この記事の目次 CONTENTS
日本にジャストサイズのSAV
最小限のデザイン変更
まず基本的なエンジンからラインナップ
理想的な重量配分
充実した安全装備
3代目X3の価格・グレード情報

ライター紹介

CAR-TOPICS編集長

村田 創 氏

大学卒業後新車ディーラーにて5年勤務。その後、中古車のガリバーへ入社。車一筋20年以上のベテランが新車から中古車まで幅広く解説します。

日本にジャストサイズのSAV

X3は2004年に初代(E83型)が発売され、日本では2011年から2代目(F25型)へとフルモデルチェンジ。そして、2017年10月3代目となるG01型が販売を開始しされ大きな注目を集めている。

Dセグメントに属するプレミアムSUVのパイオニア的存在のX3だが、BMWではSAV(スポーツアクティビティヴィークル)という独自の呼称で呼ばれる。全長4720×全幅1890×全高1675mmという大きすぎないサイズで、日本では兄貴分であるX5よりも人気のSUVモデルとなっている。

プラットフォームを一新

BMW X3_外観

今回の3代目となったX3最大のトピックは、コードネームがGから始まるようになったということ。上級クラスである5シリーズや7シリーズもGというコードネームを使用しており、本来ベースであるはずの3シリーズのコードネームはF。つまり、5シリーズや7シリーズと同じアーキテクチャということである。

そして、プラットフォームは5シリーズと共通となり、ベースであるはずの3シリーズより一足先に新しい世代へ足を踏み入れたことになる。また、先代と比較して、大きさはほとんど変わっていないが、ホイールベースが55mm延ばされたことにより、室内空間が拡大した。

最小限のデザイン変更

先代と比較すると、正直それほど変わっていないという印象ではある。BMWでは、近年フルモデルチェンジされたモデルを見ると、往々にして保守的な変化に留まっており、X3のエクステリアも明確な意思を持って保守的にしていることが伺える。

とは言え、ヘッドライトやテールランプは、やや鋭くなり、キドニーグリルの縦横比も拡大。エアスクープなども大きくなったことで、より押し出し感の強い顔つきに変化。さらにサイドのキャラクターラインは水平基調となり、エレガントさが増した印象だ。

成熟し普遍的なインテリア

成熟し普遍的なインテリア

エクステリアの変化が保守的と言ったが、インテリアに関してはさらに保守的で、BMWに詳しくない人は、内装を見せられてだけではどちらが新型か区別がつかないかもしれない。もちろん多少の意匠変更はされているが、目立つのは10.2インチに大型化されたモニターが、インパネから独立したことぐらいだろう。

この超保守的なインテリアは、決して変化できなかったのではない。ドライバーにとって最善のレイアウトを長年追求し、ほぼ完ぺきとも言えるインテリアであるという自信の表れ。つまり、インテリアに関しては大きく変化させる必要がないということなのだ。

まず基本的なエンジンからラインナップ

現行型X3に用意されているエンジンは、最高出力184ps/5,000rpm、最大トルク29.6kgm/1,350-4,600rpmを発生する、4気筒2.0Lガソリンターボと、最高出力190ps/4,000rpm、最大トルク40.8kgm/1,750-2,500rpmを発生する、4気筒2.0Lターボディーゼルの2機種のみ。

ちょっと少ないような気がするかもしれないが、いつものBMWのやり方からすると、今後PHVや、さらにハイパワーなエンジンを投入してくる可能性は高い。

今現在の主役はディーゼルで決まり

今現在の主役はディーゼルで決まり

X3の性格上、やはり高回転をガンガン回してハイスピードで走り回るというよりも、低回転のトルクを活かして、グイグイと山道を加速していく姿の方がしっくりくる。アイドリング音を外から聞けばディーゼル特有のカラカラ音が聞こえるが、乗ってしまえばほとんど気にならないほど静か。

そして、最大トルクは1,750rpmという低回転から発揮されるため、市街地の使用でも実にストレスフリー。さらに、JC08燃費17.0km/Lという燃費性能を誇り、経済的な面でも、是非ディーゼルをオススメしたい。

理想的な重量配分

縦置きエンジンのFRレイアウトであるX3は、BMW伝統の50:50という前後重量配分はである。ハイスピードでコーナーを攻めるような性格ではないX3でも、やはり、理想的とされる重量配分のお陰で、BMWらしい素直でドライバーと一体となったような動きを見せる。決して軽くないはずのSUVだが、このあたりの味付けの上手さは流石である。

車が小さくなったかと錯覚する軽快さ

車が小さくなったかと錯覚する軽快さ

先代に比べて僅かにサイズアップした現行型だが、重量は50kgの軽量化に成功している。
たかだか50kgと思われるかもしれないが、上記で触れた乗り味に大きく貢献していることは明らか。ハンドルなどの操作感が軽くなったことも手伝って、1クラス小さな車を運転しているような感覚になるほど、X3のハンドリングは軽快そのものと言って良い。

充実した安全装備

BMWきっての売れっ子であるX3には、当然のことながら基本的な安全装置はすべて標準装備されている。フロントガラスに設置されたカメラと前後バンパーに埋め込まれたレーダーによって、常に周囲の状況を監視。歩行者にも対応する自動ブレーキはもちろん、車線変更時の警告システム、さらに停止までサポートするACCなど、充実した内容となっている。

インテリジェント・フルタイム4WDシステム

インテリジェント・フルタイム4WDシステム

SUVであるX3の駆動方式は、当然全グレードが4WD。xDriveと呼ばれるBMWの電子制御4WDシステムは、滑りだしてから前後のトルク配分を変える、従来の電子制御4WDとは異なる。xDriveは滑り出す前の兆候を察知し、先回りするように前後のトルク配分を調整してくれるため、突然路面状況が変化しても安心して運転を続けることができる。

3代目X3の価格・グレード情報

・X3 xDrive20i 639万円
・X3 xDrive20i xLine 684万円
・X3 xDrive20i M Sport 687万円
・X3 xDrive20d 662万円
・X3 xDrive20d xLine 707万円
・X3 xDrive20d M Sport 710万円

現行型X3はまだ販売されたばかりのため、当然新車購入時の割引はあまり期待できない。そこで、予算を抑えたい、または上級グレードに乗りたい場合は、中古車も検討することをオススメする。BMWをはじめ、輸入車は中古車になることで、一気にお買い得感が増すという特徴があり、初回車検を終えたばかりの中古車であれば、新車価格の半額近い値段で購入できることも珍しくない。