シトロエンC4シトロエンは、Cセグメントのコンパクトカー「C4」に、クリーンディーゼルエンジン「BlueHDi」を搭載した「C4 FEEL BlueHDi」を追加し、発売を開始した。

Cセグメントとは、ボディサイズのカテゴリーで国産車ではマツダ アクセラやスバル インプレッサなどで、輸入車はVWゴルフ、メルセデス・ベンツAクラスなどが属する世界の競合がひしめき合う激戦クラスだ。

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  1. 目次
  2. ■ 販売台数面ではなかなか厳しい状況に置かれる

  3. ■ C4 FEEL BlueHDi登場で注目を狙う

  4. ■ 大きな差となるのはランニングコスト

  5. ■ クリーンディーゼルエンジン搭載で力強い走りに

  6. ■ 装備面は少々物足りない

  7. ■ シトロエンC4 FEEL BlueHDi価格

販売台数面ではなかなか厳しい状況に置かれる


そんなCセグメントに属するC4は、2011年にフルモデルチェンジした。すでに、6年目に入りモデル後期に入っている。国内のシトロエン販売店は少なく、販売台数面ではなかなか厳しい状況に置かれている。シトロエンブランドの認知も低いままだ。また、C4そのものも日本マーケットにマッチしているとは言い難い仕様だった。デビュー当時のC4は、ミッションが弱点だった。このクラスでは、もはや6速ATが当たり前。しかし、C4には4速ATしかなかったのだ。また、自動変速モード付のシングルクラッチ6速ミッション(EGS)も用意されていた。だが、多段化されスムースなATや優れたCVT車が多い日本では、ややクセがあるEGSだと、受け入れられにくい状況だった。

新しいモデル投入で日本の顧客を満足させる仕様に

このミッションが原因で販売面でやや苦戦したC4。しかし、PCJ(プジョー・シトロエン・ジャポン)の積極的な働きかけがあったことも功を奏し、2015年の改良で「PureTech(ピュアテック)1.2Lターボエンジン」と、新世代の6速ATである「EAT6」を搭載したモデルが導入された。これで、日本の顧客を十分に満足させる仕様となった。ただ、価格は輸入車ということもあり、やや高め。クルマに詳しくない一般的な顧客が、優れたデザインを見てひと目惚れしても、そう簡単に買える価格帯ではない。シトロエンだけではなく、輸入車は全般的に価格が高い。

C4 FEEL BlueHDi登場で注目を狙う


そんなシトロエンC4だったが、注目されそうなモデルが登場した。それが「C4 FEEL BlueHDi」ということになる。 注目したいのは価格で、2,790,000円という価格設定がされている。ガソリン車のC4 FEELに対して、20万円高という設定だ。20万円の価格アップというのは、最近の輸入車の中でも少ない方だ。

ライバル車ゴルフよりエコカー減税100%適用

シトロエンC4C4のライバルとなるのは、フォルクスワーゲン ゴルフ。ゴルフは、ガソリン車のみの設定で、エントリグレードであるコンフォートラインが約250万円。価格差は約29万円でかなり差があるように感じるかもしれない。しかし、C4のクリーンディーゼル車には、エコカー減税 100%が適用される。免税金額は約136,100円。ゴルフは約6万円のエコカー減税なので、7万強差が縮まることになる。

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大きな差となるのはランニングコスト


そして、走れば走るほど大きな差となってくるのがランニングコスト。ゴルフは、燃料にハイオクガソリンを使用するが、C4 FEEL BlueHDiは軽油を使用する。ハイオクと軽油の価格差は約30円/L前後と大きい。チョイ乗りしかしないというのであれば厳しい、そこそこ距離を走る人にとっては、大きな差になり、価格アップ分は十分に回収できるレベルになってくる。エコカー減税の対象外となるガソリンのC4 FEELと比べると、価格差は20万円なので、あっという間に元が取れるだろう。

フォルクスワーゲンの今後の価格戦略に注目

今のところ、輸入車Cセグメントの中では、最も安いクリーンディーゼル車となったC4 FEEL BlueHDiだが、楽観視はできない。今後、ライバルのゴルフにもクリーンディーゼル車が投入されるだろう。C4の価格設定や売れ行きを判断して価格が判断される訳だが、ゴルフのトレンドラインの価格は約250万円。これが、20万円アップなら270万円になりC4 FEEL BlueHDiよりも安くなる。そうなると、C4 FEEL BlueHDiは競争力が下がるので、フォルクスワーゲンの今後の価格戦略に注目したいところだ。

ただ、C4 FEEL BlueHDiも輸入車の中では最安値となったものの、国産車と比べるとまだまだ高価だ。シトロエンの場合、ゴルフと競い合うというよりは、国産ユーザーからの乗り換えを促進して、より販売台数を確保したいところだ。しかし、今の価格では高価過ぎて一定の輸入車ファン層以外から顧客を得るのは価格面で難しい。例えば、マツダ アクセラの1.5Lディーゼル車のエントリグレードは約230万円と50万円ほどの価格差がある。これだけの差になると、さすがに国産ユーザーから新たな顧客を得るのは、少々厳しいだろう。

クリーンディーゼルエンジン搭載で力強い走りに


シトロエンC4シトロエンC4に搭載される1.6Lクリーンディーゼルエンジンは、120ps&300Nmの誇る。300Nmの最大トルクは、自然吸気エンジンのV6 3.0L並みの大トルクだ。車重は1,380㎏なので、かなり力強い走りが楽しめる。最大トルクの発生回転数は1,750rpmとやや高め。最大出力の発生回転数は3,500rpmとなっている。これは、アクセラのクリーンディーゼルエンジンと比べると、最大トルクの発生回転数はやや高く、最高出力の発生回転数はやや低い。

装備面は少々物足りない


クリーンディーゼルエンジンを搭載し、より魅力的になったC4。しかし、装備面では少々物足りない部分もある。フランス車全般にいえることだが、歩行者検知式の自動ブレーキがないのだ。サイド&カーテンエアバッグなどは標準装備化されているので、一定のレベルには達している。その他、クルーズコントロールやスマートキー、バックソナー、オートワイパーなどなど装備類は充実しているので、後はオプションでナビを選択する程度。こうした便利機能は十分なレベルに達している。

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シトロエンC4 FEEL BlueHDi価格


シトロエンC4 FEEL BlueHDi価格は、このクラス最安値となる279万円という価格で、輸入車Cセグメントに新しい選択肢としての価値をアピールする。あくまで輸入車ファン向けの価格ではあるが、クリーンディーゼル車とはどんなものなのか試してみたいと考える人には、非常に魅力的なモデルといえるだろう。また、C4は日本でよく見るドイツ車ではないところもポイントだ。ドイツ車とは違うもう一つの選択肢として、チェックしておきたい1台。販売台数面では、マイナー車になるC4だが、それだけに走っている数も少なく目立つ。オーナーのセンスを感じさせるクルマでもある。また、シトロエン独特の一度乗るとクセになる乗り心地はクルマ好きなら1度は試してみることをおすすめしたい。

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◇執筆者プロフィール◇
クルマ評論家 CORISM代表
大岡 智彦 氏

CORISM(http://www.corism.com/)編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員。

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