トヨタ ハリアー新旧比較レビュー!ラグジュアリーSUVの価値を追求

自動車ニュース / ガリバー

2020.8.7

トヨタ ハリアー新旧比較レビュー!ラグジュアリーSUVの価値を追求

※本記事内に安全装備への言及がありますが、安全装備には作動条件や限界があります。機能を過信せず、安全運転を心がけましょう。

トヨタ ハリアー新旧比較レビュー!

トヨタ ハリアーの新旧比較レビュー。
心に響く感性品質を重視し、「見て、乗って、走り出した瞬間に感動を与えるクルマ」を目指した4代目ハリアー。
内装、安全装備、走りの質など、あらゆる面で3代目を圧倒的に超える仕上がりとなった。
一方、3代目はターボ車のパワフルな走りやエレガントな空間など、独自の魅力を持つ。
今回はこの3代目と4代目を、内装・外装、安全装備面で比較評価する。

この記事の目次 CONTENTS
トヨタ ハリアーの歴史・概要
コンセプト&外装デザイン
安全装備
内装
走り、メカニズム
おすすめは4代目?それとも、3代目?
新車値引き交渉のポイント
トヨタ ハリアーの価格・スペック

トヨタ ハリアーの歴史・概要

初代トヨタ ハリアーの日本デビューは、1997年だ。
初代は、トヨタが高級車ブランドとして北米中心に展開していたレクサスRXでもあったため、基本的には北米を重視したモデルだった。

当時、SUVというとクロカン4駆が主流。
堅牢さが求められるため、トラックベースのラダーフレームが多く使われていた。
当然、乗り心地や静粛性などは期待できない。
そんな中、乗用車系のプラットフォーム(車台)を使い、登場したのがこの初代ハリアーだ。
コンセプトは「高級セダンの乗り心地と快適性を兼ね備えたSUV」。
従来のSUVにはない快適な乗り心地や静粛性を得て、いわゆるラグジュアリーSUVの先駆けともいえる画期的なモデルとなった。
このコンセプトは高く評価され、日米で大ヒットした。

2代目は、2003年に登場した。
初代のキープコンセプトモデルだ。
プリクラッシュセーフティシステムやエアサス、ハイブリッドシステムなどの先進技術や高級装備を惜しみなく搭載しており、ラグジュアリーSUVとしての価値を高めたこのモデル。
ロングセラーとなり、なんと2013年まで発売された。
ロングセラーとなった理由には、レクサスRXとの決別がある。
姉妹車関係にあったハリアーとRXだったが、レクサスブランドのオリジナリティをアップするため、3代目RXが異なるモデルとして2009年に登場したのだ。

モデル末期状態になってもハリアー人気は高く、販売は好調。
しかし、さすがに約10年も経過すると古さが目立ってくる。
そこで、トヨタはようやく3代目を国内専用車としてデビューさせた。

3代目

3代目は、日本に導入されなかった4代目RAV4をベースとしたモデルとなる。
デザインは大きくイメージ変更され、歴代ハリアーに共通する水平基調のスタイリングを継承しながら、流行りのクーペ風スタイルを採用している。
スタイリッシュさを増し、同時に高級感もアップして、よりラグジュアリーSUV的な仕様となった。

そして、4代目は2020年6月に登場。
ベースとなるRAV4がフルモデルチェンジしてGA-Kプラットフォームを採用したことで、ハリアーも同様のプラットフォームとなっている。

4代目

4代目は、よりクーペ感が強いデザインとなり、質感も向上した。
心に響く感性品質を重視し、「見て、乗って、走り出した瞬間に感動を与えるクルマ」を目指した。
実用性や数値一辺倒のクルマとは違い、人の心を優雅に満たしてくれる、ただひとつの存在になるべく開発されたのだ。

コンセプト&外装デザイン

流麗でスポーティさを際立たせた4代目。スタイリッシュで安定感のある3代目

4代目のデザインは、クーペ感を強めた流麗なルーフラインが特徴的だ。

4代目の外装

傾斜を強めたCピラーも、いかにもクーペ的なサイドビューを生み出している。
フロントとリヤの造形も、かなり個性的だ。
フロントアッパーグリルからヘッドランプへと流れるようなラインが、睨みのきいた精悍さを際立たせている。

4代目のフロント

さらにシグネチャーランプは、夜間でもひと目で4代目と分かる個性を発揮している。

リヤビューの特徴は、細くシャープな横一文字のテールランプ。
ボディサイド部までまわり込むカタチで、ボディをよりワイドに見せている。

4代目のリヤビュー

一方、3代目のデザインテーマは、「Elegant Velocity」。
歴代ハリアーに共通する水平基調のデザインを継承しつつ、従来モデルには無いシャープなシルエットとなった。

ヘッドライトは長く、かなり後方まで達する切れ長タイプ。
彫りの深い、立体感のあるデザインだ。
フロントフェイスは、厚みをおさえたシャープさが印象的。

3代目のフロント

一方でリヤは、SUVらしくドッシリとした重量感あるものに仕上がっている。

3代目のリヤビュー

フロントフェイスが厚みをおさえているのに対して、リヤはボリュームたっぷりで、サイドビューから見ると、ややアンバラスな印象を受ける。

3代目の外装

しかし、3代目のデザインはなかなか秀逸。
4代目と比べても、あまり古さを感じさせない。
3代目のデザインが好きなら、積極的に中古車を選んでもよいだろう。

安全装備

予防安全装備は雲泥の差に!

歩行者検知式自動ブレーキを含む予防安全装備は、まさに日々進化している。
そのため4代目と3代目の予防安全装備を比べると、もはや雲泥の差だ。

ただ、3代目には2017年6月のマイナーチェンジ以降、歩行者検知式自動ブレーキを含む予防安全装備パッケージ「トヨタセーフティセンスP」が標準装備された。
このマイナーチェンジ後のモデルは、4代目レベルとはいえないまでも、一定の予防安全性能を有している。

対する4代目には、夜間の歩行者検知と昼間の自転車検知機能が装備された「トヨタセーフティセンス」が全車標準装備化されている。
ただ、リヤクロストラフィックオートブレーキやブラインドスポットモニターといった日常の運転で頼りになる予防安全装備が一部オプション設定になっている。
高級SUVとしては、物足りないところだ。

内装

インテリアの質感もアップした4代目

4代目のインテリアデザインは、好感度が高い。
馬の鞍をイメージした、幅広く堂々としたセンターコンソールは個性的で、SUVらしい力強さを感じさせる。
また、厚革を曲げてできる自然なシルエットをイメージし、触り心地にもこだわったレザー調素材や「曲木(まげき)」に着想したウッド調加飾、パイピング加飾を随所に配したインテリアは、高級車らしい安心感や居心地の良さを上手く造り出している。

4代目の内装

さらに、トヨタ車初の装備である調光パノラマルーフを採用しているのも特徴。
スイッチひとつで、パノラマルーフの濃淡を変更、車内に入る光をコントロールできる。

対する3代目のインテリアは、4代目と比べると、SUVであることを感じさせないエレガントさが特徴だ。
インテリア素材にソフトパッドを積極的に使用し、ラグジュアリーSUVらしい上質な空間に仕上げている。

3代目の内装

3代目と4代目のインテリアデザインは、方向性が異なる。
クーペ的なエレガントな空間が好みなら、3代目。
SUVらしいタフネスが欲しいのであれば、4代目だ。
ただ、質感という面では技術が進化している4代目が優れる。

走り、メカニズム

進化幅が大きく、すべての面で4代目が上回る

4代目には、最新のGL-Kプラットフォームが採用されている。
しかも、2.0Lガソリンエンジン、2.5Lハイブリッドシステム、ダイナミックトルクコントロール4WD、ハイブリッド用4WDシステムであるe-FOURなど、多くの新技術も投入されている。
そのため3代目と比べると、進化幅が非常に大きい。
走行性能面では、もはや3代目が4代目を上回る部分は、ほとんどない。

4代目のメインパワーユニットとなる2.5Lハイブリッドのシステム出力は、2WD車が218ps、4WD車が222psだ。
対して3代目の2.5Lハイブリッドの出力は、197ps(4WD)。
4代目は、約13%もパワフルになっているのだ。
これは、大きくアクセルを踏んだ瞬間から違いを感じるほどの差だ。
EV走行領域も大幅に増えている。

さらに、新エンジンの投入のおかげで燃費も向上。
4代目ハイブリッドが26.3㎞/L(JC08、4WD)に対して、3代目は21.8㎞/Lとなっている。
20%以上もの燃費アップだ。
出力をアップしながら燃費を伸ばしているのだから、トヨタのハイブリッド技術は日進月歩といえる。

4代目の2.0Lガソリンエンジンは、新開発のダイナミックフォースエンジン。
出力は171ps&207Nm、燃費は15.4km/L(WLTCモード、FF)。
3代目の出力は151p&193Nm、燃費は16.0㎞/L(JC08モード、FF)だ。
WLTCモードの燃費は、JC08モードより20%くらい悪くなる傾向があることを考えると、4代目の2.0Lガソリン車も、大幅に燃費を伸ばしていることになる。
ただ、4代目の2.0Lガソリンエンジンは、アイドリングストップ機能が装備されていない。
「ハイブリッド車で環境性能をアピールしながら、ガソリン車では環境を無視した仕様」という矛盾した状態になっているのが、トヨタの悪癖だ。

4代目のエンジン
3代目のエンジン

3代目のユニークな部分もある。
3代目には、2017年6月のマイナーチェンジで2.0Lターボエンジンが搭載された。
燃費性能は13.0㎞/Lと目を見張るものはないが、出力は231ps&350Nmと非常にパワフル。
このエンジンは4代目には用意されていない。
パワフルさを重視したいのであれば、3代目の2.0Lターボ車という選択も悪くないだろう。

ハンドリング性能についても、やはり4代目が3代目を圧倒する。
最新のGA-Kプラットフォームの恩恵は大きい。
低重心化されていることもあり、カーブでの安定感は比べ物にならない。
3代目ではクルマの上部がユラユラと揺れる感覚があったが、4代目はそうした印象がなく、ピタッとドライバーの想定したラインを走る。
これはプラットフォームやボディだけでなく、4WDの制御によるものも大きい。

乗り心地も同様だ。
4代目は、とくに細かい凸凹もうまくサスペンションが吸収し、まるで滑っていくように快適な乗り心地となっている。
大きな凹凸も難なくこなす。
3代目はさすがにここまでではなく、粗さを感じてしまう。

4代目の運転席
3代目の運転席

ハイブリッド車の静粛性も4代目が圧倒。
市街地走行ではできるだけEV走行をしようと頑張るので、車内はかなり静粛性が高い。
高速道路などでは、意識していないとエンジンがかかったことが分かりにくいほどだ。
頻繁にエンジンが始動する3代目とは、全く異なる。
2.0Lのガソリン車も同様。
3代目は静かとは言えなかったが、4代目は高級SUVらしい静粛性を手に入れている。
エンジンは遠くの方にある印象で、静粛性は高い。

4代目のメーター
3代目のメーター

おすすめは4代目?それとも、3代目?

4代目と3代目の進化幅は、とても大きい

もはや、3代目が4代目を上回る要素はないだろう。
そのため、クルマの性能だけでみれば、4代目をおすすめしたい。

ただ、3代目にも独自のユニークな部分が残されている。

まず、デザインだ。
今でもあまり古く見えないデザインなので、旧型車感が非常に少ない。
4代目は従来使われてきた鷹のエンブレムからトヨタエンブレムに変更されているが、3代目は鷹のエンブレムだ。
エンブレムにこだわりがあるなら、3代目ということになる。

次に、走りの部分。
やはり2.0Lターボエンジンがポイントになる。
231ps&350Nmと非常にパワフル。
さらに、スポーティな走行性能に特化した「GRスポーツ」と呼ばれるグレードも設定されている。
あえて、3代目のこうしたグレードを選択するのもおもしろい。

3代目の中古車価格は、人気モデルのため高値となっている。
リセールバリューが高く、短期の乗り換えでも金銭的負担が少ない。

3代目ハイブリッドの価格相場は、2015年式で210~290万円程度となっている。
ただ、2015年式だと歩行者検知式自動ブレーキを含むトヨタセーフティセンスPが装備されていない。
おすすめはトヨタセーフティセンスPが標準装備されたマイナーチェンジ後のモデルだ。
そうなると中古車相場はグッとアップし、290~360万円位になる。
ただこの相場だと、あと少し予算があれば4代目ハイブリッドのエントリーグレードや、ガソリン車の上級グレードが手に入る。

あえて3代目ハイブリッドという選択なら、しばらく価格が落ちるのを待つといい。
4代目ハイブリッドの発売は2020年6月で、まだ納車が始まったばかり。
下取りとして入った3代目ハイブリッドの多くは、中古車マーケットにまだ流通していない状態だからだ。
3代目ハイブリッドの中古車流通量が多くなれば、多少値下がり傾向になると見込まれる。

3代目のガソリン車も同様に、2017年6月のマイナーチェンジ後のモデルがよい。
理由は、ハイブリッド車と同じで、マイナーチェンジ後のモデルはターボモデルも追加されており、選択肢が多いからだ。
3代目のガソリン車の中古車相場は、2015年式で180~260万円程度となっている。
ガソリン車でも上級グレードだと、ハイブリッドの中間グレードが狙えるくらいの価格帯だ。
高額なガソリン車を買うのであれば、燃費が良く静粛性も高いハイブリッドを狙った方がよい。
なお、2017年式のマイナーチェンジ後のモデルとなると、さらに相場はアップして230~320万円程度になる。
ガソリン車の高年式も、あと少しの予算があれば4代目のガソリン車が買えるくらいの価格帯になる。
ハイブリッド車同様、しばらく待って価格が落ちてからが買い時といえる。

新車値引き交渉のポイント

超人気車なので、1年程度は値引きゼロが続く可能性大

4代目の人気はすさまじく、トヨタの発表によると約1ヶ月で4.5万台が売れたという。
月販目標台数が3,100台なので、1年分以上のオーダーが入ったことになる。
これだけ大量のバックオーダーを抱えると、4代目の値引きはゼロベースが続くだろう。

こういう時は、待てるだけ待つのが得策。
バックオーダーが無くなり、納期が1ヶ月前後になると値引き額が拡大傾向になるからだ。
現在の状況を見ていると、少なくともバックオーダーが解消されるまで半年はかかると見込まれる。

「さすがに、そこまで待てない」というのであれば、4代目と価格帯の近いライバル車を探して競合させたい。
マツダCX-8や中古車のBMW X3やメルセデス・ベンツGLCなどと競合させても面白いだろう。
トヨタディーラーは全チャネルで全モデルが扱えるようになったので、経営が異なる2つのチャネル同士で、ハリアーを競合させることも可能だ。
しばらくの間、値引きはゼロベースとはいえ、多少競合させることで用品サービスや少しの値引きなどの対応を引き出すことができるだろう。

トヨタ ハリアーの価格・スペック

2.0Lガソリン車

  • S 2WD(FF):2,990,000円 / 4WD:3,190,000円
  • G 2WD(FF):3,410,000円 / 4WD:3,610,000円
  • G“Leather Package” 2WD(FF):3,710,000円 / 4WD:3,910,000円
  • Z 2WD(FF):3,930,000円 / 4WD:4,130,000円
  • Z“Leather Package” 2WD(FF):4,230,000円 / 4WD:4,430,000円

2.5Lハイブリッド車

  • S 2WD(FF):3,580,000円 / E-Four:3,800,000円
  • G 2WD(FF):4,000,000円 / E-Four:4,220,000円
  • G“Leather Package” 2WD(FF):4,300,000円 / E-Four:4,520,000円
  • Z 2WD(FF):4,520,000円 / E-Four:4,740,000円
  • Z“Leather Package” 2WD(FF):4,820,000円 / E-Four:5,040,000円
代表グレード トヨタ ハリアーZ ハイブリッド(E-Four)
全長/全幅/全高 4,740/1,855/1,660mm
ホイールベース 2690mm
車両重量 1740kg
最小回転半径 5.7m
エンジン型式 A25A-FXS
排気量2,487 cc
最高出力(kW[PS]/rpm) 131[178]/5,700
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) 221[22.5]/3,600-5,200
フロントモーター型式 3NM
フロントモーター最高出力(kW[PS]) 88[120]
フロントモーター最大トルク(N・m[kgf・m]) 202[20.6]
リヤモーター型式 4NM
リヤモーター最高出力(kW[PS]) 40[54]
リヤモーター最大トルク(N・m[kgf・m]) 121[12.3]
システム最高出力(kW[PS]) 160[218](FF) 163[222](4WD)
WLTCモード燃費 21.6㎞/L

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員