車のキズは、浅いものであれば自分で修理することが可能です。ここでは初心者の方にも分かるように自分で修理できるキズの見分け方、傷消し剤の種類と用途、キズのタイプ別の修理方法を詳しく解説します。
自分で修理できるキズと業者に依頼した方がよいキズの見分け方
車の塗装はボディ(地金)の上に「下地塗装」「塗装」「クリア層」と3つの層が重ねられてできています。「自分で修理できるキズか否か」は、キズの広さと深さで決まります。
もしキズがクリア層にとどまる範囲であれば、自身での修理が可能です。
一方で塗装や下地塗装に届くような深いキズ、広範囲のキズ、大きな凹みがある場合は業者に依頼した方が良いでしょう。
キズの深さは水をかけることで見分けることができます。水をかけた時に一瞬キズが見えなくなるようであればクリア層のキズである可能性が高いです。逆に、水をかけても見えるキズはクリア層より深いキズである可能性が高いです。
傷消し剤の種類と用途
傷消し剤はキズの程度や位置によって使うものが異なります。主な傷消し剤の特徴や用途は以下の表を参考にしてください。
傷消し剤の種類 | キズのタイプ | 特徴と用途 |
---|---|---|
ワックス | 表面のごく浅いキズ、くすみ | 細かいキズを埋めながら表面をコーティングする。ボディに光沢感を与える効果もある。研磨剤入りのものもある |
コンパウンド | クリア層や塗装の浅いキズ | キズを研磨して目立ちにくくする。粒子の粗さなどによって数種類を使い分けることも可能 |
スプレー | 広範囲のキズ | 吹きかけてキズを塗りつぶす。広範囲のキズを一気に埋めるのに適している。事前に下地処理をする必要があり、初心者では色ムラもできやすい |
タッチペン | 狭い範囲で色が剥げているキズ | 塗装が剥がれた部分を塗って埋める。ペンのように持てるので作業がしやすく、塗装力も強力。事前に下地処理をしなければいけない |
パテ | やや深いキズ | キズの凹みを埋める。パテ自身に色はないので上から塗料を塗る必要がある |
シール | 狭い範囲のキズ | ボディカラーと同色のシールで目立たなくする。貼るだけなので初心者でも使いやすい |
修理作業に適した日
修理は以下の条件がそろった日に行うと良いでしょう。
- 曇っている日
- 風がなく、花粉や黄砂が少ない
- 車体が触れられる熱さ
日が照っているとワックスや塗料が乾きやすく、ムラになりやすいです。そのため、作業は日が照らない天候や時間を選びましょう。
花粉やホコリはキズの原因になるので「風がない日」も重要な条件です。
最後に、修理する際は車体に触れることが多いので、ボディが熱くなる夏本番は避けましょう。
キズの種類に応じた傷消し剤の使い方
ここからは、キズのタイプに応じた傷消し剤の使い方を解説します。
【クリア層】ごく細かいキズやくすみはワックス
経年劣化によるボディのくすみにはワックスでの補修が最適です。ワックスは細かなキズを埋めながら表面をコーティングするので、クリア層のごく細かいキズも目立たなくします。広範囲に使うことができ、作業も簡単なので初心者でも使いやすいです。
【代表的な商品 SOFT99「キズクリアーR」】
発売されてから15年以上経っても洗車マニアに愛されているロングセラー商品で、海外でも人気を誇っています。
【修理手順】
今回はSOFT99のキズクリアーRで解説します。固形や液状など形状によって扱い方が異なるので、実際にワックスを使う際は商品ごとの使い方をよく確認してください。
手順1. 洗車する
事前準備として、洗車でボディのホコリや泥汚れを落とします。洗車をしたら、水アカが残らないようタオルなどでしっかりと水滴を拭き上げてください。
手順2.ワックスを塗り込む
スポンジに液を大さじ1杯程度つけ、約50㎝四方の範囲でタテ方向に往復→ヨコ方向に往復して塗ります。細かいキズがある部分は縦横を多めに往復して塗り込みましょう。
手順3.拭き取る
ワックスが乾かないうちに、きれいなタオルなどで拭き取りをします。ワックスはとても乾きやすいので、狭い範囲ごとに手順2と手順3を繰り返して全体を仕上げていきましょう。
【塗装】浅いひっかきキズはコンパウンド
クリア層から塗装にかけてのちょっとしたひっかきキズは、コンパウンドで目立たなくすることができます。コンパウンドは粒子のサイズによって細目や粗目といった種類があり、調整しやすいという特徴があります。ただし、一般的に塗装まで届くキズは個人での修復が難しいです。慣れていない場合は業者に依頼するようにしましょう。
【代表的な商品 SOFT99「液体コンパウンドトライアルセット」】
粒子のサイズが異なる3種類のコンパウンドが少量ずつ入っています。
【修理手順】
今回はSOFT99の「液体コンパウンドトライアルセット」で解説します。コンパウンドもチューブ状や液状など種類が多いので、実際に使う際は各商品の使い方をよく確認してください。
手順1. 洗車する
事前準備として、洗車でボディのホコリや泥汚れを落とします。洗車をしたら、水アカが残らないようタオルなどでしっかりと水滴を拭き上げてください。
手順2.スポンジにコンパウンドをつけ、研磨する
水を含ませて絞ったスポンジに10円玉程度(ペースト状なら1cm程度)のコンパウンドを出し、タテ方向とヨコ方向に数往復ずつ研磨します。キズの状態を見て粒子の粗さを変え、目立たなくなるまで磨きましょう。
手順3.拭き上げる
キズが目立たなくなったら、きれいな布で研磨部分を拭き上げて作業完了です。
以下の記事ではコンパウンドでのキズの修理方法を詳しく説明しています。細かいステップはこちらで確認してください。
<関連記事>コンパウンドとは?車のキズの消し方ときれいに仕上げるテクニック
【塗装】ワンポイントの塗装剥がれはタッチペン
細い線状のキズ、飛び石による塗装剥がれなど、ごく狭い範囲での塗装剥がれはタッチペンが適しています。筆記具と同じ持ち方で作業できるので、細かな部分の補修がしやすいです。ただし、剥がれた塗料を塗りなおすためには下地作りが必要なので手間がかかります。
【代表的な商品 SOFT99「タッチアップペン(筆塗りタイプ)」】
ロングセラー商品で、カラーラインナップが豊富です。
【修理手順】
今回はSOFT99の「タッチアップペン(筆塗りタイプ)」で解説します。
手順1. 洗車する
事前準備として、洗車でボディのホコリや泥汚れを落とします。洗車をしたら、水アカが残らないようタオルなどでしっかりと水滴を拭き上げてください。
手順2.キズ部分の研磨と脱脂で下地作り
コンパウンドや耐水サンドペーパーでキズ部分周辺を研磨した後、脱脂スプレー(シリコンオフ)をかけてタッチペンの密着性を高くします。
手順3.タッチペンで塗る
キズ部分の周りにマスキングテープを貼り、テープの間を埋めるようにタッチペンで塗っていきます。タッチペンは乾燥すると収縮するので、点を打つようにして丁寧に塗ってください。
塗る回数も一回でなく「塗る→20分程度乾燥させる→塗る」を数回繰り返しましょう。
手順4.乾燥と研磨、ワックスで仕上げる
一週間程度乾燥させてから、サンドペーパーで研磨します。コンパウンドで研磨すると、キズ部分と周囲の段差が目立ちにくくなります。あとはワックスで艶出しをして完了です。
バンパーの深いキズは傷消し剤を組み合わせて
バンパーの深いキズは、パテ、コンパウンド、スプレーを組み合わせて修理します。
大まかな手順としてはキズの凹み部分をパテで埋め、コンパウンドで塗装の下地を作り、その上で塗料を塗ります。
【代表的な商品 SOFT99「バンパーパテ(全塗装色対応)」「コンパウンド細目」「ボデーペン(カラー塗料)」】
【修理手順】
ここでは大まかな修理手順を説明します。
手順1. 洗車する
事前準備として、洗車でボディのホコリや泥汚れを落とします。洗車をしたら、水アカが残らないようタオルなどでしっかりと水滴を拭き上げてください。
手順2.パテで凹みを埋める
キズ部分のささくれをサンドペーパーで磨いた後、パテで凹みを埋めます。
手順3.コンパウンドで下地作り
キズ部分周辺の変色や劣化した塗膜をコンパウンドで磨き落として下地を作ります。
手順4.スプレーで塗料を塗る
カラー塗料を吹きかけて、塗装剥がれを直します。塗装が完了したら、一週間程度乾燥させてください。
修理には上記のグッズだけでなく、多くのものが必要です。細かなステップも含めて確認したい場合は以下のページをご覧ください。
<関連記事>車のバンパーのキズを自分で補修する方法|中古車のガリバー」
初心者は使いやすい傷消し剤を使うのがおすすめ
車のキズは、浅いものであれば初心者でも自分で修理することができます。傷消し剤を選ぶ時にはキズの深さや範囲をチェックするとともに、使いやすさを考えて商品を選ぶようにしましょう。
ただし、大きなキズを無理して修理するのはオススメできません。素人の修理跡は、下取りや買取の際にマイナス評価をされる場合もあります。深いキズ、広範囲のキズについては、業者に修理してもらうことも検討してください。
ガリバーではキズのある車も積極的に買取を行っています。「キズがあるけど修理に出すべき?」「自分で修理したら査定額は下がる?」といった質問も承っていますので、まずはお気軽に無料査定をご利用ください。