トヨタ アクアvsトヨタ ヤリス(ハイブリッド)Bセグメントコンパクトカー対決

自動車ニュース / ガリバー

2021.9.16

トヨタ アクアvsトヨタ ヤリス(ハイブリッド)Bセグメントコンパクトカー対決

※本記事内に安全装備への言及がありますが、安全装備には作動条件や限界があります。機能を過信せず、安全運転を心がけましょう。

アクアvsヤリス

トヨタ アクアは2021年7月にフルモデルチェンジした。現在トヨタは同じクラスにヤリスとアクアという2種類のコンパクトカーを持つ。だが、アクアは上質感重視、ヤリスは走行性能重視だ。今回は方向性や個性が異なるアクアとヤリスを比較・評価した

この記事の目次 CONTENTS
トヨタ アクアの特徴
トヨタ ヤリスの特徴
1.燃費比較 
2.価格比較
3.購入時の値引き術
4.デザイン比較
5.室内空間と使い勝手
6.安全装備の比較
7.走行性能の比較
8.リセールバリュー比較
9.まとめ・総合評価

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

トヨタ アクアの特徴

トヨタ アクア トヨタ アクア

2代目新型トヨタ アクアは、2021年7月に登場した。約10年ぶりのフルモデルチェンジによって、ほぼすべての部分が刷新された。注目すべきはプラットフォーム(車台)とハイブリッド用バッテリーだ。
プラットフォームは、ヤリスと同じく低重心で軽量のGA-Bを採用している。この新プラットフォームが採用されたことで、アクアの乗り心地や運動性能が飛躍的に向上した。
直3 1.5Lエンジンとモーターは、ヤリスと共通のものが使われている。駆動用バッテリーは、新開発の「バイポーラ型ニッケル水素電池」を世界初搭載した。初代アクアのニッケル水素電池と比べると、バッテリー出力が約2倍もある。アクセル操作への応答性が向上し、EVモードの走行領域も広くなっている。

トヨタ ヤリスの特徴

トヨタ ヤリス トヨタ ヤリス

トヨタ ヤリスは、ヴィッツの後継車で2020年2月に発売された。欧州などでは、ヴィッツはヤリスと呼ばれていたため、車名をヤリスに統一したのだ。
このフルモデルチェンジで、ヤリスには新開発のコンパクトカー用プラットフォーム(車台)であるGA-Bが初採用された。この低重心で軽量プラットフォームをベースに、ヤリスはキビキビと走るスポーティなコンパクトカーとなっている。とくに、ハイブリッド車は、大きく重い駆動用リチウムイオン電池がリヤシート下付近に設置されており、前後の重量バランスも良好だ。軽快さという面では、ガソリン車が上回る。ハイブリッド車は、操縦安定性やハンドリングなどで、非常に優れた走りが魅力のコンパクトカーに仕上がっている。

ハイブリッドシステムも新開発された。燃費は世界トップレベルの36.0km/L(FF、WLTCモード)を達成している。また、予防安全装備は高機能の「トヨタセーフティセンス」が用意された。ただし、ガソリン車1グレードにはトヨタセーフティセンスは装備されていない。

1.燃費比較 

アクアの評価は 4.5
ヤリスの評価は 5.0

2車種の燃費は以下の通りだ。(双方1.5Lハイブリッド/FF、WLTCモード)

アクア 33.6~35.8km/L
ヤリス ハイブリッド 35.4~36.0km/L

リチウムイオン電池のヤリスが、やや燃費で上回る

トヨタ アクアで最も燃費のよいグレードは、最も廉価なBグレードだ。ヤリスと比較すると、0.2km/Lしか違わず、ほぼ互角である。だが、このBグレードは、他のグレードが新開発の「バイポーラ型ニッケル水素電池」ではない。Bグレードのハイブリッドシステムは、ほぼヤリスと同じと見ていいだろう。そのため、単純比較ができない。恐らく、Bグレードは燃費をヤリスと同等に見せるためのグレードといえる。

最上級グレード同士を比較すると、アクアの燃費は33.6km/Lなのに対して、ヤリスは35.4km/Lとなった。ヤリスのほうが5%ほど燃費が良い。この差は、リチウムイオン電池とバイポーラ型ニッケル水素電池の差に加え、車重も影響している。
アクアは、ヤリスよりも全長が110mm大きく、最上級グレード比較で車重は40kg重い。

リチウムイオン電池とバイポーラ型ニッケル水素電池の性能差も、わずかだが感じる部分があった。リチウムイオン電池は、やはり電気の出し入れが早い。EV走行中、バッテリー容量が減り、エンジンが始動して発電した後は、即座にエンジンが停止する。そして、またEVモードに復帰する。こうした状態が、とにかく頻繁に起きる。アクセルを戻して回生したときも同様である。アクアもEV走行する領域がかなり広がったが、やはりヤリスの方がEVで走る時間が長い印象だ。実燃費もヤリスがアクアを上回りそうだ。

2.価格比較

アクアの評価は 3.0
ヤリスの評価は 3.0

アクアとヤリスの価格は同等だが・・・

エントリーグレード 最上級グレード
アクア 1,980,000円(B) 2,400,000円(Z)
ヤリス 1,998,000円(X) 2,324,000円(ハイブリッドZ)

最上級グレードの装備を比較する。(標準装備…〇、オプション…△)

アクア ヤリス
15インチアルミホイール
LEDフォグランプ
10.5インチディスプレイオーディオ △(8インチ)
AC100V・1500Wアクセサリーコンセント
シートヒーター

こうした装備を比べると、アクアのZグレードが約8万円高価なのも妥当なところといえる。価格面では、ほぼ互角だ。
パーキングブレーキは、ヤリスは手引き、アクアは足踏み式というアナログな仕様だ。このクラスだけでなく、軽自動車なども、もはや電動パーキングブレーキが普通で、オートブレーキホールドが装備されている。オートブレーキホールド機能は、信号待ちなどでブレーキを踏み続ける必要がなく、便利でドライバーの疲労軽減に効果がある装備である。残念ながら、こうした装備は、アクアとヤリスには用意されていない。これを踏まえると、ライバル車と比べると価格はやや高めな印象となる。

3.購入時の値引き術

アクアの評価は 3.0
ヤリスの評価は 3.5

納期を駆け引きに使い、大幅値引きを引き出したい

トヨタ アクアは、デビュー直後のモデルなので、しばらくの間値引きはゼロベースだ。ただ、このクラスはヤリスを含め、日産ノート、ホンダ フィットとフルモデルチェンジ直後のモデルがしのぎを削っている。アクアの値引き拡大も時間の問題だろう。
ただ、現在の自動車マーケットは、混沌としている。コロナ禍による部品不足や半導体不足により、生産工場が操業を停止する状態が各社続いている。しかも、未だ先が見えない状況だ。
そのため、多くのモデルがバックオーダーを大量に抱え、納期も分からないというケースが続出している。こうなると値引き交渉も難しくなるのだが、納期をひとつの材料として交渉すれば、大幅値引きも期待できそうだ。
そのためには、まずライバル車であるノートやフィットの見積りを先に取り競合させることが、とにかく基本だ。その上で、アクアやヤリスの商談時に、値引きの他に納期を武器に交渉したい。例えば「ライバル車の方が、値引きも大きく、納期も短い。納期が長いのだから、せめて値引きだけでもライバル車以上にしてもらえないか?」という交渉もありだ。
また、アクアとヤリスの場合、ディスプレイオーディオ装着車でディーラーオプションのナビキットを装着した場合、さらに納期が数ヶ月プラスされている。ナビキットは、ディーラーオプションなので、納車後でも装着可能だ。ナビキットは後で装備することを条件に、更なる値引き交渉するのも良い。営業マンは、クルマを登録しないと売ったことにならないからだ。
なので、ナビキットは後日取り付けで早期登録できるのであれば、値引き交渉に応じてくれる可能性が高い。値引きしてくれなければ、ナビキットを装着したうえでの登録・納車を強く伝えるか、ライバル車を選ぶという選択でじっくりと交渉するといいだろう。

4.デザイン比較

アクアの評価は 4.5
ヤリスの評価は 4.0

中高年や女性向けのアクア、若年層向けのヤリス

アクアの外観 アクアの外観

トヨタ アクアは「Harmo-tech」(知性・感性を刺激する、人に寄り添う先進)をコンセプトにした上質・シンプル・クラスレスなデザインを目指した。
トヨタは、フルモデルチェンジすると、先代モデルのイメージをまったく感じさせないデザインにすることが多い。ところが、2代目アクアは、少し初代アクアの面影を残すデザインになっている。

アクアのフロントフェイス アクアのフロントフェイス
アクアのリヤエンド アクアのリヤエンド

そのうえで、塊感や面の張りを強めて、コンパクトカーとは思えない力強さを表現した。とくに、リヤフェンダーはやや張り出し、ヤリス同様、強く筋肉質な印象を与えている。視覚的重心も低く、安定感あるフォルムとしている。なかなか完成度の高いデザインだ。

アクアのインパネ アクアのインパネ
アクアのメーター アクアのメーター

アクアのインテリアも同様のコンセプトでまとめられているものの、外観デザインほどの完成度は感じられない。トヨタはシンプルというが、10.5インチ大型ディスプレイオーディオ機能部分を集約したことで、逆に少しゴチャゴチャした感じがする。
アクアのアッパーボックスに採用されたフローティング風デザインも同様だ。造形そのものは、キレイなのだが、シンプルに見えない。また、ダッシュボードからドアパネルへの流れるラインも段差があり、一体感に欠けやや不自然も感じる。

ヤリスの外観 ヤリスの外観

ヤリスのデザインは、デザインコンセプトは「B-Dash!」。大胆(BOLD)に、活発(BRISK)に、そして美しく(BEAUTY)。鋭い加速で、弾丸のようにダッシュ!がコンセプトだ。

ヤリスのフロントフェイス ヤリスのフロントフェイス
ヤリスのリヤエンド ヤリスのリヤエンド

大きく下方に行くほどワイドに広がるグリルや、グッと張り出したリヤフェンダーなど、視覚的に重心を下げるデザイン手法が使うことで、安定感あるシルエットを生み出している。さらに、ツリ目で睨みの効いたヘッドライトは精悍さやスポーティさを表現している。
全体的にスポーティさが際立っていて、キビキビ走りそうなコンパクトカーらしさを感じさせる。

かなり複雑な線と面をもつヤリスの外観デザインだが、インテリアデザインは、かなりシンプルだ。小径のステアリングは、スポーティさと室内を広く感じさせる効果をもつ。

ヤリスのインパネ ヤリスのインパネ
ヤリスのメーター ヤリスのメーター

インパネまわりでは、トヨタ初となるフードレス双眼デジタルTFTメーターを採用した。ソフトインストルメントパネルを使用するなどして質感も高めている。

アクアとヤリスのデザインは、かなり方向性が異なる。アクアは、より多くの人に違和感なく好まれるデザインだ。逆に、ヤリスはスポーティさを前面に出したデザインとなっている。ヤリスの場合、若年層などには好まれそうだが、中高年層や女性には少々スポーティ過ぎるかもしれない。
ヤリスは若年層、アクアは中高年層に女性をターゲットにして、それぞれの役割を持たせている。デザイン面は甲乙つけ難いが、インテリアの質感はアクアが上回る。上級モデルからダウンサイジングした顧客も、ある程度満足できるレベルだろう。

5.室内空間と使い勝手

アクアの評価は 3.5
ヤリスの評価は 3.0

後席が広いアクア。災害時に頼りになるAC100V・1500Wコンセントを標準装備!

アクアの運転席 アクアの運転席
アクアの後席 アクアの後席
アクアの荷室 アクアの荷室

アクアとヤリスは、両方とも最新のGA-Bというプラットフォーム(車台)が採用されている。アクアのホイールベースはヤリスに比べ+50mm伸ばし2,600mmとなった。ホイールベースは、室内の広さに大きな影響を与える。ホイールベースが伸びたことにより、アクアはヤリスに対して後席スペースが広い。後席以外のスペースは、ほぼ互角だ。

ホイールベースが伸びたことは、良いことばかりではない。最小回転半径が大きくなる傾向があるからだ。さらに、アクアはタイヤが大径化されているため、アクアの最小回転半径は15インチタイヤ装着車で5.2mだ。16インチアルミホイール装着車になると5.3mとなる。この数値は、もはやひとクラス上のCセグメントコンパクトカー並である。
コンパクトカーなのに、狭い駐車場などでの取り回しは、少々苦手だ。

ヤリスの運転席 ヤリスの運転席
ヤリスの後席 ヤリスの後席
ヤリスの荷室 ヤリスの荷室

これに対して、ヤリスは1インチ小さいタイヤが採用されている。14インチタイヤ装着車の最小回転半径は4.8mだ。15インチ&16インチアルミホイール装着車は5.1mとなる。両車共に、小回りはあまり得意ではない。

パーキングブレーキは、両車共に旧式である。アクアは足踏み式で、ヤリスは手引き式だ。もはや、軽自動車でも電動パーキングブレーキが標準装備化されている時代なだけに残念だ。
電動パーキングブレーキではないので、オートブレーキホールドが採用されていない。この機能は、電動パーキングブレーキを使い、信号待ちでブレーキを踏み続ける必要が無くなる。ドライバーの疲労軽減に役立つ便利機能だ。軽自動車にも採用が広がっている機能なのに、ひとクラス上のアクアやヤリスに装備されていないのは、少々物足りない。
トヨタのコネクティッドサービスで重要なのが、ディスプレイオーディオだ。微妙にサイズが異なり、アクアは10.5インチもしくは7インチ。ヤリスは8インチ、もしくは7インチとなる。アクアの10.5インチディスプレイオーディオは大きくて見やすい。

AC100V・1500Wアクセサリーコンセントは災害時やアウトドア時に便利だ。アクアは標準装備、ヤリスはオプションである。このアクセサリーコンセントを使うと、テレビや冷蔵庫、レンジ、照明などの家電製品に電力を供給できるようになる。アウトドアでは家電製品が使え、快適さが増す。
災害による停電時には、スマートフォンの充電はもちろん、電力が復旧するまで生活に最低限必要な電力程度は供給できるようになる。クルマが発電機となる画期的な機能だ。もしものときに、役に立つ。こうした装備を全車標準装備化したアクアは、高く評価できる。

6.安全装備の比較

アクアの評価は 4.5
ヤリスの評価は 4.0

両車共に、クラストップレベルの予防安全装備

トヨタ アクアとヤリスに装備されている予防安全装備パッケージ「トヨタセーフティセンス」は、最新のタイプで同じ機能をもつ。このトヨタセーフティセンスは、クラストップレベルの性能を誇る。
重要な自動ブレーキの機能は、昼夜の歩行者と昼間の自転車に対応。さらに、右左折時の歩行者、右折時の対向車にも対応している。交差点内で事故を起こすリスクを軽減してくれる機能と言える。こうした機能をもつ自動ブレーキを装備したモデルは、このクラスではアクアとヤリスだけだ。

予防安全技術の進化は、日進月歩といえる。そのため、アクアの方が若干、機能が増えている。アクアに追加された機能は以下の通りだ。

  • パーキングサポートブレーキ(アクセルとブレーキの踏み間違えによる衝突を防ぐ機能)
  • 後退時に左右から接近するクルマがあり衝突の危険がある場合、自動でブレーキが作動
  • 周囲静止物機能(駐車場枠内での巻き込みや接触に対応)
  • ブラインドスポットモニター(後側方車両接近警報)に停車時警報機能を追加

周囲静止物機能はトヨタ初、停車時警報機能はトヨタコンパクトカー初採用された。
停車時警報機能は、停車時に後方を確認せずにドアを開けたときに、側方を走行する自転車やバイクなどとの接触を避ける機能だ。インジケーターの点滅や警報音で注意喚起してくれる。
こうした機能がヤリスにはまだ装備されていないので、アクアの安全装備の方がやや優れている。ただし、アクアとヤリス共に、基本となるトヨタセーフティセンス以外はオプション設定となっている点が物足りない。

7.走行性能の比較

アクアの評価は 4.0
ヤリスの評価は 4.0

乗り心地重視のアクア。スポーティな走りならヤリス

トヨタ アクアとヤリスでは、走りの味がまったく異なる。端的に言えば、乗り心地重視のアクア、切れ味鋭いスポーティな走りのヤリスといえる。

アクアのエンジンルーム アクアのエンジンルーム

アクアの乗り心地は、かなり秀逸だ。最新のGA-Bプラットフォーム(車台)と高剛性ボディの組み合わせにより、サスペンションはしなやかに動く。フロントがストラット、リヤがトーションビーム(FF)という組み合わせはヤリスと同じだ。しかし、ダンパーやスプリングをアクア用に最適化した。
実際に走らせてみると、この乗り心地の良さに驚く。試乗車は、最上級グレードのZだ。このグレードには、フロントショックアブソーバーにスウィングバルブを採用している。微妙な路面の凹凸もキレイに吸収し、快適な乗り心地を実現している。この乗り心地は、このクラストップレベルといえる。
乗り心地がよいだけでなく、操縦安定性もかなり高いレベルにある。GA-Bプラットフォームは、かなり低重心化されている。それに加え、アクアもヤリスも大きく重い駆動用バッテリーをリヤシート下付近に設置している。そのため、前後の重量バランスがよく、さらに低重視化されている。
一般的に、乗り心地重視の柔らかいサスペンションセッティングだと、カーブでは大きく車体が傾く傾向になる。しかし、アクアは、低重心さや前後の重量バランスの良さにより、高い速度域でもフラットな姿勢でカーブを抜けていく。乗り心地重視ながら、スポーティな走りも楽々こなすフレキシブルさを併せ持つ。より多くの人に合う乗り味だ。

ヤリスのエンジンルーム ヤリスのエンジンルーム

対するヤリスは、十分引き締まった、硬めのサスペンションセッティングだ。良くも悪くも、路面の凹凸をドライバーにしっかりと伝えてくる。だからと言って、極端に乗り心地が悪いというほどではなく、不快感のある振動やショックはそれなりに吸収していた。
そんなサスペンションセッティングと、低重心&前後重量バランスの良さが加わり、ヤリスはキレッキレのハンドリングマシンとなる。わずかなステアリング操作に対しても、ヤリスは敏感に反応し、ノーズはグリグリと瞬時に向きを変える。ハイブリッド車というと、エコカー的なイメージが強く、走行性能は二の次といったイメージを持つ人が多いが、ヤリスは間違いなくスポーツカーと言えるハンドリング性能と操縦安定性をもっている。
この走りは、スポーティな走りが好きな人向けといえる。こうした性能を必要としていない人にとっては、乗り心地が硬いコンパクトカーになる。多くの人に合うとはいいにくい。万人受けするのは、やはりアクアだ。

静粛性面もアクアが勝る。アクアはEV走行領域が増えたことで、より静かに感じる。ただ、それだけにエンジンが始動したときは、それなりに賑やかになる。風切り音なども気になることはなかった。静粛性面でも、かなり高いレベルにある。

力強さという面では、逆にヤリスがわずかに勝る印象だ。アクアもモーターの存在感がかなり強く、アクセルをグッと踏み込むと瞬時にモーターのトルクによりグイグイ加速する。しかし、それ以上にヤリスはモータートルクがグイっと立ち上がり加速も鋭さを増す。スポーティな気持ちよさはヤリスとなる。
このように、ヤリスの走行性能は、かなり尖っている。アクアと比較して、どちらがよいというより、どちらが自分に合うかで選ぶことになる。この差は大きいので、ジックリ試乗して決めるとよい。

8.リセールバリュー比較

アクアの評価は 4.0
ヤリスの評価は 4.0

超低燃費性能車なので、高リセールバリューの期待大

初代トヨタ アクアのリセールバリューは、平均的だった。通常、アクアのような人気車種の場合、中古車マーケットでも人気なので、リセールバリューは高くなる傾向になる。ところがアクアの場合、あまりにも売れ過ぎた上に、約10年間も販売していた。つまり中古車マーケットのニーズ以上にアクアの中古車が増えすぎたのだ。結果、アクアのリセールバリューは若干下がってしまっている。
2代目アクアのリセールバリューは、今はまだどうなるか不明。しかし、リセールバリューが高いトヨタ車であり、人気のハイブリッド車なので、平均以下になることはないだろう。むしろ、同じクラスにヤリスがあるため、初代ほど爆発的な販売台数にはならないと予想できる。そうなると、中古車流通量も適正になり、リセールバリューも高値を維持する可能性の方が高い。
アクアでさらにプラス査定になりそうなグレードは、最上級グレードのZだ。オプションは、パノラミックビューモニター、トヨタチームメイト、純正ナビキット、合成皮革パッケージなどが付いているとプラスに働くだろう。

ヤリスのリセールバリューも、アクア同様に高値が期待できる。スポーティさが際立ったモデルを好む顧客層に支持されるだろう。今後、世界的によりCO2の削減が求められるので、ハイブリッド車の人気はより高くなる。
ヤリスで高リセールバリューが期待できるのは、最上級グレードのZだ。プラス査定となりそうなオプションは、16インチアルミホイール、3灯式フルLEDヘッドランプ、トヨタチームメイト、パノラミックビューモニター、カラーヘッドアップディスプレイ、純正ナビキットなどだ。

9.まとめ・総合評価

全方位で完成度の高いアクア、走行性能に特化したヤリス

簡単にまとめると、万人受けするのがトヨタ アクアだ。燃費、乗り心地、静粛性、室内スペース、予防安全性能など、ほぼすべての部分において高いレベルにまとまっている。粗を探すのが難しいレベルで、高い完成度を誇る。そのため、誰にでもおすすめできるコンパクトカーに仕上がっているのが特徴だ。質感も高いので、上級モデルに乗っていたダウンサイザーも十分に満足できるだろう。

ヤリスは、やや尖ったクルマで、スポーティな走りに特化している。こうした優れた走行性能を望む人には、アクア以上に満足できる。さすがのアクアも、走行性能と燃費に関しては、ヤリスに及ばない。
ただ、多くの人がヤリスほどの走行性能を求めるか? と、言うとさすがに微妙だ。高い総合力を誇るアクアが出てしまった以上、デザインの好き嫌いを除くと、ヤリスを好む人は少数派になるかもしれない。

では、筆者なら何を選ぶか? 走って楽しいヤリスの最上級グレードZに、オプションの16インチアルミホイールを選択する。走りの質がグッとアップするからだ。停電時などではクルマが電源となるAC100V・1500Wのアクセサリーコンセントも装備する。

快適な移動の道具として、趣味性を捨てて選ぶのならば、アクアの最上級グレードZだ。これに、オプションの合成皮革パッケージを選択する。このクラスではほとんどない運転席パワーシートが付くからだ。
どちらも、ブラインドスポットモニターなどのセットもオプション選択したい。

アクア ヤリス
総合得点(40点満点) 31.0点 30.5点
1.燃費 4.5点 5.0点
2.価格 3.0点 3.0点
3.購入時の値引きしやすさ 3.0点 3.5点
4.デザイン 4.5点 4.0点
5.室内空間と使い勝手 3.5点 3.0点
6.安全装備 4.5点 4.0点
7.走行性能 4.0点 4.0点
8.リセールバリュー 4.0点 4.0点