この記事の目次 CONTENTS
日本では人気の高い1シリーズとAクラス
雰囲気は違ってもサイズの差はほとんど無し
パワーと燃費は1シリーズに軍配
安全性能ではオプション装備の点でAクラスが上
中古車がお買い得なタイミング

ライター紹介

CAR-TOPICS編集長

村田 創 氏

大学卒業後新車ディーラーにて5年勤務。その後、中古車のガリバーへ入社。車一筋20年以上のベテランが新車から中古車まで幅広く解説します。

日本では人気の高い1シリーズとAクラス

BMWとベンツ、それぞれ一番の売れ筋はミッドサイズカーの3シリーズとCクラスだ。しかし、日本では1シリーズやAクラスも人気が高い。コンパクトなボディは日本において使い勝手が良く、高級車ブランドにして300万円前後という価格も手が出しやすい。果たしてどちらの方がより得か、質感や性能、走りなどを比較したい。

「駆けぬける歓び」へのこだわりが光る1シリーズ

BMW 1シリーズ 外観

BMW1シリーズの歴史はまだ浅い。2004年に初代モデルが販売開始となり、現行モデルは2代目にあたる。2代目となった2011年から現在までの間には何度かマイナーチェンジをしており、2017年8月にも内装のマイナーチェンジがあったばかりだ。

このクルマの大きな特徴は、コンパクトカーにしてフロントエンジン・後輪駆動方式(FR)を採用している点だろう。コンパクトカーは日常使いを目的として購入されることが多く、一般的には安定性を考慮してフロントエンジン・前輪駆動方式(FF)が採用される。しかし、BMWはよりアグレッシブな走りを実現できるFRレイアウトにこだわったのだ。

居心地の良さが重視されているAクラス

メルセデスベンツ Aクラス 外観

ベンツのAクラスは1997年に初代モデルが販売開始され、現在は3代目である。2代目まではBセグメントに属していたが、3代目で車体を一回り大きくし、BMWの1シリーズと同じCセグメントになった。サイズアップしたといっても十分使い勝手の良いサイズなので、日本では近年都心部で大きな人気を集めている。

ベンツの居住性の高さは多くの専門家から好評を受けているが、Aクラスも限られた空間のなかでどれだけのゆとりを生み出すかという点について考えてデザインされている。また、オプションにはなるが高性能の事故回避システムなども搭載可能だ。安心感を含めた居心地の良さが、Aクラス最大の魅力といえるだろう。

雰囲気は違ってもサイズの差はほとんど無し

1シリーズがわずかにロングノーズであるという点を除いて、両者のボディラインの違いはほとんど見られない。雰囲気の違いとしては、サイドガラスやフロントグリルのデザインからAクラスの方がシャープな印象を受け、1シリーズは活発な雰囲気を醸し出している。

ボディサイズもほとんど変わらない。1シリーズの方がAクラスよりも40mmほど全長が長く、全幅はAクラスの方が15mmほど広い。全高に至っては1シリーズが5mmほど高いという違いだ。

居住性はAクラスの方が半歩上

メルセデスベンツ Aクラス内装

ボディサイズが変わらないので、居住性にも大きな違いはない。しかし、ラゲッジルーム容量が1シリーズは360L、Aクラスは341Lなのでラゲッジルームに広さを割いている分だけ1シリーズの方が座席部分は少々狭い。フロントシートは座席の安定感を含めてあまり差がないものの、リアシートの足元ではその差を感じる。

インテリアの雰囲気としてはAクラスの方が若者好みのデザインをしている。例えば丸形のエアコン吹き出し口は何とも先進的な印象だ。一方で、Aクラスは助手席やフロアコンソール部分がすっきりしている。1シリーズは全体的にすっきりしているが、昔ながらのシフトレバーが健在であり、ドライバーの楽しみを重視してデザインされている。

パワーと燃費は1シリーズに軍配

標準モデルで比べるならば、パワーと燃費は1シリーズの方が有能だ。Aクラスの搭載エンジンは直列4気筒エンジンであり、1シリーズは直列3気筒エンジンが搭載されているが、実は最高出力も最大トルクも1シリーズの方が上回っている。

また、一般的にはパワーが大きいほど燃費は悪くなると考えられるが、燃費もAクラスが17.8km/Lなのに対して1シリーズが18.1km/Lと1シリーズに軍配が上がる。

躍動感あふれる1シリーズと安定志向のAクラス

BMW 1シリーズ 外観

FRレイアウトを採用した1シリーズの走りは、やはり躍動感があふれている。FRは安定性に欠けると思われがちだが、1シリーズは重量配分をほぼ前後50:50に分けて安定感の確保にも力を注いでいる。その上で、ドライバーのハンドリングがそのままクルマの反応として感じられる走りを実現した。運転することが好きなドライバーにとっては楽しいはずだ。

Aクラスはハンドルから走りへの反応が少しばかり鈍く、穏やかな走りをする。よく言えば、1シリーズに比べると安定性があると感じられるだろう。一方で、Cクラスなどに感じられるほどの安定性はなく、路面の凹凸に対して弱さも感じられる。

安全性能ではオプション装備の点でAクラスが上

標準装備に関しては、どちらも同程度の安全装備が備わっており、その差はないように感じられる。

しかし、オプションを考えた場合にはAクラスの方が優位だ。1シリーズのオプション装備となっているドライビング・アシストの内容とAクラスのオプション装備となっているレーダーセーフティパッケージの内容は大きく異なる。

ベンツ自慢のレーダーセーフティパッケージがおすすめ

メルセデスベンツ Aクラス 外観

1シリーズのオプションであるドライビング・アシストは事故が起こりそうな場合に「警告」することや、いざとなった時にブレーキを作動させるといった性能がある。一方、Aレーダクラスのオプションであるレーダーセーフティパッケージについてはインシデントの防止から重点が置かれている。

レーダーセーフティ―パッケージの中でも、自動的に一定の車間距離をとる「ディスタンスパイロット・ディストロニック」は特におすすめだ。これはいわゆる自動運転に近いシステムだが、時速0~約200km/hと、ほぼどの速度でも作動する点はかなり優れている。

中古車がお買い得なタイミング

結果として、パワーや躍動感あふれる走りという点では1シリーズの方が圧倒的に優れている。燃費を考えても、1シリーズはお買い得だろう。しかし、オプション装備まで考えれば、Aクラスの安全性能は安心感にもつながる。

実は、どちらも来年にはフルモデルチェンジをして新型が発売される予定であり、中古車の価格相場が下がってきている。かなりお買い得なタイミングといっていいだろう。また、1シリーズについてはディーゼルエンジンモデルやスポーツモデルなど展開が多いので、オプションやモデル展開などを見ながら、中古車で購入することも検討し、納得のいく一台を選んでもらいたい。