ダイハツ タントは、高い全高に両側スライドドアを装備したスーパーハイト系の軽自動車だ。広い室内空間とスライドドアによる使い勝手の良さで高い人気を得ている。そんな人気軽自動車であるタント中古車のお勧めグレードや注意点をレポートした。
中古車情報
- ダイハツ タントの歴史・概要
- タントの特徴(3代目と4代目)
- タント中古車の注意点(3代目と4代目)
- タント中古車のお勧めグレード(3代目と4代目)
- 【補足】売却を見据えたうえでのタントの購入ポイント
ダイハツ タントの歴史・概要
歴代タント |
発売期間 |
型式 |
初代タント |
2003~2007年 |
L350S/L360S型 |
2代目タント |
2007~2013年 |
L375S/L385S型 |
3代目タント |
2013~2019年 |
LA600S/LA610S型 |
4代目タント |
2019年~ |
LA650S/LA660S |
初代タントは2003年に登場した。このモデルは、現在のようなスライドドアは装備されず通常のヒンジドアだった。
2代目タントは、2007年にデビュー。このモデルから、現在も採用されているセンターピラーレスのミラクルオープンドアを助手席側のみ装備した。
両側ミラクルスライドドアを採用した3代目タントが登場したのは2013年。大幅に使い勝手を向上させた。さらに、衝突被害軽減ブレーキなどをセットにした予防安全装備「スマートアシスト」が用意され予防安全性能がアップした。
4代目タントは、2019年に誕生。DNGA(ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャ)という設計コンセプトから生まれた第1弾モデルとなった。プラットフォーム(車台)を含む多くの部分が刷新され、大幅に走行性能を向上させている。
ダイハツの認証不正問題で一時出荷停止とされたタントだが、基準に適合とされ、出荷が再開されている。
*中古車タントのお勧めグレードと注意点は、多く流通している3代目と4代目のタントについて解説する。
タントの特徴(3代目と4代目)
タントの中古車で在庫が多い3代目と4代目の特徴を紹介する。
3代目タントの特徴
2代目タントの右側ヒンジドアは、弱点とされていた。3代目では、両側センターピラーレスのミラクルオープンドアとし、使い勝手を大幅に向上している。
さらに、助手席のスライド幅を従来比10cm拡張し、38cmのロングスライド化を実現。広大でフラットになる室内に、大きな荷物も広大な間口からラクな姿勢で積載ができるようになった。センターピラーレスのミラクルオープンドアと助手席ロングスライドが組み合わさった恩恵だ。
搭載エンジンは、660㏄の自然吸気エンジンとターボエンジンの2タイプで、ミッションはCVTだ。
最終モデルの燃費(JC08モード)は、以下の通り。
|
FF(前輪駆動) |
4WD |
660㏄自然吸気エンジン |
28.0km/L |
25.8km/L |
660㏄ターボエンジン |
26.0km/L |
24.6km/L |
2022年10月に以下項目などの一部改良を実施した。
- 9インチディスプレイオーディオを新設定
- 荷室のデッキボードを追加
- カスタムのデザイン変更
注目はタントをベースとして、SUVテイストをプラスしたファンクロスを新投入した点だ。基準車とカスタム、ファンクロスと3つの選択肢を用意した。
4代目タントの特徴
4代目タントは、2019年に登場。DNGAという設計コンセプトのもと、プラットフォームやミッション、エンジン、サスペンションなど、ほぼすべてを刷新したモデルだ。特に、新開発のD-CVTは秀逸だ。ベルトとプーリーでの変速に、遊星ギアでの変速を行うことで、かなりワイドな変速比幅を実現している。これにより、従来、少々非力だった自然吸気エンジンでも、意外なほど元気に走るようになった。
使い勝手面は、さらに向上。運転席を最大540mmスライド可能とした。これにより、運転席と後席間の移動がしやすくなった。また、運転席に座ったまま後席の子どもの世話をしたり、後席の荷物を取ることも可能にしている。
予防安全装備パッケージは「次世代スマートアシスト」に進化した。「車線逸脱抑制制御機能」などの機能が追加されている。
搭載エンジンは、新開発KF型直3 660㏄の自然吸気エンジンとターボエンジンの2タイプで、ミッションは新開発のD-CVTを搭載。
最新モデルの燃費(WLTCモード)は、以下の通り。
|
FF |
4WD |
660㏄自然吸気エンジン |
21.9~22.7km/L |
21.4km/L |
660㏄ターボエンジン |
21.2km/L |
19.6km/L |
タント中古車の注意点(3代目と4代目)
タント中古車を購入する場合、現行の4代目と旧型の3代目が候補になるだろう。それぞれで、低年式化が進んでいたり登録済み未使用車があったりと状況が異なるので注意する点も変わってくる。
3代目タント中古車購入時の注意点
3代目タントが発売されていたのは、2013~2019年だ。前期型に関しては、低年式化が進んでいる。そのため、下記のポイントをチェックしたい。
- 走行距離
走行距離が10万km前後の車両は、タイミングベルトの交換時期だ。そのため、点検整備記録簿をチェックし、タイミングベルトが交換されているか確認したい。交換していなければ、購入後に交換する必要があり、出費が増える。また、同時に、しっかりと定期点検を受けているクルマかどうかも点検整備記録簿で確認したい。点検整備記録簿や、まったく点検を受けていない車両は避けた方がよい。
- 両側スライドドアの作動確認
3代目タントのウリは両側スライドドアだ。手動・電動問わず、何度か開け閉めしてスムースに開閉されているかチェックしたい。違和感があった場合、中古車店で確認してもらい修理もしくは点検してもらう必要がある。
- SAⅢ(スマートアシストⅢ)装着車がベスト
3代目タントには、予防安全装備パッケージであるスマートアシストが、年式によりI、Ⅱ、Ⅲと異なる。歩行者を検知し自動ブレーキが作動するのはSAⅢのみだ。予防安全性能を重視するのであれば、しっかり確認してから購入したい。
4代目タント中古車購入時の注意点
4代目タントは2019年に登場したモデルなので、まだ新しい。故障リスクなどは低いと言える。特に、登録(届出)から3年未満の車両で、メーカー保証が継承されていれば、ほとんど心配ないだろう。
購入時には下記をチェックしたい。
- 点検整備記録簿が無い車両は購入見送りも
走行距離が5万kmを超えるような過走行気味の車両などは、点検整備記録簿を確認し、定期点検やどんな修理が行われてきたかチェックする必要がある。比較的新しい車両でも点検整備記録簿がない場合は、購入を見送った方がよい。
また、3代目タントと同様、スライドドアの作動確認は必須だ。動きがスムースではない場合は、販売店に確認してもらい点検・修理を行いたい。
- 未使用車は、登録(届出)から半年以上の車両は要チェック
4代目タントは、2023年式と2024年式中古車に、多くの未使用車が流通している。未使用車は、登録(届出)しただけの車両で、ほぼ新車コンディション。しかし、2023年に登録(届出)した未使用車の中には、すでに1年以上経過した車両もある。さすがに、これだけ登録(届出)から長期間経過していると、新車コンディションとは呼べない。登録(届出)から半年以上経過しているような未使用車の場合、タイヤの変形やエンジン、ミッションが正常に機能しているかどうかしっかりチェックしてから購入した方がよい。
- タントは背が高い。未使用車は、ルーフの傷や凹みもチェック
4代目タントの全高は1,755mmもある。そのため、ルーフの状態はよほどの高身長の人でないとじっくり確認するのは難しい。できれば、脚立などを使いしっかりとチェックしたい。見えにくい場所だけに傷や凹みなどが隠されているケースもある。
タント中古車のお勧めグレード(3代目と4代目)
タントのお勧めグレードを基準車やカスタム系、ファンクロス毎に紹介していく。
3代目タントの中古車お勧めグレード
3代目タントの選び方で、最初に決めたいことがある。それは、ベーシックな基準車か、迫力ある外観デザインで充実装備のカスタムか、どちらを選択するかだ。グレード選びはその後だ。
3代目タント 基準車のお勧めグレード
※上図:タントX SAⅢ(2018年式)
3代目タント基準車のグレードは、エントリーグレードから順にL、X、Gがある。SAという文字が加わっているグレードは、衝突被害軽減ブレーキなどをセットにした予防安全装備パッケージ「スマートアシスト」搭載車だ。
このスマートアシストの有無が重要だ。やはり、予防安全装備パッケージは必須装備。この時代のタントでは全車標準装備ではないので、SAという文字が入ったグレードから選びたい。
スマートアシストは、モデル途中でI、Ⅱ、Ⅲと進化しており、自動ブレーキの検知対象能力が大きく異なる。
- I;30km/h以下の低速域で対車両のみ
- Ⅱ:歩行者検知が可能だが警報のみ
- Ⅲ:歩行者を検知し自動ブレーキが作動
その他の機能も含め、最も高性能なのがスマートⅢだ。なので、3代目タント中古車選びでは、スマートアシストⅢが装備された後期モデル=2016年11月の改良後モデルを選びたい。
グレードでは、両側パワースライドドアなどの装備が充実したG系がお勧めだ。
搭載エンジンは、660㏄の自然吸気エンジンとターボエンジンが用意されている。
|
出力&トルク |
660㏄ 自然吸気エンジン |
52㎰&60Nm |
660㏄ターボエンジン |
64㎰&92Nm |
3代目タントは、背が高い両側スライドドア車であり、車重が重い。街中だけであれば、自然吸気エンジンでもそれほど気にならないが、高速道路や急勾配の坂道などでは非力感がある。そのため、高速道路や急勾配の坂道などを頻繁に走行することがある人には、ターボ車がお勧めだ。
- 3代目タント基準車のお勧めグレード: XターボSAⅢ(2016年11月の改良後モデル)
- お勧めグレード中古車相場(2017年式):約70~100万円
- 3代目タント全体の中古車相場(2017年式):約50~130万円
<参考>
- 3代目タント基準車量販グレード:X SAⅢ(2016年11月の改良後モデル)
- 中古車相場(2017年式):約70~120万円
- 3代目タント基準車最終モデルの新車価格帯:1,220,400(L、FF)~1,657,800円(G SAⅢ、4WD)
*中古車相場は、2024年7月調べ
3代目タントカスタムの中古車お勧めグレード
※上図:タントカスタムRS SAⅢ(2018年式)
3代目タントカスタムは、エントリーのカスタムX、カスタムトップエディション、最上級のカスタムRSというグレード構成だ(年式によって若干異なる)。カスタム系は、専用のエアロパーツや、より迫力あるギラギラ系フェイスが特徴だ。
また、カスタムRS系は、両側パワースライドドアが標準装備。基準車に比べ、充実した装備が魅力的だ。
搭載エンジンと出力などは、基準車と同じ。カスタムの基準車同様にターボ車がお勧めだ。
- 3代目タントカスタムのお勧めグレード: カスタムRS SAⅢ(2016年11月の改良後モデル)
- お勧めグレード中古車相場(2017年式):約90~130万円
<参考>
- 3代目タントカスタム量販グレード:カスタムX系の SAⅢ(2016年11月の改良後モデル)
- 中古車相場(2017年式):約70~140万円
- 3代目タントカスタム最終モデルの新車価格帯:1,528,200(X、FF)~1,873,800円(RSトップエディションSAⅢ、4WD)
4代目タントの中古車お勧めグレード
4代目タントの中古車選びは、まず基準車とカスタム、さらに2022年10月に追加された、SUVテイストのファンクロスから選択することになる。
4代目タント 基準車のお勧めグレード
基準車は、LとXの2グレード構成だ。ここで重要なのが、予防安全装備パッケージ「スマートアシスト」の有無である。4代目タントは、2022年10月の改良以降、スマートアシストが全車標準装備となった。
それ以前のモデルは、エントリーのLグレードに非装着モデルの設定があった。現在では、衝突被害軽減ブレーキの標準装備化が義務付けられている。安全面からも、中古車とはいえスマートアシスト無しのモデルを買うという選択はお勧めしない。
最新のモデルのグレード選びでは、X一択といえる。Lには左右どちらにもパワースライドドアは装備されておらず、両側手動スライドドアだからだ。さらに、このグレードだけ電動パーキングブレーキではなく足踏み式。その他の装備も徹底的にシンプルになっていて、かなり割り切った仕様となっている。とにかく安ければよい、そんな人向けのグレードだ。
Xに以下などのオプションが装備されていれば、さらにお勧めとなる。
- 全車速追従機能付ACC(アダプティブクルーズコントロール)
- LKC(レーンキープコントロール)
- 駐車支援パノラマモニター
- 9インチディスプレイオーディオ
Xの中古車は、運転席側パワースライドドアのオプションを選択した車両を選びたい。
4代目タント基準車の搭載エンジンは、660㏄の自然吸気エンジンとターボエンジンの2つ。自然吸気エンジンの出力とトルクは、52㎰&60Nm。同様にターボ車は、64㎰&100Nmだ。
4代目タントも両側スライドドアで車高が高いため車重が重い。街中だけ走るのであれば自然吸気エンジンでも必要十分だが、高速道路や速度の高いバイパス、急勾配の坂道などを頻繁に走るようであれば、より力強いターボ車がお勧めだ。
年式では2022年10月に行われた改良以降のモデルがお勧めだ。荷室のデッキボードや進化した9インチスマホ連携ディスプレイオーディオ(オプション設定)が採用されていて、さらに使い勝手が向上している。
また、2023年はダイハツによる認証不正が発覚している。その後、かなり大量の未使用車が流通している。未使用車は、メーカーやディーラーの都合で登録(届出)しただけの車両のことだ。一度、登録(届出)すると中古車扱いになるため、中古車店で販売されるが、ほぼ新車コンディション。新車より安価なので、2024年式の未使用車もお勧めだ。
- 4代目タント基準車のお勧めグレード: Xターボ(2022年10月の改良後モデル)
- お勧めグレード中古車相場(2023年式):約140~160万円
- 4代目タント全体の中古車相場(2023年式):約120~180万円
<参考>
- 4代目タント基準車量販グレード:X(2022年10月の改良後モデル)
- 中古車相場(2023年式):約130~170万円
- 4代目タント基準車新車価格帯(2024年7月現在):1,386,000(L、FF)~1,771,000円(Xターボ、4WD)
4代目タント カスタム系のお勧めグレード
※上図:タントカスタムRS(2023年式)
カスタム系のグレードは、エントリーのX(自然呼気車)、最上級のRS(ターボ車)という2グレード構成だ。装備面の差はそれほどなく、大きなところではRSが15インチアルミホイール、Xが14インチアルミホイール、ステアリングとシフトノブがRSでは本革巻きになる程度だ。カスタムは両側パワースライドドアが標準装備となる。
カスタムも基準車と同様、両側スライドドアで車高が高いため車重が重いので、ターボエンジン搭載車であるカスタムRSがお勧めだ。
このRSに、以下などのオプションを装備していると、さらにお勧めだ。
- 全車速追従機能付ACC(アダプティブクルーズコントロール)
- LKC(レーンキープコントロール)
- 駐車支援パノラマモニター
- 9インチディスプレイオーディオ
年式では2022年10月の改良後モデルがお勧めだ。カスタムはこの改良でフロントフェイスを中心にデザインを変更。より立体感がある洗練されたデザインになっている。
- 4代目タントカスタムのお勧めグレード:RS(2022年10月の改良後モデル)
- お勧めグレード中古車相場(2023年式):約160~210万円
<参考>
- 4代目タントカスタム量販グレード:X(2022年10月の改良後モデル)
- 中古車相場(2023年式):約150~200万円
- 4代目タント基準車新車価格帯(2024年7月現在):1,782,000(X、FF)~1,991,000円(RS、4WD)
4代目タント ファンクロスのお勧めグレード
※上図:タントファンクロス(2023年式)
2022年10月に追加されたのがファンクロスだ。4代目タントをベースに、流行りのSUVテイストをプラスしたモデルである。力強いヘッドライトや、タフさを表現したフロントグリルやバンパーなどで、アウトドアなイメージをアピールする。インテリアは、差し色のオレンジやシートのカモフラージュ柄でタフさを表現した。
ファンクロスは、基本的な部分はタントと共通だ。1グレード設定で搭載エンジンは、660㏄の自然吸気とターボとなる。ファンクロスは、アウトドア志向のモデル。遠出することも多いのであれば、やはりパワフルなターボ車がお勧めだ。
装備系はカスタム系とほぼ同等レベルでかなり充実している。ただし以下がオプション設定だ。
- 全車速追従機能付ACC(アダプティブクルーズコントロール)
- LKC(レーンキープコントロール)
- 駐車支援パノラマモニター
- 9インチディスプレイオーディオ
中古車の場合、こうしたオプションが装着されている車両がお勧めだ。
- 4代目タントファンクロスのお勧めグレード:ファンクロスターボ
- お勧めグレード中古車相場(2023年式):約160~200万円
<参考>
- 4代目タントファンクロス量販グレード:ファンクロス(自然吸気エンジン車)中古車相場(2023年式):約140~180万円
- 4代目タントファンクロス新車価格帯(2024年7月現在):1,721,500(FF)~1,930,500円(ターボ、4WD)
【補足】売却を見据えたうえでのタントの購入ポイント
将来の買い替えを想定すると、気になるのがリセールバリューだろう。短期での乗り換え想定の場合、売却時に査定価格アップが期待できるモデルや装備について紹介する。
3代目タント査定価格アップのポイントは?
3代目タントの前期モデルは、すでに低年式化が進んでいるので、数年乗って売却価格が付くか付かないかギリギリだ。ただし、後期モデルで短期の乗り換えるのであれば、以下の仕様なら査定価格をアップが期待できる。
- グレード:カスタム系
- 色:黒系
- 走行距離:7万km程度まで
- 装備:純正ナビ、両側パワースライドドア、バックカメラ
こうした仕様の中古車を買えば、数年後の売却であればプラス査定になる可能性が高い。
4代目タント査定価格アップのポイントは?
4代目タントは、人気のスーパーハイト系軽自動車だ。高リセールバリューが期待でき、短期の乗り換えに向く。
とはいえ、タイプやグレード、ボディカラーによりリセールバリューは変動するので、短期の乗り換えでは高リセールバリューが期待できる車両を購入するのがお勧めだ。
高リセールバリューが期待できそうな条件は下記の通り。
- グレード:カスタム系とファンクロス
- 色:カスタム系は黒系。ファンクロスはベージュ系。
- 走行距離:7万km程度まで
- 装備: 全車速追従機能付ACC(アダプティブクルーズコントロール) やLKC(レーンキープコントロール)、駐車支援パノラマモニター、9インチディスプレイオーディオ