日産は人気ミニバンである「セレナ」に特別仕様車「X Vセレクション」、「ハイウェイスター Vセレクション」を設定し発売を開始した。

この記事の目次 CONTENTS
運転支援技術「プロパイロット」を搭載した新型セレナ
進化した予防安全装備と運転支援機能
投入理由は、ライバル登場前に迎撃態勢を強化するため!?
狙い目はリセールバリューが高いハイウェイスターVセレクション
ハイウェイスターを選ぶことが必須
日産セレナ Vセレクション価格

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

運転支援技術「プロパイロット」を搭載した新型セレナ

日産セレナは、国内の日産販売を支える基幹車種だ。
2016年8月にフルモデルチェンジし、現在5代目となっている。

ミニバンブームもピークを過ぎた現在まで、どのモデルもよく売れた。
これは、歴代セレナのコンセプトである「BIG・EASY・FUN」が、ミニバンを好む顧客のニーズに合致していたからだ。
もはや、ストロングハイブリッド車が無い、という点以外は、ほぼ欠点がない。

低燃費化に成功

現在のC27型5代目セレナのプラットフォーム(車台)は、先代モデルから引き継がれているため、ボディサイズや基本部分は先代セレナと同じだ。
しかし、多くの部分で先代モデルを圧倒する進化を遂げた。

まず、エンジンの中身を大幅に変更し、低燃費化を実現した。
燃費は17.2㎞/Lへ向上した。

内装など使い勝手も向上

使い勝手の良さはセレナの売りでもあり、このクラスではトップレベルといえる。

内装に多彩なシートアレンジを可能としたスマートマルチセンターシート、3列目シートへのアクセス向上、上下2分割としたデュアルバックドアなどの新装備を追加した。

両手がふさがっていても足の操作だけで開閉可能なハンズフリーオートスライドドアも採用され、使い勝手の良さを大幅に向上している。

進化した予防安全装備と運転支援機能

そして、現行セレナの大きな進化は予防安全装備と運転支援機能だ。
従来から搭載されていた歩行者検知式自動ブレーキや車線逸脱警報は標準車装備化されているが、アクセルとブレーキの踏み間違い防止アシストなどはオプション設定となった。

便利で安全な機能「プロパイロット」

一番進化した部分は、運転支援機能である「プロパイロット」だ。
この機能は、同一車線内で車線を維持しながら先行車に追従する。
ストップ&ゴーを繰り返すような渋滞時にも対応するので、ドライバーの疲労軽減や追突リスクなどの軽減につながる便利で安全な機能だ。

日産はCMなどで、自動運転のような表現をしているが、あくまでも運転を支援してくれるシステムだ。

投入理由は、ライバル登場前に迎撃態勢を強化するため!?

新たに投入された特別仕様車「Vセレクション」は、「X」、「ハイウェイスター」をベースに、装着率の高い人気オプションを標準装備化されたお得な特別仕様車だ。

お買い得な特別仕様車が投入される理由は、大きく分けて2つある。
「販売台数が落ちてきたため販売台数を維持したい」、「ライバル車対策」だ。

最大のライバルに負ける

日産セレナの販売は好調で、2017年1月は11,179台を売り、登録車新車販売台数でプリウスやアクアを抑えるなど絶好調だ。
しかし、4月から順位は下落し、5月には最大のライバルであるヴォクシーに負けてしまった。

販売台数そのものはそれほど悪くなかったものの、デビューから1年未満のモデルということを考えると、やや落ちるスピードが早い印象だ。
日産の基幹車種としては、放置できない状況といえるだろう。

ライバル車登場の前の対策

そして、同時にライバル車対策も兼ねているのだろう。
最大のライバルと言えるトヨタ ノア&ヴォクシーがマイナーチェンジ直前なのだ。
当然、マイナーチェンジすれば多くの顧客がトヨタ系に動く可能性が高い。
そこで、お買い得車を先に設定し、顧客を先に刈り取りたいという狙いもあるだろう。

狙い目はリセールバリューが高いハイウェイスターVセレクション

特別仕様車「X Vセレクション」は、「X」をベースに2列目シートの横スライドなどによる多彩なシートアレンジやパーソナルテーブルなど、同乗者の利便性を向上させる「快適パック」を標準装備している。

また、ステアリングでのオーディオ操作が可能なステアリングスイッチやGPSアンテナなどをセットにした「日産オリジナルナビ取付パッケージ」と、両側「ワンタッチオートスライドドア」も標準装備されている。
「X Vセレクション」の価格は、2,674,080円となった。

セレナ ハイウェイスター Vセレクション」の魅力

「ハイウェイスター Vセレクション」は、「ハイウェイスター」をベースに「LEDヘッドランプ」や両側「ハンズフリーオートスライドドア」、「16インチタイヤ&アルミホイール(2WDのみ)」、「快適パック」、「日産オリジナルナビ取付パッケージ」を標準装備とした。
「ハイウェイスター Vセレクション」の価格は、2,934,360円となっている。

ここで注目したいのはオプションの装着率だ。
「快適パック」は約8割、「ナビ取付パッケージ」は約9割がオプションで選択する。

こうした装備をあえてオプションにするのには理由がある。
このクラスのミニバンは、熾烈な販売合戦が行われている。
まずは、店舗に呼び込むために、少しでも価格を安く見せたいという営業面での戦術がある。
こうした手法は、他のメーカーも行っている。

今回の特別仕様車はベース車より高めの設定となっているが、最も顧客目線の価格となっている。
この点では、高く評価できる特別仕様車といえる。

ハイウェイスターを選ぶことが必須

このクラスのミニバンはどれも比較的リセールバリューが高い。
ただ、グレード選びを誤ると、リセールバリューが低くなる場合もある。
セレナの場合は、他のグレードよりリセールバリューが高く人気のハイウェイスターを選ぶことが必須だ。

日産セレナ Vセレクション価格

日産セレナ Vセレクションの価格は以下の通り。

2WD

・セレナX Vセレクション 2,674,080円
・セレナ ハイウェイスター Vセレクション 2,934,360円
・セレナ Rider Vセレクション 3,335,040円
・セレナ Rider Vセレクション ブラックレザー 3,534,840円

4WD

・セレナX Vセレクション 2,918,160円
・セレナ ハイウェイスター Vセレクション 3,194,640円
・セレナ Rider Vセレクション 3,528,360円
・ Rider Vセレクション ブラックレザー 3,728,160円