アウディQ3

アウディは、CセグメントのコンパクトSUVであるQ3を一部改良し発売を開始した。

やや高価で4WDの設定しかなく、苦戦したQ3


アウディQ3は、2012年に登場。Q3のボディサイズは、全長4,400×全幅1,830×全高1,595mm。全幅は1,800オーバーと、全長は短いがワイドなシルエットをもつ。Q3は、コンパクトカーのA3やフォルクスワーゲン ゴルフなどがベースとなっていることから、Cセグメントに属するSUVだ。

最近、このクラスのSUVは人気が高く、2017年1月にはフォルクスワーゲン ティグアンがフルモデルチェンジしたばかり。その他、ライバルとなるのは、BMW X1やメルセデス・ベンツGLAなど。国産車では、サイズ的にはトヨタC-HRが同じセグメントになる。

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そんなQ3は、デビュー当時、馬力の異なる2.0Lターボエンジンが2タイプ用意され、4WDのみの設定だった。人気のSUVということで、価格は400万円超というやや強気な価格設定だった。4WDしかないことや、価格も高いこともあり、販売台数はそれほど伸びない。こうしたSUVは、4WDが最も売れると思われがちだが、マーケットのニーズは2WDにあった。もはや、SUVに走破性を求めているのではなく、見晴らしのよいアップライトなドライビングポジション、広い荷室、迫力のあるデザインなどが評価された。セダンやワゴン、ミニバンからの乗り換えが多くなっていたのだ。

こうした顧客は、価格は高くなり、燃費も悪くなることから4WDを敬遠したのだ。 こういった傾向が顕著に出ているのが、2017年1月に導入されたフォルクスワーゲン ティグアン。ティグアンは、割り切った設定でFF(前輪駆動)車しか用意されていない。Q3もそうしたマーケットに合わせて、モデル途中から1.4Lターボを搭載したFFモデルを投入。価格も400万円を切る価格設定とした。それでも、やや高めの価格設定であることにそれほど変化はない。Q3の販売台数は、日本マーケットでは導入以来、約12,000台が販売されている。デビューから5年なので、平均すると200台/月程度の販売台数ということになる。

 

最小回転半径は5.7mと大きい。狭いところでは・・・


アウディQ3現在、Q3のグレード構成は4タイプ。1.4Lターボは2グレード。1.4TFSIと1.4TFSI sportとなっており、エンジン出力は150PS/250Nmを発揮。JC08モード燃費は、17.4km/Lと低燃費性能をもつ。組み合わされたミッションは、6速Sトロニックトランスミッション。

「sport」グレードは、1.4 TFSIグレードをベースにスポーツシートやアウディドライブセレクトなどを備え、よりスポーティなイメージを高めたモデルだ。この1.4Lターボ車は、FFのみの設定になっている。

2.0Lターボは、2.0 TFSI quattroで、180PS&320Nmもしくは220PS&350Nmと、同じ2.0Lターボで出力の異なるエンジンを搭載し、グレード分けされている。ミッションは7速Sトロニックトランスミッションとなり、高出力を無駄なく路面に伝えるquattro(クワトロ)フルタイム4輪駆動のみの設定になっている。

さて、このQ3。全長4,400㎜というコンパクトなボディサイズがウリだ。コンパクトカーは、狭いところでの使い勝手の良さなどが大きなメリットだ。ところが、Q3の最小回転半径は5.7m。この数値は、トヨタの大型ミニバンアルファード&ヴェルファイア並み。コンパクトSUVなのに、狭いところでは使いにくさを感じるスペックになっている。

 

よりスポーティさをアピールする小改良


アウディQ3今回の仕様変更では、1.4 TFSI sport と2.0 TFSI quattro のフロントバンパーを大型化。エアインレットはハイグロスブラックに、グリルバーはアンスラサイト仕上げとした。全体的に塊感がより強調され、スポーティな雰囲気になった。

また、よりスポーティな外観となるS lineも新しいデザインのフロントバンパーを採用。エアインレットはハニカムのブラックとなり、横一線に伸びたボディ同色のストラットによって、バンパーは上下に二分割され明確に標準モデルの外観とは異なる印象を与えている。どちらかというと、ややシャープさを強調したデザインだ。

アウディQ3 1.4 TFSI sportの価格は3,860,000円となっており価格の変更は無い。1.4 TFSIとRS Q3 performanceの変更は無く、価格も従来通りとなっている。

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クリーンディーゼル車の登場が待ち遠しい・・・


アウディQ3アウディQ3の選び方。基本的には、Q3はアウディ自慢のクリーンディーゼルエンジン車が投入されてからがお勧めだ。単なるガソリン車は、今後エコカー減税の恩恵を得ることが難しくなるので選びにくい。

ガソリン車でいいというのであれば、動力性能的にも1.4Lターボで十分。このエンジンをチョイスしたいところだが、4WDであるクワトロが無いという状況・・・。どうしても4WDが必要という降雪地域などの人は、必然的に高価な2.0Lターボ車になってしまう。 2.0Lターボは、パワフルで4WDなのはいいが、4,590,000円からと極端に価格が上がってしまう点が悩みどころ。

セダンやワゴン、ハッチバックからの乗り換えで、4WD機能がそれほど必要ないというのであれば、やはり1.4 TFSI sportがお勧めとなる。 1.4 TFSI sportがお勧めなもう一つの理由は、スポーツ系グレードは、リセールバリューも高くなる傾向になるからだ。リセールバリューを気にするのであれば、スポーツ系グレードを選ぶのは鉄則だ。

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アウディQ3価格


・1.4 TFSI 3,690,000円

・1.4 TFSI sport 3,860,000円

・2.0 TFSI quattro180PS  4,590,000円

・2.0 TFSI quattro 220PS 5,390,000円

・Audi RS Q3 performance 2.5 TFSI quattro 367PS 8,180,000円


執筆者プロフィール
クルマ評論家 CORISM代表
大岡 智彦 氏

CORISM(http://www.corism.com/)編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員。