• ミニ 新旧比較レビュー

2013年にフルモデルチェンジし、3代目となったミニ。
モデルチェンジを重ねる毎にボディサイズを拡大。
そして、2014年には利便性の高い5ドアが追加された。
さらに、2016年には、待望のクリーンディーゼルエンジンを搭載。
販売台数面でも絶好調のミニ。
クリーンディーゼルとガソリンの違いをレポートする。

比較レビューのまとめ


  1. ガソリン、ディーゼルともエンジンの違いで、内装・外装・装備に大きな違いはない
  2. 高回転域でパンチのある加速力が魅力のガソリン車だが、経済的なクリーンディーゼルがおすすめ
  3. ミニの魅力であるゴーカートフィーリングを最も楽しめるのは3ドアのガソリン車
  4. ほぼ値引きゼロのミニ。買取店で査定し、下取り車の正しい価格知ってからライバル車との競合で長期戦の商談がベスト

概要

ミニには3ドアと5ドアの2タイプが用意されている。5ドアが追加されたことで、今まで「ミニは利便性が」と思っていた潜在的なミニファンを多く取り込むことができた。さらに、従来ハイオクガソリン仕様のエンジンのみだったが、1.5Lと2.0Lのクリーンディーゼルエンジンが追加された。ハイオクに対して軽油を使うクリーンディーゼルエンジンは、30円/L前後燃料費が安くなる。また、エコカー減税のメリットも加わり、ミニの顧客にランニングコストの低減を提案できるようになり、ミニブランドはより強固なものとなった。

ミニ新旧比較

コンセプト & エクステリア

大きくなってもミニはミニ!
歴代ミニのデザインを継承

ガソリン、クリーンディーゼルどちらもデザイン上の大きな違いはないが、クリーンディーゼル車は、エンブレムにディーゼルを表すDの文字がプラスされている。外観デザインのポイントは、丸型ヘッドライト、六角形グリルなど。こうしたデザインは歴代ミニと同じで、現代風にアレンジしている。現行ミニでは、フロントグリルが縦方向に拡大。グリルは分割のない一体フレームで構成されている。
現行モデルでは、LEDヘッドライトとなっており、LEDのポジションライトがリング状に発光。夜間でもひと目でミニとわかる。また、ミニの愛らしさをより強調している。3ドアと5ドアでは、ホイールベースと全長が異なる。そのため、5ドアのサイドビューはやや長めの印象だ。

ミニ新旧比較

インテリア

デザイン面での違いはなし

円形をモチーフにしたデザインやトグルスイッチなどは、先代モデルから継承。しかし、現行ミニは旧型のセンターメーターの位置にセンターディスプレイが装備された。ナビなどを装着した場合、8.8インチの大型ディスプレイとなる。このセンターディスプレイの周囲は、LEDがリング状に配置され状況により色が変化するなどの遊び心がある仕様となっている。インテリアの違いもガソリン車とディーゼル車では、ほとんど差がない。強いてあげるとすればタコメーターくらいで、クリーンディーゼルのレッドゾーンが5,000回転過ぎからになっている。

ミニ新旧比較


装備

ドライビングアシストはガソリン、
ディーゼルどちらもオプション

残念なのは、歩行者検知式自動ブレーキ関連の安全装備「ドライビングアシスト」が全車にオプションとなっている点。ミニは、自らプレミオコンパクトと呼び、かなり高額なコンパクトカーだ。プレミアムと呼ぶのであれば、ドライビングアシストくらいは全車に標準装備して当然だろう。ミニを購入する場合は、忘れずにオプションのドライビングアシストを選択したい。

ミニ新旧比較


走り & メカニズム

優れた燃費と力強い低中速トルクが魅力のクリーンディーゼル。高回転域の伸びとパンチのあるパワーが気持ちいいガソリン

クリーンディーゼル

エンジンラインアップは豊富。ミニ ワンには直3 1.2Lガソリンのみ。クーパーには1.5Lのガソリンとクリーンディーゼル、クーパーSには2.0Lガソリンとクリーンディーゼルが用意されている。燃費は、ガソリンの1.2Lが19.2㎞/L、1.5Lが18.3㎞/L、2.0Lが17.6㎞/L(3ドア)、16.4㎞/L(5ドア)。クリーンディーゼルの1.5Lが23.9㎞/L、2.0Lが23.8㎞/L(3ドア)となっている。クリーンディーゼルの低燃費性能の高さが光る。
新世代のクリーンディーゼルのフィーリングは、とてもよい。車内にいる限り振動や騒音はガソリン車並み。さらに、パワフルで1.5Lが270Nmで、2.0Lが360Nmとう大トルクを誇る。この大トルクの恩恵で、とにかく力強い加速が持ち味。高速道路などでのクルージング時には、アクセル操作に対して瞬時にこの大トルクで車速を伸ばしてくれるので、まるで大排気量車に乗っているような余裕を感じ疲労も少ない。1.5Lで十分なほどの加速性能を持っている。2.0Lになると、もはやスポーツカー並みの加速感を味わえる。それでいて、低燃費で経済性に優れるのだから人気が出るのは当然だ。

ガソリンエンジン

ガソリン車は、トルク感ではディーゼルに劣るものの高回転域に入ってからのパワー感が気持ちいい。このパンチのある加速感は、ガソリン車ならではだ。単純に速さというのでは、ガソリン車かもしれない。ただし、街乗りや高速道路などでの日常的なシーンで常に感じることができるクリーンディーゼルの大トルクがもたらす加速感はなかなかスポーティで気持ちがいい。
そして、ミニの持つ魅力のひとつがゴーカートフィーリグ。このゴーカートフィーリングが一番際立っていたのが、3ドアのガソリン車だ。
3ドアは5ドアに比べホイールベースが短い。そのため、とにかくキュンキュンと機敏に動き回る感覚がより強い。また、ガソリン車は、クリーンディーゼル車に比べフロントがやや軽いこともあり、より軽快がある。

ミニ新旧比較


おすすめはクリーンディーゼル? それともガソリン?

それぞれ一長一短あるものの、総合力ではクリーンディーゼルがおすすめ!

CO2削減が叫ばれ、より燃費性能が重視される時代だ。今後、欧州車はPHEV化が加速していく。もはや、電動化無しでは生き残れない時代に入ってきている。そうした時代に進んでいる中、単なるガソリン車を今買うのは時代遅れ感がある。
クリーンディーゼルはどんどん進化しており、騒音や振動面ではガソリン車に近い。とくに、ミニはBMW製ということもあり、クリーンディーゼルエンジンのフィーリングもガソリン車のように気持ちよく回る。日常的な使い方なら、クリーンディーゼルの大トルクは、とても使いやすく余裕ある走りを提供してくれる。それでいて、燃費も良い。ハイオクと軽油では、30円/Lも価格が異なり、ランニングコスト面ではクリーンディーゼルが圧倒的に有利だ。こうなると、本格的な電動化時代の前に買うクルマのパワーユニットは、クリーンディーゼルということになる。車両価格は、ミニの場合、クリーンディーゼルになると20万円アップする。20万円の価格差は、ガソリンより優れた燃費と燃料費の安さ、エコカー減税差により十分に回収できる範囲内だ。


新車値引き術

値引きには厳しいミニだからこそやるべきこととは?

ミニは、デビュー以来、値引きゼロを維持している。これは、ミニブランドの人気が一過性のモノではなく、長期に渡り高い人気を誇っているからだ。そのため、ミニはとにかく売り手が強い。値引きを引き出すのは容易ではない。しかし、何もしなければ値引きはゼロのまま・・・。そこで重要なのが、ライバル車との競合。ところが、ミニのライバル車と呼べるクルマが皆無に近い。これが、尚更値引きゼロに拍車をかけている要因でもある。販売面ではミニのライバルとは言えなくても、同じクラスのモデルや同じような価格帯になるモデルと競合させたい。

ミニのライバルはこのクルマ!

ミニ5ドアの全長は、約4m。このサイズはBセグメントと呼ばれるクラスで、輸入車では下記の通り。

輸入車 Bセグメント


  • フォルクスワーゲン ポロ
  • プジョー 208
  • シトロエン DS3
  • フィアット 500
  • アウディ A1

価格帯を合わせるのであれば、ひとクラス上の下記車種との競合である。

輸入車 Cセグメント


  • メルセデス・ベンツ Aクラス
  • ボルボ V40
  • フォルクスワーゲン ゴルフ

余裕があれば、ディーラー系中古車店以外の中古車ミニも加えておくといい。
まずは、こうしたモデルの見積りを先に取って置くことが重要。競合車の見積りをもって、ミニのディーラーへ行き、ミニもついでに見に来たくらいで商談を始める。それでも、ミニの場合、そう簡単に値引きしてくれないので、商談は長期的に行いたい。先方の都合(ノルマや決算期)により、痺れを切らせて値引きしてくるタイミングを待つくらいでいい。
競合車に比べると圧倒的に値引きは少ないが、値引きをし始めたら「あと、5万円アップして! 親切にしてくれたあなたから買いたい!」とか、「値引きしてくれるのなら、今決める!」などと、営業マンのハートを揺すってみるといいだろう。


<参考記事>
ミニを最大限に値引くには!?ミニの新車値引き術

値引きがダメならオプションなど付帯サービスが狙いどころ

実際に値引きがNGとなっても、用品サービスやMINI TLC. (TENDER LOVING CARE)と呼ばれる点検費用を安価にできる有料サービスパッケージなどを無料サービスしてもらうなどの交渉をしたい。用品や有料サービスは、ディーラー側から見れば原価での提供になるので、現金値引きより対応しやすい場合があるからだ。

下取りは安めの価格を提示されやすいので注意

ディーラーの中には、下取り車の価格を下げ、値引き金額をアップするという手法を使う店がある。最悪の場合、下取り価格を下げ値引きもしないことも。こうなると、値引き交渉そのものがすべて無駄になる。こうならないように、下取り車は必ず買い取り店で査定しておくことが重要。下取り車の本当の価格はいくらなのか知らないと商談にならない。 最終的には、より高価で買い取ってくれるところへ売ればいいだけだ。

ミニを最大限に値引く方法は?ミニの新車値引き攻略の特集記事はこちら▶︎▶︎


新旧ミニ 比較ギャラリー

クルマ評論家 CORISM代表 大岡 智彦 氏
クルマ評論家 CORISM代表
大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。
日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員