マツダ デミオ

<静粛性の快適性を向上させた改良。そして人気の高い特別仕様車ブラックレザーリミテッドを投入>

マツダ デミオマツダは、コンパクトカーのデミオを一部改良し、同時に人気の高いブラックレザーを使った特別仕様車「BLACK LEATHER LIMITED(ブラック レザー リミテッド)」を新設定し発売を開始した。

マツダ デミオのデビューは、2014年9月。約1年半程度しか経過していない新型車だ。デミオは、マツダの新デザインテーマ「魂動(こどう)-Soul of Motion」 を採用した新世代商品の第4弾モデル。1.3Lのガソリンエンジンの他に、このクラスとしては国内初となる1.5Lクリーンディーゼルエンジンが搭載され話題となった。このクリーンディーゼルの最大トルクは250Nm。この最大トルクは、2.5Lのガソリンエンジン車相当というもの。これだけの大トルクを発揮するため、コンパクトカーながら、余裕ある高速クルージングを得意としている。こうしたユニークなパワーユニットが用意されていることもあり、従来のコンパクトカーとはまったく違う走行フィーリングをもつ。

この1.5Lディーゼル車は、国内で唯一ハイブリッドに対抗できる。最も燃費の良いグレードで30.0㎞/Lとハイブリッド車並み。しかも、燃料の軽油は、ガソリンに比べ20円/L程度安いので、燃料費ではハイブリッド車と同等レベルにある。ただし、この30.0㎞/Lを誇るグレードは6MTを採用し、燃料タンクを小さくし、最大トルクも220Nmに落とし車重を1080㎏とした燃費スペシャルといった仕様。宣伝や販促で30.0㎞/Lという燃費値をアピールしたいがためのオトリグレードといえるものだ。

量販グレードになると、燃費値は10%以上悪くなり26.4㎞/Lとなる。これでも、十分に良い燃費。とにかく、ハイブリッド車を意識した結果、無理やりほとんど売れないグレードを設定し30.0㎞/Lをアピールする必要はない。こうしたほとんど売れないグレード用のパーツを設計・開発したりするコストも、結果的に価格に上乗せされるのだから、顧客にとって何のメリットも無い。

マツダデミオこうした燃費に対する策略は、デミオに限ったことではない。アクアやフィットハイブリッドなども同様にやっているのだ。こうしたオトリグレードの設定は、もはや完全にメーカー側の都合によるもの。目先の燃費値をいかに良くすることだけにエネルギーを使っている。顧客側は、こうした正攻法とは言えない戦略に騙されてはいけない。

また、デミオには、クリーンディーゼル車の他に1.3Lガソリン車も用意。最も燃費の良いモデルで24.6㎞/Lを誇る。

そんなデミオは、クリーンディーゼルやこだわりのデザイン、高い質感のインテリアということもあり、価格は高めの設定。クリーンディーゼル車は、とくに高価で1,782,000円からとなる。従来モデルから比べると、かなり価格がアップしているのは、デミオをプレミアムなコンパクトとしてブランドを構築したいという想いがある。クラスを超えた価値を提供することで、新たなマーケットを開拓していくコンセプトを持っているのだ。

安全装備もエントリグレードを除き、低速域の自動ブレーキやサイドエアバッグ&カーテンエアバッグの標準装備化されている。このクラスで、これだけの安全装備を標準装備化しているのはデミオくらいだ。

結果として、少々高価でも良いモノが欲しいと考える顧客などに高く評価されデミオは売れている。先代モデルでは、車種別月販販売台数でコンパクトカーなのにベスト10に入るのも厳しい状況だったが、新型デミオはベスト10内の常連となった。2015年では年間で7万台以上販売し、年間8位というポジションを得た。好調なマツダだが、これだけの台数を販売できる車種はデミオのみ。未来のマツダを左右するシェアや保有台数をアップさせるためには、絶対に外せない重要なモデルなのだ。

一部改良では、プレミアムコンパクトカーということを重視。エンジン音が気になりやすいディーゼル車には、エンジンのノック音を抑制する「ナチュラル・サウンド・スムーザー」をXDを除いたグレードに標準装備化。1.3Lガソリン車は、トノカバーとフロントウインドシールド遮音ガラスを一部グレードに採用し車外騒音の侵入を効果的に遮音。両車とも静粛性を向上させ、よりプレミアムなコンパクトらしさを追求している。

また、デザイン面では、スタイリッシュなシャークフィンアンテナやフラットワイパー(フロント)を一部グレードに採用。快適性面では、スイッチで3段階の温度調整が可能なシートヒーターを一部グレードの運転席と助手席に採用している。

マツダデミオ走行性能部分でも改良された。従来の1.5Lクリーンディーゼル車は、やや低速トルクが細いとの指摘があった。そこで、エンジンのトルク応答を緻密にコントロールする「DE精密過給制御」を行い、軽負荷領域でのアクセル操作に対してのクルマの反応がよりダイレクトになるよう設定が施された。また、電動パワーステアリング制御も改良。操舵初期の車両コントロール性を向上させ、コーナーでの操作性と直進時の安定性が向上した。

そして、「13S Touring L Package」(2WD/4WD)、「XD Touring L Package」(2WD/4WD)に特別仕様車「BLACK LEATHER LIMITED(ブラック レザー リミテッド)」が新設定された。デミオのコンセプトでは、ホワイトレザーのインテリアがメインだった。しかし、保守的な日本ではホワイトのレザーはなかなか受け入れられないようで、要望の多かったブラックレザーのインテリアを特別仕様車として追加。その他、CD/DVDプレーヤー+地上デジタルTVチューナー(フルセグ)を装備した。この特別仕様車の他に、新グレード「13S Touring」を追加している。

こうした改良により、デミオの価格はさらにアップしている。ガソリンの13Sツーリング Lパッケージの価格は1,738,800円となった。改良前が1,717,200円だったので約2万円のアップ。XDツーリング Lパッケージの価格は2,019,600円。改良前が1,998,000円だったので、こちらも約2万円のアップだ。改良された内容を考えると、良心的な価格アップに収まっているといえる。

デミオの選び方は、まずエンジンの選択から。1.3Lガソリンか1.5Lクリーンディーゼルかどちらの選択となる。お勧めはやはりクリーンディーゼル。車両価格は高いが、ハイブリッド車を超えるパワフルさは魅力。燃料費は、軽油なのでほぼ同等。そうなると、走りに余裕のあるクリーンディーゼル車が魅力的に感じる。また、クリーンディーゼル車は、リセールバリューも高値となることも期待できる。

プレミアムなコンパクトがテーマなので、グレードもなるべく上級グレードがお勧め。ガソリン車なら13Sツーリング、クリーンディーゼル車ならXD ツーリングLパッケージが満足度も高い。予算重視なら13Sツーリングもバランスがとれていて良い選択だ。ただし、今デミオが買いかどうかというと少々微妙。というのも、デミオには低速域の自動ブレーキしか装備されていない。デミオベースのCX-3には、すでにより高速域から作動するミリ波の自動ブレーキが用意されているからだ。残念ながらデミオには、自動ブレーキ領域では、プレミアム性はない。また、世界的に見ても歩行者検知式自動ブレーキの装着が必要になってくる。デミオも近い将来、そうした自動ブレーキが用意されるはず。歩行者検知式自動ブレーキが装備されてからがデミオの買い時だ。

 

■マツダ デミオ価格
・13C 2WD(6EC-AT) 1,350,000円/4WD 1,544,400円
・13S 2WD(6EC-AT/5MT) 1,458,000円/4WD(6EC-AT) 1,652,400円
・13S Touring 2WD(6EC-AT/5MT) 1,684,800円/4WD(6EC-AT)1,879,200円
・13S Touring L Package 2WD(6EC-AT/5MT) 1,738,800円/4WD(6EC-AT) 1,933,200円
・XD 2WD(6EC-AT/6MT)1,782,000円/4WD(6EC-AT) 1,976,400円
・XD Touring 2WD(6EC-AT/6MT)1,965,600円/4WD(6EC-AT) 2,160,000円
・XD Touring L Package 2WD(6EC-AT/6MT)2,019,600円/4WD(6EC-AT) 2,214,000円

■マツダ デミオ特別仕様車価格
・13S URBAN STYLISH MODE 2WD(6EC-AT) 1,566,000円/4WD(6EC-AT)1,760,400円
・13S BLACK LEATHER LIMITED 2WD(6EC-AT/5MT)1,771,200円/4WD(6EC-AT)1,965,600円
・XD URBAN STYLISH MODE 2WD(6EC-AT)1,890,000円/4WD(6EC-AT)2,084,400円
・XD BLACK LEATHER LIMITED 2WD(6EC-AT/6MT)2,052,000円/4WD(6EC-AT)2,246,400円