この記事の目次 CONTENTS
激戦必至のBセグSUVに属する新型キックス
洗練された新デザイン「ダブルVモーショングリル」を採用
上質感を追求したインテリア
約20%ものパワーアップした進化型e-POWERを搭載
より安全・安心な装備を全車に標準装備化
新型日産キックスの選び方
日産キックス価格、燃費、ボディサイズなどスペック

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

激戦必至のBセグSUVに属する新型キックス

日産は、BセグメントのコンパクトSUVである新型「キックス(KICKS)」の発売を開始した。

新型日産キックスが属するBセグメントSUVは、激戦必至のクラス。すでに、ホンダ ヴェゼルやマツダCX-3があるが、近々にはトヨタがヤリスクロスを投入予定。これから、さらに注目されていくクラスといえる。

日産には、このクラスにジュークが存在した。すでに、ジュークは生産が中止されていて、事実上、新型キックスはジュークの後継とえるモデルとなる。

そんな新型キックスは、かなり割り切った設定となった。パワーユニットは、シリーズハイブリッドのe-POWERのみ。駆動方式は、FF(前輪駆動)のみとなった。ガソリン車や、4WDの設定はない。

洗練された新デザイン「ダブルVモーショングリル」を採用

日産キックスのデザインは、なかなか洗練された迫力あるスタイルとなった。ボディサイズは、全長4290×全幅1760×全高1610mmとコンパクトながら、意外なほど大きく見える。

そんな印象を強く与えているのが、新しくなった日産の顔ともいえるダブルVモーショングリルだ。従来、Vモーショングリルが日産車であることをアピールしてきた。ただ、やたらたとVモーショングリルを強調し過ぎて、フロントフェイスに違和感を感じるモデルもあった。

今回新投入されたダブルVモーショングリルは、フロントフェイスのデザインと上手くインテグレートされていた、なかなか洗練されたフェイスとなった。

そして、リヤまわりでは、リヤピラーをブラック化することでルーフが浮いたように見えるフローティングルーフも特徴。スタイリッシュさを表現している。

また、前後のランプはすべてLED化。今更、LEDで先進感というのは古い感じがするが、特徴的がグラフィックで夜間でもひと目でキックスと分かるデザインとなった。

新型キックスのボディカラー設定はモノトーン9色、ツートーン4色の全13種類。カラーバリエーションは豊富なので、より好みのカラーが選べる。

さらに、メイン訴求色であるプレミアムホライズンオレンジ&ピュアブラックのツートーンは、オレンジタンの内装と組み合わせると、クラスを超えた上質感をアピールしている。なかなか、個性的なモデルといえる。

上質感を追求したインテリア

新型キックスインテリアは、シームレスで上質さを感じるモダンプレミアムな空間を目指した。もちろん、日常的な使い勝手重視している。

使い勝手の面では、グルーピングされた操作系のレイアウトが特徴。スッキリとしたデザインとしながら、同時に使いやすさも両立している。

インストルメントパネルには、ダブルステッチで丁寧に縫製されたソフトパッドを採用。このクラスでもソフトパッドは、もはや平均的ともいえるが、上質感はある。

そして、新型キックスのシートは、好みや個性に合わせて選べる2パターン用意された。Xグレードのシートは、クロスと合皮の組み合わせた実用的なアクティブなもの。より上質さを追求したX ツートーンインテリアエディションのシートは、オレンジタンによるスタイリッシュな仕様となっている。

新型キックスの後席のスペースは、ニールームを拡大し、600mmの余裕ある空間を確保。ヘッドルームも85mmあり、快適な後席となっている。

ラゲッジルームも広い。荷室容量は、BセグメントのコンパクトSUVではトップクラスの423Lを確保。9インチのゴルフバッグなら3個、Mサイズのスーツケース(675mm×452mm×250mm)なら4個を積載できる。

また、後方視界を後席の空間は、運転席と助手席のシート背面形状を最適化することでニールームを拡大し、600mmの余裕ある空間を作った。大人でも充分にくつろげる広い室内空間である。ヘッドルームも85mmが確保され、広くて快適な後席空間になった。

新型キックスのラゲッジルーム容量は、カテゴリーでトップクラスの423Lが確保され、9インチのゴルフバッグなら3個、Mサイズのスーツケース(675mm×452mm×250mm)から4個を積載できる広さを実現した。

そして、よりクリアな後方視界を確保したいのであれば、後方カメラ映像を表示するインテリジェントルームミラー(オプション)が用意されている。

そして、新型キックスの最小回転半径はクラス最小の5.1m。コンパクトカーらしく、小回りが利き、狭い道や駐車場でも運転しやすいのも大きなメリットといえる。

約20%ものパワーアップした進化型e-POWERを搭載

新型キックスのパワーユニットは、シリーズハイブリッドシステムであるe-POWERを搭載。新型キックスには、ガソリン車の設定はなく、e-POWERのみとなった。コンパクトカーのノートも、販売のほとんどがe-POWERであること、電動化が進む未来、上質さを追求したコンパクトSUVであることを考えれば、当然の選択といえるだろう。ただ、新型キックスは価格がやや高めなので、売れ行き次第ではガソリン車の投入もありえる。

シリーズハイブリッドは、エンジンが発電し、その電力を使いモーターで走行する。発電用に使われるエンジンは、1.2L直列3気筒DOHCのHR12DE型。最高出力は60kW(82ps)/6000rpm、最大トルクが103N・m(10.5kgf・m)/3600~5200rpmとなる。

駆動用電気モーターはEM57型。最高出力が95kW(129ps)/4000~8992rpm、最大トルクが260N・m(26.5kgf・m)/500~3008rpmとなる。動力用主電池は、リチウムイオン電池だ。ノートの出力が109psなので、約20%もパワーアップしている。

新型キックス用の駆動モーターは、バッテリーの能力を最大限に引き出す最新技術を採用した結果だ。ノートe-POWERより、伸びのある加速が期待できる。

さらに、他のe-POWERで得たノウハウを元に発電用エンジンの制御を最適化。エンジンの作動時間を短縮し、車体の遮音・吸音性能を高めることで、これまでにない優れた静粛性を手に入れている。

より安全・安心な装備を全車に標準装備化

新型キックスには、同一車線を維持しながら全車速で追従走行できるプロパイロットや、歩行者検知式自動ブレーキであるエマージェンシーブレーキなど、一定レベル以上の安全装備が標準装備化されている。これにより、サポカーS ワイドに該当し、サポカー補助金の対象だ。

このほか、交通事故や急病などの緊急時に、位置情報、センサー情報を元に専門のオペレーターが消防指令センターや警察に迅速に連絡するSOSコールを全車に標準搭載。もしもの時も安心できる装備だ。

新型日産キックスの選び方

新型キックスのグレード選びは簡単だ。Xグレードの1グレード設定で、内装の仕様が異なる、X ツートーンインテリアエディションがあるだけだ。しかも、パワーユニットはe-POWERのみで4WDはなくFFのみ。つまり、2択となる。

基本メカニズムや装備類は共通。違いは、鮮やかなオレンジタンカラーのインテリアとシートヒーター、ステアリングヒーターなどが大きな違い。シートヒーター、ステアリングヒーターは、Xグレードでもオプション選択できるので、オレンジタンカラーのインテリアが必要か否かということになる。こうした装備は、好みと予算次第といったところだ。

オプションも少ない。お勧めオプションは、インテリジェント アラウンドビューモニター(移動物 検知機能付)と、インテリジェント ルームミラー。インテリジェント アラウンドビューモニター(移動物 検知機能付)は、車両周辺を加工した映像により、俯瞰で見ることができる。そのため、死角にある障害物や歩行者を確認できるので、より安全な運転が可能となる。

日産キックス価格、燃費、ボディサイズなどスペック

日産キックス価格

  1. キックスX  2,759,900円
  2. X ツートーンインテリアエディション 2,869,900円

日産キックス スペック(燃費・ボディサイズなど)

代表グレード キックスX
ボディサイズ 全長4290×全幅1760×全高1610mm
ホイールベース 2620mm
最低地上高 170mm
車両重量 1350kg
乗車定員 5名
最小回転半径 5.1m
燃費(WLTCモード) 21.6km/L
モーター型式 EM57
モーター最高出力 95kW(129PS)/4000-8992rpm
モーター最大トルク モーター260N・m(26.5kgf・m)/500-3008rpm最大トルク