「地面に液体。これってオイル漏れ?」車のオイル漏れ確認方法と修理について整備士が解説

地面に液体が滴下しているようなオイル漏れは、急を要する修理が必要な可能性が高いです。この記事でのオイル漏れは、エンジンオイルのことを指します。
ユーザー自身でも簡単にできるオイル漏れかどうかの確認方法やその原因、修理費用などについて現役の整備士が解説します。

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車から地面に漏れる液体の種類について

車のオイル漏れの状況

車から地面に滴下して漏れている液体が、必ずしもエンジンオイルとは限りません。
また、漏れる液体によっては、故障によるものでなく正常な場合もあります。

車から地面に漏れる液体には以下のようなものが考えられます。

漏れていることが正常な液体

  • エアコンのドレン水

冷房使用時にエバポレータに付着した結露水がドレンから排水されたもの

  • マフラーからの水

温度差などによって発生するマフラー内の結露水が排水されたもの

 

漏れていることが異常な液体

  • エンジンオイル
  • 冷却水(LLC)
  • トランスミッションオイル(ミッションオイル、ATF、CVTF)
  • デフオイル(4WD、FR車)
  • トランスファオイル(4WD車)
  • ブレーキフルード
  • クラッチフルード(MT車)
  • パワステオイル(油圧パワステ車)
  • ショックアブソーバーに封入されているオイル
  • ウォッシャ液

このように車には、オイル・液体といってもさまざまな種類があります。

車のオイル漏れ、確認方法

エンジンオイル漏れが疑われるとき、ユーザー自身でもできる確認方法を紹介します。

車のオイル漏れの位置を確認

まずはボンネットを開けてオイル漏れの位置を確認します。
それでも確認が難しい場合、下廻りから点検したいところですが、最近の車はアンダーカバーで覆われているので、下まで滴下している例は稀です。
そのため、アンダーカバーがついているにも関わらず、地面にまで滴下するほどのオイル漏れを起こしている場合は、かなり重症だと言えるでしょう。

オイルレベルゲージを確認

オイルのレベルゲージは、オイルの適量が確認できるものです。
ゲージには「L-F/H(Low-Full/High)」や「MAX-MIN」といった刻印や、マーキングで上限値と下限値が示されています。
この間にエンジンオイルが付着するか確認します。
下限値以下であれば、オイル漏れを起こしている可能性があります。
最近の車ではオイルレベルゲージのないものがありますが、その場合はゲージを使用した確認は不可能です。
その代わりに、センサーでオイルレベルを管理していて、メーター内やオーディオディスプレイ上でセンサが検知しているオイル量を確認できる車種もあります。
また、クリーンディーゼル車の場合、使用過程においてオイルに燃料が混じることで、ゲージに付着するオイル量が増えてしまうので、一般の方が漏れの可否を判断することは難しいです。

オイルの色や臭いを確認

エンジンオイルの色や臭いのチェックしている画像

オイルは独特な臭いがします。
言葉で表現するのが難しいですが「焦げ臭い」「ゴムが焼けるような臭い」と言われます。
日常生活ではあまり嗅ぐことのないような臭いです。
また、エンジンオイルの色は新品状態では多くが黄色っぽい色をしています。
エンジンから漏れてくるオイルは、熱が加わり劣化したもので、黒や赤褐色、茶褐色です。
エンジンルーム内や、地面に滴下した液体がこれらに該当する臭いや色かどうか確認しましょう。

【補足】内部漏れのエンジンオイルは気づきにくい

内部漏れとはオイル消費のことを指します。
エンジン内部の部品の劣化や不具合で、燃焼室内にエンジンオイルが入り込んで、ガソリンと一緒に燃焼してしまうことで、オイル消費が起きます。
マフラーからの白煙が通常に比べて多くなる、酷いものになると排気ガスからオイルの焼ける臭いがするといった症状があります。
しかし、目には見えないエンジンの内部のことなので、一般の方には気付きづらいです。

エンジンオイル漏れの原因と日頃のメンテナンス

エンジンオイルの漏れの主な原因は、使用過程における部品やシール剤、ガスケットの劣化です。稀に、初期の不具合であることも考えられます。
日頃のメンテナンスでできることは、エンジンオイルの適切な交換時期を守ることです。
エンジンオイルはエンジンにとっての血液のようなものです。
エンジンオイルの交換を怠ったまま使用を続けることには、一切のメリットがありません。シールやガスケットの劣化を早める要因にもなります。

また、適切な日々のメンテナンスを行なっていても、オイル漏れは発生し得るものであることを理解しておきましょう。

エンジンオイル漏れは車検に通らない

エンジンオイルが漏れていると車検に通りません。
漏れている状態で道路を運行することは、法令違反となるためです。
「何とかして車検に通してくれないか?」とおっしゃるお客さまもいますが、絶対にダメです。
また、それを請けてしまう整備工場があったとすれば、それも重大な法令違反であり、当然ながら信頼できる整備工場とは言えません。
また、オイル漏れを放置していると、漏れたオイルが原因で他の部品を傷めてしまったり、公共物などを汚損させてしまう可能性があります。
漏れたオイルがマフラーなどの高温になる部品に付着して、車両火災の原因になることも考えられます。
そういった場合、修理や正常復帰のためにさらなる費用がかかることがあるだけでなく、とても大きな危険も伴います。
オイル漏れを発見したときは、すみやかに修理しましょう。

エンジンオイル漏れの応急処置は有効?

エンジンオイル漏れに対する応急処置が紹介されていることがあります。
たとえば以下のようなものがあります。

  • 粘度の高いエンジンオイルに交換する
  • 漏れ止め剤を注入する

これらは、場合によっては一時的に有効な場合もありますが、期待はしない方が良いでしょう。
また、他の不具合を引き起こすリスクもありますし、結果的には修理をしなければオイル漏れは完治しません。
いずれにしても、オーナー自身がオイル漏れに気付いたときに、自分でできる簡単な応急処置はありません。

エンジンオイル漏れの修理費用の目安

エンジンオイルの漏れ箇所として推定される箇所は、非常に多くあります。
数千円で修理ができる例もあれば、数十万円掛かる修理になることもあるので、一概には言えません。
部品代はもちろんのこと、修理にかかる時間も工賃も異なるうえに、車種やエンジンの違いも含めると、さまざまなパターンが考えられます。

ガスケットやOリングのみの交換で済む場合は修理費用が安い可能性がある

ガスケットやOリングは部品代そのものが安く、数百円〜数千円程度のものが多いです。
漏れている箇所によりますが、数十分〜1時間くらいでガスケットやOリングの交換ができることがあり、5,000円〜1万円程度の修理費用で済むことがあります。
一方でガスケットひとつ交換するのに、多くの時間を要する場合は、部品代は数百円でも工賃が数万円必要となることもあります。

エンジンの内部漏れ(オイル消費)は高額修理を覚悟

エンジンの内部漏れ(オイル消費)の場合や、オイル漏れを長く放置し続けたことでエンジン内部にダメージを受けたときは、エンジン本体の分解修理が必要となることがあります。この場合、最も修理費用が高額になります。
最低でも20万円〜の費用が必要です。場合によってはエンジンの載せ替えを提案されることもあります。
「新品エンジン>リビルトエンジン>中古エンジン」の順でエンジンの値段は安くなります。

オイル漏れは定期的な点検が大切。場合によっては乗り換えも視野に

オイル漏れの原因は非常に多岐に渡り、オイル漏れが酷いときには、漏れ箇所の特定が困難なこともあります。
実車で確認しなければ、オイル漏れの修理費用の見積もりは難しいでしょう。
また、走行距離が15万km、20万kmと距離が延びてきていて、以下に該当するときは、修理するよりも車の乗り換えを検討するほうが、今後のことを考えると良いかもしれません。

  • 車検に通らないほどのオイル漏れが発生
  • オイルの内部漏れ(オイル消費)が発生
  • 複数の箇所でオイル漏れが発生

ここまで解説してきたようにオイル漏れにはさまざまなリスクがあるので、整備工場での定期的な点検を怠らないようにしましょう。

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Supervised by 整備士 ヒロ

ヒロ 2級整備士

保有資格:2級整備士。国産ディーラー整備士、輸入車ディーラー整備士の経験がある、現役の整備士。 整備士経験は10年以上で過去にはエンジニアとして全国規模のサービス技術大会に出場。 車の整備に関する情報をtwitterで発信している。