グローバルで人気が高まっている「SUV」。中でも特に、Cセグメントに属するコンパクトSUVが人気の中心だ。
今回はそんなコンパクトSUVの中から、国産プレミアムブランドであるレクサスUXと、2018-2019日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞した話題のボルボXC40を取り上げる。
燃費性能、価格、デザイン、車内空間、安全装備、走行性能などさまざまな角度から比較する。
- この記事の目次 CONTENTS
- UXの特徴
- XC40の特徴
- 1.燃費比較
- 2.価格比較
- 3.購入時の値引き術
- 4.デザイン比較
- 5.室内空間と使い勝手
- 6.安全装備の比較
- 7.走行性能の比較
- 8.リセールバリュー比較
- 9.まとめ・総合評価
レクサスUXは、2018年11月に新型車として投入された。
当時、国産セダンマーケットがシュリンクしていく中、レクサスブランドも同様に不振にあえいでいた。
そんな中、好調だったのがRXやNXといったSUVだ。
国内や欧州などでは、使い勝手がよく、販売台数も期待できるコンパクトSUVが待ち望まれていたのだ。
そんなマーケットの要求に応えて登場したのが、新型UXだった。
UXのコンセプトは、「Creative Urban Explorer」。
オフロードを意識したSUVというより、都市での使い勝手を重視した都会派SUVだ。
全高もあまり高くないので、少し背の高いコンパクトカーのようでもある。
一方、新型車ボルボXC40は、CセグメントのコンパクトSUV人気に対応すべく投入された。
ボルボのSUVラインアップ中、最もコンパクトなSUVがXC40だ。
このXC40は、「CMA(コンパクト・モジュラー・アーキテクチャ)」を初採用したモデル。
走りの質感も高く、非常に完成度の高いモデルに仕上がった。
洗練されたカジュアルなデザインの評価も高く、2018-2019日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞した実力派でもある。
コンパクトSUVながら、ボルボの誇る最新安全技術が全車に標準装備されているのも魅力だ。
UXの特徴
パワフルな2.0Lハイブリッドを搭載
UXには、GA-Cプラットフォーム(車台)が採用されている。
このプラットフォームは、主にCセグメント用のもの。
トヨタブランドで同じSUVの、C-HRやプリウスなどにも使われている。
UXではこれをベースに、専用チューニングが施されている。
パワーユニットはC-HRとは異なり、2.0L自然吸気エンジンと2.0Lハイブリッドを用意。
2.0LはFF(前輪駆動)のみ。
2.0Lハイブリッドは、FFと4WDが設定された。
排気量が異なるハイブリッドということもあり、C-HRのシステム出力122psに対して、UXは184psと非常にパワフルなのが特徴だ。
ボディサイズは、全高は1,540mmと低く、全幅は1,840mmとワイド。
まるでスポーツモデルのように、ワイド&ローなシルエットをもつ。
XC40の特徴
惜しみ無く、最新の安全装備を標準装備化
ボルボ車の魅力のひとつが、優れた先進安全装備だ。
自動車メーカーは高級モデルには先進安全装備を用意するが、コンパクトモデルには機能を省いたものを用意するケースが多い。
しかし、ボルボは先進安全装備をコンパクトSUVのXC40にも惜しみなく投入した。
しかも、全車標準装備だ。
先進安全装備はグレードや車格で差を付けない、という安全思想は高く評価できるだろう。
またボルボ車の魅力は、洗練された美しさのスカンジナビアンデザインにもある。
日本車はもちろん、日本で人気のドイツ車とも明確に異なるデザインだ。
その存在はユニークで新鮮。
多くのコンパクトSUV群の中でも、XC40は際立つ存在感をアピールする。
1.燃費比較
UXの評価は4.5点
XC40の評価は3点
ハイブリッドのUXが圧勝!
UXの燃費は、FF(前輪駆動)の2.0Lハイブリッド車が22.8km/L(WLTCモード)、2.0Lガソリン車が16.4km/Lとなっている。
対してXC40はFFの2.0LターボのT4が13.6km/L(JC08モード)、T4 AWDが13.2㎞/L、ハイパワー仕様のT5 AWDが12.4km/Lだ。
ボルボにはPHEVシステムがあるが、日本では導入されていない。
燃費面ではUXの圧勝といえる。
2.価格比較
UXの評価は3点
XC40の評価は2.5点
グレードにより異なるコストパフォーマンス
UXの価格帯は397~550万円。
XC40は396~570万円と、ほぼ同等といった状態だ。
装備に大きな差はないので単純比較すると、XC40の2.0LターボとUX250hのハイブリッドの価格が同等ということは、UX250hのコストパフォーマンスが優れていることになる。
ハイブリッドシステムはガソリンエンジンより、大幅にコスト高になるからだ。
ただ、自然吸気2.0LガソリンのUX200で比較すると逆になる。
自然吸気エンジンよりコスト高になる2.0Lターボエンジンを積むXC40の価格と、UX200が同等ということは、UX200よりXC40の方がコストパフォーマンス優れていることになる。
まとめると、XC40に対してUX200は割高、UX250hはお買い得といった印象だ。
3.購入時の値引き術
UXの評価は2点
XC40の評価は3点
値引きの期待ほぼゼロなUX。タイミングが良ければ、期待ありなXC40
レクサスは、値引きゼロ戦略を継続中。
しかもUXは人気が高いため、値引きは非常に厳しい状況だ。
よほど何らかの理由が無い限り、大幅値引きは期待できない。
ただ何もしなければ、僅かな値引きや用品サービスさえも得られないので、XC40やメルセデス・ベンツGLC、BMW X1などと競合させることが必要だ。
一方、XC40は、デビュー直後は長い納期待ちになっていて値引きはほとんど期待できなかったが、最近は一般的な輸入車の納期に戻ってきている。
それでも人気モデルのため、値引き額は小さい。
ただ輸入車の場合、国内に在庫があれば、値引きを引き出すことができる可能性がある。
在庫車があれば、UXやGLC、X1などと競合させて値引きを引き出したい。
現在、新型コロナによる不況ということもあり、新車販売は非常に低迷している。
少ない顧客の奪い合い状態が続いているので、買い手が有利だ。
ライバル車と競合させ、商談期間を長めに取り、ジリジリと値引き額を引き上げていくと良いだろう。
4.デザイン比較
UXの評価は3.5点
XC40の評価は4点
力強さと安定感のあるUX、洗練されたスカンジナビアンデザインにカジュアルさをプラスしたXC40
UXには、「セキュア」をキーワードとしたデザインが採用されている。
「セキュア」とは、安心な・危険のないという意味。
SUVに備わる「タフな力強さ」、「守られている安心感」、「見晴らしのよさ」を表現している。
こうしたキーワードでデザインされたUXは、他のレクサス車と同様に、複雑な線と面で構成される。
人によっては面と線の構成が複雑すぎて、ややうるさく感じるかもしれない。
ただ、縦方向に厚みをもたせたボディや前後の張り出したフェンダーが、小さいボディながらSUVらしい力強さと安定感を感じさせる。
中でも個性的なのが、リヤのコンビネーションランプだ。
左右一体の翼形状とし、両端を立体的な縦フィン造形にすることで、走行安定性に寄与する空力性能を確保している。
さらに夜間にランプが点灯すると、左右が一直線につながって光っているように見える。
本来なら、バックドアの切れ目があるので、つながって光るように見えないはず。
しかし、デザイン・技術的こだわりにより一直線につながって光っているように見せており、この車のユニーク性をアップしている。
夜なら、個性的なリヤコンビネーションランプの発光だけで、UXであることが分かるほどだ。
対するXC40も、都会派SUVといえるデザインに仕上がっている。
ボルボのSUVの特徴は、高級感のある洗練されたスカンジナビアデザイン。
コンパクトSUVであるXC40は、この洗練されたスカンジナビアンデザインはそのままに、カジュアルさをプラスした。
その理由は、メインターゲットを若い世代としているため。
SUVらしいタフネスさはあるものの、オフローダー的な泥臭さは無い。
また、フロントフェイスには新世代ボルボの共通アイコンである、北欧神話の「トールハンマー」をモチーフとしたT字形LEDヘッドライトを採用。
グリル形状は、前方に張り出した押し出し感を強調するタイプではなく、やや控えめでシンプルなデザインとなった。
またサイドビューは、リヤのクオーターガラス部分が後方に向けて大きく上方に跳ね上がり、Cピラーと一体化するデザインとなっている。
総じて、塊感あるスタイリングになった。
5.室内空間と使い勝手
UXの評価は3点
XC40の評価は3点
室内空間はほぼ同等。荷室の広さはXC40
XC40のボディサイズは、全長 4,425×全幅1,875×全高1,660mm、ホイールベースは2,700mmだ。ホイールベースはXC40の方が長い。
ホイールベースの長さは、室内空間の広さに直結するのだが、後席はわずかだがUXの方が広め。
しかし、全高を抑えたデザインが影響して、頭上のスペースはXC40の方が広い。
UX250hのおすすめオプションは、AC100V・1500Wのアクセサリーコンセント。
1500Wまで使えるので、一般家庭の電子レンジやエアコン、洗濯機などが使えるようになる。
キャンプなどのアウトドアで家電製品が使えるようになるだけでなく、災害で停電になったときにも便利だ。
電源車として活躍できる。
トヨタ系ハイブリッド車のユニークな装備だ。
大きな差となったのが荷室だ。
ボルボの荷室容量は460Lなのに対して、UXは220Lとなった。2倍以上の差。
荷室を見れば、誰もがひと目で分かるレベルの差だ。
UXはデザインを優先した結果、荷室はかなり割り切ったサイズとなっている。
4人で旅行に行く場合、4人分の荷物を積載するのはかなり厳しいだろう。
「荷物をたくさん載せて長距離ドライブ」というタイプのクルマではないのだ。
一方XC40は、さすがといえる積載量で、十分なスペースが確保されている。
しかし、「日本の狭い道での使い勝手」という面では、UXの圧勝になる。
小回り性能の目安となる最小回転半径は、UXの5.2mに対して、XC40は5.7m。
0.5mの差は大きく、駐車場での出し入れなどは、小さいボディながらXC40はかなり苦労する。
5.7mの最小回転半径は、大型ミニバンであるトヨタ アルファード/ヴェルファイア並みだ。
全幅も1,875mmと、かなりワイドなので改善が必要だ。
6.安全装備の比較
UXの評価は3点
XC40の評価は4.5点
安全装備については、UXは旧態依然の考え方に基づいている。
すべてのグレードに標準装備されているのは、最低限の昼夜歩行者検知機能、昼間の自転車検知機能の自動ブレーキだ。
もはやローテクともいえる機能は、オプション設定もしくは装備不可という状態。
例えば、後側方車両接近警報であるブラインドスポットモニター[BSM]、カメラ映像を合成し、クルマを俯瞰から見えるようにして死角を無くすパノラミックビューモニターなどだ。
「より安全にしたいならもっとお金を出してください」という考え方だといえる。
「すべての顧客に、最高の安全性能を提供する」という姿勢ではない。
これは、同じクルマであっても安全格差を生んでいる。
対するXC40では類似のこうした装備は、もちろん全車標準装備だ。
さらにUXの自動ブレーキ性能に加え、大型動物検知機能(夜間含む)、インターセクション・サポート(右折時対向車検知機能)、対向車対応機能、オンカミング・レーン・ミティゲーション(対向車線衝突回避支援機能)まで備える。
ボルボは、安全にこだわるメーカーのひとつ。
そのため、コンパクトモデルのXC40だからといって、手を抜くことはない。
XC40は、ボルボ自慢の最新安全装備で16種類以上の機能をもつ「インテリセーフ」を全車標準装備している。
ボルボの安全に対する姿勢で高く評価したいのは、グレードにより安全装備に差がないこと。
つまり、エントリーグレードでも最上級グレードでも安全性能は同じなのだ。
一般の道路を走る以上、上級グレードだからよりリスクが低く、エントリーグレードはリスクが高いということでは、意味がない。
すべての顧客が等しく同じ安全性能を得ることで、交通安全という自動車メーカーが負わなければならない社会的責任を果たすことになる。
7.走行性能の比較
UXの評価は3.5点
XC40の評価は4.5点
静粛性に優れるUX250h、軽快で乗り心地抜群のXC40
UX250hには、2.0Lハイブリッドが搭載されている。
トヨタブランドで同じSUVのC-HRのシステム出力が122ps。
それに対して、UX250hは184psなのでとてもパワフルだ。
C-HRではやや非力に感じる瞬間があったが、UX250hはそれが無かった。
2.0Lガソリンエンジンは、174ps&209Nm。
なんと、ガソリンエンジンはハイオク仕様になっている。
このエンジン、レヴリミットが6,600回転と高め。
だが、高回転まで気持ちよく伸びるというより、全体的にモワーっとした印象で気持ちの良い回転フィールではない。
とても、普通なエンジンだ。
ただ、新開発のダイレクトCVTは好印象。
従来のベルトとプーリーによる駆動に加えて発進用のギヤを追加しており、発進時、CVTらしからぬダイレクトなフィーリングになる。
対するXC40の出力は、T4系が2.0L直4ターボで190ps&300Nm、T5系が252&350Nmとなっている。
T4系は、1,400回転という低回転で300Nmの大トルクを発生。
ターボエンジンなので、アクセルを踏んだ瞬間、僅かな間があるものの、非常に力強い加速性能を誇る。
かなりグイグイ行くが、高回転域でやや早めに頭打ちになる。
パンチの効いたパワー感があるエンジンではない。
T5はT4に比べて少し高回転まで回り、パンチのあるパワー感が味わえる。
普通に走っている分にはT4とT5に大きな差は感じないが、高回転域ではさすがにT5の方が圧倒的に速い。
スポーティな走りなら、T5だ。
UXとXC40共に、パワーユニットそのものはとくに官能的とか気持ちのよいといったタイプではなく、実用的なものだ。
UXの2.0Lは自然吸気エンジンなので、当然、XC40と比べると非力に感じる。
UX200は価格、走行性能面で微妙な存在だ。
圧倒的だったのが、UX250hの静粛性。
モータードライブでの走行では特に静かで、ハイブリッド車の真骨頂といったところだ。
UXは乗り心地については、良好。
レーザースクリューウェルディングや構造用接着剤の使用部位拡大と、ドア開口部への環状構造の採用により、ボディの高剛性化を実現している効果だろう。
ただ、ランフラットタイヤが装着された18インチホイール車は、少々ドタバタした乗り味になることもあった。
ハンドリングは全高が低めということもあり、キレのあるスポーティなものをイメージしたが、意外と普通。
とくに不満はないが、特徴があるわけでもない。
まぁ、自然ということなのだろう。
XC40のハンドリングは、とにかく軽快。
背の高さを感じさせず、SUVとは思えないくらいヒラヒラと連続するカーブを走り抜けていく。
新世代のボルボ車のハンドリングを感じた。
また、特筆すべきは乗り心地。
もはやクラスを超えた快適さで、路面の凹凸をしなやかに吸収し、車内はフラット。
よいクルマに乗っている感がスゴイ。
UXも悪くは無いのだが、相手が悪かった。
XC40の乗り心地やハンドリングは、このクラスでは、完全に頭ひとつリードしている。
8.リセールバリュー比較
UXの評価は4.5点
XC40の評価は4点
高値安定のUX。先行き不透明なXC40
レクサス車のリセールバリューは、総じて高い。
しかも、UXは人気カテゴリーのコンパクトSUVなので、高値安定は確実だ。
とくに高値になるグレードは、スポーツグレードのFスポーツ。
プラス査定になるのはムーンルーフ、ヘッドアップディスプレイ、マークレビンソンプレミアムサラウンドサウンドシステムなどだ。
対して、XC40のリセールバリューは、中・長期的に不透明な印象だ。
現在は中古車流通量が少なく、人気モデルということもあって高値安定のリセールバリューになっている。
しかし不安要素は、XC40というモデルではなく、ボルボのブランド力だ。
ボルボ車のリセールバリューは、あまり高くない。
クルマそのもののパフォーマンスはとても優れているのだが、中古車マーケットではドイツ車などに比べると人気が低く、リセールバリューも低くなっているのだ。
逆に考えると、中古車であればボルボ車は良いクルマなのに安く買えるということになる。
こうした事情もあり、XC40の中古車流通量が増え、年式が古くなってくるとリセールバリューが一気に下がる可能性がある。
短期の乗り換えになる可能性がある場合、こまめにリセールバリューのチェックが必要だ。
9.まとめ・総合評価
UXの総合点は27点/40点
XC40の総合点は28.5点/40点
燃費ならUX250h、走行性能ならXC40
ハイブリッド車であるUX250hの燃費22.8km/L(WLTCモード)は、まさに圧巻。
CセグメントのSUVカテゴリーで、世界トップクラスといえるほどの低燃費性能だ。
これに比べると、現在ガソリン車しかないXC40は、非常に厳しい状態。
燃料経済性、CO2排出量という面ではUX250hの圧勝だ。
XC40には、早急にPHEVの導入が望まれる。
さらに、UX250hに近い安価な価格設定も期待したいところだ。
ただ、燃費や環境性能の優先順位が低い人にとっては、XC40という選択になるだろう。
XC40のハンドリングや乗り心地は、クラスを超えた上質なもの。
もはや、ひとクラス上のXC60さえも超えていると感じるほどだ。
UXも悪くはないのだが、XC40が良すぎるのだ。
これで、電動化技術がプラスされ、燃費が向上されてさえいれば、確実にクラストップといえる。
走行性能にこだわる人には、おすすめの1台だ。
デザインに関しては、ほぼ好みの問題。
レクサスブランドの世界観が好きなのであればUX。
ドイツ車には無い、洗練されたユニーク性にハートが響いたのならXC40だ。
レクサスUX | ボルボXC | |
---|---|---|
総合得点(40点満点) | 27点 | 28.5点 |
1.燃費 | 4.5点 | 3点 |
2.価格 | 3点 | 2.5点 |
3.購入時の値引きしやすさ | 2点 | 3点 |
4.デザイン | 3.5点 | 4点 |
5.室内空間と使い勝手 | 3点 | 3点 |
6.安全装備 | 3点 | 4.5点 |
7.走行性能 | 3.5点 | 4.5点 |
8.リセールバリュー | 4.5点 | 4点 |
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レクサスUX
ボルボXC40
UXのカタログ情報
- 現行モデル
- 平成30年11月(2018年11月)〜現在
- 新車時価格
- 390.0万円〜705.0万円
UXの在庫が現在104件あります
以下車両の保証内容詳細は画像をクリックした遷移先をご確認ください。