ロールーフミニバンから撤退、エリシオン姿消す。


ホンダオデッセイオデッセイというと、アコードをベースにしたロールーフで通常のヒンジ式ドアをもつミニバンというイメージが強い。ところが、フルモデルチェンジしたオデッセイは、両側スライドドアになり車高も1,695mmと高く立派なミニバンへと変貌を遂げた。

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これを見る限り、新型オデッセイのボディサイズは、基本的にエリシオンのクラス。どちらかというと、エリシオンがフルモデルチェンジしてオデッセイという名前になった印象だ。つまり、オデッセイという名前は残るものの、乗用車的なロールーフミニバンというジャンルからは撤退ということになる。それに伴い、エリシオンというクルマは姿を消す。

認知・理解が進む救世主オデッセイ

この複雑な事情には訳がある。それは、初代オデッセイまでさかのぼる。アコードのプラットフォームを使って登場した初代オデッセイは、まさにミニバンブームの火付け役となり大ヒットした。当時、倒産の危機にあったホンダは、オデッセイの大ヒットで危機を脱した。そのホンダ復活のきっかけとなった救世主オデッセイの名を捨てるのは、あまりにも忍びない。マーケティング的にも、オデッセイの名は認知・理解が進んでいるということもある。

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ライバルはエスティマ!


ホンダオデッセイオデッセイには、前モデル同様に2つのボディが用意される。通常モデルと、スポーティなエアロフォルムや専用アイテムを装備したアブソルートだ。ボディサイズは、標準モデルが全長4,830×全幅1,800×全高1,695mm。このサイズは、トヨタ エスティマの全長4,815×全幅1,820×全高1,745mmと近い。オデッセイの車高が少し低いくらいで、サイズベース的にライバルはエスティマということになる。

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こだわりのプラットフォーム


ホンダのこだわりは、ステップワゴンでも同様な超低床プラットフォームだ。この技術は、フロア下の燃料タンクや排気系を極限まで薄型化し、居住空間を上に伸ばすのではなく下方へも伸ばす技術。これは、ホンダの思想で、人のためのスペースは最大に、メカニズムは最小に、マン・マキシマム/メカ・ミニマム(M・M思想)という考え方だ。

フロアが低いことで得られるメリットはたくさんある。まず、低重心さは、快適で安定した走行性能を得られる。さらに、ステップ高を低くでき、子供や高齢者も乗り降りがしやすいのも特徴。運転席にも、よじ登るようにしなくてもいい。

インテリアは、ラグジュアリーな空間をアピール


インテリアは、ラグジュアリーな空間をアピールする。7人乗りでは、日産エルグランドのように背もたれの中折れ機能やオットマン、ロングスライドをもつ2列目プレミアムクレードルシートが採用された。2列目のシートを最後部までスライドさせると、驚くべき広さをもつ空間を作り出すことが可能だ。

スペース面では、他のラージサイズミニバンよりも低い全高ながら、室内高を1,325mm(FF)確保。タンデムディスタンスや室内幅も拡大し、多人数での乗車がより快適な室内空間を作り上げている。3列目シートは、ステップワゴンと同じくフロアに収納され、スッキリとした使いやすい荷室となる。

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全高を低くしたミニバンは失敗するケースが多いが・・・

メーカーが考える理想は正しいのだが、全高を低くしたミニバンは失敗するケースが多い。日産エルグランドもオデッセイ同様の考え方で、全高を下げたが思うように販売台数は伸びていない。それは、顧客の好みとの乖離がある。このクラスのミニバンを買う顧客の多くが、どれだけ大きく見えるか、どれだけ上から下に見下ろせるかという視点が強いからだ。設計が古いトヨタのアルファード&ヴェルファイアが、いまだに人気なのも結果的にそういった理由を多く含んでいるという。

オデッセイの小回りはよく、最小半径は5.4m。これは、5ナンバーミニバンと同程度。ライバルのエスティマが5.7mなので、大きいが意外と使いやすいということになる。

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今後、よりグレードアップした安全装備に期待


安全装備では、追突被害軽減ブレーキと誤発進抑制機能がメーカーオプションで用意されている。あんしんパッケージということで、サイドエアバックとカーテンエアバックとセットで安価に装備できるとはいえ、軽自動車でも高い装着率となっていることを考えれば、このクラスでは、全車標準装備というのが望ましい。また、オプションでも選べないクルマよりははるかに良いが、300万円を超えるようなクルマが、簡易型の追突被害軽減自動ブレーキでいいのか? と、いうの考え方もあり、よりグレードアップした安全装備に期待した。

直噴2.4Lエンジンが登場。パワー&燃費とも直噴エンジンが勝る


ホンダオデッセイ搭載されるパワーユニットは、2.4Lガソリンエンジンのみ。しかし、排気量は同じでも、出力&燃費が違う2タイプのエンジンが用意されている。直噴エンジンと通常のポート噴射エンジンだ。スポーティ仕様のアブソルートには、パワフルな直噴エンジンが搭載される。パワーとトルクは190ps&237Nmで、燃費は14.0㎞/L。先代のエリシオンに搭載されていた2.4Lエンジンは、160ps&218Nm。燃費は9.9㎞/Lなので、出力や燃費は大幅に向上されている。また、通常のエンジンは、175ps&225Nmで燃費は13.8㎞/L。このエンジンの進化も素晴らしく、普通に使うのであれば、これで十分なほどの出力と言える。直噴エンジンは、レギュラーガソリン仕様なので、経済性も高い。

ホンダ オデッセイの選び方


ホンダオデッセイオデッセイは、標準車かアブソルートかを選ぶと、自動的にエンジンも決まる。標準車は、通常のガソリンエンジン。アブソルートあは直噴エンジンとなる。ライバルと比べても、ホンダのエンジンは秀逸。未だアイドリングストップ機能さえも付かないトヨタ エスティマ2.4Lの燃費が11.6㎞/L。燃費性能では、オデッセイがエスティマを上回る。

オデッセイで、買ってはいけないのがBグレード。価格は2,490,000円と安い。このグレードは、オトリグレードとも呼ばれ、売る気はないのにチラシなどの広告には「新型オデッセイ2,490,000円から!」と安さを訴求するための専用モデル。アイドリングストップ機能も無ければ、安心パッケージも選べない。パワースライドドアもないので、一般顧客用ではない。

そうなると、Gグレードから選ぶのが基本。価格はグッとアップして2,690,000円(8人乗り)からとなる。この価格が実質のエントリーグレード価格と思うとよい。EXにはさらに豪華装備が施されるので、好みで選ぶといいだろう。Gグレードには、安心パッケージがオプションなので、これは絶対に選ぶべきだ。

おすすめは、アブソルート

アブソルートは、高価になるが満足度は高い。エアロフォルムにより、アグレッシブなスタイリングになっており、エンジンもパワフル&低燃費の直噴だ。アブソルートの価格は2,950,000円~。装備は、LEDヘッドライト、17インチアルミホイールなどが装備されている。走行フィーリングも全く違うものになっていて、10mmローダウンした強化タイプのスプリングやコンプライアンスブッシュ、EPSやダンパー減衰特性も専用セッティングなどを含め、シッカリとしたフィーリングを求めるならアブソルートという選択だ。また、アブソルートには、吸防音材を多く使っていることから静粛性も高く高級感もある。

予算に余裕があるのなら、オデッセイはアブソルートをおすすめしたい。価格アップ分の価値はある。また、アブソルートはリセールバリューが高いと予想できるので、短期で乗り換えるのならますますアブソルートになる。

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ホンダ オデッセイの価格


オデッセイの価格は、以下の通り。

標準車価格

B FF 8名 2,490,000円
4WD 8名 2,740,000円
G FF 7名 2,819,000円
FF   8名 2,690,000円
4WD 8名 2,940,000円
G・EX FF 7名 3,360,000円
4WD 8名 3,505,000円

アブソルート価格


ABSOLUTE FF 7名 3,154,000円
FF   8名 2,950,000円
4WD 8名 3,275,000円
ABSOLUTE・EX FF 7名 3,585,000円
4WD 8名 3,730,000円

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◇執筆者プロフィール◇
クルマ評論家 CORISM代表
大岡 智彦 氏

CORISM(http://www.corism.com/)編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員。

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