この記事の目次 CONTENTS
2シリーズから展開される2つのミニバン
広さは圧倒的にアクティブツアラーが有利
同じパワーユニットでも走りは違う
見た目や装備に大きな違いはなし
選択肢が豊富だからこそ、中古車でも検討を

ライター紹介

CAR-TOPICS編集長

村田 創 氏

大学卒業後新車ディーラーにて5年勤務。その後、中古車のガリバーへ入社。車一筋20年以上のベテランが新車から中古車まで幅広く解説します。

2シリーズから展開される2つのミニバン

販売開始からまだあまり年数が経っていないBMW2シリーズのグランツアラーとアクティブツアラー。どちらもファミリーカーとして良さそうなものの、新車価格が30万円程度しか変わらず、名前も似ていてその違いがよく分からないという人もいるはず。そこで、今回はそれぞれの違いについて比較したい。

広々5人乗りのアクティブツアラー

アクティブツアラー 外観

アクティブツアラーは2014年から日本で販売が開始されているBMW初のミニバンだ。車体が程々に大きい一方で、乗車人数は贅沢をせず5人乗りとしている。そのため車内には十分なゆとりがあり、ラゲッジスペースの容量も大きい。長距離でもドライビングを楽しめるクルマとなっている。

●サイズ:全長4,350mm×全幅1,800mm全高1,550mm
●燃費:17.3km/L(ベースモデル218iActive Tourerの場合)
●新車価格:363万円~

3列シート7人乗りのグランツアラー

グランツアラー 外観

グランツアラーは2015年から日本で販売が開始されたミニバンだ。BMWでは初の3列シート7人乗りである。3列シート7人乗りのミニバンといえばトヨタのアルファードなど比較的大きなクルマを想像するかもしれないが、グランツアラーはあくまで「2シリーズ」の中の一車種であり、サイズはあまり大きくない。

●サイズ:全長4,565mm×全幅1,800mm×全高1,645mm
 (※参考…トヨタ・アルファードの全長は4,915-4,935mm)
●燃費:16.9km/L(ベースモデル218i Gran Tourerの場合)
●新車価格:393万円~

広さは圧倒的にアクティブツアラーが有利

結論からいえば、車内の広さが両者の圧倒的な差だといえる。グランツアラーは狭い。

グランツアラーとアクティブツアラーは全長が215mmしか変わらないが、これだけの差でグランツアラーはアクティブツアラーより1列多い。全高を100mm弱上げる、ラゲッジルームの容量を小さくするといった工夫こそしているが、グランツアラーは全体的に狭く、特に3列目は小さな子どもに対応できる程度である。

走行中の安定性はグランツアラーの方が良い

グランツアラー 外観

乗り心地についてはどちらも少しばかり硬さがある。しかし、これはBMWのクルマ全般にいえることである。グランツアラーもアクティブツアラーも、フロントシートについてはしっかり包み込まれるような安定感があり、硬さがあっても乗り心地は良い。

しかし、2列目以降は乗り心地に差が出る。アクティブツアラーはオフロード性能が弱く、凹凸のある道では跳ねや揺れを感じやすい。理由としては車体重量の違いが挙げられる。アクティブツアラーはグランツアラーに比べると約110kg軽く、その分だけ安定性を欠くのだ。

また、アクティブツアラーはほとんどのモデルにMスポーツサスペンションを装備しており、この影響で座り心地がより硬くなっている。

同じパワーユニットでも走りは違う

グランツアラーとアクティブツアラーはともにパワーユニットの選択肢が豊富であり、それぞれ12種類のモデルを展開している。この12種類についてはグランツアラーとアクティブツアラーで共通したものを採用しているため、そこから生み出されるパワーも同等である。BMWにしては珍しく前輪駆動方式を採用している点も共通している。一方で、走りについては傾向が異なる。

軽快な走りと安定性のある走り

アクティブツアラー 外観

アクティブツアラーは走りが軽快である。ミニバンとは思えない機敏な動きも特徴的である。ドライバーのハンドル操作がそのままタイヤに伝わるような操舵性は運転していてワクワクするような感覚を覚え、まさに「BMWらしさ」を感じられる。

一方で、グランツアラーはどちらかというと落ち着きのある走りをする。ある程度の操舵性もあるが、アクティブツアラーに比べれば反応が穏やかで、安心感を覚える。軽快な動きをするアクティブツアラーに対して、「頼りがいのあるファミリーカー」として活躍してくれそうだ。

BMW2シリーズ 内装

見た目や装備に大きな違いはなし

エクステリアとインテリアを比較すると、ここについてはほとんど差がない。グランツアラーのエクステリアがアクティブツアラーをそのまま横に引き伸ばしたような印象である。インテリアも前輪駆動方式を採用することによって高さを確保し、ミニバンらしさを演出しつつもBMWらしい、すっきりした空間となっている。

装備も大きな違いはないが、グランツアラーで標準装備されているリヤ・ビュー・カメラ、PDC(パーク・ディスタンス・コントロール)、パーキング・アシストが、アクティブツアラーではオプション装備となっている。どれも駐車に関係する安全性能で、運転が上手い人にとっては無くても気にならないかもしれない。

グランツアラーの3列目は使い方を工夫できる

グランツアラー 外観

グランツアラーはラゲッジスペースの容量がわずか145Lと小さい。これに対してアクティブツアラーは468Lと実に大容量だ。しかし、グランツアラーの場合、3列目を折りたためばラゲッジスペースの容量が560Lにもなり、多くの荷物を詰め込むことができる。折りたたむのもワンタッチ操作で簡単だ。

グランツアラーは狭いと思われがちだが、それはあくまで3列目に人を乗せる場合であり、ラゲッジスペースとしても使えると考えれば便利だろう。競合相手となる他の3列シート7人乗りのクルマに比べて全長が短い分、多くの人とって運転しやすいサイズでもある。

3列目に人を乗せるのは緊急時と考え、普段はラゲッジスペースとして活用する手もあるだろう。

グランツアラー 内装

選択肢が豊富だからこそ、中古車でも検討を

グランツアラーとアクティブツアラーの最大の違いは乗車定員だが、その他にも走りや装備といった点で違いが存在する。ラゲッジスペースが大きく、安定した走りを求めるのであればグランツアラーが良いだろう。逆に、乗車人数にこだわらず、広々とした車内空間を楽しみたい、アグレッシブな運転を楽しみたいというのであればアクティブツアラーがおすすめだ。

BMWはモデル展開やオプション装備が多く、特定の車種が欲しいと思っても、そこからどのモデルやオプションを選択するか悩みやすい。また、BMWはオプション次第で価格が高くなりやすい傾向もある。ぜひ、中古車も視野に入れ、一度見積もりをとって検討してほしい。