酔いにくい車の特徴とは?
酔いにくい車を購入したいときは、以下の特徴を備えた車を選びましょう。
| 大きな特徴 | 細かな特徴 |
|---|---|
| ①走行安定性が高い | ボディ剛性が高い、車体が低重心、車幅が広い、ホイールベースが長い、サスペンションが高性能、4WD(四輪駆動) |
| ②視界が広い | フロントガラスが大きい、2列目や3列目も前方が見やすい、全体的に窓が大きい |
| ③シートの安定性が高い | 骨盤から姿勢を支える構造になっている、頭部の揺れを抑える構造になっている |
※サスペンション:車体とタイヤをつなぐ装置。振動や衝撃を吸収する
一般には軽自動車より普通車、またSUVやミニバンよりセダンやステーションワゴンのほうが酔いにくいです。ただし、現在は比較的酔いにくいSUVやミニバンも多数あります。
車酔いの原因とメカニズム

車酔いは、目・耳・体からの情報のズレや過剰な刺激によって起こる反応です。
「目」は景色の移ろい、「耳」は加減速や揺れ、「体」は揺れや振動を検知し、その情報を脳に伝えます。通常、脳はこれらの情報を総合判断し、全身の安定を保ちます。
しかし、各情報にズレが生じたり、情報量が過剰になったりすると脳は混乱。循環器や消化器をコントロールする自律神経が乱れ、車酔いの症状が起こるのです。
乗車中に本やスマートフォンを注視すると酔いやすいです。これは「目は1点に集中して動いていないのに、耳や体は揺れ(動き)を感じている」という情報のズレが原因です。
体調や心理状態、臭いなども影響する
以下のような要因も、車酔いを誘発します。
- 体の疲れ(睡眠不足等)
- 不安や緊張、興奮
- 臭い(タバコやガソリン等)
- 空気のよどみ
- 不快な温度・湿度
- 空腹や満腹の状態
心身の不調や不快感は自律神経に悪影響します。また、空腹や満腹も酔いを誘発しやすいので、注意しましょう。
子どもが酔いやすいのはなぜ?
4歳~12歳頃の子どもは、他の年代より酔いやすい傾向があります。理由の一つとして、酔いに関係する前庭小脳が発達する時期にあたることがあげられます。発達段階では刺激に対して脳が強く反応し、酔いを誘発します。
反対に、前庭小脳の発達が始まっていない3歳頃までは、車酔いしにくいと考えられています。
酔いにくい車の選び方
酔いにくい車選びでは、「酔いの誘発要因となる揺れや振動が少ない車」「目・耳・体からの情報がズレにくい車」を選ぶことが重要です。具体的なポイントは、以下の3つです。
- ①走行安定性の高さ
- ②視界の広さ
- ③シートの安定性の高さ
ポイント①走行安定性の高さ
走行安定性が高い車は横風や路面の凹凸による影響を受けにくく、揺れが少ないです。一般に、以下のような車は走行安定性が高いです。
- ボディ剛性が高い
- 車体が低重心
- 車幅が広い/ホイールベースが長い
- サスペンションが高性能
- 4WD
車体が低重心だと横風やカーブの影響を受けにくいです。サスペンションは、硬すぎると路面の凹凸を拾って振動を感じやすく、一方で柔らかすぎてもフワフワとした大きな揺れが生じるので、適度な硬さ/柔らかさが必要です。
軽自動車はボディ剛性が高いといえず、重心も高めです。車幅や全長も短く、走行安定性は普通車より劣ります。特に、N-BOXやタント、スペーシアといった全高が高いタイプは注意が必要です。
普通車では、重心が高めなSUVやミニバンは、低重心のセダンやステーションワゴンより酔いやすいといえます。ただし、普通車では「酔いにくさ」を追求した車も少なくありません。
ポイント②視界の広さ
一般に、前席は視界が開けています。一方、後席は前方の景色が見えにくく、前もって「カーブがある」といった情報を読み取りにくいです。こうした視覚情報の制限が、脳に伝わる情報のズレを引き起こします。
現在は後席でも前方の景色を見やすい車が増えています。たとえ前方が見にくくても、横の窓が大きい車のほうが酔いにくいです。
ポイント③シートの安定性の高さ
車の乗り心地は、車両の剛性の高さやサスペンションの性能だけでなく、シートの素材や厚み、形状によっても変わります。
なかには「骨盤から姿勢を整える」「頭がズレにくい」といった工夫が施されている車もあります。こうしたシートは体の揺れを抑えてくれるので、普通の車より酔いにくいです。
酔いにくい車おすすめ10選
ここでは、幅広いボディタイプの中から例として、酔いにくいおすすめの10車種を厳選しました。
| 番号 | 車種名 | ボディタイプ |
|---|---|---|
| ① | 日産 サクラ / 三菱 eKクロスEV | 軽自動車 |
| ② | ホンダ フィット | コンパクトカー |
| ③ | マツダ MAZDA3セダン | セダン |
| ④ | スバル インプレッサ | ステーションワゴン |
| ⑤ | マツダ CX-5 | SUV |
| ⑥ | スバル フォレスター | SUV |
| ⑦ | レクサス RX | SUV |
| ⑧ | トヨタ ノア / ヴォクシー | ミニバン |
| ⑨ | 日産 セレナ | ミニバン |
| ⑩ | ホンダ ステップワゴン | ミニバン |
※車種情報は、2025年7月23日時点のガリバー「車カタログ」より引用
①日産 サクラ / 三菱 eKクロスEV(軽自動車)
- 新車時価格:サクラ253.7万円~308.2万円 / eKクロスEV256.8万円~313.2万円
- サイズ:全長3395mm×全幅1475mm×全高1655mm
サクラとeKクロスEVは日産と三菱の合弁会社が開発した軽BEV(電気自動車)です。
床下に重いバッテリーを積んだハイトワゴンで、低重心です。そのため、走行安定性は他の軽自動車を大きく上回ります。
新車では57.4万円(2025年度)のCEV補助金が受けられます。また、中古車は年式の割に低価格な車が多いです。
②ホンダ フィット(コンパクトカー)
- 新車時価格:172万円~284.7万円
- サイズ:全長3995-4095mm×全幅1695-1725mm×全高1515-1570mm
フィットは前方のAピラーが他の車より細く、視界が広く確保されています。また、乗り心地の良さに定評があり、サスペンションが路面の凹凸を見事に吸収して振動を抑えてくれます。
前席には骨盤から腰椎を支える「ボディースタビライジングシート」を採用。酔いやすい人はぜひ前席に座りましょう。
中古でも流通量が多いです。安定性が特に高い4WD車やe:HEVモデルをお勧めします。
③マツダ MAZDA3セダン(セダン)
- 新車時価格:257.7万円~326.6万円
- サイズ:全長4660mm×全幅1795mm×全高1445mm
マツダは、ほぼ全車に「G-ベクタリングコントロール(GVC)」という独自技術を搭載。車の操縦性と安定性を向上させる技術で、乗員にかかるGを低減し、横揺れを抑えます。
また、MAZDA3セダンはセダンなので低重心で、後ろに大きめの荷室を備えているからこそ前後バランスも整っています。
乗り心地は少し硬めで、ハッチバックタイプの「ファストバック」も存在します。
④スバル インプレッサ(ステーションワゴン)
- 新車時価格:272.2万円~337.2万円
- サイズ:全長4475mm×全幅1780mm×全高1480-1515mm
スバル車は走行性重視のため、全体的に「水平対向エンジン×シンメトリカルAWD」の組み合わせを採用。優れた重量バランスと高い走行安定性を実現し、酔いにくいといわれます。インプレッサはボディタイプとしても低重心であり、前席には骨盤を支えるシートも装備。揺れをさらに抑えてくれます。
なお、インプレッサは2WD車もありますが、酔いにくさでおすすめなのは4WD車です。
⑤マツダ CX-5(SUV)
- 新車時価格:281万円~422.5万円
- サイズ:全長4575mm×全幅1845mm×全高1690mm
SUVは全高が高めで重心が高くなりがち。しかし、CX-5もMAZDA3と同様にGVCを搭載し、乗員にかかるGを低減してくれます。また、ミドルサイズSUVとして適度な広さを保ちつつ、後述のフォレスターやRXと比べると全高が低いです。フラットな乗り心地で、この点からも酔いにくいといえます。
2025年6月時点でモデル末期で、今後中古車の価格下落が期待できます。
⑥スバル フォレスター(SUV)
- 新車時価格:404.8万円~459.8万円
- サイズ:全長4655mm×全幅1830mm×全高1730mm
SUVで酔いにくさを追求するなら、やはりスバル車がおすすめです。フォレスターはスバルの中でも人気の高いSUVで、広さもしっかり確保されています。全車で「水平対向エンジン×シンメトリカルAWD」を採用しています。
2025年4月にフルモデルチェンジしましたが、先代モデルでも酔いにくさには定評があり、中古での購入もおすすめです。
また、小さめが良いならクロストレックなども検討しましょう。
⑦レクサス RX(SUV)
- 新車時価格:668万円~903万円
- サイズ:全長4890mm×全幅1920mm×全高1700-1705mm
RXは、多くのSUVと比べて大きめ。その分だけ全幅が広く、ホイールベースも長いという特徴があります。一方で、高さは一般的なミドルサイズSUVと大きく変わりません。
魅力は高級車ならではの高性能な装備。特に、リアサスペンションの質が良いです。4WD車には、ナビ情報から先の道路状況に合わせて減衰力を制御するサスペンションシステムも装備しています。
高級車ではありますが、中古であれば400万円台で買えるモデルも少なくありません。
⑧トヨタ ノア / ヴォクシー
- 新車時価格:ノア267万円~389万円 / ヴォクシー309万円~396万円
- サイズ:全長4695mm×全幅1730mm×全高1895-1925mm
現行モデルのノア/ヴォクシー(2022年1月~)は、先代モデルと比べて走行安定性が大幅に向上しています。サスペンションはやや硬めに設定され、左右の揺さぶりが減少しました。
乗り心地もやや硬めで、市街地走行では多少振動を感じます。高速走行時のほうが安定した乗り心地です。
なお、ノアとヴォクシーは姉妹車であり、基本性能は変わりません。
⑨日産 セレナ
- 新車時価格:271.9万円~484.8万円
- サイズ:全長4690-4810mm×全幅1695mm-1725×全高1870-1885mm
現行のセレナ(2022年11月~)は、「酔いにくさ」「疲れにくさ」を追求した一台。
1~2列目には、走行中の姿勢を安定させる「ゼログラビティシート」を装備。前席は、頭部の揺れも抑えてくれます。さらに、新車独特の臭いが少ない素材を使用したり、シートベルトの締め付けを緩和したりと嗅覚やストレスの観点からもアプローチしました。
他にも、インパネ形状をフラットにしたり、穴あきヘッドレストを採用したりと視界の広さについても工夫が施されています。
⑩ホンダ ステップワゴン
- 新車時価格:334.8万円~440.7万円
- サイズ:全長4800-4830mm×全幅1750mm×全高1840-1855mm
現行のステップワゴン(2022年5月~)も「酔いにくさ」を深く追求した車です。
1~3列目にかけて少しずつ床面の高さを上げ、全席で視界の広さを確保。さらに、ヘッドレストをコンパクトにして2~3列目の視界を広げています。また、デザインに水平基調を多く取り込み、視覚的に体の傾きを感じ取れるようになっています。
ボディ剛性の強化やサスペンションの改善により、振動や左右の揺れも大きく軽減しました。
車選び以外にできる対策
車選び以外でも、車酔いの対策は多くあります。以下の3つもしっかり対策しましょう。
対策①酔いにくい運転をする
酔いにくい運転とは、即ち「穏やかな運転」です。
- 急発進/急加速/急減速/急停止を避ける
- カーブでは特にスピードを落とす
- カーブの手前で事前に告知する
カーブなど大きい動きが予想される際に「もうすぐ大きく曲がるよ」と伝えると、乗員は手すりなどに摑まる等の対策ができます。乗員にとって刺激の少ない運転を心がけましょう。
対策②酔いにくい環境をつくる
酔いにくい環境づくりとしては、以下のような行動が挙げられます。
- 掃除で臭いや空気のよどみをなくす
- 外の空気が良ければ積極的に換気する
- 酔いやすい人を助手席に乗せる
- 乗員には締め付けの少ない服を着てもらう
- スマートフォンや本を注視しない
臭いによる不快感は、酔いを悪化させます。できるだけ新鮮な空気を取り入れましょう。臭いの強い芳香剤は、お勧めしません。
対策③事前に体調を整える
前述の通り、酔いやすさは心身の調子によっても大きな影響を受けます。ドライバーだけでなく、乗員全員が体調管理に努めましょう。
- 前日は早い時間からよく休む
- 酔いやすい人は、事前に酔い止めを飲む
- 空腹と満腹を避ける
遠出をする前日は、疲労感や寝不足を生じさせないようにしましょう。また、酔いやすい人は前もって酔い止めを飲むのがおすすめです。「薬を飲んであるから大丈夫」という精神的な安定にもつながります。
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