この記事の目次 CONTENTS
6代目スズキ ワゴンR
ダイハツ ミラトコット
初代スズキ ハスラー
初代スズキ スペーシア
2代目ホンダN-BOX

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

ガソリンの価格高騰が続いている。2021年10月上旬のガソリン価格は、約156円/L円だった。1月頃よりも約25%上昇し、未だ価格が下がる気配はない。この状況で車を買うなら燃費は重視したいところだ。
今回は燃費がよく、100万円以下で購入でき、かつ買い得感のある中古軽自動車を5台厳選した。

6代目スズキ ワゴンR

ベーシックなおすすめハイト系軽自動車

ワゴンR_外観

6代目スズキ ワゴンRは、2017年に登場した。この6代目から、スティングレーを含め3タイプのフェイスデザインが用意され、選択肢が増えている。
6代目ワゴンRのメインとなるパワーユニットは、マイルドハイブリッドだ。660㏄の直3 R06D型エンジンは49ps&58Nmを発揮する。このエンジンに、2.6ps&40Nmの小さなモーターが組み合わされている。
基本的にマイルドハイブリッドなので、モーターはエンジンのアシストに徹する。しかし、ワゴンRではクリープ時で最長10秒ほどEVとして走行することが可能だ。このクリープを上手く使うと、実燃費も向上する。
ワゴンRの燃費はとても優秀だ。FF、自然吸気、WLTCモードだと25.2km/L、JC08モードでは、31.0km/Lである。この燃費値を実現出来たのは、マイルドハイブリッドシステムを採用したことと、スズキの技術により車重を軽量化できたことが大きな要因といえる。

現行車、マイルドハイブリッド車がターゲットに

車内の広さや使い勝手はクラストップレベルだ。さらに、マイルドハイブリッド車は快適性もかなり優れている。
マイルドハイブリッド車のメリットのひとつが、アイドリングストップからの再始動時に、セルモーターのキュルキュル、エンジンのブオーンという音、そして振動をほとんど感じさせない点だ。通勤や街中の走行では再始動を幾度もなく繰り返すため、恩恵は大きい。

軽自動車の中古車は非常に人気が高く、中古車価格がなかなか下がらない。そのため、中古軽自動車で燃費がよく予算100万円以下という条件が付くと、現行モデルには手が出ないケースが多い。
ワゴンRは2017年デビューだ。2021年10月現在モデル後期に入っている。2017年式の中古車相場は、おおよそ70~120万円。やや価格帯が広いが、予算100万円で狙える価格帯といえる。
ただ、100万円以下の予算になると、中間グレードのハイブリッドFXがメインになる。最上級グレードのハイブリッドFZも、稀に見つけることができそうだ。
ハイブリッドFXを選ぶ際は、歩行者検知式自動ブレーキが装備されていることを確認したい。この年代は、対車両のみの自動ブレーキから歩行者検知式自動ブレーキに移行する過渡期でもあった。ハイブリッドFXでは、標準装備化されていないので、装着されている車両をしっかり選びたい。
加えて、純正ナビも装備されていればさらにおすすめとなる。ETCやドラレコなどが装備されているモデルもよい。後で購入すると高価だからだ。

ダイハツ ミラトコット

おすすめ個性派ロールーフ系軽自動車

ダイハツ ミラトコット

ダイハツ ミラトコットは、2018年に登場したロールーフ系の軽自動車だ。ベースであるミライースは、実用派の軽自動車である。対するミラトコットは普段使いの軽自動車+こだわりをもつ顧客向けに開発されている。

燃費だけでなく、安全装備&オシャレなデザインも魅力

一般的な自動車開発の傾向はマイルドハイブリッドを前面に押し出し低燃費化を目指していることが多い。しかしダイハツは良品廉価をテーマとして、価格上昇の要因になるマイルドハイブリッドは採用していない。現状の技術を磨き上げた結果、ミラトコットの燃費性能は22.6km/L(FF、WLTCモード)、JC08モードでは29.8km/L(FF)と優れた数値となった。
ミラトコットのようなロールーフ系軽自動車は、車重が軽いので燃費性能はかなり優秀だ(マイルドハイブリッド車を除くハイト系やスーパーハイト系との比較)。
荷室や室内スペースにこだわらないのであれば、最も低燃費が期待できるカテゴリーでもある。

ミラトコットは、主に通勤や街乗り用として開発されている。そのため乗り心地は良いが、高速道路などでは少々物足りなさを感じる。

ミラトコットは2018年デビューと比較的新しいモデルであるため歩行者検知式自動ブレーキなど一定レベルの予防安全装備が用意されている。
ただし、初期のモデルのエントリーグレードには装備されていない。SAⅢと記載されたグレードか、歩行者検知式自動ブレーキが装備されているか確認しておきたい。

ミラトコットの中古車は高年式になるため、予算100万円ギリギリになる。2018年式をターゲットにすると、中古車相場は約70~110万円だ。安価な価格帯だとエントリーグレードのL SAⅢが中心となる。中間グレードのG SAⅢか、最上級グレードのX SAⅢを中心に選ぶとよい。車両周辺のカメラ映像を加工し、車体を上空から見たような映像にして表示するパノラマモニターや純正ナビなどが装備されていれば、さらにおすすめといえる。

初代スズキ ハスラー

おすすめ個性派ハイト系軽自動車

初代スズキ ハスラーは、2014~2019年に発売された。5代目ワゴンRをベースとしたSUV的なルックスをした個性派だ。
このハスラーは、デビュー直後から大ヒットした。しばらくの間、軽自動車としては珍しいくらい納期が長期化したほどだ。
大ヒットした大きな理由は、SUV的でタフネスさあふれるデザイン。しかも、単にタフネスさをアピールするだけではなく、愛着がわく可愛らしさも魅力のひとつだった。ワゴンRがベースになっているため、優れた低燃費性能や走行性能も高く評価されている。

最低地上高は180mmを確保した。4WD車では、急な坂道を滑り落ちないようにするための機能ヒルディセントコントロールや、悪路走破性を高めるグリップコントロールも用意された。降雪地域の人々やウインタースポーツ、キャンプなどでも使える実用性の高さも魅力的だった。

2015年の改良では、マイルドハイブリッドシステムであるSエネチャージを搭載し、燃費性能を大幅に向上している。この改良により、初代ハスラーの燃費は、29.2km/L(FF、自然吸気、JC08モード)から、32.0km/L(FF、自然吸気、JC08モード)になった。

遊び心あふれる大ヒットモデル

中古車を選ぶなら、大幅に低燃費化したSエネチャージ搭載モデルがよい。約5年落ちとなる2016年式になると、中古車相場は70~130万円位と幅が広い。約5年落ちなのに、100万円越えの価格を付けていられるほど、ハスラーの人気は高いということになる。
安価な70万円くらいの車両は、Aグレードが多くなる。このグレードは、Sエネチャージが装備されていないので選択肢からは外そう。中間グレードのGもしくは、最上級グレードのXがおすすめだ。ただ、70万円台だと、Gグレードも少ない。じっくり探すと出てくるといった印象だ。90万円台になると、Xグレードやターボモデル、Jスタイルと呼ばれる特別仕様車も選択可能になる。しかし90万円台だと、諸費用入れると100万円以上になるケースも多くなるので注意が必要だ。

初代スズキ スペーシア

ベーシックなおすすめスーパーハイト系軽自動車

スペーシア カスタムZ_外観

初代スズキ スペーシアは、2013~2018年に発売されたモデルである。全高1735mmと高い全高に左右スライドドアを装備しているのが特徴だ。
スーパーハイト系は全高が非常に高いため、自転車も積載可能と広大なスペースをもつ。また、両側スライドドアなので、小さい子供や高齢者などの乗り降りも便利だ。このように、実用性に優れていることや、背が高いため立派に見えるなどの理由で、各メーカーが最も力を注いでいるカテゴリーといえる。今や、スペーシアのようなスーパーハイト系は、最も販売台数の多いカテゴリーに成長した。

スーパーハイト系は背が高く横幅が狭いため、クルマの重心がとても高い。そのため、運動性能は低く、横風にも弱い。また、側面からの衝突された場合や急ハンドルなどにより、横転のリスクも高くなる傾向がある。つまり、クルマとして重要な運動性能と広大なスペースは、軽自動車においてトレードオフ関係にある。
また、背が高い上にスライドドアを装備しているため、車重が重い。軽自動車の660㏄自然吸気エンジンは、急な登り坂や高速道路などで非力感がある。燃費もあまりよくない。

そんなスーパーハイト系において、初代スペーシアはクラストップレベルの室内空間と低燃費性能を誇ったモデルだ。初期モデルの燃費は、29.0km/L(FF、自然吸気、JC08モード)だったが、2015年のマイナーチェンジでは、マイルドハイブリッドシステムであるSエネチャージを搭載した。燃費を32.0km/L(FF、自然吸気、JC08モード)にまでアップした。
このマイナーチェンジでは、歩行者検知式自動ブレーキなどをセットにしたデュアルカメラブレーキサポート車が設定されている。燃費だけでなく安全も重要なので、マイナーチェンジ後のモデルを積極的に選びたい。

スーパーハイト系でより高年式が狙える

スーパーハイト系は非常に人気があるため、中古車価格も高値を維持している。現行車で、さすがに予算100万円以下で手に入る他のモデルは、ほとんどない。どのモデルも1世代前が予算内のターゲットだ。ただ、その中でも若干スペーシアは買い得感があり、同じ予算なら、より高年式車か上級グレードが狙える。
初代スペーシアの中古車価格は、マイナーチェンジ後の2016年式で60~110万円程度となっている。60万円台でも、基準車の上級グレードXも狙える。ただし、デュアルカメラブレーキサポート車が装備されていない車両も多いので注意が必要だ。装備が充実しているGリミテッドと呼ばれる特別仕様車も選べる。
90万円台になると、カスタム系も選べるようになる。ターボ車はまだ選べない価格帯だが、自然吸気のXSやGSなら、なんとか選択可能だ。ただし、これらの車両もデュアルカメラブレーキサポート装着を選びたい。90万円台のクルマを選ぶと、諸費用を加えると予算100万円を少しオーバーするだろう。

2代目ホンダN-BOX

超人気なおすすめスーパーハイト系軽自動車

N-BOX

ホンダN-BOXは、2017年にフルモデルチェンジし2代目となった。初代N-BOXは、発売直後から大ヒットした。2代目N-BOXも同様に、未だ衰えを知らず売れ続けている新車販売台数ナンバー1の常連だ。各社が打倒N-BOXを掲げ、室内の広さや使い勝手、燃費などN-BOXを超えるモデルが登場しているものの、その人気は不変である。
初代N-BOXで弱点だった予防安全装備は、2代目で一気に改善した。歩行者検知式自動ブレーキなどをセットにした「ホンダセンシング」を設定し、クラストップレベルの安全性能を得た。ただし、デビュー時は全車標準装備ではないので注意が必要だ。中古車を購入するときは、必ずホンダセンシング付きを選びたい。

予算ちょい越えだが、新車販売台数ナンバー1常連の超人気モデル

2代目N-BOXの燃費は、27.0km/L(FF、自然吸気、JC08モード)と平均的である。ホンダもダイハツ同様、マイルドハイブリッドは用意されていない。
2代目N-BOXは超人気車なので、中古車価格を高値維持している。あまり売れたため、中古車流通量が非常に多い。流通量の多さは、中古車価格を下げる傾向に働く。また、マイナーチェンジもあり、前期型は徐々に値を下げている。
約3年落ちとなる高年式の2018年式中古車相場は、80~140万円程度だ。予算100万円だと安価な価格帯でギリギリ、もしくは若干予算オーバーとなる。予算はオーバーするが超人気車で現行モデルなので、無理がきくなら積極的に選びたい。
80~90万円台で多く流通しているグレードは、G・Lホンダセンシングもしくは、エントリーグレードのGホンダセンシングだ。Gホンダセンシングは、パワースライドアが装備されていないので、選択肢から外したい。G・Lホンダセンシングも、右側スライドアがオプション設定になっている。なるべく、右側パワースライドアを装備した車両を選ぶといい。