• スイフト

    新旧比較レビュー

初代スイフトは2000年に登場。現行モデルは4代目となる。
スイフトは2代目になり世界戦略車としての役割が与えられた。世界各国での販売展開を前提として開発された2代目スイフトは欧州の数々の道を徹底的に走り込んで鍛えられた。
こうした走りの質が評価されスイフトは、2005‐2006日本カー・オブ・ザ・イヤー特別賞Most Funを受賞した。
3代目スイフトは、2代目スイフトのコンセプトやデザインを継承。
しかし、デザインは、代り映えしないものとなった。そうしたこともあり、4代目スイフトはフロントまわりのデザインを一新。新たな方向性を打ち出した。
そんな4代目スイフトと3代目スイフトを新旧比較した。

比較レビューのまとめ

  1. 新旧スイフトとも、フットワークはなかなか上質
  2. 新型スイフトは、先代比最大120㎏も軽量されたボディにより、軽快な走りを披露
  3. 好き嫌いが分かれるが、やや精悍になった新型のフロントフェイス
  4. 新型スイフトの燃費は27.4㎞/L。
    先代スイフトは26.4㎞/Lと大差なし!

スズキ スイフトってどんな車?

4代目となる新型スイフトには、マイルドハイブリッドシステムが搭載され、27.4㎞/Lという低燃費を実現。さらに、1.0Lターボエンジン、1.2Lエンジンという3タイプのエンジンが用意された。先代スイフトは、1.2Lエンジンが2タイプ用意されていたので、選択肢が増えたことになる。また、先代スイフトにはスイフト スポーツと呼ばれるグレードが存在し、クルマ好きに高い人気を得ていた。新型スイフトには、まだスイフト スポーツは用意されていない。
新型スイフトの美点は、スズキの軽量化技術が生かされ、先代比で最大120kgの軽量化が施されたことだ。最も軽量なグレードの車重は840㎏と、他社のハイト系ワゴン軽自動車並みの車重だ。この軽量ボディを生かし、新型スイフトの走りは軽快感が溢れるものとなっている。

スイフト新旧比較

コンセプト & エクステリア比較

従来のデザインをリスペクトしながら大胆に進化した外観デザイン

2代目スイフトが大ヒットしたこともあり、3代目はやや守りに入った感があり、あまり代り映えしないデザインとなった。
スイフトのデザインは、クリーンなイメージが強くあまり嫌われないデザインだった。逆に印象に残らないという側面もあった。
そこで、4代目のデザインコンセプトは「スイフトのDNAを継承しながら大胆に進化したデザイン」とされた。
従来のスイフトをもつシルエットを生かしながら、フェイスやドアまわりを大きく変更した。グリルは大開口タイプとなり、目力の強いヘッドライトが採用された。リヤのドアハンドルは廃止され2ドアのようにみえるように、ピラーマウントドアハンドルが採用された。従来のスッキリとした顔と比べると、アクの強い顔になり、やや好き嫌いが分かれる顔となったが、その分、存在感もアップしている。

スイフト新旧比較

インテリア比較

歩行者検知式自動ブレーキなどがセットになったセーフティパッケージはお買い得感あるオプション

新型スイフトのインテリアデザインコンセプトは「ドライバーを中心としたスポーティで操作性に優れたインテリア」だ。インパネ周りは、ややドライバー側に傾いており、コックピット感を演出。Dシェイプ型のステアリングもスポーティだ。メーターは、カラーの2眼タイプとなり高級感がアップ。中央に設置されたマルチインフォメーションディスプレイには、燃費計だけでなくパワー/トルク表示、車両のGが分かるモーション表示、アクセル/ブレーキ操作表示など、多彩なコンテンツが用意されている。全体の質感や使い勝手面では、旧型スイフトを大幅に上回る。

スイフト新旧比較

装備・安全性能比較

装備面では、歩行者検知式自動ブレーキなどを含んだ予防安全装備である「デュアルセンサーブレーキサポート」が用意された。ただし、標準装備化されていない。こうした機能は「セーフティパッケージ」としてセットオプションとなっている。
歩行者検知式自動ブレーキ関連だけでなく、誤発進抑制機能、前走車追従式のクルーズコントロールであるアダプティブクルーズコントロール、サイドエアバック、カーテエアバッグなど、多彩な装備が標準装備化されて約10万円というリーズナブルな価格で装備できる。これだけの装備が約10万円で装備でき、さらに安全性能は飛躍的に向上するので絶対に選択したいオプションだ。こうした先進安全装備は、旧型には無いので新型が圧倒的に有利だ。
新型スイフトは、ハイブリッド車を除くと、すべてのモデルにアイドリングストップ機能が装備されていない。全世界的にCO2の排出量低減が求められる中、こうした仕様を販売するというスズキの環境問題に対する企業姿勢は大きな問題だ。

スイフト新旧比較

走行性能 & メカニズム比較

新旧スイフトの走りは、まったく違うクルマと思うべし!

新型スイフトは、先代比最大で120㎏もの軽量化が行われた。売れ筋グレードとなるハイブリッドRSでも910㎏と1トンを切っている。先代RS-DJEが1トンちょうどだったので、それでも90㎏も軽い。エンジンパワーは、91ps&118Nmと同じだが、軽量化分とマイルドハイブリッドシステムによるモーターアシストが加わり、新型スイフトはかなり力強く感じる。このモーターアシストが加わると、アクセル操作に対する加速レスポンスも良くなり、1.2Lのクルマとは思えないほどの加速感がある。この走りは新型スイフトで、マイルドハイブリッドシステムを搭載したモデルだけが味わえる。
新旧スイフトは、基本乗り心地重視のサスペンション設定になっている。欧州で鍛えたということもあり、ただ乗り心地がよいというだけでなく、コシのしなやかさがある。そのため、ハンドル操舵に対してもシッカリと反応するため、カーブでもドライバーの思い通りの走りが可能だ。先代スイフトは、さすがに新型と比べると分が悪い。その進化幅は大きく、まったく違うクルマと思ったほうがいい。ただ、先代スイフトも同クラスの他社モデルと比べれば、未だトップレベルに近い実力車だ。
新型スイフトには、マイルドハイブリッドシステム車以外に、1.0Lターボモデルが新たに追加された。このエンジンは、102ps&150Nmを誇りかなりパワフル。バレーノに搭載されたエンジンと基本的に同じだが、新型スイフトにはハイオクガソリン仕様からレギュラーガソリン仕様に変更され搭載されている。レギュラーガソリン仕様になったことで、やや選びやすくなった。しかし、燃費は20.0㎞/Lに止まりエコカー減税にも対応していない。

おすすめは新型スイフト?
それとも旧型スイフト?

進化幅が大きすぎるので、お勧めは新型スイフト。燃費差は新型に比べ大差ない、先代高年式の中古車スイフトXG-DJEは買い得感あり!

新型スイフトは、先代スイフトに比べ、大幅に進化したこともあり、旧型が新型を超えている部分はほとんどない。そのため、予算を抜きに考えると新型スイフトが最も満足度は高い。ただし、新型は歩行者検知式自動ブレーキを装備したマイルドハイブリッドシステム搭載車でエントリグレードのハイブリッドMLでも1,721,520円となかなか高価だ。お勧めグレードで、エアロパーツ類を装着したハイブリッドRSは1,787,400円にもなる。大幅に進化した分、お値段も一段とアップしているのが現状だ。
では、予算重視であるならば、中古の先代スイフトがなかなか買い得感を出してきている。エアロパーツ類が装着され1気筒当り2個のインジェクターを装備した高性能エンジンを搭載したRS-DJEが、先代スイフトではお勧めとなる。新車時には160万円したモデルだ。このRS-DJEが2014年式で100~120万円程度で買えるようになってきた。さすがに人気グレードだけあり、やや高めの価格設定とはいえ新車を買うより大幅に予算が低減できる。エアロパーツ類が無い中間グレードであるXG-DJE(新車時約144万円)になると、価格はグッと下がってきており、2014年式で70万円台から手に入る。3年落ちで、価格は半額以下になっていきているので、このグレードは買い得感がある。装備類は、豪華ではないものの必要十分といったグレード。燃費は最終モデルで26.4㎞/Lと、新型に比べ大差はないので、ランニングコストもさほど変わらない。

新車値引き術とお得な乗り換え方法

新型スイフトの価格はやや高め。アクア、ヴィッツハイブリッド、フィットハイブリッド、ノートe-POWERなどのストロングハイブリッド系と競合させて大幅値引きを狙え!

新型スイフトの全長は3,840㎜と若干短いのだが、商談時には4m級となるがアクアやヴィッツハイブリッド、ノートe-POWER、フィットハイブリッドなどの国産コンパクトカーと競合させるといい。
アクアはモデル末期、フィットハイブリッドはマイナーチェンジ前ということもあり、値引き額が大きくなっている。そうなると、エントリグレードのスイフト ハイブリッドMLでも1,721,520円との価格差はかなり小さくなる。
新型スイフトは、マイルドハイブリッドシステムなので、EV走行はできないなどハイブリッド車らしさは小さい。そこを突きながら「ストロングハイブリッド車とマイルドハイブリッド車が、同程度の価格なのはねぇ・・・」といったトークを交え、積極的な値引きを要求したい。出たばかりの新型とはいえ、値引き幅の大きくなっているアクアやフィットハイブリッドと競合したら、やはり値引きで対応するしかないのが現状だろう。
しかし、新型車なので大幅値引きというのは難しい。スズキの場合、新型車とはいえ1年もすれば大量の自社登録を行い大量の未使用車を生み出す可能性が高い。すぐに新型スイフトが欲しいというのでなければ、しばらく様子を見るのもいい。未使用車は、かなり買い得感がある価格設定になるので魅力的だ。

新車を最大限値引く方法があるって本当?
スイフトの新車値引き術

正しい下取り価格を知ることが大切!前もって買取店で査定をするべし!

そして、注意したいのが下取り車の処理。まずは、新車の商談を始める前に買取店に行き下取り車の査定をしたい。ここで、下取り車の価値を知ることが重要だ。一般的にディーラー系より買取店の方が高価になる。そうでなければ、これほど多くの買取店が存在しない。つまり、ディーラー系での下取り価格は安いともいえるのだ。ディーラー系の下取り価格が安くなる理由は、新車店舗からディーラーの中古車部に移送され、そこで再チェックを受ける。そこから、オークションか自社の販売店に並べられるかが判断される。こうした処理に1ヶ月以上かかるケースがあり、その間、クルマの価値も下がる。その分を見越して、下取り車に対して安めの価格を付けるので買取店より安くなるケースが多いのだ。その他にも色々な理由があるが、一度買取店で査定してもらえれば、下取り車の本当の価値が分かる。最終的に一番高く買取ってくれるところで売ればいい。また、1円でも高く売りたいのであれば、複数の買取店で査定することもおすすめだ。

買取店に行く前に、
今のクルマの相場を確認してみる

新旧スイフト 比較ギャラリー

クルマ評論家 CORISM代表 大岡 智彦 氏
クルマ評論家 CORISM代表
大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。
日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員