マツダは、Bセグメントに属するコンパクトカーのデミオを仕様変更し発売を開始した。
- この記事の目次 CONTENTS
- こだわりのドライビングポジションなら、アクセルとブレーキの踏み間違えを起こしにくい!?
- 車両後方からの衝突リスクを回避する安全装備をクラス唯一標準装備化
- デミオの安全装備向上の狙いは、ブランド力向上が狙いなのか?
- マーケティング先行ではなく、本当にクラスを超えたコンパクトカーに育ってほしい
- マツダ デミオ価格
こだわりのドライビングポジションなら、アクセルとブレーキの踏み間違えを起こしにくい!?
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今回の仕様変更は、自動ブレーキなどを含む先進予防安全装備である「i-ACTIVSENSE」を全車に標準装備化し、安全性能を高めた。
先進予防安全装備「i-ACTIVSENSE」とは
マツダ デミオに装着された先進予防安全装備である「i-ACTIVSENSE」は、低速走行時に前方のクルマとの衝突回避をサポートし、被害を軽減する自動ブレーキ「スマート・シティ・ブレーキ・サポート[前進時](SCBS F)」、徐行・停車時に前方の障害物が検知された状態での急発進を抑制する「AT誤発進抑制制御[前進時]」、認知支援技術である、車線変更時に斜め後方の車両を知らせる「ブラインド・スポット・モニタリング(BSM)」、駐車場などでの後退時に横から近づく車両を検知し接触の危険を知らせる「リア・クロス・トラフィック・アラート(RCTA)」だ。
こうした先進予防安全装備を得たデミオだが、実はもっとベーシックなところで安全性を高めていた。それが、ドライビングポジション。
理想のドライビングポジション
現行デミオは、先代モデルより全長がやや伸びた。一般的には、ボディサイズを大きくした分、室内スペースを拡大する。ところが、デミオは、拡大されたサイズ分をほぼ最適なドライビングポジションが取るために使ったのだ。適切なドライビングポジションを得るために、80mmホイールハウスの張り出しを前方に移動。これにより、ペダル類を右へ20mm移動できるようになり、マツダが目指している理想のドライビングポジションが取れるようになったのだ。
たかがペダルの位置で、安全運転に貢献するのか? と、思うのだが、これが意外にも効果がある。適切なドライビングポジションを取ることで、アクセルとブレーキの踏み間違えを抑制する効果もあるのだ。
正しいポジションは踏み間違え防止になる
多くのコンパクトカーは、ドライビングポジションより広い室内空間が優先される傾向にある。そのため、ホイールハウスがドライバーの足元に近くなり、結果的にアクセルがやや左足寄りにオフセットされるケースが多い。そうなると、アクセルとブレーキの距離が近くなり、やや左足側にオフセットされる。ブレーキべダルが左側にオフセットされ過ぎると、普通でも踏みにくい。それが慌てている時などは、尚更で、間違ってアクセルを踏んでしまう確率を高くしてしまうのだ。
こうしたアクセルとブレーキの踏み間違えは、こうしたペダル配置と共に、足の動きや膝、股関節の動きが鈍くなり制限されている高齢者などは、さらに間違えやすくなるという。こうした、そもそも間違えやすいペダル配置にしないというこだわりもマツダならではの安全に対する考え方だ。
車両後方からの衝突リスクを回避する安全装備をクラス唯一標準装備化
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今回標準装備化された「AT誤発進抑制制御[前進時]」、「ブラインド・スポット・モニタリング(BSM)」、「リア・クロス・トラフィック・アラート(RCTA)」。こうした装備は、デミオが属する国内Bセグメントだけでなく、その上のクラスでも標準装備化しているクルマは少ない。そういう点では、デミオの安全装備は高いレベルにあるといえる。
上記の安全装備は、実用面でかなり便利な機能。また、クルマの運転が苦手な女性や高齢者などを中心に安全運転に効果がある。「AT誤発進抑制制御[前進時]」は、最近多い高齢者のアクセルとブレーキの踏み間違えを抑制する。ただ、前方のみの設定なので、後方へのAT誤発進抑制制御が欲しいところだ。
視界の悪さをフォローするブラインド・スポット・モニタリング
「ブラインド・スポット・モニタリング(BSM)」は、車両な斜め後ろから接近する車両に対して警報を発してくれる機能。自分でちゃんと目視しているから大丈夫という人もいるが、意外と便利。暗い道でヘッドライトを点灯してないクルマ、雨や霧で後方の視界が悪いときなどでも、目視しにくいときにフォローしてくれる。
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さらに、運転が苦手な人にも便利。運転が苦手な人は、前方からドアミラーや後側方に一瞬でも視線を移動し、短い時間で接近してくる車両を確認することさえも難しい。苦手意識は焦りを生み、慌てて他のクルマの見落としが発生し接触する。また、高齢者は、目の視界が狭くなっていたり、後方を確認するものの目や首の可動範囲が少なく、見落とすリスクが増える。こうしたリスクを軽減してくれるのだから、日常的に役に立つ機能だ。
後方から接近するクルマを感知するリア・クロス・トラフィック・アラート
「リア・クロス・トラフィック・アラート(RCTA)」は、バックで駐車する傾向が強い日本だと使うシーンが少ないかもしれない。前方から駐車し、バックで駐車場枠から出る時など、後方から接近する車両を検知し警告を発する安全装備だ。左右にミニバンなどの大きなクルマが駐車していて、視界が遮られているときなどは、とくに便利な機能だ。
ここまで安全装備を高めながら、歩行者検知式自動ブレーキ装着は見送りに!
デミオは、ここまでクラスを超えた高い安全装備を標準装備化しているのだが、歩行者検知式自動ブレーキの装着が見送られている。これは、残念でならない。
デミオに装備されている自動ブレーキは、低速走行時に前方のクルマとの衝突回避をサポートし、被害を軽減する自動ブレーキ「スマート・シティ・ブレーキ・サポート」だ。この機能は、約4~30km/hでの低速走行中、フロントガラスに設置した近赤外線レーザーレーダーで先行車や障害物を検知してブレーキを自動制御し、衝突被害を軽減する。
このレベルの自動ブレーキは、もはや簡易型で旧式。すでに軽自動車であるスズキ ワゴンRには、歩行者検知式自動ブレーキが用意されている。トヨタの自動ブレーキであるトヨタ セーフティセンスCも歩行者検知式ではなく、誇れたものでは無いが自動ブレーキは、マツダより高い約10km/h~80km/hの車速域で作動する。
デミオの安全装備向上の狙いは、ブランド力向上が狙いなのか?
今回の安全装備向上で疑問なのは、なぜ歩行者検知式自動ブレーキが装備されなかったのか? と、いうことだ。当り前だが、鉄の塊であるクルマが、生身の歩行者と衝突事故を起こせば悲惨な状態になることくらい誰にでも想像がつく。
デミオ派生車のCX-3には歩行者検知式自動ブレーキが標準装備化
安全装備で問題なのは、クルマの中に居るドライバーや同乗者を守る機能としては優れているが、最も弱い歩行者を守るという機能が無いことだ。
さらに、デミオの派生車であるCX-3には、歩行者検知式自動ブレーキが6MT車を除き標準装備化されている。デミオをベースとして開発されたCX-3なので、デミオに歩行者検知式自動ブレーキが技術的に装着できないという言い訳はできない状況だ。
自動ブレーキを標準装備化することで販売台数が落ちるリスクが
なぜ、デミオがこうした物足りない仕様になったのか? まずは、価格面。歩行者検知式自動ブレーキを装備するとさらに価格が上がり、価格が重要視されるコンパクトカーの中で売れなくなる可能性が高いと判断したのだろうか。某社のコンパクトカーに、歩行者検知式自動ブレーキが装着されないのは、売値が上がり販売台数が落ちるのを避けた結果だという。
注目度の高い自動ブレーキを使ってイメージ強化中?
また、マツダは安全をブランド力向上のツールとして考えていないか?スバルが歩行者検知式自動ブレーキを含むアイサイトをインプレッサに標準装備化。さらに、歩行者エアバッグまで標準装備化した。アイサイト効果で、スバル=安全というイメージは強力で、スバルのお店には車種名を知らない顧客が「アイサイトください」と来店するほどだという。
マツダは、新世代商品群を投入しブランドイメージを強化を加速中だ。マツダは、とくにデザインと走る楽しさを訴求。対するスバルは、安全と走る楽しさをアピールする。そして、社会的に高齢者による事故が多発。そうした事故低減に自動ブレーキは有効とされていて、注目度は高い。よりクルマへの安全性を重視する時代になった。
クルマの安全はブランド力向上のためにあるのではない
こうしたマーケットの流れを考えると、マーケッターは、急速に注目される安全というワードの強化を狙うのは当然だ。マツダ車は、比較的安全装備の標準装備化が進んでいたが、マツダが今まであまり訴求してこなかっただけに、早急にマツダ=安全というイメージ強化がブランドの強化になると考えるのは当り前だ。
ただ、根本的に考え方としておかしいのは、クルマの安全はブランド力向上のためにあるのではない。より安全なクルマをマーケットに送り出すのは、人を殺すかもしれない商品を売るメーカーとして、最低限果たさなくてはならない責任なのだ。
とくに、マツダの宣伝は「マツダの安全は、自動ブレーキだけでは終わらない。」と誇らしげにアピールする。デミオの自動ブレーキは、歩行者を検知できない旧型なのにだ。多くの人は、自動ブレーキの機能差があることをよく知らない。これでは、あまりに優良誤認とも思えるほどだ。自動ブレーキは、全部同じではない。
マーケティング先行ではなく、本当にクラスを超えたコンパクトカーに育ってほしい
マツダはデミオを、人馬一体の走りと燃費の高次元での両立、魂動デザインによるクラスを超えた存在感など、あらゆる領域でクラスという概念を超えた上質さを追求したコンパクトカーだとアピールする。今のところ、安全装備面では簡易型自動ブレーキなので、歩行者検知式の日産ノートの自動ブレーキを超えてはいない。
デミオは、他の部分では他の国産コンパクトカーとは異なる独自の世界観をもつ。その分、やや高価な価格になっていて、他のコンパクトカーほど多くの販売台数はそもそも見込んでいないはず。それなのに、コストや間違ったマーケティング戦略によって、デミオの本質的な良さを曲げてしまっては意味がない。早急に歩行者検知式自動ブレーキを装備し、最大限の安全性能を顧客に提示できるクラスを超えたコンパクトカーになって欲しい。
マツダ デミオ価格
マツダ デミオの価格は以下の通り。
ガソリン車
グレード名 | 駆動 | 価格 |
---|---|---|
13C | 2WD | 1,382,400円 |
13C | 4WD | 1,587,600円 |
13S | 2WD(5MT) | 1,479,600円 |
13S | 2WD(AT) | 1,479,600円 |
13S | 4WD | 1,684,800円 |
13S Touring | 2WD(5MT) | 1,706,400円 |
2WD(AT) | 1,706,400円 | |
4WD | 1,911,600円 | |
13S Touring L Package | 2WD(5MT) | 1,760,400円 |
2WD(AT) | 1,760,400円 | |
4WD | 1,965,600円 | |
13S Tailored Brown | 2WD | 1,738,800円 |
4WD | 1,944,000円 | |
15MB | 2WD(6MT) | 1,533,600円 |
ディーゼル車
グレード名 | 駆動 | 価格 |
---|---|---|
XD | 2WD(6MT) | 1,803,600円 |
2WD(AT) | 1,803,600円 | |
4WD | 2,008,800円 | |
XD Touring | 2WD(6MT) | 1,987,200円 |
2WD(AT) | 1,987,200円 | |
4WD | 2,192,400円 | |
XD Touring L Package | 2WD(6MT) | 2,041,200円 |
2WD(AT) | 2,041,200円 | |
4WD | 2,246,400円 | |
XD Tailored Brown | 2WD | 2,019,600円 |
4WD | 2,224,800円 |
デミオのカタログ情報
- 平成26年9月(2014年9月)〜令和1年7月(2019年7月)
- 新車時価格
- 135.0万円〜227.9万円
デミオの在庫が現在209件あります
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