BMWは、人気コンパクトカーであるミニに特別仕様車「サザーク」を設定し発売を開始した。この特別仕様車ミニ サザークは、多くのオプションを標準装備しながら、価格アップを抑えたお買い得車でもある。コストパフォーマンスに優れた特別仕様車だ。

この記事の目次 CONTENTS
ミニとは呼べないサイズの3代目ミニ
ミニ3ドア/5ドアをベースにした特別仕様車
オプション設定の内容はかなりお買い得感が高い
ミニ クーパー サザーク価格

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

ミニとは呼べないサイズの3代目ミニ

現行のミニは、3代目で2014年に日本に導入された。この3代目ミニも歴代モデルと同様に、フルモデルチェンジ期にボディが拡大されている。3代目ミニのボディサイズは、全長3835×全幅1725×全高1415mm。初代ミニの全長が3625㎜なので、210㎜も大きくなったことになる。ローバー ミニの最終モデルが3075㎜程度。ローバー ミニ世代のファンから見れば、もはやミニはミニとは呼べないくらい大きなボディサイズになった。

確かに、旧ミニファンから見れば肥大化しすぎたかもしれない。しかし、年々厳しくなる衝突安全基準などを満たしそうとすると、さすがに3m程度のボディで4人乗りでという条件は厳しいのだろう。

その戦略が功を奏し絶好調な売り上げ

また、それだけでなく、BMWがミニブランドの更なる成長戦略を考えた時に、ボディを拡大しなくてはならない理由がある。それは、ミニの顧客層拡大にある。

従来のように、ミニはマニアック層向けのクルマというのでは、今後未来はない。そのためには、大人4人がしっかりと乗れるコンパクトカーとしての実用性という価値も提供していかなくてはならない。こうしたこともあり、ミニのボディはドンドンと拡大されていった。

こうしたBMWの戦略は、今のところ大成功。日本では、2017年にミニブランド全車が約2.5万台売れた。アウディブランドが約2.8万台なので、ミニブランドが単独でアウディブランドに肉薄する販売台数となっているのだ。しかも、ミニブランドは基本値引きゼロなので、かなり利益率も高い。BMWにとって、まさにミニブランドは稼ぎ頭に成長した。

そんなミニブランドの中核モデルである3代目ミニには、新開発エンジンを搭載するなどし、低燃費性能を大幅に向上。さらに、歩行者検知式自動ブレーキなどの先進予防安全装備装備も用意。その後、改良や数々の特別仕様車、カブリオレを投入した。2016年には、待望のエコカー減税免税対応となるクリーンディーゼルエンジンも投入。マーケットニーズにいち早く対応し、更なる人気を得ている。

ミニ3ドア/5ドアをベースにした特別仕様車

新たに設定された特別仕様車ミニ サザーク(Southwark)は、ミニ クーパー3ドア/5ドアをベースにたモデル。現行のカラーラインアップに含まれていなかったミニの伝統的な「赤」である、チリ・レッドを含めた人気の3色をボディカラーに採用している。

また、日本仕様のミニでは初めてレザレット・シートを特別装備した。レザレット・シートは、繊細な加工により仕上げらていて、より落ち着いた室内空間を演出。全体的により高級感が漂うインテリアといった印象だ。

人気オプションを多数標準装備!

その他、この特別仕様車には、LEDヘッドライトやLEDフロント・フォグ・ランプ、ナビゲーション・パッケージ、コンフォート・アクセスなど、人気の高いオプションを多数標準装備されているのも特徴だ。

特別仕様車名は、様々なスパイスが揃うロンドンのフード・マーケットがあるSouthwark Street(サザーク・ストリート)から名付けられた。

そこで、スパイスにちなんで、チリ・レッド(特別装備)/ホワイト・ルーフは、情熱的な刺激「Hot Style」。ホワイト/ブラック・ルーフは、スマートでさわやかな刺激「Fresh Style」。ブラック/ホワイト・ルーフは、キレのあるシャープな刺激「Sharp Style」と名付けられた。

オプション設定の内容はかなりお買い得感が高い

特別仕様車であるミニ クーパーD 5ドア サザークの価格は3,670,000円となった。ベースとなるミニ クーパーD 5ドアに対して、43万円高という価格になった。

この43万円高という価格は適正なのか? それともリーズナブルなのか?特別仕様車を検討する上で重要なポイントだ。

まず、プラスされた装備類を確認すると、通常のレザーシートだけで30万円以上するオプション。さらに、約18万円のナビゲーションパッケージも装備されている。LEDヘッドライト類は約12万円。これだけで、すでに60万円前後のオプションがプラスされた計算になる。

その他に装備もプラスされていることを考えると、特別仕様車のプラス43万円高という価格は、かなり買い得感があるといえる。ミニは、基本的に値引きゼロなので、こうした買い得感のある特別仕様車は狙い目だ。

パワーユニットの選択で大幅な燃料代の節減に

次に考えたいのが、パワーユニットの選択。用意されているエンジンは、1.5Lガソリンターボと1.5Lクリーンディーゼルの2タイプ。お勧めは、ディーゼル車だ。価格は20万円ほどガソリン車より高価になる。

この20万円の価格アップという設定も絶妙。ミニ側から、積極的にディーゼル車を選べというメッセージでもある。

まず、ハイオクガソリンを使用するガソリン車と、軽油を使うディーゼル車では、燃料代が30円/L前後も異なる。さらに、燃費もガソリン車が18.3㎞/L。クリーンディーゼル車は23.9㎞/L。燃費もディーゼル車が上回る。こうなると、ディーゼル車の燃料費は、ガソリン車の60%前後で済む計算になり、大幅な燃料代の削減になる。

ディーゼル車は、エコカー減税の恩恵が高い

走行距離にもよるが、そこそこ走る人ならこの燃料費差で車両代の20万円分を取り返すことができる可能性が非常に高い。さらに、ディーゼル車は、エコカー減税も大きいので、20万円の価格差なら十分に元が取れる。また、今後、輸入車のディーゼル車はリセールバリューが高くなることも予想できるので、場合によってはディーゼル車の方が安くなる可能性もあるのだ。

特別仕様車サザークは、ミニでは珍しいお買い得な特別仕様車。この特別仕様車で、2018年のスタート&ダッシュを決めて、アウディの販売台数を超えようとするミニの戦略を感じさせる1台だ。

ミニ クーパー サザーク価格

・MINI Cooper 3 Door Southwark 3,290,000円
・MINI Cooper D 3 Door Southwark 3,490,000円
・MINI Cooper 5 Door Southwark 3,470,000円
・MINI Cooper D 5 Door Southwark 3,670,000円