ライター紹介

CAR-TOPICS編集長

村田 創 氏

大学卒業後新車ディーラーにて5年勤務。その後、中古車のガリバーへ入社。車一筋20年以上のベテランが新車から中古車まで幅広く解説します。

BMW X3とアウディQ5

ドイツのプレミアムカー御三家と言われるBMWとアウディ。両者のミドルクラスSUVであるX3とQ5は、大きすぎないサイズ感で日本でも人気の車種と言える。何かと比較されることの多いライバル同士であるため、今回の記事では、そんな好敵手同士の2台を徹底的に比較してみたいと思う。

ミドルクラスSUVを人気ジャンルに押し上げたX3

BMW X3_外観

先に発売されていたX5の人気を受けて2004年に初代E83型がデビュー。それまで大きくて扱いづらいと思われてきたSUVのイメージを、街中での使用にもマッチするおしゃれな存在にし、現在のミドルクラスSUV人気を奮起させたパイオニア的存在だ。

2017年10月には3代目に当たるG01型が発売され、5シリーズ譲りのプラットフォームの採用や、モジュール化されたBMWの最新エンジンを搭載するなど、多くの注目を集めている。

日本のアウディ人気の火付け役であるQ5

アウディ Q5_外観

兄貴分にあたるQ7に次ぐ2番目のSUVとして、2008年に誕生したQ5は、昨今の日本におけるアウディ人気の火付け役になったといっても過言ではない。それまで高級外車の定番であったベンツ、BMWとは違った魅力を持ち、エレガントさとスポーティさが絶妙にバランスしている。

X3よりも1か月早い9月に2代目へとフルモデルチェンジを果たし、新世代プラットフォーム「MLB evo」の採用と、エンジンやシャシなどが大幅にアップデートされ、X3同様今注目の1台である。

キープコンセプトながら新しさも感じるアウディQ5

国産メーカーに比べ、欧州車メーカーは、新型であってもブランドイメージを絶対に変えないよう、保守的なデザインであることが多い。それはX3とQ5のどちらにも共通していることだが、Q5のデザインは、BMWやベンツとは少々毛色が違う。

SUVというと、どうしても押し出し感のある顔つきになるのが常なのだが、新型Q5の顔つきはどちらかと言えば紳士的な印象すら受ける。デザインの方向性はアウディ独自の価値観が色濃く反映され、BMWやベンツには無い新たな魅力を感じることができる。

インテリアの上質さではBMWのX3がリード

アウディQ5_インパネデザイン

X3とQ5、どちらもプレミアムカーブランドらしく、高級家具を思わせるようなインテリアだが、Q5のインテリアに関して言えば、どこか親会社であるワーゲンのような庶民的な雰囲気を感じてしまう。決して悪いとは言わないが、取って付けたようなセンターディスプレイなど、要所要所にプレミアムカーブランドらしからぬ部分が見える。

対してX3のインテリアは、シンプルでありながら、ドライバーを中心としたレイアウトをキープ。また、ひと言で言えば一切スキのないインテリアに仕上がっている。

BMW X3_インパネデザイン

絶対的なパワーではQ5に軍配

SUVである以上、ピークパワーはそれほど必要ないが、やはりエンジンがパワフルなことに越したことはない。同じ2.0Lの4気筒ターボエンジンで比較した場合、X3は184ps/29.6kgm、対するQ5は252ps/37.7kgmを発生し、X3よりも圧倒的にパワフルである。

同じ排気量でパワーがあるということは、燃費が悪いと思われがちだが、X3が13.5km/Lなのに対して、Q5は13.9km/LとこれまたX3を上回る。車重がほとんど変わらないため、この差は正直驚きである。

どちらも今後の展開に期待

BMW X3_外観_後ろ

どちらも発売されたばかりのモデルであるため、X3は2.0リッターのガソリンとディーゼルの2種類、Q5は2.0リッターガソリンと、上級モデルのSQ5に搭載されるV6 3.0リッターガソリンとなり、ラインナップとしてはいささか寂しい。

だが欧州車メーカーは、新型の発売後、徐々にエンジンのラインナップを増やしてくる傾向がある。そのため、今後はハイブリッドなど新たなエンジンバリエーションが追加されることを期待したい。

4WDシステムではアウディが優勢

お題でアウディ優勢と書いたが、その差はごく僅かである。X3がFRベースの4WDなのに対して、Q5はFFベースの4WDで、必要のない時には後輪への動力を完全に遮断し、FFとして車体を引っ張るため、直進安定性も高い。

アウディの4WDシステムはクワトロと呼ばれ、4WDをいち早く市販しただけあり、オフロードでのトラクション性能はもちろんのこと、オンロードの滑らかも世界的に見てもトップレベルと言ってもいいだろう。

アウディQ5_外観_後ろ

安全性は標準装備充実ではQ5有利

両者ともカメラとセンサーを用いた予防安全装備、および、運転支援システムが揃うが、Q5の方が若干充実した内容になっている。例えば、車線のはみ出しなどを防止するため、Q5ではハンドルの補正までを行うのに対し、X3はメーター内の警告とハンドルの振動のみ。

また、交差点の右折時などで衝突回避を図るターンアシスト、駐車時のステアリング操作をシステムが自動制御するパークアシストなども標準装備し、よりきめの細かい内容と言えるだろう。

ジェスチャー操作可能なX3

BMW X3_インパネデザイン

近年車の装備はどんどんハイテクになり、ナビゲーションなどはもちろん、車のあらゆる情報を備え付けのディスプレイで確認できる。そして、X3に装備されたマルチインフォメーションディスプレイは、タッチ操作と音声操作に加え、空中で決められた動作をするだけでコントロールできるジェスチャーコントロールを備えている。

装備が充実する代わりに、さまざまな操作が煩雑になる現代の車において、ドライバーは視線を動かすことなく操作ができるため、より安全に運転することが可能だ。

BMWのX3とアウディのQ5は、どちらも、新型が発売されて間もないため、新車で購入する場合に、あまり大きな値引きは期待できない。もちろん、新型のエンジンや最新の安全装備は魅力的ではあるが、購入費用を抑えたいという場合には、是非中古車も検討してみてはいかがだろうか。

両者とも新型が出たことで、旧型の値段が下がり、モデル末期の比較的新しい個体でも、お買い得な価格で購入できる可能性がある。新車中古車問わず、まずは両方の見積もりを取り、検討してみることをオススメする。