日産ルークス vs ホンダN-BOX徹底比較!人気のスーパーハイト系対決

日産ルークスとホンダN-BOXを徹底比較。
最近では新車販売の約40%を軽自動車が占めるようになった。
そんな軽自動車の中でも、圧倒的人気を誇っているのがスーパーハイト系と呼ばれるセグメントだ。
今回はそんなスーパーハイト系の最新モデルとなるルークスと、新車販売台数ナンバー1の座を守り続けるN-BOXを燃費性能、価格、デザイン、車内空間、安全装備、走行性能などさまざまな角度から比較した。

この記事の目次 CONTENTS
ルークスの特徴
N-BOXの特徴
1.燃費比較
2.価格比較
3.購入時の値引き術
4.デザイン比較
5.室内空間と使い勝手
6.安全装備の比較
7.走行性能の比較
8、リセールバリュー比較
9.まとめ・総合評価

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

日産ルークスの歴史は、少し複雑だ。
初代ルークスは、2009年にスズキからOEM供給されたパレットだ。
その後、2014年にデイズ ルークスと車名を変更して登場する。
現行モデルは2020年3月のデビューし、ルークスという車名になった。

3代目ルークス 3代目ルークス

ルークスのみの単独車名で判断するのであれば、現行ルークスは2代目、デイズ ルークスを含むのであれば3代目となる。
ここでは、現行ルークスを3代目と表現する。

一方、初代ホンダN-BOXは、2011年末の登場だ。
実はN-BOXの登場以前は、ホンダはあまり軽自動車マーケットに注力していなかった。
しかし、リーマンショックにより国内生産が大幅ダウンすると、主力工場である鈴鹿製作所の維持・活用の目的もあり、軽自動車マーケットに本格参戦した。
こうして出来上がったホンダ渾身の軽自動車Nシリーズ第1弾が、初代N-BOXだ。

初代N-BOXは、発売後、瞬く間に大ヒット。
登録車を含む新車販売台数ナンバー1を何度も獲得するほど、売れに売れた。

2代目N-BOXは2017年9月に登場。

2代目N-BOX 2代目N-BOX

初代N-BOXのキープコンセプトとしながら、さらに洗練させたモデルが2代目N-BOXだ。
2代目N-BOXの人気も衰えることはなく、新車販売台数ナンバー1の王座に君臨する。
「軽自動車はN-BOXを買っておけば安心」、そんな定番モデルに成長した。

ルークスの特徴

評判の室内スペースを拡大、低燃費化を実現した日産色の強いモデル

先代にあたる2代目デイズ ルークスは、日産と三菱の軽自動車に関する合弁会社NMKVによるモデルだ。
主に日産が企画、三菱が開発・生産を行い、三菱色が強いモデルとなった。
しかし3代目ルークスは、日産が企画・開発、三菱が生産を行った。
これにより、3代目ルークスは日産色の強いモデルに仕上がっている。

ルークス外観 ルークス

3代目ルークスは、定評のあった室内スペースを、更に拡大。
エンジンはマイルドハイブリッドシステムを採用し、低燃費化した。
また操縦安定性も飛躍的に向上し、2代目デイズ ルークスをほぼすべての面で大幅に上回る性能を手に入れている。

N-BOXの特徴

広い室内空間と存在感のあるデザインはそのままに予防安全装備を大幅進化

2代目N-BOXは、「日本の家族のしあわせのために」をコンセプトに、ファミリーカーの新たなスタンダードとなることを目指して開発された。

N-BOX外観 N-BOX

初代N-BOXで高く評価されていた広い室内空間や、存在感のあるデザインは継承。
初代N-BOXが後期に弱点となっていた、予防安全装備も大幅進化した。
歩行者検知式自動ブレーキ含む安全装備パッケージ「ホンダセンシング」を、ホンダの軽自動車で初めて全車標準装備している。

1.燃費比較

ルークスの評価は3点
N-BOXの評価は3.5点

車重が重いから!?ルークス惜敗

ルークスのエンジンは、従来の三菱製から日産製に変更。
小さなモーターをプラスした、マイルドハイブリッドシステムが搭載された。
ベーシックな自然吸気エンジンの燃費は20.8km/L(WLTCモード)。
ターボエンジンは、18.8km/Lとなっている。

対するN-BOXは、自然吸気エンジンが21.8km/L(WLTCモード)、ターボエンジンが20.4km/Lだ。

マイルドハイブリッドシステムが付いていないN-BOXの方が燃費がよいという、微妙な結果となっている。
この要因のひとつが、車重であると予想できる。
ルークスの車重は940~1,000kg、N-BOXは890~960㎏で、ルークスの方がやや重いのだ。

2.価格比較

ルークスの評価は4点
N-BOXの評価は3点

N-BOX対策か?装備充実ながらに安価な価格設定としたルークス

ルークスの最上級グレードは、ハイウェイスターGターボ プロパイロットエディションで1,932,700円。
N-BOXの最上級グレードは、カスタムEXターボ ホンダセンシングで1,996,500円だ。
6万円ほどN-BOXが高い。

細かい装備差はあるものの、ルークスにはニーエアバッグやSOSコールが標準装備化されており、充実している印象を受ける。
それでいて安価だ。
コストパフォーマンスは、ルークスが若干上回る。

3.購入時の値引き術

ルークスの評価は3点
N-BOXの評価は4点

新型コロナの影響で新型車も値引きの期待大!

新型コロナ不況で、新車販売はとても低迷している。
こうなると、数少ない顧客を奪い合う状態となり、かなり買い手が有利だ。
大幅値引きのチャンスといえる。

通常、ルークスはデビュー直後の新型車なので、値引きはゼロがベースとなる。
しかし日産の場合、新型コロナ不況に加え、大幅な赤字経営となっており、とにかく1台でも多く売りたいという状況だ。
ただし、「新型ルークスの指名買い」状態でお店に行けば、値引きは期待できなくなる。
本命がルークスではない、と思わせる工夫が必要だ。
その工夫とは、ライバル車と競合させること。

まずは、ルークスより先に、ライバル車となるN-BOXやダイハツ タント、スズキ スペーシアの見積りを取っておこう。
そしてルークスの商談時に、「N-BOXを買おうと思って見積りを取った帰りに寄ってみたけど、ルークスもなかなかいいなぁ…」などと話し、ルークスも購入予定車の1台に入る可能性があると営業マンに思わせる。
「他社から奪い取りたい」と感じさせることが重要だ。
その上で「予算が厳しい」、「支払金額次第ではルークスもあり」など、さり気なく値引きを要求しよう。
当日決めるのはNG。商談期間は長めにする。
「いつになったら決めてくれるんですか?」と営業マンが焦ってきたらチャンスだ。
「あと○○万円値引きしてくれたら、すぐ購入する」などと言って、更なる値引きを要求しよう。

対するN-BOXは、2017年にデビューしていることから、値引き金額はすでに大きくなっている。
そのため、新型ルークスなどと競合させれば、かなりの値引きが期待できる。
しかも、N-BOXは今秋にもマイナーチェンジ予定。
在庫一掃セールが行われる可能性も高い。
すぐにマイナーチェンジするクルマゆえ、値引きが大前提として商談に望むのがよい。

4.デザイン比較

ルークスの評価は4点
N-BOXの評価は4点

両車とも軽自動車の枠を超えた上質感あるデザイン

新型ルークスは、「品があり凛とした軽スーパーハイトワゴン」としてデザインされている。
外観デザインは、基準車の他に他社のカスタムに相当するハイウェイスターを用意。
さらに基準車をベースに、より個性的で上質に仕上げたカスタマイズモデル、オーテックも用意されている。

基準車、ハイウェイスターともにキレ長のヘッドライトが特徴で、スポーティな仕上がり。
人気のハイウェイスターは、日産のデザインアイコンである太めのVモーショングリルが装備され、より迫力あるスタイルとなっている。

ルークスのフロントフェイス ルークスのフロントフェイス

インテリアについては、室内をより広く感じさせる水平基調のデザインを採用。
ダッシュボードからドアパネルへと包み込まれる、安心感のあるデザインとなった。
グレードにもよるが、質感も高い。

ルークスのインテリア ルークスのインテリア

一方、N-BOXは、洗練と上質をまとったデザインに仕上げられた。
大ヒットした初代N-BOXのデザインを基本的には踏襲しながら、やや丸みを持たせている。
全タイプに、LEDヘッドライトを標準装備。
カスタムには、9灯LEDランプに流れるように点滅するシーケンシャルウインカーが装備され、クラスを超えた上質感をアピールしている。

N-BOXのフロントフェイス N-BOXのフロントフェイス

基準車のインテリアは、明るいベージュが基調のリラックスできるデザイン。
カスタムは、ブラックを基調とした、スポーティで上質な空間となった。
メーター類を含め、従来の軽自動車を超えた上質なインテリアだ。

N-BOXのインテリア N-BOXのインテリア
N-BOXメーター N-BOXのメーター

5.室内空間と使い勝手

ルークスの評価は4.5点
N-BOXの評価は4.5点

使い方次第!独自のシートアレンジをもつルークスとN-BOX

室内空間の広さを判断する指標のひとつであるホイールベースは、ルークスが2,495mmでN-BOXが2,520mmとなっている。
室内長はルークスの2,200mmに対して、N-BOXは2,240mmとなった。
数値的に見れば、ややN-BOXが広いことになる。
ただ、実際にはほぼ互角といった印象で、それぞれシートアレンジで空間が変わるのが特徴だ。

ルークスの魅力は、320mmのロングスライド。
後席に人を乗せる場合、リヤシートを最後端にすれば、クラストップレベルの広さになる。
反対に、最前端にスライドさせれば、荷室容量がクラストップレベルとなる。

ルークスの後 ルークスの後席
ルークスの荷室

一方、N-BOXのユニークな機能は、後席座面が上方にはね上がること。
この機能を使えば、背の高い鉢植えなど倒して収納できないような荷物を縦で積載できる。
また上級グレードには、スライド量570mmという助手席スーパースライドが設定されている。
これを前方にスライドさせれば、大きな荷室や広大な後席スペースとなる。
逆に後方にスライドさせると、後席右側シートの距離が近くなり、チャイルドシートに乗せた子供の世話や会話もしやすくなる。

N-BOXの助手席 N-BOXの助手席
N-BOXの荷室 N-BOXの荷室

ルークスとN-BOXでは、目的によりシートアレンジに異なるので、自分がどのような使い方をする頻度が高いかで選ぶとよい。

6.安全装備の比較

ルークスの評価は4点
N-BOXの評価は3.5点

上級グレードではルークス優位

歩行者検知式自動ブレーキなどは、両車ともに同等レベル。
その他の安全装備は、より開発時期の新しい2020年3月の発売のルークスの方がやや優れている印象だ。
ルークスの上級グレードには、車線を維持し前走車に追従して停止、再発進が可能なプロパイロットが標準装備されている。
また、従来は一部の高級車のみに装備されていたSOSコールも搭載されている。
この機能は、事故発生時にエアバッグが展開するような衝撃を受けると、専門オペレーターに自動通報。
ドライバーの意識がない場合などは、専門のオペレーターが警察や消防へ通報するなどのサポートを行ってくれるものだ。
クラスを超えた安全装備といえる。

ただ、これらの機能が標準装備されているのは、上級グレードのみ。
これらが装備されていないグレードは、前走車追従タイプのクルーズコントロール機能がないことになる。
安全性能を重視するのであれば、上級グレードを選びたい。

一方、N-BOXはこうした機能がパッケージ化された「ホンダセンシング」を、全車標準装備している。
つまり、上級グレード以外ではN-BOXの方が、安全装備が充実していることになる。

さらにルークスは、エアバッグ類でもグレードにより差がついている。
プロパイロットやSOSコールが装備されている上級グレードには、運転席ニーエアバッグが標準装備されているが、その他のグレードはサイド&カーテンエアバッグが標準装備だ。
対するN-BOXも、サイド&カーテンエアバッグの標準装備化には消極的。
エントリーグレードは装備不可となっている
1グレードがオプション設定となっており、エントリーグレードは選びにくい設定だ。

両車共に、一長一短といった安全装備。
ただ、価格的にはルークスが若干安価な設定になっている。
予算と必要な機能を考慮し、選択する必要があるだろう。

7.走行性能の比較

ルークスの評価は4点
N-BOXの評価は3.5点

ルークスはクラストップレベルの操縦安定性と乗り心地

先代のデイズ ルークスは三菱主体の開発だった。
しかし新型ルークスは日産主体の開発となり、プラットフォーム(車台)やエンジンが一新されている。
エンジンはBR06型と呼ばれ、自然吸気は52ps&60Nm、ターボエンジンは64ps&100Nmをアウトプット。
このエンジンに小さなモーターをプラスし、全車マイルドハイブリッドとしている。
対するN-BOXのエンジン出力は、自然吸気が58ps&65Nm、ターボが64ps&104Nm。
エンジン単体では、N-BOXの自然吸気エンジンがなかなかパワフルに感じられる。

ルークスのエンジン ルークスのエンジン
N-BOXのエンジン N-BOXのエンジン

両車共に1トン弱という重いボディ。
そのため、高速道路や急な登り坂といった場面での自然吸気エンジンでの加速は、少々非力感がある。
市街地走行では、わずかにモーターアシストするルークスの方が、アクセルレスポンスがよく感じた。
ただ、全開加速でエンジンを高回転まで回したときの、加速の伸びはN-BOXが勝る。

乗り心地や操縦安定性は、ルークスがやや上回る。
ルークスは、やや硬めの乗り心地ということもあり、クルマの傾きも良く抑え込まれていて安心感がある。揺れ戻しの収束も早い。
一方でN-BOXのサスペンションセッティングは、やや柔らかめ。
そのため、市街地などの低速域では乗り心地がよいが、速度が上がるとクルマの傾きが大きくなり安定感にやや欠ける。

静粛性に関しては、ほぼ互角といったところ。
巡行時の静粛性は、少しだけルークスの方が静かだ。
ただ、両車とも高速巡行になると、エンジン回転数が高めになることもあり、やや賑やかな車内になるのが難点だ。

8、リセールバリュー比較

ルークスの評価は4.5点
N-BOXの評価は4.5点

超人気カテゴリーゆえに両車とも高値確定!?

軽自動車は、元々高いリセールバリューを誇る。
そんな軽自動車の中で、最も高い人気を誇るスーパーハイト系であれば、リセールバリューが下がる要素が見当たらない。
両車ともに高値確実だ。
特にルークスであればハイウェイスター、N-BOXならカスタムがより高値となる。

ただN-BOXについては超人気車で発売台数があまりに多いことから、ややリセールバリューが下がる傾向がある。
一般的には中古車マーケットも新車同様、人気モデルのリセールバリューが高値になる。
ところが、N-BOXのように新車で売れ過ぎていると、リセールバリューが下がることがあるのだ。
中古車マーケットの需要以上に、供給が増えてしまうからだ。
そうなると、価格は徐々に下がり始める。

ルークス、N-BOXともに、プラス査定となる要素は、ハイウェイスターかカスタムで左右パワースライドドア、ナビ。
最上級グレードのターボ車は、中古車流通量が少ないので高値傾向になる。

9.まとめ・総合評価

ルークスの総合点は31点/40点
N-BOXの総合点は30.5点/40点

総合力では最後発のルークスに軍配

ルークスとN-BOXの比較結果は、わずかにルークスが上回っている。
やはり、最後発でライバル車を研究して誕生したルークスがよいのは当り前、といった結果になった。
ただし、ルークス選ぶならプロパイロットやSOSコールが装備された上級グレードがおすすめだ。

N-BOXも悪くはないが、操縦安定性部分はやはり古さが出ている部分でもある。
2020年秋に、マイナーチェンジを行う予定のN-BOX。
このマイナーチェンジで、ルークスを上回る進化が期待できる。
急いで買う必要がないのであれば、N-BOXのマイナーチェンジを待ってから購入を決めるのがベストだ。

また、ルークスやN-BOXは少ないのだが、その他のメーカーでは、登録済未使用車※が多く流通している。
登録済未使用車とは、買い手がいないのにディーラーやメーカーの都合で届出(登録)してしまった車両。
新車コンディションなのだが、一度届出すると中古車扱いになるため、多くの中古車店で販売されている。
こうした車両は、グレードやオプション、色など多少妥協できれば、かなり格安で手に入る。
新型コロナ不況で、ますますこうした未使用車が増えてくることが予想できる。
少しでも安価に手に入れたいのなら、こうした未使用車を狙ってみるのもおすすめだ。

※初度登録された車両で、かつ使用または運行に供されていない中古車

  日産ルークス ホンダN-BOX
総合得点(40点満点) 31点 30.5点
1.燃費 3点 3.5点
2.価格 4点 3点
3.購入時の値引きしやすさ 3点 4点
4.デザイン 4点 4点
5.室内空間と使い勝手 4.5点 4.5点
6.安全装備 4点 3.5点
7.走行性能 4点 3.5点
8.リセールバリュー 4.5点 4.5点