この記事の目次 CONTENTS
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似通ったクルマが多いのはなぜ?
「ブランドの顔」であるグリルから選ぶ
BMWのキドニーグリル
アルファロメオの楯型グリル
輸入車の顔つきが同じなのには理由が
国産車は幅広い顔つき
スタイルの買わらないクルマを選ぶ
変わらない武骨さ「ベンツGクラス」
映画などにも登場「ビートル」シリーズ
英国クラシカル「ミニ」

似通ったクルマが多いのはなぜ?

昔のクルマを思い浮かべながら、「最近のクルマはつまらない」「どのクルマも似たり寄ったり」と思っているクルマ好きの人も多いのではないでしょうか。実際、1970年代までのクルマはフォルムや顔つきに個性がありました。

それが徐々に似通ってきて、「後姿を見てもどのクルマか分からない」という状態になった一番の背景は、クルマをめぐる環境の変化があると言われています。環境性能が声高に叫ばれ、また安全性能に関する基準も厳しくなる中で「制約を満たすだけで精一杯」という状況が生まれてしまっているようです。

特に日本では「クルマが好き」という人よりも「クルマは実用性重視」という人が増えています。そのため「より車内を広く」「より燃費を良く」「より車体を軽く」といった実用性が重視され、デザインで個性を出す余地が小さくなっています。

そんな中で、メーカーごとの個性が出るのが「グリル」です。

「ブランドの顔」であるグリルから選ぶ

フロントライトの間にある、網状や縞状になっているパーツを「グリル(フロントグリル)」と呼びます。フロントライトの大きさや形などと共にクルマの顔つきを作る大事なパーツでグリルを含む「顔つき」です。

それだけに「クルマのデザインにこだわってクルマを選びたい」という人は、このグリルを含めた「クルマの顔つき」に注目してみると良いでしょう。

たとえばアウディは、横のラインが強調されたグリルとランプで、シンプルなフォルムの中で顔つきが良いアクセントになっています。またジープの丸型ヘッドライトに7本のスリットが刻まれたグリルは、ギラギラはしないけれども迫力のある顔つきに仕上がっています。

BMWのキドニーグリル

中でも特徴あるグリルとして名指しされるのが、BMWのキドニーグリル。キドニーとは腎臓という意味で、2つの腎臓が横に並んだように見える形からそう呼ばれています。1933年から使い続けられているデザインで、一目で「BMW」と分かるシンボルになっています。

そのため、通気が不要であるため本来グリルが必要ないはずの電気自動車であるi3やi8についても、敢えてこのグリルが取り付けられています。

アルファロメオの楯型グリル

もう一つ、特徴的な顔つきを備えるクルマといえばアルファロメオ。アルファロメオのエンブレムは、創業地であるミラノ市の紋章である聖ジョルジョ十字と名門貴族ヴィスコンティ家の紋章である大蛇を組み合わせた非常に目を引くデザイン。グリルは、そのエンブレムを頂く楯をモチーフにした逆三角形の形をしています。

1930年代に今の原型となるモチーフが生まれて以来、少しずつ形を変えてきており、今まではすっかりアルファロメオの象徴となっている顔つきです。

輸入車の顔つきが同じなのには理由が

このように輸入車のブランドがグリルを含めた顔つきを統一するのには、戦略上の理由もあります。ベンツ、BMW、アルファロメオなど、長い歴史を持つブランドほど「変わらないこと」「そのブランドらしくあること」を一つの強みとして押し出しています。そのためブランドの印象を作るグリルを共通化し、それを長く使おうとするのです。

日本では最近、マツダが「鼓動デザイン」として顔つきを含めたデザインのテイストを統一し、マツダのデザイン性をPRしています。

国産車は幅広い顔つき

マツダという例外を除くと、国産車はクルマごとにグリルやランプを含めた顔つきを変える傾向があります。そのため「トヨタのクルマの顔」と言われても思い浮かばず、プリウスのように個々のクルマの形や顔つきの方が思い出しやすいです。

その典型例が、中身は同じなのに顔だけ変えて「別のクルマ」として売り出されているアルファードとヴェルファイアでしょう。同様のことはヴォクシー、ノア、エスクァイアという3台でも行われています。

スタイルの買わらないクルマを選ぶ

「最近のクルマは似通っている」と言われますが、その中でも存在感を放つのは、昔から変わらないスタイルを保っているクルマです。変わらないスタイルでありながら古臭く見えないということは、それだけ優れたデザインを備えているともいえるでしょう。

変わらない武骨さ「ベンツGクラス」

NATOに採用されていた軍用車両「ゲレンデヴァーゲン」と呼ばれていた頃からほとんど変わらない姿を保っているのが、メルセデス・ベンツのGクラス。民間用車両としてデビューした1979年のモデルと比べると、インテリアと安全装備を除けば、大きな変化はほとんど加えられていないという一台です。

映画などにも登場「ビートル」シリーズ

カブトムシに似た車体から「ビートル」と呼ばれた、フォルクスワーゲンの「タイプ1」。1938年にこの「タイプ1」がデビューして以来、2019年に生産終了となるまで約80年もオリジナルのスタイルを大事にしてきたモデルです。1998年には「ビュー・ビートル」と、さらに2012年からは「ザ・ビートル」と名前を変え、またさまざまな改良を加えながらも、一貫したスタイルで愛されている一台です。

英国クラシカル「ミニ」

ブランドごと別会社に売却され、内部は全く別のクルマになりながらも、昔のテイストを強く残しているブランドがミニです。もともとは1959年にブリティッシュ・モーター・コーポレーション(BMC)が、ミニマルなクルマを生み出したのが始まりで、当時としては一般的なデザインをしていました。

そのデザインを踏まえつつ全く別のクルマを作ったのが、BMWが設立したブランドである現在のミニです。あえて昔のデザインを踏まえることで、今となってはクラシカルな印象になっています。昔のミニと比べると大きく違う部分も多い一方で、観音開きのドアなど昔のモチーフをうまく取り入れているのが「上手い」と思わされるブランドです。