BMW 1シリーズの新旧比較レビュー。
3代目BMW 1シリーズが2019年11月に登場。
FF化により居住性や実用性が大幅に向上、AIを駆使し利便性まで向上させた3代目BMW 1シリーズと、FR&直6エンジンの走りが魅力の2代目BMW1シリーズの内装・外装、安全装備などを比較評価する。
- この記事の目次 CONTENTS
- BMW 1シリーズの歴史・概要
- コンセプト&外装デザイン
- 内装&装備
- 走り、メカニズム
- おすすめは3代目1シリーズ? それとも、2代目1シリーズ?
- 新車値引き交渉のポイント
- BMW 1シリーズの価格・スペック
BMW 1シリーズの歴史・概要
BMW 1シリーズは、EV(電気自動車)のi3を除けば、最も小さなBMW車として位置付けられている。
小さいと言っても、3代目1シリーズの全長は4,355mm。Cセグメントのコンパクトカーに属する。
日本国内で人気の高いトヨタ アクアや日産ノートといったコンパクトカーは、Bセグメントに属し、全長は4m前後。1シリーズはひと回り大きい。
国産車での同等サイズのライバル車は、トヨタ カローラスポーツ、マツダ3、スバル インプレッサなどだ。
輸入車では、フォルクスワーゲン ゴルフやメルセデス・ベンツAクラスなどがライバル車となる。
初代1シリーズは、2004年に登場した。
デビュー当時、エントリーモデルの116iは、FR(後輪駆動)ながら300万円を切る価格であったこともあり、一気に人気モデルとなる。
国内BMWにとっては、3シリーズに次ぐ販売台数となり基幹車種となった。
またモデル途中からは、直6 3.0Lエンジンを搭載したパワフルな130iも登場。
その後、クーペやカブリオレなどが投入されている。
そして、2代目1シリーズは、2011年9月に登場した。
同じ時期に同じCセグメント車である、メルセデス・ベンツAクラスがやや遅れて投入された。駆動方式は、FF(前輪駆動)。
それゆえ、1シリーズは「クラス唯一のFR」をウリとして、走行性能の高さをアピールした。
しかし、走りの質は高いものの、FRゆえに室内スペースがやや狭かった点が弱点とされた。
実用性が重要視されるCセグメントにおいては、AクラスのようにFF化して室内スペースを確保することが求められていたのだ。
しかし、それでも販売面は堅調に維持。
モデル末期でも、Aクラスを超える販売台数を多く記録している。

走る楽しさをアピールするBMWということもあり、306psというハイパワーをアウトプットする2.0Lターボを搭載したM135iも用意。
このハイパワーをしっかりと路面に伝えるために、M135には4WDであるxDriveと組み合わされている。
また、AI技術を採用したBMWインテリジェント・パーソナル・アシスタントも用意。
発話するだけで、オーディオやエアコンなど車両の操作が可能となる。
そして、運転支援機能として、リバースアシストを標準装備した。
直近50mの走行軌跡をクルマが記憶し、所定の操作をすると、ステアリング操作などは自動で直近50mの走行軌跡をバックしてくれる。
こうした最新の機能を得て、走りだけではない1シリーズへと進化している。
コンセプト&外装デザイン
迫力ある高級感がアップした3代目、やや古さを感じる2代目。
3代目1シリーズのデザインは、なかなか精悍なデザインとなった。
とくにフロントフェイスは、迫力ある高級感とスポーティさが上手く表現されている。
特にそんな印象を与えるのがフロントグリルだ。
2代目1シリーズを大型化、中央部が連結した新世代デザインのキドニー・グリルが装備された。
これが、押し出し感と迫力あるフェイスを創り出している。
そして、スポーティさを際立たせているのがヘッドライトだ。
4灯ヘキサゴナルLEDヘッドライトを採用。睨みの効いたスポーティなデザインだ。
内装&装備
FF化により室内が大幅に広くなった3代目。AIまで駆使し利便性を向上
3代目1シリーズと2代目1シリーズのインパネデザインを比べると、もはや2代目はかなり古く見えてしまう。
2代目はシンプルにまとめられているのだが、BMWらしいスポーティさがあまり感じられない。
走り、メカニズム
直6ターボ+FRによる卓越した走りが楽しめる2代目、無難な3代目
ベーシックな118i系を比較すると、3代目と2代目後期ともに、直3 1.5Lターボを搭載する。
3代目は140ps&220Nm、2代目後期は136ps&220Nmと、スペック的にはほぼ互角。
ただ3代目の方が、より高回転まで気持ちよくエンジンが回る。
2代目には、直4 2.0Lディーゼルエンジンを搭載した118dがあったが、今のところ3代目にディーゼル車の設定はない。
いずれ設定されると思われるが、今のところディーゼル車を希望するなら2代目しかない状態だ。
2代目118dは、150ps&320Nmを発揮。
燃費は22.2㎞/L(JC08モード)と、低燃費で力強い走りが魅力だ。
FFかFRかという差は、やはりFRの2代目が気持ちよい。
アクセル操作でクルマの姿勢を自在にコントロールできる醍醐味は、FRならでは。
ハンドリングの正確無比感も格別だ。
FR信仰の強い人は、迷わず2代目をセレクトしたい。
別に駆動方式にこだわらないというのであれば、FFの3代目でも十分に楽しい。
機敏さは、さすがBMWといえるもの。
3代目には、日本のBMWとして初となるARBが搭載された。
この機能は、FF車特有の車両が外側に膨らんでしまう現象(アンダーステア)を大幅に抑制するものだ。
こうした機能の後押しもあり、キレのあるハンドリング性能を誇る。
そして、最もパワフルな3代目M135i xDriveは、4WDとなり直4 2.0Lターボを搭載。
出力は306ps&450Nm。
このエンジンも秀逸で、高回転まで気持ちよく回る。
対して、2代目後期のM140iは、直6 3.0Lターボが搭載されており、340ps&500Nmを発揮する。
どちらも、非常にパワフルで爽快なエンジンだ。
直6か直4かという違いがあり、昔からのBMWファン的には直6エンジンは、ちょっとグッとくる。
3代目M135i xDriveは、4WD化されたことで、安心してアクセルが踏み込める。
とくに、雨など路面状況が悪い時などには、2代目後期のM140iより安定している。
ただ、FFベースの4WDか? それともFRか? と問われると、やはり直6エンジンとFRの組み合わせは、非常に魅力的だ。
しかも、1シリーズとして最後のFRモデル。
純粋に走りの楽しさを追求したいなら、2代目後期のM140iもよい。
もちろん、前期のM135iでもよい。
2代目は旧型の中古車なので、安価なのも魅力だ。
予算に余裕があれば、カスタマズして楽しむのも、おもしろいだろう。
おすすめは3代目1シリーズ? それとも、2代目1シリーズ?
FR&直6エンジンの走りを追求するなら2代目
2代目BMW1シリーズは、FRという駆動方式や直6エンジンにこだわりたい人向けだ。
もはやCセグメントのコンパクトカーでFR&直6モデルは、出てこない可能性が非常に高い。
そういう意味では、あえて2代目1シリーズを選択するという価値はある。
直6エンジンを搭載したM140iやM135iは、クルマ好きなら一度は試してみたいモデルだ。
最先端の装備、デザイン重視なら3代目
FR&直6にこだわりが無く、実用性や先進装備を重視するのであれば、3代目1シリーズがよい。

もはや、こうした部分で2代目が3代目を上回る部分はほとんどない。
FF化したメリットは非常に大きい。
また、デザイン面でも高級感やスポーティさでも、2代目を上回っているので満足度は高い。
FFモデルでも、BMWらしいスポーティな走りは健在。
総合力という面では、3代目1シリーズになる。
ただ、3代目1シリーズもM135i xDriveを除き、まだ買い時ではない。
ガソリン車でもいいというのであれば問題ないが、やはりディーゼル車の登場を待ちたい。
ハイオクを使うガソリン車に対して、ディーゼル車は軽油を使う。
軽油はハイオクより、30円/Lも燃料費が安い。
燃費がよい上に、力強い。
車両価格はやや上がるが、こうした燃料費の低減だけでなく、減税面でも期待できるので、ディーゼル車がおすすめとなる。
新車値引き交渉のポイント
ライバルAクラスとの競合は必須!
3代目BMW1シリーズは、デビューしたばかりの新型車だ。
そのため、1年くらいは、値引きがゼロベースとなる可能性が高い。
1年ほど経過すれば、大幅値引きが期待できるようになる。
輸入車は値引きしてくれないイメージもあるが、むしろ国産車より値引き額が大きくなることが多い。
とくに、インポーターの決算期となる12月や2~3月は期待できる。
こうした時期を狙うのも大幅値引きを引き出すコツだ。
3代目1シリーズは、しばらくは在庫がない状況が続くだろう。
しかし、しばらく経つと在庫車が出てくる。
ディーラーやインポーターは、長期在庫となることを嫌がるので、こうした在庫車は大幅値引きしてでも売る。
装備やボディカラーなど、自分の好みと異なっていたとしても、多少妥協すれば大幅値引きが期待できる。
そして大幅値引きを狙ううえで重要なのは、ライバル車と競合させることだ。
3代目1シリーズのライバル車は、メルセデス・ベンツAクラスやアウディA3など。
こうしたモデルとしっかりと競合させることが重要だ。
競合とは、いわゆる相見積もりのこと。
まず、先にAクラスの見積書を取り、3代目1シリーズの商談に向かいたい。
本命はあくまでAクラスと思わせることが大切。
営業マンに「値引き次第では3代目1シリーズもあり」と思わせることができれば、徐々に値引き額をアップしてくるだろう。
商談は焦ってはだめだ。
長期間に渡ってズルズルと引き延ばし、相手の営業マンが「いつ買ってくれるのか」と逆に焦らせるくらいでちょうどよい。
「いつ買ってくれるのか」と聞かれたら、「希望する予算に合えばすぐに買う」と答え、値引きを示唆するといいだろう。
BMW 1シリーズの価格・スペック
- BMW 118i:3,340,000円
- BMW 118i Play:3,750,000円
- BMW 118i M Sport:4,130,000円
- BMW M135i xDrive:6,300,000円
代表グレード | 118i M Sport |
---|---|
全長×全幅×全高 | 4,355x1,800x1,465 mm |
ホイールベース | 2,670 mm |
最小回転半径 | 5.4m |
車両重量 | 1,390kg |
乗車定員 | 5名 |
JC08モード燃料 | 16.8 km/L |
WLTCモード燃費 | 13.7 km/L |
エンジン種類 | 直列3気筒DOHCターボ |
総排気量 | 1.499 L |
最高出力[NET] kW (PS) / r.p.m. | 103 (140) /4,600~ 6,500 |
最大トルク[NET] N・m (kgf・m) / r.p.m | 220 (22.4) /1,480~4,200 |
トランスミッション | 7速DCT |
タイヤサイズ | 225/40R18 |
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1シリーズのカタログ情報
- 現行モデル
- 令和1年11月(2019年11月)〜現在
- 新車時価格
- 334.0万円〜696.0万円