安全なクルマランキング 2017
~セダン編~
このクラスの国産セダンは、販売台数が少ない上にトヨタ クラウンの一人勝ち状態。そのため、高級車ながらどのメーカーの予防安全装備もあまり進んでいなかった。しかも、同じクラスの輸入車は、メルセデス・ベンツCクラスやボルボS60などが世界トップレベルの安全性をもつことから、さらに輸入車人気が高まっている。そうした影響もあってか、徐々に国産セダンの予防安全装備もグレードアップしている。ようやく、価格に合った安全装備を得たといったところだ。2017年7月には、ホンダからシビックが再び日本マーケットに投入される。このモデルは、ホンダセンシングを全車に標準装備化する予定だという。クラウンクラスより下のセダンにも、徐々に予防安全装備が拡充されるだろう。
マツダアテンザ
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アテンザには、歩行者検知式自動ブレーキであるアドバンスト・スマート・シティ・ブレーキ・サポートや、AT誤発進抑制制御(前進)、交通標識認識システム、サイドエアバッグやカーテンエアバッグなどが全車に標準装備化されている。エントリーグレードでも、まずまずの安全装備といえる。最上級グレードのLパッケージになると、バック時のAT誤発進抑制制御や後側方車両接近警報、夜間でも最適な視界を確保するアダプティブ・LED・ヘッドライト、車線維持支援機能などが装備され、現在考えられる予防安全装備がフルコース状態で標準装備化されていて、ほぼ万全といえる内容だ。
ホンダアコードハイブリッド
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アコードハイブリッドも、ほぼアテンザに準じるくらいの優れた予防安全装備を得ている。ホンダの予防安全装備である「ホンダセンシング」には、歩行者事故低減ステアリングと呼ばれる機能があり、ステアリング操作で衝突を回避するアシストも行う。また、レーンウォッチと呼ばれる機能は、左ウインカーの操作またはウインカーレバーの先端にあるスイッチを押すと、連動して助手席側ドアミラーに装備したカメラが作動。インパネ上部のセンターディスプレイに左後方を広く映し、車線変更時や合流時、左折時の接触事故予防に役立つ。だが、右側の後側方の車両には対応していないのが残念なポイント。サイドエアバッグやカーテンエアバッグも標準装備化されている。
トヨタクラウン
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日本を代表する高級セダンであるクラウンだが、予防安全装備に関しては、ギリギリ及第点といったレベルに止まっている。トヨタの予防安全装備である「トヨタセーフティセンスP」は、歩行者検知式自動ブレーキが用意され、全車標準装備化されている。この機能は、車線維持支援機能などもある。ただ、機能そのものの数はシンプル。とくに、後側方車両接近警報など、後方への予防安全機能が少ない。ただ、一部グレードには、ライバル車には無いボンネットを持ち上げ、頭部の損傷を軽減するポップアップフードを装備。また、ニーエアバッグを標準装備化するなどしている。また、使えるのはごく一部の場所が限られるが、ITS通信を使いリスクを事前にドライバーに伝えるなどができるITSコネクトをオプションで用意。これは、ライバル車にはないユニークな先進予防安全装備だ。
このクラスの国産セダンを含め、総じてセダン系は予防安全装備が貧弱なモデルが多いので、シッカリと歩行者検知式自動ブレーキが装備されているかを確認する必要がある。高級車でも日産スカイラインには、歩行者検知式自動ブレーキは装備されていない。また、トヨタ系ではマークXにはトヨタセーフティセンスPが標準装備されているが、プリウス系は一部オプション設定、また高級車のレクサスHSやサイなどには装備されていない。メーカーが同じでも、予防安全装備はバラバラといったところ。とくに、歩行者検知式自動ブレーキがあると無いとでは、雲泥の差。今では軽自動車にでも安価で装備ができる時代だ。こうなると、こうした予防安全装備がされていない高級セダンは、もはや高級とは言えないクルマなので、購入を見送った方がよい。とくに、高級車に乗るような社会的地位が高い人は、事故へのリスク軽減することを最優先すべきだろう。
○… 全車標準装備
△… 一部標準装備または一部オプション
×… 標準装備なし
マツダアテンザ | ホンダアコードハイブリッド | トヨタクラウン |
対車両自動ブレーキ | ||
---|---|---|
◯ |
◯ |
◯ |
歩行者検知式自動ブレーキ | ||
◯ |
◯ |
◯ |
ブレーキ踏み間違い衝突防止アシスト | ||
◯ MT車を除く、後方は一部オプション または設定なし |
◯ 前方のみ |
◯ 後方オプション、一部設定なし |
サイドエアバッグ | ||
◯ |
◯ |
◯ |
カーテンエアバッグ | ||
◯ |
◯ |
◯ |
車線逸脱警報 | ||
△ 一部グレード設定なし |
◯ |
◯ |
車線維持支援 | ||
△ 一部グレード設定なし |
◯ |
◯ |
後側方車両検知警報 | ||
△ 一部グレード設定なし |
△ 左側のみ。カメラ映像 |
△ 一部設定なし |
後退時後方車両接近警報 | ||
△ 一部グレード設定なし |
× |
× |
オートマチックハイビーム | ||
△ 一部グレード設定なし |
× |
◯ |
- ※安全装備の詳細は各車メーカー公式サイトをご確認ください。
- クルマ評論家 CORISM代表
大岡 智彦 氏
CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。
日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員
クラウンのカタログ情報

- 現行モデル
- 令和5年11月(2023年11月)〜現在
- 新車時価格
- 730.0万円〜830.0万円
クラウンの在庫が現在49件あります
以下車両の保証内容詳細は画像をクリックした遷移先をご確認ください。