「カタログに載っている燃費は信用ならない」という人のために、日産リーフの実電費値をチェック!前回の高速道路編に続き、 今回は一般道100㎞を走行。箱根越えあり、渋滞ありと様々な走行シーンで測定。

この記事の目次 CONTENTS
一般道を約100㎞走行し実電費をチェック
上り坂での実電費は何と3.8km/kWh
下り坂で電費、バッテリーの残量ともアップ
一般道100㎞の実電費は8.6㎞/kWh!
市街地走行でも電費が悪くならないリーフ
日産リーフ価格

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

一般道を約100㎞走行し実電費をチェック

前回、高速道路で2代目リーフの実電費チェックを行った。その結果、高速道路では7.8㎞/kWh を記録。そこで今回は一般道での実電費をチェックする。

走行ルートは、沼津ICからバイパスを経由して国道1号線で箱根の峠道を登り、箱根新道で小田原方面へ抜ける。その後は、西湘バイパスを経由し、国道134号線。そして、新湘南バイパスへ。そこから、再び国道1号線に入り、横浜の日産本社を目指すという一般道100km。急激な山道、そして中速域でのクルージングができるバイパス、そしてやや渋滞した市街地走行と幅広いパターンをトータルで計測した。

上り坂での実電費は何と3.8km/kWh

心配していたのは、箱根の急激な登り坂だ。電気自動車は、とにかく登り坂が苦手。急速に電費が悪くなる。そんなことは十分に理解していたが、峠を登り切った時点での電費を見て涙目になった。なんと、電費は3.8㎞/kWhだったのだ。高速道路での半分以下の電費値だ・・・。

驚きの電費値だったとはいえ、箱根の峠道は非常に楽しいものだった。カーブが楽しい理由は、リーフがとても低重心な設計になっているから。リーフの大きく重いバッテリーは、フロア下に設置されているので低重心化されている。その上、前後の重量バランスも良い。

走行フィールはかなり気持ち良い

一般的なエンジンを搭載したFF(前輪駆動)車は、重いエンジンとミッションをフロントに搭載する。そのため、前が重く後ろが軽いという重量バランスになり、前後の重量バランスは良いとは言えない。

その点、リーフは低重心さと前後の重量バランスに優れているため、とにかくカーブでは安定感があり高い車速で曲がることができる。さらに、モーターはガソリン車に対して圧倒的なレスポンスの良さを誇る。アクセルを踏んだ瞬間から、モーターは最大トルクをいっきに発生させ、力強くクルマを前に押し出すのだ。これはとても気持ちが良い。

さらにバッテリーは事故などで壊れて車両火災などを引き起こさないように、頑丈なカバーによって守られている。この強固さが、結果的にリーフのボディ剛性もアップさせている。リーフは、低重心で重量バランスがよく、レスポンスに優れ、ボディ剛性が高いので峠道などの走りが楽しいのだ。

こうした要因もあり、ついつい峠道を楽しんで運転してしまったことも電費を下げてしまった要因でもある。

下り坂で電費、バッテリーの残量ともアップ

辛い登り坂があれば、当然、下り坂もある。下り坂は、電気自動車のドライバーが思わず笑顔になるシーンが続く。下り坂では、基本的に電力回生が行われ、電費値がドンドンとアップ。バッテリーにドンドンと充電している状態になる。

箱根新道を使い下り坂を降りきると、電費値はなんと8.9㎞/kWhを記録! この数値は、今までの最高数値となった。その上、山頂では44%だったバッテリーの残容量は、5%増え49%になっていた。この数値は、下り坂だけの数値ではなく、登り坂を含めたトータルでのものだ。この電費値には大満足だ。

一般道100㎞の実電費は8.6㎞/kWh!

箱根を下りきった後は、西湘バイパスを経由し、国道134号線。その後、新湘南バイパスを走行。バイパス中心のコースということもあり、車速はやや高め。そのため電費はじわじわと悪化してきた。

その後、ちょっとした渋滞路も含み国道1号線で日産本社を目指した。このルートは、ちょっとした渋滞が発生していて、ありがちな市街地走行となる。このため電費の悪化が顕著に出るのではと思っていた。しかし実際は、逆にバイパスでの電費より良くなる状態に突入する。

なんと、日産本社到着時には、8.6㎞/kWhという実電費値となった。高速道路のように8.0㎞/kWh台を割ると見込んでいたが、大きな勘違いとなった。

市街地走行でも電費が悪くならないリーフ

市街地での渋滞は、ガソリン車の場合、すぐに燃費の悪化に直結する。しかし、リーフが市街地走行で電費が悪くならなかったのは、まず速度が遅くなったことが大きな理由のひとつだ。定速なので空気抵抗による損失や電力消費も少ないからだ。

また、なんといってもe-Pedalの効果も大きい。リーフには、初代・2代目リーフ共に協調回生ブレーキが装備されている。この協調回生ブレーキはブレーキ操作をコンピューターが判断し、摩擦ブレーキをできるだけ使用せずに回生ブレーキを中心に減速を行う。回生ブレーキで補いきれない急ブレーキや停止直前の低速域などでは、通常の摩擦ブレーキが作動する。

毎日充電する必要がないほどのレベルに!

こうした協調回生ブレーキに対して、e-Pedalはほぼ停止まで回生ブレーキで行う。わずかではあるものの、何度も発進&停止を繰り返す市街地では、こうしたわずかな回生電力の積み重ねが電費に大きく貢献していたようだ。また、e-Pedalをより効率的に使おうとすると、車間距離を多めに取り早めのアクセルオフにする運転になる。こうした運転により、より電力回生が効率的にできたのだろう。

8.6㎞/kWhという電費値計算すると、リーフの実航続距離は344㎞ということになる。チョイ乗りの市街地走行がメインであれば、それこそ毎日充電する必要がないほどのレベルに達している。

日産リーフ価格

・S 3,150,360円
・X 3,513,240円
・G 3,990,600円

近距離利用なら電気自動車のメリットは大きい

N-BOXなどのスーパーハイト系軽自動車の新車価格は、オプションまで含めると200万円に近い金額になる。しかし、多くのユーザーは軽自動車ということもあり、市街地走行中心で近距離での使い方が中心だ。

近距離での使い方がメインというのであれば、リーフのような電気自動車ほどメリットがある。大幅に割引される深夜電力を使えば電気代は、ガソリン代よりも大幅に安くなる。

中古車ならリーフはかなりお買い得

ただ、多くの人はリーフは高額車だという認識が強い。確かにその通りなのだが、中古車リーフは激安だ。新車を購入する人にとっては残念だが、リーフのリセールバリューは、かなり低い。そのため、中古車価格も低くなっている。

例えば、先代リーフの30kWh車で上級グレードGの価格は約400万円。これが、安いものでは2016年式という高年式で160万円台から手に入るようになっている。もはや、新車価格の40%程度になっているのだ。これは、かなり買い得感がある。新車のスーパーハイト系軽自動車より安い。

しかも、Gグレードは上級グレードなので、ナビなどの装備も充実している。30kWh車なら、実航続距離も200㎞前後になるので、街乗り中心であるのなら実用面でも問題ないはずだ。中古車なら、この金額で最先端の電気自動車に乗れるのだ。