ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

広がるPHEV車種、ついにX3にも!

BMWは、ミドルサイズのSUVであるX3にPHEV(プラグインハイブリッド)の 「X3 xDrive30e」を設定して発売を開始した。

PHEVは、外部からの電力を得てバッテリーを充電。その電力を使い、通常EV(電気自動車)として走る。
蓄えた電力を使いきると、ハイブリッド車として走るため、純粋なEVのように、充電スポット探しや充電時間を気にする必要がない。既存の充電、給油インフラをフレキシブル使える現実的な次世代環境車だ。

BMWは、PHEVなど電動車の投入に積極的だ。
X3では初のPHEVモデルとなるが、すでにX5や2シリーズ、3シリーズ、5シリーズ、7シリーズなど多くのモデルにPHEVを用意している。

44kmの距離をEVで走行できる

X3 xDrive30eに搭載されるパワートレーンは、直列4気筒2.0LのDOHCターボのガソリンエンジンだ。
最高出力184ps(135kW)/5,000rpm、最大トルク300N・m/1,350~4,000rpmという出力となる。これに、最高出力109ps(80kW)/3,140rpm、最大トルク265N・m/1,500rpmを発揮する電気モーターが組み合わされ、システムトータル最高出力は292ps(215kW)だ。

このX3 xDrive30eは、電気モーターのみで最高速度140km/hまでの走行が可能。日本の高速道路では十分過ぎるパフォーマンスを誇る。
満充電の状態でEV走行できる航続距離は44kmとなった。

EV航続距離が44㎞というと、人によっては短いと感じるかもしれない。
たしかにもう少し走行できてほしいところだが、毎日の送迎や通勤などであれば十分ともいえる航続距離だ。
毎日短距離運転を繰り返すような使い方であれば、ほとんどガソリンを使わない生活が可能になる。

充電に要する時間は、0%から80%までは普通充電で約3.5時間、また0%から100%までは約4.3時間で充電可能だ。

アクセルレスポンスに優れた気持ちよい走りと環境性能を両立

こうしたPHEVは、燃費重視の環境車といったイメージが強く、走りは楽しくないと思っている人が多い。
だが、実は非常に気持ちのよい走りが楽しめるモデルでもある。

まず、EV走行を支えるモーターと、ターボエンジンの相性がとてもよい。
モーターは、アクセルを踏んだ瞬間から最大トルクを発揮する特性をもつ。

対してターボエンジンは、アクセルを踏んでから少しの間、エンジンの反応が遅れるというターボラグがある。
このターボラグから瞬時に最大トルクを発揮するようにモーターがアシスト。アクセル操作に対して、鋭いレスポンスを実現し、意のままに気持ちよく走る。さらに、モーターのトルク分が加わるので、パワフルな加速感が楽しめる。

また、X3 xDrive30eには3種類の走行モードが設定されていて、ドライバーが自由に選択できる。
センターコンソールに設けられたeDriveボタンを「MAX eDrive」にすると、純粋なEV走行となる。
電気走行とエンジン走行を最適にチョイスして走る「AUTO eDrive」、ドライバーが任意に設定した充電量に達するまでエンジン走行する「Battery Control」の3つの走行モードが設定された。

BMW X3 xDrive30eの価格、スペック

■価格
・X3 xDrive30e xLine Edition Joy+:7,780,000円
・X3 xDrive30e M Sport Edition Joy+:7,810,000円
・X3 xDrive30e xLine:8,330,000円
・X3 xDrive30e M Sport:8,360,000円

■代表グレード:BMW X3 xDrive30e M Sport

・ボディサイズ:全長4,720mm/全幅1,890mm/全高1,675mm
・ホイールベース:2,865mm
・車両重量:2,060kg
・エンジン:直列4気筒DOHCターボ
・排気量:1,998cc、
・エンジン最高出力:184PS(135kW)/5,000rpm
・エンジン最大トルク:300Nm/1,350rpm-4,000rpm
・ハイブリッド燃料消費率:WLTC 11.8km/L
・充電電力使用時走行距離:WLTC 44.0km
・ミッション:8速AT