ノートvsノートオーラ

Bセグメントコンパクトカーは、2021年上期時点でトヨタのヤリスとアクアがシェア50%超を誇る。日産ノートは4位だが、アクアとの差は大きい。そこでノートオーラを投入し、2ブランド戦略を展開した。
ノートオーラはプレミアムコンパクトカーだ。ノートとは似て非なる。今回はノートとノートオーラを比較評価した。

この記事の目次 CONTENTS
日産ノートe-POWERの特徴
日産ノートオーラの特徴
1、燃費比較 
2、価格比較
3、購入時の値引き術
4、デザイン比較
5、室内空間と使い勝手
6、安全装備の比較
7、走行性能の比較
8、リセールバリュー比較
9、まとめ・総合評価
日産ノートの価格・スペック
日産ノート オーラの価格・スペック

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

日産ノートe-POWERの特徴

日産ノート 日産ノート

先代となる2代目ノートは、2018年に登録車新車販売台数ナンバー1に輝くなど大ヒットした。
モデル後期に、「e-POWER」という1.2Lエンジンとモーターを組み合わせたシリーズハイブリッドシステムを搭載したことが大きな要因だろう。

そして2020年12月に3代目日産ノートが登場した。コンセプトは「コンパクトカーの常識を超える運転の快適さと楽しさが詰まった先進コンパクトカー」だ。
3代目ノートは、約8年振りにフルモデルチェンジを行った。最新のCMF(コモン・モジュール・ファミリー)-Bと呼ばれる次世代上級小型車用プラットフォーム(車台)を採用したことで、走行性能が飛躍的に向上した。
さらに、2代目ノートが大ヒットした要因であるe-POWERシステムも刷新され、第2世代へと進化した。よりコンパクトになり静粛性を高め、パワフル&スムースさにも磨きをかけた。
また、4WD車には高出力モーターを搭載し、非常に気持ちのよい走行性能を得た。

日産ノートオーラの特徴

日産ノート オーラ 日産ノート オーラ

日産ノートオーラは、プレミアムコンパクトカーとして2021年8月にデビューした。顧客ニーズの多様化や、高齢ドライバーがダウンサイジングした受け皿という立ち位置だ。ノートオーラの基本的なメカニズムはノートと同じだが、細部に渡りノートと差別化されている。
プラットフォームはノートと同じCMF-Bを採用した。ボディサイズは、ノートより全幅を+40mmワイド化させ、外観デザインもノートとは差別化された。メーターやシート、内装材などもより上質なものとなった。
そして、パワーユニットであるe-POWERシステムもノートオーラ用にチューニングを施した。フロントモーターは+20psとなり、ノートよりも余裕のある走りが可能となった。その他、装備類もよりハイクラスなものが用意されている。

1、燃費比較 

日産ノートの評価 4.0点
日産ノートオーラの評価 3.5点

ノートオーラはパワフルさを求め車重が増えた分、燃費は不利

ノートとノートオーラの燃費は以下の通りだ。(すべてFF、WLTCモード)

ノート(エントリーグレード) 29.5km/L
ノート(中間・上級グレード) 28.4km/L
ノートオーラ 27.2km/L

日産ノートで最も燃費のよいのは、エントリーのFグレードだ。しかし燃料タンクまで小さくし軽量化した特別仕様である。
ノートオーラの燃費は、ノートと比較して4%ほど燃費は悪化した。ノートオーラ、ノートよりも約40kg車重が重く、出力も20ps大きくなったことが影響しているのだろう。
約4%の燃費差は、それほど気にならない範囲といえる。ただし、比較対象がトヨタのヤリスやアクアとなると、大きな差になる。ヤリスの最上級グレードZの燃費は、35.4km/L(FF、WLTCモード)で、ノートとの差は、約20%にもなる。これだけ違うと、クルマは燃費だけではないとはいえ、悩みどころになるのは確実である。ノート、ノートオーラ共に燃費の向上が大きな課題だ。

2、価格比較

日産ノートの評価 3.0点
日産ノートオーラの評価 3.0点

 

クラス平均的な価格

日産ノートの最上級グレードXの価格は、2,186,800円(FF)、日産ノートオーラの価格は、2,610,300円(FF)となった。約42万円の価格差がついた。

以下の装備などは、ノートオーラでは標準装備だが、ノートはオプションになっている。

  • LEDヘッドランプ
  • アダプティブLEDヘッドライトシステム
  • インテリジェント アラウンドビューモニター(移動物 検知機能付)
  • インテリジェント ルームミラー
  • 本革巻ステアリング
  • インテリジェント BSI(後側方衝突防止支援システム)
  • BSW(後側方車両検知警報)
  • RCTA(後退時車両検知警報)
  • LEDフォグ

これらの装備の合計金額は約20万円だ。価格差は42万円なので、残りの22万円分が内装の質感アップ分や外観変更分、その他細かい仕様アップ分に使われていることになる。
そう考えると、ノートとノートオーラの価格差は妥当なところだろう。

ただ、ノートもノートオーラもオプションが多い。たとえば以下のような装備がオプションだ。

  • プロパイロット
  • SOSコール
  • 統合型インターフェースディスプレイ

ノートでは、上記のオプションにナビなどをセットにしたオプション価格が約37万円となっている。オプションをすべて選択すると約260万円級と、このクラスの平均的な価格になる。

ノートオーラパッケージオプションは約40万円で、主な装備は以下の通りだ。

  • BOSEサウンドシステム
  • ナビ
  • プロパイロット
  • 統合型インターフェースディスプレイ
  • SOSコール

これらを装備すると300万円超のモデルとなる。ノートより確かに高価だが、納得できる装備といえる。ただ、プレミアムなコンパクトというのであれば、パワーシートくらい欲しいところだ。

3、購入時の値引き術

日産ノートの評価 3.5点
日産ノートオーラの評価 3.5点

アクア&ヤリスに負けじと、大幅値引きの期待大

日産ノートオーラは、2021年8月に発売されたばかりのモデルだ。しばらくの間は、値引きゼロベースとなる。
ただ、ノートオーラとノートは日産国内販売の核となるモデルといえる。先代ノートe-POWERは、登録車新車販売台数ランキングナンバー1にもなり、既納客が多い大ヒットモデルである。当然、ライバル車であるトヨタ アクア&ヤリス、ホンダ フィットには負けられない。しかも、各車フルモデルチェンジしたばかりで、売る気は満々だ。
こうなると、早々に値引き額も大きくなる。2021年10月現在、ノートはそろそろ販売開始から1年が経過するため、値引きは拡大傾向にある。

加えてコロナ禍で東南アジアを中心とした部品の納入遅れ、半導体不足など、値引きへの期待度は高い。

ただし、何も策を講じなければ値引きゼロベースになる可能性が高い。値引きを引き出すための基本的なテクニックは、ライバル車と競合させることだ。ノート、ノートオーラのどちらも必ずアクア、ヤリス、フィットなど2車種分は先に見積りを取り、ノートもしくはノートオーラの商談に望むことが重要だ。ライバル車の見積りを先に取るのは、ノートやノートオーラは本命ではないと営業マンに思わせることが目的である。あくまで、ついでにノートやノートオーラの見積りを取りに来た程度がよい。

商談時には、あくまでノリが悪そうな雰囲気を出すことも重要だ。一通り営業マンのセールストークを聞いた後は「うーん、支払金額が一番少なければ購入してもいいかなぁ」くらいの発言をすることも良い。その上で「他社も支払金額に関しては、相談に乗ると言っていた」など、ライバル車は更なる値引きがあるという情報を営業マンにインプットしよう。その後「できればすぐ決めたい。魅力的な見積りをお願いします」とするといいだろう。営業マンは、即決してくれそうな顧客が大好物だ。

もちろん、即決はNGである。一度、他社の2度目の見積りが出てから決めるとして持ち帰ろう。そうすると、その日の夜や翌日に電話がかかってくるはずだ。その時「他社もかなり頑張ってくれた。御社はどうかなぁ」とするといいだろう。こうした駆け引きを繰り返すと、徐々に値引き額がアップしてくるはずだ。値引き額がアップできないようになったら、ディーラーオプション値引きに切り替えるのもよい。
もうこれ以上の値引きは無理と判断した場合、最後のお願いとして「あと5万円値引きしてくれたら今決める。店長に確認して」とするのもいいだろう。月末で、受注ノルマが達成していない営業マンや店舗であれば、値引きに応じてくれる可能性は高くなる。

4、デザイン比較

日産ノートの評価 3.5点
日産ノートオーラの評価 4.0点

明確な差別化ポイントがないデザイン

ノートの外観 ノートの外観

日産ノートのデザインは、キーワードである「タイムレス ジャパニーズ フューチャリズム」を具現化したという。コンパクトカーの常識にとらわれることなく、新しい価値観を訴求し、電動化の時代を感じさせるデザインとしている。

ノートのフロントフェイス ノートのフロントフェイス

4代目ノートは、3代目ノートのイメージをまったく感じさせないデザインとなった。日産のデザインアイコンであるVモーショングリルもさり気ないデザインとなっており、薄型のヘッドランプと一体化されている。全体的にスッキリしたフロントフェイスだ。フロントからリヤまで一本の線でつながるキャラクターラインが特徴だ。
また、グリルには日本の伝統工芸である組子をイメージしたデザインを採用することで、「日本の風景に溶け込むデザイン」としている。

ノートのリヤエンド ノートのリヤエンド

リヤビューは、水平に広がる横一文字のリヤコンビランプとなり、ワイド感を強調した。フロントフェイスほどの個性はないものの、親近感のあるデザインになっている。

ノートオーラの外観 ノートオーラの外観

対するノートオーラは、コンパクトカーの常識を変えるシンプルで美しい、乗る人が優越感を感じるような洗練されたデザインとした。

ノートオーラのフロントフェイス ノートオーラのフロントフェイス
ノートオーラのリヤエンド ノートオーラのリヤエンド

フロントフェイスは、ノートよりも薄型なLEDヘッドライトを採用した。ノートと同じく、Vモーショングリルと一体化されたようなデザインとなっている。こうしたフロントフェイスは、ノートと並べてみないとその差が分かりにくく、もう少し差別化するべきかもしれない。
見た目でパッとノートとノートオーラの違い瞬時に見分けるのは、なかなか難しい。とくに、サイドビューからのシルエットは、多くの部分が共通化されているので、見分けが難しいだろう。
ただ、ノートオーラはノートに対して、全幅が40mmワイドになっている。そのため、バンパーやフェンダー、リヤドアなどはノートと異なる。わずか40mmの差だが、なかなか効果的で、ノートよりもドッシリとした安定感がある。とくに、リヤまわりのボリューム感がカッコよい。デザインは似ているが、ノートオーラの方がスタイリッシュだ。

5、室内空間と使い勝手

日産ノートの評価 4.0点
日産ノートオーラの評価 3.5点

十分な広さの室内空間をもつが、質感はノートオーラが圧倒

日産ノートと日産ノートオーラのボディサイズとホイールベースは以下の通りだ。

  全長×全幅×全高 ホイールベース
ノート 4,045mm×1,695mm×1,520mm 2,580mm
ノートオーラ 4,045mm×1,735mm×1,525mm 2,580mm

同じCMF-Bプラットフォームを採用しているので、ホイールベースは同じである。全長も同じだ。全幅はノートオーラのほうが40mmワイドになっているものの、この部分は室内の広さには影響していないため、室内の広さも同じだ。

ノートの運転席 ノートの運転席
ノートオーラの運転席 ノートオーラの運転席
ノートの後席 ノートの後席
ノートオーラの後席 ノートオーラの後席
ノートの荷室 ノートの荷室
ノートオーラの荷室 ノートオーラの荷室

広さに関しては、先代である3代目ノートの方が広い。4代目ノート、ノートオーラは新プラットフォームが採用されたことで、全長が-55mm、ホイールベースは-20mmとなった。そのため、3代目ノートと比べると、4代目ノートとノートオーラは、後席を中心にやや狭くなっている。それでも他のライバル車と比べると、トップクラスの広さをとなっている。荷室容量も340L(FF)と十分だ。

ノートとノートオーラの大きな違いは、質感だ。ノートオーラのほうが優れている点をいくつか挙げてみよう。

  • アドバンスドドライブアシストディスプレイ(ノートオーラは12.3インチ、ノートは7インチ)
  • シフト周り(表面に微細な凹凸加工を施した高級感のある木目調フィニッシャーを採用)
  • ドアトリム、フロントセンターアームレスト、インストルメントパネル(ツイード調織物を使用)
ノートのインパネ ノートのインパネ
ノートオーラのインパネ ノートオーラのインパネ
ノートのメーター ノートのメーター
ノートオーラのメーター ノートオーラのメーター

ノートでも十分な質感だが、ノートオーラでは1クラス上の素材が使われている。ただし、その差はそれほど大きくない。

逆に狭い道や駐車場での扱いやすさでは、ノートが上回る。ノートの最小回転半径は4.8m、ノートオーラは5.2mだ。最小回転半径が5mを切っていれば、このクラスでは非常に扱いやすいレベルといえる。この差にはタイヤサイズが影響している。ノートのタイヤサイズは、185/65R15もしくは185/60R16である。対するノートオーラは17インチの大径タイヤを履くため、ワイドな205/50R17になっている。

6、安全装備の比較

日産ノートの評価 3.0点
日産ノートオーラの評価 3.5点

ノートオーラは「プレミアムなコンパクト」なのに、プロパイロットがオプション

日産ノート、ノートオーラの安全装備は十分なレベルに達している。昼夜の歩行者と昼間の自転車を検知する自動ブレーキである「インテリジェント エマージェンシーブレーキ」や踏み間違い衝突防止アシストなど、基本的な予防安全装備は標準装備化されているので安心だ。ただし、ヤリスやアクアのように、右左折時の歩行者や右折時の対向車には対応していない。交差点内の事故は多く、ノートやノートオーラの安全性をより高めるには、こうした機能の向上に期待したい。

また、ノートの場合、パッケージオプションが多い。
以下の装備はFグレードで装備不可、その他グレードではオプションとなっている。

  • インテリジェント BSI(後側方衝突防止支援システム)
  • BSW(後側方車両検知警報)
  • RCTA(後退時車両検知警報)

これらは、車線変更時やバックでの出庫時など日々頼りになるので、標準装備化が望まれる機能だ。ノートの購入を考えているなら、積極的に選択したいオプションといえる。ライバル車では、マツダ2がすでに同様な機能が標準装備化している。

ノートオーラは、さすがにプレミアムなコンパクトということで、ノートでオプションだった上記装備は標準装備化されているので安心だ。

ノートとノートオーラ、共に物足りないのは、日産のウリである運転支援技術プロパイロットとSOSコールがオプションという点だ。
プロパイロットは、高速道路などで車線を維持しながら、先行車に全車速で追従する。渋滞時のストップ&ゴーも簡単な操作で繰り返すことができるので、ドライバーの疲労軽減に大きなメリットがある。
SOSコールは、エアバッグが開くような大きな衝撃が車体に加わると、自動で車両が専門のオペレーターに通報する。ドライバーの意識が無い場合などは、救急車の手配や警察への通報を代行してくれるため、より安心してクルマに乗れる。少し前までは、高級輸入車にしかなかった装備でもある。
こうした装備に関して、ノートではXのみにオプション設定、ノートオーラでは全グレードでオプションだ。この設定は、かなり物足りない。
同じ日産である、軽自動車のデイズと比較してみると物足りなさがわかる。デイズはSOSコールの設定が6グレード中4グレードで標準装備、2グレードがオプションだ。プロパイロットに関しては、6グレード中2グレードに標準装備、残り4グレードには装備不可となっている。
こうなると、軽自動車のデイズより上級モデルであるノートとノートオーラは、装備が貧弱に感じる。とくにノートオーラはプレミアムなコンパクトを標榜しているのだから、標準装備であってほしかった。

7、走行性能の比較

日産ノートの評価 4.0点
日産ノートオーラの評価 4.5点

ノートオーラは走りが楽しいプレミアムなコンパクト。全幅+40mmのメリット大

ノートのエンジンルーム ノートのエンジンルーム

日産ノートには、新開発となる第2世代のe-POWERが搭載された。発電用の1.2Lエンジンは、出力をアップしつつ燃費も向上されている。さらに、インバーターは40%小型化、33%も軽量化した。
駆動用モーターは、先代ノートはEV(電気自動車)のリーフと同じモーターが採用されていたが、フルモデルチェンジで新型のモーターへ変更された。出力は、先代ノートの109ps&254Nmから116ps&280Nmとなり、出力&トルク共に向上されている。
街中や高速道路を試乗しても不満はない。モータードライブ車なので、レスポンスにも優れスムースで気持ちが良い加速が楽しめる。
1ペダルドライブ(回生ブレーキの制御で発進から停止までアクセル操作ひとつで走行できる)も洗練さを増し、より自然なフィーリングになっている。

ノートオーラのエンジンルーム ノートオーラのエンジンルーム

対するノートオーラはプレミアムなコンパクトとして、さらに余裕ある走りを追求している。ノートよりも出力を高め、136ps&300Nmとまるでスポーツカーのようだ。アクセルをベタ踏みすると、頭が後方に引っ張られるくらいの加速力だ。高回転域でのパンチ力もノートを圧倒しており、より車速の高いところでも伸びのある走りが楽しい。新しい時代のコンパクトカーといった印象だ。

先代となる3代目ノートは、お世辞にも静粛性が高いとは言えなかった。停止中でも発電のためエンジンが回り、なかなか賑やかだった。しかし4代目ノートでは、停車中や低速走行中、できる限り発電しない制御となり、静粛性は大幅に向上している。さらに、路面のロードノイズが大きく、エンジン音が消されるような状態であると判断した場合、積極的にエンジンが始動し充電する。こうした新充電制御により、ノートはクラストップレベルの静粛性を得た。
ノートオーラはそのノートを上回る静粛性を誇る。もはや、高級セダン並の静粛性だ。

ノート、ノートオーラ共に乗り心地は良好だ。最新のプラットフォームCMF-Bの恩恵もあり、快適な走りとなった。乗り心地そのものは大差はない。205/50R17のタイヤを履くノートオーラの方が、わずかに硬さを感じる程度だ。乗り心地は、先代ノートとは雲泥の差である。
ハンドリング性能は、ノートオーラがノートを上回る。両車共に乗り心地重視なので、サスペンションは柔らかめだ。カーブでは車体が大きく傾くが、傾くスピードがゆっくりなので不安感がなく安心して走れた。サスペンションのストロークを十分に使って走っており、3代目ノートとは全く異なるテイストに仕上がっている。

ステアリング操作に対するレスポンスも、速くもなく遅くもないちょうどいい塩梅となった。誰もが違和感なく気持ちよく走れる。ヤリスとマツダ2とは異なるが、フィットやアクアと同じようフィーリングだ。
ノートオーラは乗り心地を確保しながら、ノートより少しスポーティになっている。全幅を40mmワイドにしたことで、トレッド(左右のタイヤ中心間の距離)が20mm広くなった。これに加えて、205/50R17という大径タイヤを装着している。タイヤの性能をさらに活かすことができる設定のため、カーブでの安定感は非常に高く、より気持ちよく走る。走行性能面では、ノートオーラがノートを上回る。

非常に楽しかったのがリヤに68ps&100Nmという大出力モーターを設置した4WD車だ。一般的にこうしたハイブリッド車には、小さな出力のモーターが装着されることが多い。雪の坂道など滑りやすい場所で、少しのアシストがあれば十分と考えるからだ。例えば、ヤリスのリヤモーターの出力は、5.3ps&52Nmだ。
ノートやノートオーラの4WDに搭載された高出力モーターは、走行状況に応じて前後のモーター出力をコントロールしてくれる。カーブではより曲がりやすく、カーブの出口では、しっかりと後輪に駆動力を与え、まるでFR(後輪駆動)車のように走る。この4WDの走行性能は、新鮮で感動する。この4WD車はノート、ノートオーラ共におすすめだ。

 

8、リセールバリュー比較

日産ノートの評価 4.0点
日産ノートオーラの評価 4.5点

ノートは平均的、ノートオーラは不透明感あり

Bセグメントのコンパクトカーは、中古車マーケットでも高い人気を誇るカテゴリーであり、本来ならば高いリセールバリューが期待できる。しかし、このクラスは販売台数が多く、モデル後期になればなるほど供給量が増え値崩れしてくる傾向がある。

ノートのリセールバリューは、発売直後はやや高値を維持するとみられるが、2~3年程度経つと平均的になるとみられる。
ノートオーラは、プレミアムなコンパクトという新たなジャンルとなる。ただ、中古車の場合、コンパクトカーに求められるのは、やはり買い得感だ。そのため、中古車価格が高いと売れない可能性があり、リセールバリューが低くなる可能性がある。また、逆に中古車マーケットで人気が出て、流通量が少ないとなると、リセールバリューは高くなる可能性もあるだろう。新たなジャンルなので、今後のリセールバリューは不透明感が拭えない。

ただし、高リセールバリューが確定といえるモデルがある。それは、ノートオーラNISMOだ。NISMOモデルは、他の車種でもかなり高値を維持しており、先代ノートも同様だった。ノートオーラNISMOのリセールバリューが低くなる可能性はないといえるだろう。

ノートで高リセールバリューが期待できるオプションは以下などが挙げられる。

  • 純正ナビセット
  • LEDヘッドランプ
  • インテリジェントアラウンドビューモニター
  • 統合型インターフェースディスプレイ
  • SOSコール
  • プロパイロット

ノートオーラで高リセールバリューが期待できるオプションは以下などが挙げられる。

  • プロパイロット
  • SOSコール
  • 本革シート
  • エクステリアパッケージ(フロントバンパーフィニッシャー、リヤバンパーフィニッシャー、シーケンシャルドアミラーウインカー)
  • 純正ナビキット
  • BOSEパーソナルプラスサウンドシステム

9、まとめ・総合評価

予算次第だが、両車4WD車がおすすめ

日産ノートは、非常に高いレベルのコンパクトカーに仕上がった。対するノートオーラは走行性能や質感、デザインなど、価格が高価な分、若干ノートを上回る。予算を無視するのであれば、ノートオーラがおすすめだ。
価格差が約42万円もあるので、予算次第ということになる。ただ、ノートの場合、オプションの予防安全装備や純正ナビセット、SOSコール、プロパイロットは必須アイテムだ。
また、予算に余裕があり走行性能にこだわるのであれば、ノート、ノートオーラ共に4WD車がよい。新たな電動車の走りが楽しめる。
ノートやノートオーラ共に、コロナ禍による部品供給不足や半導体不足により、納期が長期化している。中古車のメリットは、現車商売なので即納が可能な点だ。2021年10月現在、ノートはデビューからそろそろ約1年が経過していることもあり、中古車もある程度流通している。即納できることを理由に、中古車価格も高めだ。だが、それでも新車よりも少し安価傾向な中古車も多い。
ノートの中古車は、2020年式で230~250万円位が相場だ。230万円前後のモデルでも、最上級グレードのXでプロパイロットや純正ナビなどが装備されている車両が多い。Xグレードにおすすめオプションを装備すると260万円位になるので、少し安価だ。納期の長期化で、今乗っているクルマを再び車検に出すというのも無駄な出費である。そういう人は、即納可能な高年式ノートという選択もありだろう。

  ノート ノートオーラ
総合得点(40点満点) 29.5点 29.5点
1.燃費 4.0点 3.5点
2.価格 3.0点 3.0点
3.購入時の値引きしやすさ 3.5点 3.5点
4.デザイン 3.5点 4.0点
5.室内空間と使い勝手 4.0点 3.5点
6.安全装備 4.5点 4.0点
7.走行性能 3.0点 3.5点
8.リセールバリュー 4.0点 4.5点

日産ノートの価格・スペック

日産ノートe-POWER 価格

 
  FF(前輪駆動) 4WD
F 2,054,800円
S 2,029,500円 2,288,000円(S FOUR)
X 2,186,800円 2,445,300円(X FOUR)

日産ノートe-POWER スペック

 
代表グレード 日産ノートe-POWER X(FF)
ボディサイズ 全長4,045mm×全幅1,695mm×全高1,520mm
ホイールベース 2,580mm
車両重量 1,220kg
駆動方式 FF
最小回転半径 4.9m
エンジン型式 HR12DE型 直3 DOHC 12バルブ
排気量 1.198L
エンジン最高出力 82PS(60kW)/6,000rpm
エンジン最大トルク 103N・m(10.5kgf・m)/4,800rpm
モーター最高出力 116PS(85kW)/2,900-10,341rpm
モーター最大トルク 280N・m(28.6kgf・m)/0-2,900rpm
WLTCモード燃費 28.4km/L
サスペンション前/後 ストラット/トーションビーム
タイヤ前後 185/60R16

日産ノート オーラの価格・スペック

日産ノートオーラ 価格

 
  2WD(FF) 4WD
G 2,610,300円 2,868,800円(G FOUR)
G leather edition 2,699,400円 2,957,900円(G FOUR)

日産ノート オーラ スペック

 
代表グレード ノート オーラG FOUR(4WD)
ボディサイズ 全長4,045mm×全幅1,735mm×全高1,525mm
ホイールベース 2,580mm
車両重量 1,370kg
駆動方式 FF
最小回転半径 5.2m
エンジン型式 HR12DE型 直3 DOHC 12バルブ
排気量 1.198L
エンジン最高出力 82PS(60kW)/6,000rpm
エンジン最大トルク 103N・m(10.5kgf・m)/4,800rpm
フロントモーター最高出力 136PS(100kW)/3,183 -8,500rpm
フロントモーター最大トルク 300N・m(30.6kgf・m)/0-3,183rpm
リヤモーター最高出力 68PS(50kW)/47,75-10,024rpm
リヤモーター最大トルク 100N・m(10.2kgf・m)/0-4,775rpm
WLTCモード燃費 22.7km/L