではなく、誰もが認めるプレミアムカーブランドらしい質感や走りがある。

最新装備を備えた新車も魅力的だが、特に欧州車は中古車になることで価格がグッと下がり、国産の同クラスとの価格差はほとんど無くなる。そこで、新車だけではなく中古車も視野に入れることで、より納得した1台を手に入れられるだろう。