高級ミニバンヴェルファイア、アルファードをフルモデルチェンジ


トヨタヴェルファイア/アルファード アルファード
トヨタは、大型の高級ミニバンであるヴェルファイア/アルファードをフルモデルチェンジし発売を開始した。初代アルファードから数えると、これで3世代目のモデルとなる。

最近では大型のラグジュアリーセダンがライバル

このクラスの大型ミニバンはライバル車が少ない。ヴェルファイアとアルファード以外では、日産エルグランドがあるくらいだ。ホンダのオデッセイは、ややボディサイズが小さい。その中で、販売台数は完全にヴェルファイアとアルファードが一人勝ち状態。同じミニバンにライバルがいないのだが、最近では大型のラグジュアリーセダンがライバルとなっているようだ。

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フラッグシップと呼べる存在に成長


元々、冷え切っていたセダンマーケットだったが、ラグジュアリーなキャプテンシートなどの豪華さや、広大な室内空間はミニバンが上。セダンが勝てるのは、乗り心地と静粛性くらいだった。そんなこともあり、大型セダンからミニバンへという乗り換えが進み、販売面ではトヨタや日産ブランド にとってのフラッグシップと呼べる存在に成長している。

開発テーマは「大空間高級サルーン」

そんな傾向を3代目ヴェルファイア/アルファードは、より明確にした。開発のテーマは「大空間高級サルーン」。もはや、開発テーマがミニバンではなくサルーンとなっている。このことからも、大型セダンに取って代わるモデルであることが分かる。

トヨタヴェルファイア/アルファード大空間を生み出すために、ボディサイズは拡大された。ヴェルファイアZは、全長4,935×全幅1,850×全高1,880mm、ホイールベース3,000㎜となった。先代のヴェルファイア24Zと比べると、全長で+50mm、全幅+10mm、全高-10mm、ホイールベース+50mmとなっている。全高はわずかに下がっているが、低床フロアなどによるもので、室内高は1,400mmと従来と同じだ。

一般的にクルマとしての燃費や操縦安定性を高めるためには、全高を下げて重心高を下げたい。背が高ければ空気抵抗も増し燃費が悪くなる。その上、重心高が高いとカーブでの安定感は無くなり、いざというときに横転の危険性も増す。つまり、百害あって一利なしに近い状態なのだ。それなのに、全高を下げなかったのは、全高を下げ小さく見えるとして販売台数が落ち込んだ日産エルグランドの失敗例を生かしているからだ。

デザインはよりラグジュアリー感を増す


そして、室内の広さをアピールするために、ホイールベースが延長された。ホイールベースの延長は、広大な室内空間に直結する。3,000mmというホイールベースはエルグランドと同じながら、室内長はエルグランドの3,025mmを大幅に超える3,210mmとなっている。

この広大なスペースを生かし、室内空間は、よりラグジュアリーになった。なんと、助手席シートは最大1,160mmものスライドが可能。ほとんど、2列目シートくらいまでスライドする。2列目シートも従来比+30mmとなる830mmのロングスライドが可能。オットマンが装備されたキャプテンシート車なら、足を延ばしたままドライブできるほどの空間だ。こうなると、セダンがますます売れなくなるのも分かる。

こうしたラグジュアリー性をさらに高めたグレードが、エグゼクティブラウンジだ。価格は驚きの、7,036,691円! この価格は、トヨタブランドの最高級車のマジェスタ より高価だ。まさに、マジェスタのマーケットさえ奪ってしまうことを狙っているようでもある。つまり、それは、大型セダンに取って代わるフラッグシップとしての存在感をアピールしていると言えるだろう。

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座り心地・触り心地・使い心地の良さを追求!


トヨタヴェルファイア/アルファードエグゼクティブラウンジの装備は、まさに贅を尽くしたもの。100mm拡幅されたエグゼクティブラウンジシートを採用。座り心地や触り心地、使い心地など3つの心地よさを追求し最上級のおもてなしの空間に仕上げられている。

こうした使い勝手へのこだわりは、最小回転半径にも表れている。アクアは16インチタイヤを選択すると、最小回転半径が5.7mと大型ミニバン並み。逆に大型ミニバンである新型ヴェルファイア/アルファードが、コンパクトカーのアクア を下回る最小回転半径5.6mを達成している。ホイールベースを伸ばしているのに、最小回転半径を小さくした点は高く評価したいポイントだ。

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プラットフォーム新開発で乗り心地性能を大幅に向上


大型セダンの優れた乗り心地を超えるために、ヴェルファイア/アルファードはリヤまわりのプラットフォームを新開発。今まで今ひとつだった乗り心地性能を大幅に向上するため、リヤサスペンションを新開発のダブルウイッシュボーン式へ変更。この新型サスペンションにより、後席の乗り心地は大幅に向上したという。

さらに、ボディには約200ヵ所にも及ぶスポット溶接の増し打ちを実施し剛性をアップ。また、吸音や遮音材の追加などにより、静粛性は一段と向上。室内の会話明瞭度は、高級セダン並みに高められた。

燃費性能はやや向上だが、環境対応は物足りない状況


ヴェルファイア/アルファードに搭載されるエンジンは3つ。まず、3.5Lと2.5Lのガソリン車が2WD と4WD それぞれ用意されている。3.5Lエンジンは、従来と同様で280ps344Nmで6速ATとの組み合わせ。燃費性能は、やや向上してFF車が9.5㎞/Lとなった。2.5L車には搭載されているアイドリングストップ機能が3.5L車には装備されていないなど、環境対応は物足りない状況。

アイドリングストップ機能が用意されたがオプション設定

従来の2.4Lエンジンから、2.5Lへ変更され182ps&235Nmを発揮。こちらはCVTが組み合わされる。ガソリン車の売れ筋となるため、さすがにアイドリングストップ機能が無いと燃費やエコカー減税対応などの理由から売れないと判断されたのか、ようやくアイドリングストップ機能が用意された。しかし、これだけの高級車なのにオプション設定だ。アイドリングストップ機能があると12.8㎞/Lでエコカー減税免税対応。アイドリングストップ機能無しだと、11.6㎞/Lとなりエコカー減税は1クラス下がり免税では無くなる。お金をより多く払った顧客しか免税対応にはならないという設定。顧客のメリットは、すべてメーカーに吸い取られる仕組みとなっている。

2.5Lの2AR-FXE型を搭載したシステムにハイブリッド変更

ハイブリッド車も、2.4Lから2.5Lの2AR-FXE型を搭載したハイブリッドシステムへ変更された。リヤタイヤをモーター駆動するE-Fourとなり4WDの設定のみだ。基本スペックは、すでに発売されているハリアー と同じでシステム出力は197ps。最も燃費良いグレードは、19.4㎞/Lとなっている。ただし、この燃費が出せるグレードは、1グレードのみ。ほとんどのグレードが18.4㎞/Lとなっている。これでも2,100kg超の車重をもつクルマとしては、非常に優れた燃費値といえる。

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ヴェルファイア・アルファードの選び方


トヨタヴェルファイア/アルファードヴェルファイアとアルファードの選び方だが、今慌てて買うと損をする。デビュー直後は値引きもゼロであることもあるが、今人気の安全装備である自動ブレーキ類の装備が用意されていないからだ。さらに、今後、中古車マーケットも自動ブレーキの無いクルマはリセールバリューも期待できなくなることが予想できるのもマイナス要因。すでに、トヨタは最新の安全装備トヨタ セーフティセンスを発表しているので、これが装備されてからが買い時となる。安全装備が物足りない高級車というのでは、オーナーの満足度も違ってくる。

おすすめはアイドリングストップ機能をオプションでつけること

パワーユニットの選択は、2.5Lかハイブリッドがリセールバリューを含めるとベストな選択。予算を重視するなら、2.5Lガソリン車でも十分だ。2.5L車は、オプションのアイドリングストップ機能を装着することをおすすめしたい。とにかく動力性能重視という人以外は、3.5Lという選択はおすすめできない。アイドリングストップ機能も無く、ハイオク仕様であることや、燃費などの経済性を考えると選びにくい。

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トヨタ ヴェルファイア/アルファード価格


ヴェルファイア/アルファードの目玉ともいえる最上級グレードがエグゼクティブラウンジ。ハイブリッド車で価格は、なんと約700万円。その1つ下のグレードでも約550万円なので、価格差はなんと150万円。コンパクトカー1台分の価格差だ。とにかく豪華なのは分かるが、このグレードは、もはや自分で運転するというグレードではなく、運転手がいるオーナーが買うグレードだ。

・3,197,782円~7,036,691円

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◇執筆者プロフィール◇
クルマ評論家 CORISM代表
大岡 智彦 氏

CORISM(http://www.corism.com/)編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員。


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