特別仕様車 アドバンスパッケージαとβを設定


ホンダステップワゴンホンダは人気ミニバンである ステップワゴン スパーダ とスパーダクールスピリットに特別仕様車 アドバンスパッケージαとβを設定し発売を開始した。

ターボエンジンで自動車税年間5,000円節税


ステップワゴンのデビューは2015年4月。ホンダ初となる1.5Lダウンサイジングターボを搭載して登場した。この1.5Lターボエンジンは、低回転域でのフィーリングだが2.4L車並みのパフォーマンスを誇る。燃費性能は、このクラスの2.0Lと同等レベル。1.5Lターボエンジンの分かりやすいメリットは、2.0Lガソリン車に比べ自動車税が年間で5,000円節税できることだ。

『わくわくゲート』で使い勝手の悪さを解消


パワーユニットだけでなく、ステップワゴンにはホンダらしさが満載されている。リヤゲートには、横開き機能をプラスした『わくわくゲート』が用意された。従来のリヤゲートは、フロアがドンドンと低くなってきたことに対応し、より低い位置から開くようになった。そのため、リヤゲートは大型化。大型化すると、後方に一定のスペースが無いとリヤゲートを開くことができなくなる。スーパーの駐車場などで、こうした状況になる顧客が多くなった。こうした傾向は、多くのミニバンに共通する悩みのひとつだ。しかも、背の低い女性ではあまりにドアが大きくなり過ぎたことで閉めることも容易ではなくなったのだ。
ホンダはそうした使い勝手の悪さを横開き機能をプラスすることで解消。後方にそれほどスペースが無くても荷物の出し入れができるようにしたのだ。こうした発想は、ホンダならではのものだ。

新型では、シートを分割してフロア下に収納

先代ステップワゴンは、3列目シートをフロア下に収納できる機能があった。新型では、3列目シートを分割してフロア下に収納できるように変更。ここがポイントで、3列目シートの一部をフロアシートを床下に収納することで、わくわくゲートから3列目や2列目シートに乗降できるようにしたのだ。こうした機能もステップワゴンだけだ。

安全装備面でも大幅に進化。しかしオプション設定・・・


新型ステップワゴンは、安全装備面でも大幅に進化した。単眼カメラとミリ波を組み合わせた自動ブレーキ関連の安全装備であるホンダ センシングが用意された。この自動ブレーキは、歩行者検知式の自動ブレーキでクラストップレベルの実力をもつ。しかし、困ったことに、この素晴らしい機能が全車にオプションとなっている。ホンダは安全関連の企業スローガンで「セーフティ・フォー・エブリワン」を掲げている。こうしたスローガンとは、まったく異なる仕様となっている。企業の本音が垣間見える部分である。これは、標準装備化し価格アップすると売れないという判断のようだ。

特別仕様車 2タイプを用意


そんなステップワゴンに用意された特別仕様車は、ステップ ワゴン スパーダ/スパーダ・クールスピリットに「ホンダ センシング」と「リア右側パワースライドドア」を標準装備した2タイプを用意。特別仕様車「Advance Package α/β(アドバンスパッケージ α/β)」の2タイプがある。

αには、ホンダ インターナビ+リンクアップフリー+ETC車載器<ナビゲーション連動とリアエンターテインメントシステムが装備される。βには、ナビ装着用スペシャルパッケージとETC車載器が装備される。ステップワゴンは、約7割がスパーダということもあり、今回の特別仕様車もスパーダのみの設定になっている。

この特別仕様車ステップワゴン スパーダ アドバンスパッケージβの価格は2,840,000円。ベースとなるスパーダが2,725,000円なので、115,000円高となっている。この金額アップ分は、ホンダセンシング分程度といえるので、右側パワースライド、ナビ装着用スペシャルパッケージ、ETC車載器分がお買い得となる。おおよそ10万円以上のお買い得なイメージだ。

両車ともお買い得感ある特別仕様車


特別仕様車スパーダ クールスピリット アドバンスパッケージαの価格は3,210,000円。ベースのスパーダ クールスピリットが2,887,000円なので、323,000円高となっている。この価格アップ分でホンダ センシング、リア右側パワースライドドア、ホンダ インターナビ+リンクアップフリー+ETC車載器&ナビゲーション連動&、リアエンターテインメントシステムが装備される。ナビ関連やリヤエンターテインメントシステムだけで、約35万円前後するのでホンダセンシングとリア右側パワースライドドア分がお得となる。ザックリと20万円弱くらいお得といえる。両車とも買い得感があり、ステップワゴンの購入を考えているのなら、これらのグレードを中心に考えたい。

販売不調のホンダ、クラスでは販売合戦は厳しいものに


ホンダステップワゴン顧客側から見れば、今回の特別仕様車は非常に魅力的だ。しかし、一般的に2015年4月にデビューし1年未満の新型車に、こうしたお買い得な特別仕様車を設定することは、かなり珍しい。というのは、こうしたお買い得な特別仕様車は、マイナーチェンジやフルモデルチェンジ前など、売れ行きが鈍くなってきたモデルに対してテコ入れする時に設定されるケースが多いからだ。

その理由は、ホンダ ステップワゴンの売れ行きが不調であることによるものだろう。ステップワゴンは、発売直後こそ新車販売台数ランキングで10以内に入るほどだったが、最近では10~15位前後。そんな中、モデル末期となっていて、2016年にフルモデルチェンジが予定されている日産セレナが13~19位と善戦している。月によっては、セレナがフルモデルチェンジしたばかりのステップワゴンの販売台数を超えることがあるくらいだ。

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ホンダの独創性はあまりマーケットに響かず

このクラスの販売合戦は非常に厳しい。セレナはモデル末期であることや、人気オプションを標準装備し価格アップを抑えた特別仕様車を投入。さらに、大幅な値引きも加わる。価格設定が高かったステップワゴンと競合すると、支払金額で大きな差が出ていたのだ。決定的な性能差がそれほど明確にならないこともあり、予算が重要なファミリー層にとってはセレナの安さは非常に魅力的になっている。さらに、このセレナの価格はトヨタ のノア &ヴォクシー のガソリン車にも影響を与えた。セレナ、ステップワゴン、ノア&ヴォクシーのガソリン車の競合になると、トヨタ系も値引きで対応せざる負えない状況なのだ。そうなると、ステップワゴンが一番支払総額が多くなってしまうという状況なのだ。わくわくゲートや1.5Lターボというホンダの独創性は、あまりマーケットに響かなかったということでもある。

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新型車ステップワゴン投入で販売台数増なるか?


こうなると、ホンダの台所事情は厳しいものとなる。ホンダの国内販売は、フィットやN-BOXで台数を維持。ステップワゴンのような高額車で利益を上げている。小型車しか売れないホンダにとって、ステップワゴンは重要な収益車種なのだ。このステップワゴンが不調になると、収益面や生産工場の稼働率面でも大きな影を落とす。とくに2~3月は、自動車業界の最も重要な繁忙期。メーカーの決算が3月末ということもあり、なんとしても販売台数面では目標を達成しないとならない。そのため、新型車のステップワゴンに早くもお買い得な特別仕様車を設定してでも、台数を取りにきているのだ。

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本命はあとに見積もりを取ることが値引きのポイント

こうしたホンダの厳しい台所事情は、我々顧客側には有利になる。通常なら、こうしたお買い得な特別仕様車は「元々お買い得なので値引きできない」と売れないセールスマンは答えるのだが、現状ではそうも言ってられないのだ。もはや、背に腹は代えられぬ状態。もし、ステップワゴンの購入を考えているのなら、最初に訪れる場所はホンダのディーラーではなく、日産のディーラーへ行きセレナの見積りを取ろう。十分な値引き金額を引き出したセレナの見積りを手にした後に、ノア&ヴォクシーの見積もりも取り、そこでようやく本命のステップワゴンの商談に入るといいだろう。こうなると、もはやお買い得な特別仕様車であっても値引き対応するしかないのが現状だ。まだ、デビューしてから1年も経たないステップワゴンだが、大幅値引きが期待できる時期に入った。

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ステップワゴンスパーダ特別仕様車アドバンスパッケージ価格


・SPADA特別仕様車アドバンスパッケージ β FF 2,840,000円/4WD 3,077,600円
・SPADA特別仕様車Cool Spiritアドバンスパッケージ β FF 2,990,000円/4WD 3,184,400円
・SPADA特別仕様車アドバンスパッケージ α FF 3,060,000円/4WD 3,297,600円
・SPADA特別仕様車Cool Spiritアドバンスパッケージ α FF 3,210,000円/4WD 3,404,400円

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◇執筆者プロフィール◇
クルマ評論家 CORISM代表
大岡 智彦 氏

CORISM(http://www.corism.com/)編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員。

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